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蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成28年5月3日(火)J2第11節 東京ヴェルディ対モンテディオ山形 味の素スタジアム

無料券で忍び込んだためいつもより気合の入った今シーズン初観戦でしたが、残念ながら0-1の敗戦に終わりました。

 

前半2~3分まではヴェルディペース。前線のプレスに焦った山形ディフェンスはサイドバックあたりでボールを奪われてヴェルディは素早くゴールに迫る。しかしヴェルディの時間はあっさり終了。
山形はサイドバックがワンタッチでプレーするようになり、またボランチのアルセウ選手が落ち着いたボールさばきを見せる。ヴェルディはフォワードがやみくもに突っ込むだけなので、山形は一つ交わすだけであっさりとボールをつないで組み立てることができる。山形の攻撃がロングボールで頭か裏という作戦なのでヴェルディ中盤のプレスが余計にかからず、その後は山形の時間が続きます。

それでもヴェルディは前半23分、井林章選手の大きなサイドチェンジから細かくつないで杉本竜士選手がペナルティエリアに突っ込む!しかし残念、シュートは打てず。

山形は31分澤井直人選手からボールを奪い一気にカウンター。シュートはゴールに向かうものの平智弘選手がゴールに入って何とかクリア!
43分にも左サイドをドリブルで駆け上りさらに左に開いて折り返したボールに決定的なシュート!ここはヴェルディ唯一の30代柴崎貴広キーパーが体を張ってブロック。山形に得点を許しません。

ヴェルディは中野雅臣選手のフリーキックがゴールを脅かすも得点には至らず前半を終了します。

後半に入っても何となく山形ペース。とはいえ、山形も攻撃の形がいまいちで両チーム得点チャンスが作りきれない。

ところで山形は4-4-2システムだったようだけど、右サイドハーフが前線に残る変則型。そのためヴェルディは守備の時最終ラインはあまりインターセプトなど前に出ないし左サイドハーフは外側に気を取られてスペースが空くからかボランチもあまり前に出てこない。山形はサイドから攻めるときサイドハーフとサイドバックがいてボランチが絡むと、ヴェルディは2-3で守らなくてはならなくなる。
ボランチ相手なんだからボランチが出ればいいじゃんと思うのだが、ヴェルディはボランチが前に出ずフォワードが下がってくる守り方。しかし、残念ながらフォワードの戻りは遅い。
というわけで後半33分、悠々と左サイドでボールをキープされた結果、サイドから中央に攻め込まれ、一度はキーパー柴崎選手が防ぐもこぼれ球を山形に押し込まれ、ついに山形に先制を許す。

後がなくなったヴェルディだが、いかんせん攻撃の形がない。
特にサイドからの攻撃において、突破は見られるものの突破した時ゴール前に人がいない。突破した側もセンタリングを上げるそぶりも見せない。結局中側から外側に攻めることになるので、ゴールから遠く遠くへボールを運ぶという、攻撃してるのか守備してるのかわからないボール運びの方向。前線にボールが入ってもトラップして前を向いてドリブルする、というやり方なので当然つぶされる。シュートまで持ち込むことができない。

ということで後半40分、ウェズレイ選手を投入して放り込み作戦。これがかなり効いて押し込むも得点には至らず。

ここで試合終了。失点は不運もあったけど人数はいたもののサイドが薄くなり押し込まれてしまったという作戦失敗が大きい。得点できなかったのは必然の部分が大きい。ゴール前でシュートを打てるところに人がいないのだからなかなか得点は難しいだろうと思う。

攻撃面は前線での判断の遅さ、サイドを突破してもゴール前に人が入らないしゴール前に出そうともしない、外から中ではなく中から外に攻めてしまう、など課題が多い。少なくとも最終ラインを突破した時はゴール前に飛び込む、ロングシュートはこぼれ球を狙う、など基本的な約束事を徹底すべきだと思う。
また、今日の山形は右サイドが戻らなかったので、ヴェルディの左サイドは広大なスペースが生まれていた。しかし、澤井選手が中に入り込み過ぎてしまったこと、また右サイドの安西幸輝選手が開き過ぎてしまったことで山形ディフェンスのそろっているところばかり攻め込んでしまった。山形の作戦なのかヴェルディの柔軟性の欠如なのかわからないけど、右から左へサイドチェンジすることができればもっと楽にボールを運べたと思う(それでも中に人がいないので辛いとは思うが)。

守備に関しては、まずディフェンスラインがでこぼこになり裏を取られることは改善が必要。井林選手と平選手とどちらが指示を出すのか、二人の中で十分にコミュニケーションが取れていないのではないかと思う。コンビネーションを磨いてほしい。
ボランチの二人はボールへの反応もよくこぼれ球に素早く反応していたが、山形がボールを保持した時戻るだけのディフェンスなので山形は怖さを感じなかったのではないだろうか。必要な時はパスコースを消しながら(誘いながら)前に出るようなことも学んでいってほしい。
前線のプレスは落第点。ただボールに突っ込んで行くだけ。どこにボールを誘い込むのか、どこでボールを奪うのか、チームで統一されたものは何も感じなかった。その結果、フォワードが突っ込んで行ってパスが出されて中盤は追いつけずプレス終了、山形は楽にビルドアップという場面が多く見られた。前線でのボール奪取は得点の大きなチャンス。今一度チームで守備戦術を見直してほしい。

今シーズンは監督業の手伝いとプライベートな問題でなかなか試合を見に行くことはできないけれど、地元のチームであるヴェルディには常に注目しているし応援しています。今シーズンもベストを尽くして観客を魅せてくれることを期待しています。

 

採点

柴崎貴広 6.5 たびたびのビッグセーブで試合を作った。パワープレーに入った時もっと積極的にフィードできるとよかった。

大木暁 5.5 豊富な運動量で攻撃にも貢献。ただ、チームメイトとの関係もあるが、攻撃のあと後ろのスペースを狙われていたのに対応しきれていなかった。

井林章 5.0 相手の8番に翻弄されていたイメージ。いいボールが来なかったため問題なかったが、度々マークを外されていた。得意のヘディングもややミスがみられる。フィードがうまくなったが左足はいまいち。

平智弘 5.5 まだ信頼関係ができていないのか周りとバラバラな動きがみられた。こぼれ球を積極的に拾いに行くのはいいが緊張するのかコントロールミスしてボールが離れてしまうのでこれから直してほしい。

中野雅臣 6.0 今までのヴェルディに少なかった大型サイドバック。ボランチも小柄なヴェルディにあって空中戦に出られるサイドバックの存在は非常に大きい。フリーキックは山形に脅威を与えた。オーバーラップ時の小さいミスを何とかしてほしい。

楠美圭史 6.0 ボールに対する予測が良く球際も強い。パススピードも速いのでサイドの攻撃をうまく引き出していた。守備の時積極性も兼ね備えられるとなおよい。

井上潮音 5.5 抜群の判断力と的確なパス能力で試合を作る。ミスパスが多かったがこれから改善できると思う。背が低いぶん前へのディフェンスを磨いてほしい。

安西幸輝 5.0 ドリブルでチャンスを作るもボールがその先につながらない。迷ったり確かめたりしないで思い切りの良いプレーをしてほしい。

澤井直人 5.0 守備では頑張ったが肝心の攻撃面がいまいち。判断が遅いのでボールを奪われてしまう。簡単にはたいてリズムを作りたい。山形のシステム上目の前に広大なスペースがあったにも関わらずうまく使うことができなかった。

北脇健慈 5.0 フォワードやったり中盤やったり大変だった。次の次のプレーを予測しておらず、せっかくボールが前線に入っても受け手になり得なかった。サイドの人数不足をフォワードがフォローするのがチームの約束事であるとしたら、もう少しポジショニングを調整したかった。

杉本竜士 4.5 ボールが入ってもトラップして前を向いてドリブルして、というのんびりした攻撃。判断良くワンタッチでプレーすることも必要。得意のドリブルで突破を試みるも今日はボールが足につかなかった。中から外に動いてしまうので山形としては怖さを感じない。以前のような急に襲ってくるような狡賢い怖さを思い出してほしい。

渡辺皓太 5.0 頑張って動いていたがキックが遠慮気味。若さで思い切りの良いプレーを期待。

南秀人 5.0 フォワードとして入ってボランチに下がるという不思議な起用。パワープレーに出たのだから前に残ればいいのにと思う。

ウェズレイ 6.5 パワープレー要員として起用。かなりの確率で競り勝ちチャンスを演出。でも周りに味方が少ないので得点にはつながらなかった。

冨樫剛一監督 5.0 守備のズレを修正できず、あまり機能していなかった山形に失点してしまう。攻撃の形を作ることもできず、最後にパワープレーに挑んだのはよいが前線の数を増やさず是が非でも同点に、というものは見えなかった。

蹴球

サッカー女子リオ五輪アジア最終予選

サッカーの話題に尽きないところですが、今更ながらサッカー女子リオ五輪アジア最終予選について。

残念ながらアジア予選敗退に終わったなでしこジャパン。今回特別に何か悪かったというより、いつもどおり頑張ったけどたまたま勝てなかったという感じなので、また次も頑張ってほしいところです。その中で好き嫌いレベルで気になることをいくつか。

まず守備について、相手フォワードが前を向いてボールを持ったらペナルティエリア付近まで下がるなでしこ。ディフェンスラインを下げることで、ディフェンダー+キーパーで守ることができるというメリットがあります。アメリカやフランスなど強豪チームにはプレッシャーなく打てるロングシュートをゴールされてしまうという欠点はありましたが、アジアレベルではそれなりに通用するはずでした。しかし。
キーパーの反応が正直イマイチ。この守備はキーパーとの連携がなくては成り立ちません。また、相手チームもショートパスをうまいことつないだり、アーリークロスの精度を上げたりとレベルが向上。ゴールに近い位置で守るので、ちょっとした事故が失点につながってしまうため運も必要な守備は当たり外れが出てしまいます。

ビルドアップについて、キーパーも含めディフェンスラインからショートパスをつなぐことが多いなでしこ。大きく蹴ってしまうと前向きの相手の方が有利なのでショートパスを選択するのは一般的な判断です。しかし。
ディフェンスラインからまっすぐ下りてくるボランチへ展開。プレッシャーがあるとボールを下げることしかできない。相手を引き寄せて読まれやすく戻すのでボールはあっという間に相手プレッシャーの真っ只中。ゴールに近い位置で奪われたボールは簡単に相手の決定機を演出。
ロングボールを蹴ろうにも、下がるのが好きなフォワード陣。ディフェンスを引き連れて下がるので展開は狭く狭くならざるを得ない。下がって守るディフェンスラインから前線への距離が長いこともあって前線空いたスペースを有効に使うこともできない。
ショートパス、足元へのパスは悪いものではないが、動いた先、走った先の足元やワンクッション当てて繋ぐことができればプレッシャーも緩和できるはず。
また、ワンタッチ目のプレーが足元過ぎる。ノートラップの展開も少ない。足元に自信があるのかもしれないが、先を読んだプレーが以前に比べ少なくなった気がする。

選手起用について、結果的にゴールやシュートに結びついたプレーを大きく評価しすぎている気がする。データ化していくとどうしても結果が出たものを評価することになりやすいが、そこに至る過程、そこに至らなかった過程をもう少し評価すべきだと思う。

あと、見ているとギスギスしたものを感じる。インタビューなどを聞いている限り、意識が高いのと他人を批判することを混同しているような部分があるのではないか。以前に比べて笑顔が見られなくなった。ボールボーイ(ガール?)にはもう少し優しくしてあげてほしい。

世代交代については、いわゆる若手は出られない理由があるのでしょうがない。全体的にもう少しロングキックが蹴れるような部分があった方が良いと思う。キック力がないわけではないと思うが、試合の中で大きな展開ができると幅が広がるので監督も起用しやすいと思う。

これから中盤の人材が不足して前線も高さがないので苦しい時期が続くと思う。それでも世界を制したなでしこジャパンとして自信と誇りを持って前に進んでほしい。なでしこジャパンはすごいチームです。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成28年3月24日(木)2018FIFAワールドカップロシアアジア2次予選兼AFCアジアカップUAE2019予選 日本代表対アフガニスタン代表 埼玉スタジアム2002

2次予選首位突破を目指す日本代表はアフガニスタンをホームに迎えての1戦。前半こそ攻めあぐねていましたが、岡崎慎司選手の先制点で試合を折り返すと後半はゴールラッシュ。終わってみれば5-0とみごと完勝を収めました。

最近「早い攻撃」って言わなくなったよね。失敗だったのかな、誰か検証してください。

日本代表はフォーメーションに中盤ダイヤモンド型の4-2-2システムを採用。一方のアフガニスタン代表は4-4-2システム。フォワードの位置は低いもののシステム的にはそれほど守備的過ぎるわけでもありません。

日本代表の守備は、相手の2トップをセンターバック2枚+ボランチかサイドバックの1人で対応するという今時懐かしい形。これ、20年位前のシステムですよね。アジア対策なのかな。

日本代表の攻撃はサイド攻撃を見せつつ中も攻めるという理想の形。アフガニスタン代表はサイドから攻められると逆サイドの中盤(特に左サイド)がサイドバックのカバーをしようと外に開くので中央がスカスカ。日本代表は2トップ+トップ下にしたこともあってターゲットに困らない。岡崎選手がいつもの癖で下がってきてしまっても前にまだ2人いるので攻撃が停滞しない。外か速攻しかないいつもの4-2-3-1とは大違い。Jリーグも傾向が変わってきているし、日本代表もこれから大きく変化していくのかもしれない。

少し気になったのが、中盤左サイドがいつも張り出していたこと。柏木陽介選手も原口元気選手も同じように張り出していた。長友佑都選手の上がるスペースがない?後半は長友選手が中盤より前にいたのは反抗期かもしれない。右サイド酒井宏樹選手は普通にオーバーラップ機能していたんですけど、どういう戦略だったのかな。

ハーフナーマイク選手が入ったときは、ハーフナー選手、金崎夢生選手、吉田麻也選手、森重真人選手、酒井選手などでかいのだらけのゴール前。今までにない日本代表。機能してきたら面白い。

今まで使ってきた選手を起用しなかったりまた変わってきた日本代表。選手間の競争がよりよい日本代表を作り出してくれることを期待します。
東口順昭 6.0 お疲れ様でした。風邪引かないように。

長友佑都 5.5 ポジショニングがよく分からない。サイドバックじゃなかったのかな。センタリングの精度も低く、あまり機能していたとは言い切れない。

森重真人 6.5 攻守の切り替えが早く相手の攻撃を未然に防ぐ。正確なフィードで攻撃を組み立てた。

酒井宏樹 6.5 攻守に貢献。ストッパー2人+1人としてもしっかり機能。ボールを受けてから球出しまで少し時間がかかることがある。

吉田麻也 6.5 2回ほどマークを外す不安定さを見せたが、空中戦では相手を圧倒。時々えらくやる気がないように見えるのがストッパーらしくない。

柏木陽介 6.0 なぜか左サイドで出場。サイドバックを上げる作戦でないのならあまり適任ではなかったような。クラブと違ってボールが集まらないのでやりにくそう。

原口元気 6.5 ややミスが目立つもののすばやい切り替えで攻守に貢献。目立ちたがり屋ばかりのチームでバランスを取る。こんなに優等生タイプだったかな。クラブで活躍のわりに得点していないのはこの辺なんだと思う。

清武弘嗣 6.5 攻撃のリズムを作り出す。センタリングがなかなか合わなかったのでサイドに開くのはどうかと思ったが、試合の中できっちり修正して見せた。相変わらず人に気を使うタイプなので、王様との併用が機能するのか心配。

長谷部誠 7.5 3人で守る守備の最終ラインをしっかり形成。攻撃ではワンボランチとして確実なつなぎを見せる。安全なパスだけでなく厳しい楔のパスもしっかり成功させ相手守備陣を混乱に陥らせていた。流れの中で前線まで上がることがあるが、なんだか遠慮していたように見えたのがもったいなかった。

岡崎慎司 6.5 見事なボールコントロールで先制点を挙げる。ボールをもらいに下がってしまう悪癖が最近ついて心配だったが、2トップなのでそれほど問題にならなかった。クラブで得点に絡みだしたので少しよくなってきたんだと思う。それほど足元がある選手ではないので、特徴である前線でのプレーにこだわってほしい。

金崎夢生 6.5 常に裏を狙うくせに前線から後ろに引かないでパスコースを作り出すのがうまいという不思議な選手。体も張れるしこれからも見たい選手。シュートが決まらなかったのは気合が空回りしたのかな。

香川真司 5.5 槙野ヘアーを止めたようだが内紛か?前線で止まってしまうので攻撃が停滞しがち。技術は抜群なのだが、せっかくトップ下で起用されているのだからもう少し得点しやすいプレーを選択すべき。いくらうまいといっても一人で全部できるわけじゃない。

ハーフナーマイク 6.0 特長を生かしてプレー。交代直後吉田選手がヘディングで決めたのはハーフナー選手にマークがつられたのかと思ったが、両方フリーになっててあんまり関係なかったみたい。

小林悠 5.5 出てきてからコーナーばっかりだったり、ハーフナーハーフナー言われてたので不運だった。頑張って動いていたが、まっすぐ裏を狙うだけではなかなか機能しない。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 6.5 相手をしっかり研究してきた様子。ワールドカップ本戦が気になる部分はあるが、まずは予選。次もしっかり結果にこだわってほしい。

蹴球

平成28年1月30日(土)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権決勝 日本代表対韓国代表 カタール・ドーハ アブドゥラー・ビン・ハリファ・スタジアム

趣味の介護にかまけて本業がおろそかになってましたが、改めまして、オリンピックアジア予選決勝日本代表が韓国代表を破ってアジアチャンピオンを勝ち取りました。おめでとうございます。

試合は日本代表4-4-2に対し韓国代表4-3-3で始まりました。
システム上中盤中央で日本代表がボランチ2枚に対し韓国代表は中盤3枚。数的不利を突破される日本代表はセンターバックがつり出される場面多数。サイドハーフがプレスにあまり関与しない日本代表は最終ラインがばらばらになり、室屋成選手がカバーに回ることが返って最終ラインを一人で引き下げてしまい、中盤が縦にも横にも間延びして韓国代表に自由にプレーされてしまいます。

前半17分頃にようやく最終ラインが落ち着きだし、サイドハーフ(特に左)は相変わらずなものの縦にコンパクトな守備体系を立て直します。

ようやく盛り返せるかと思った前半20分、中島翔哉選手がボールを奪われると切り替えが遅くスペースを埋められない。大きいサイドチェンジの後、センタリングは大島僚太選手が競るもボールは韓国代表選手の前へ。植田直通選手が寄せてシュートは弱くなったものの後ろに残っていた岩波拓也選手に当たってコースが変わり、ボールは日本ゴールの中へ。今大会日本代表は初めてリードを許します。

後半に入り、日本代表はオナイウ阿道選手に代えて原川力選手を投入。システムを4-3-3に変更することで韓国代表の中盤に合わせたシステムで打開を図ります。

ところが、後半2分、中島選手がまたもパスミス。そして戻らない。空いたスペースを使われて後手後手に回った日本代表はゴール前までボールを運ばれて数的不利な中韓国代表に2点目を献上。日本代表は追い込まれ、腹をくくって戦わざるを得なくなったことで試合の流れが変わります。

後半14分、大島選手に代えて浅野拓磨選手を投入。

後半22分、中盤で久保裕也選手と矢島慎也選手が競ってこぼれたボールを矢島選手が確保。裏へのスルーパスに浅野選手がワンタッチで合わせ日本代表1点を返す。

後半23分、韓国3ハーフの弱点であるサイドのスペースで中島選手から山中亮輔選手へパス。フェイントで相手を外してあげたセンタリングに浅野選手の裏に走りこんだ矢島選手が頭で合わせて日本代表同点に追いつく。

後半36分、こぼれ球を拾った久保選手からのスルーパスはディフェンスにクリアされるも中島選手が拾って前線へフィード。浅野選手がトラップで体を入れ替えて抜け出しキーパーとの1対1を制して日本代表ついに逆転!

その後は久保選手や中島選手がディフェンスを頑張るようになり韓国代表はロングボール一辺倒の攻撃。植田選手が圧倒的な制空権で弾き返す日本代表は、足の止まりだした韓国代表を寄せ付けず、試合はそのまま終了。2失点からの3得点で見事な逆転勝利を収め日本代表がアジアの頂点に立ちました。

まあ、後半39分くらいまでの3点差なら何とかなりますけどね。

賭けに勝ったようなところがあるものの6戦全勝での見事な優勝。オリンピック本選でも存分に活躍を期待します。
櫛引政敏 6.0 時折みせるセーブはさすが。ただ、キーパーの仕事はシュートを防ぐこととシュートを打たせないことの二つある。一番グラウンドが見渡せるキーパーにはもう少し多くの仕事を期待したい。

岩波拓也 6.0 縦に入れるフィードでチームに貢献。空中戦でも強さを発揮した。システム上つり出されることが多かったが、中盤を閉じれば対応できたような気もする。

植田直通 6.5 圧倒的な制空権を見せ付ける。時折軽く入れ替わってしまうのが気にかかるが、若さゆえの過ちか。

山中亮輔 5.0 同点のセンタリングは見事だったが、その他の場面では効果的な攻撃は見せられなかった。得意のプレイスキックも不発。守備面でもたびたび突破を許し、中途半端なプレーが目立つ結果となった。

室屋成 6.0 センターバックのフォローから最前線の攻撃まで豊富な運動量で頑張った。下がりすぎてラインを崩してしまったのはしょうがないとはいえちょっと残念。2失点目の場面では岩波選手を引き止めるべきだった。

遠藤航 6.0 数的不利な中で守備に奔走。最終ラインのカバーまで頑張っていたと思う。自分の前両サイドが空いていたがボールをさばききれず攻撃面では貢献し切れなかった。

大島僚太 5.5 前線を良く見て効果的なパスを良いタイミングで繰り出していたが、守備面で抜かれることが多すぎる。インターセプトが成功することもあるが、失敗してディフェンスの足を引っ張ることが多かった。ボールを後ろに運ばれたときもっと早くプレスバックしたい。

中島翔哉 4.5 守備をしない上、攻撃でもあまりにもボールを失いすぎる。攻守の切り替えも遅く、2失点の基点を作ってしまった。得点を奪えない中島選手がこのポジションにいたことが苦戦の原因とも言えるが、得点は時の運のようなものでもあるので、勝ったことだしたまたま運が悪かったと諦めよう。

矢島慎也 6.5 攻守に貢献。やや守備に軽いプレーが見られるが、一度失敗した後は同じ失敗を繰り返さない賢さがある。2得点に絡んでチームに大きく貢献した。

久保裕也 6.0 ボールを収める技術はさすが。ただ、次のプレーにつながらないことが多い。ボールコントロールの目的をもう少しはっきりさせたい。

オナイウ阿道 5.5 今大会で大きく成長した選手の一人。自信を持ってプレーできた。残念ながらボールの収まりが悪いので貢献度はいまいちだが、この経験を次に生かしてほしい。

原川力 6.5 展開力もさることながら、豊富な運動量でも攻撃を牽引。守備でもスカスカの左サイドをフォローした後すばやくプレスバックするので遠藤選手もやりやすかったのではないか。中田英寿選手に見えることがある。

浅野拓磨 7.0 しっかりとキープができ、パスも出せる。唯一足りなかった得点も挙げた。守備も頑張りチームに貢献。これ以上望むのは難しい。

豊川雄太 5.0 交代で途中投入されるも試合に入り込めず。時間稼ぎ的プレーで献身的に頑張った。

手倉森誠監督 6.0 ちょっとゲームプランが見えなかった。チームが機能せず後手後手に回るも結果的には見事な逆転勝利。まさにラッキーボーイ的活躍を見せた監督だった。

蹴球

平成28年1月26日(火)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権準決勝 日本対イラク カタール・ドーハ アブドゥラー・ビン・ハリファ・スタジアム

勝てばリオデジャネイロオリンピック出場権を手にすることができる準決勝。日本代表は後半アディショナルタイムに勝ち越し点を奪い2-1でイラク代表を下し、見事決勝に進出するとともにオリンピック出場権を勝ち取りました。

ディフェンスラインでつながずセーフティに試合を進める日本代表とフォワードの頭めがけてハイボールをぶつけるイラク代表。勝負に徹した両チームの試合は中盤が間延びした展開となりました。

中盤に南野拓実選手と中島翔哉選手という攻撃的な選手を並べた日本代表は両サイドハーフが中に絞って攻撃を組み立て。イラク代表はあまり守備で貢献しない中島選手の後ろのスペースを基点にボールを動かします。序盤はあまりコンディションが良くなさそうなイラク代表に対し、あまり裏を狙われないために積極的に前に出られる日本代表ディフェンダーの良い出足で日本代表が優位に試合を進めます。イラク代表はディフェンスの出足も良くないので日本代表フォワードが簡単にフリーになりボールが納まる。さらに良い攻撃につながります。対するイラク代表はセットプレーで得点チャンスを作り出すも単発の攻撃に終わります。

前半26分、ボールの動きを読んだ遠藤航選手のインターセプトから中島選手が縦につなぐと鈴木武蔵が持ち前のスピードで一気に抜け出します。センタリングはゴール前に走りこんだ久保裕也選手へ。見事なカウンターで日本代表が1点先制です。

イラク代表は中島選手の裏を基点にするために、1トップから2トップに。山中亮輔がカバーしきれなくなり徐々にイラク代表のペースに。2トップになったことで遠藤選手が最終ラインに入ることも多くなり、中盤が下がってこない日本代表はクリアボールを拾うことができず連続攻撃を受けることになります。

押し込まれてイラク代表に与えてしまった43分のコーナーキック。鈴木選手がニアサイドでクリアミスしてしまいボールは日本ゴールへ。ゴールキーパー櫛引政敏選手が何とか弾くもイラク代表に押し込まれる。櫛引選手がもう一度弾くも、植田直通選手と奈良竜樹選手が二人ともその前の競り合いで倒れてしまっており、遠藤選手がカバーに入るも競り勝てず、イラク代表が同点に追いつきます。

後半に入り、徐々に足が止まり始める日本代表。中盤のプレスが機能せず、最終ラインは下がるようになり、こぼれ球を拾われ続け、イラク代表の連続攻撃が逆転ゴールをあげるのは時間の問題かと思われましたが、日本代表の最後の粘りとイラク代表の決定力のなさに救われて迎えた後半アディショナルタイム。

センターバック植田選手からのロングボールに途中出場の浅野拓磨選手が反応。こぼれ球を拾った南野選手からのセンタリングはオナイウ阿道選手には合わないものの、キーパーが弾いたボールに原川が落ち着いた1トラップから勝ち越しゴール。

そのまま試合は終了。2-1で勝利した日本代表は6大会連続のオリンピック出場を決めました。

疲れからか動きの鈍さも見られた日本代表。相手に助けられた部分もあるとはいえ着実に勝利を収めました。次は決勝です。重圧から開放されたチームが思い切った試合を戦うことで最高の結果を得られることを期待しています。
櫛引政敏 7.0 たびたびのビッグセーブで勝利に大きく貢献。失点シーンは良く反応していたともいえるが、試合を切るような弾き方ができたかもしれない。

植田直通 6.5 競り合いに強くカバーも堅実。時折とんでもないポカを何とか減らしていってほしい。

山中亮輔 6.0 よくカバーに走る。前線へのフィードでも貢献。ただ、全体的に判断が遅くチームを危機に陥らせることもある。

室屋成 6.0 競り合いに負けずよくカバーに走っていたが、下がりすぎてしまいオフサイドが取れず最終ラインを上げられない要因ともなってしまった。それでも強い責任感で体を張り続けたおかげで勝利を得ることができた。

奈良竜樹 7.0 鋭い出足と強い競り合いでイラク代表を封じた。ラインコントロールという部分は未完成。これからに期待。

遠藤航 7.5 時に最終ラインまで戻り競り合いに参加し、中盤では多くのインターセプトでチームに貢献。ミスパスもあったが裏を狙うことが多かったためピンチになることは少なかった。

原川力 7.0 中盤で確実につないでチームを安定させた。守備も頑張っていたが、中島選手のフォローはやや荷が重かったように感じる。遠藤選手が最終ラインに入ったときに一人でこぼれ球対応しなければならなくなったのは気の毒だった。決勝点はお見事です。

中島翔哉 6.0 ボールへの絡みは少ないもののシンプルなプレーで縦に速い日本代表の攻撃を演出。ただ、中盤で起用されているのに守備をあまりしないのでイラク代表の攻撃の基点とされてしまった。

鈴木武蔵 6.0 見事なスピードで先制点を演出。しかし、クリアミスから同点ゴールを許してしまった。チャンスが多かったのでどこかで得点してほしかった。

久保裕也 6.5 イラク代表のプレッシャーが少なかったこともありディフェンスの間でうまくボールを収める。ぎりぎりのところで決めた先制ゴールでチームに大きく貢献。後ろからのチャージでファールをもらったときにあっさり起き上がらず少し痛がったりして相手にカードを与えても良かった。

南野拓実 6.5 中に絞りディフェンスの間でボールを受けて多くのチャンスを演出。得点に絡めず残念。あまり守備をしなかったがイラク代表の攻め方からすると守備をする機会がなかったとも言える。

オナイウ阿道 6.0 自信がついたのか落ち着いたプレーでボールを収める。守備でも期待されての起用だったと思うが、勝ち越し点を上げるまであまり守備を頑張らなかった。

浅野拓磨 6.0 よくボールに絡み、無難にボールをつなぐ。もう少し思い切ったプレーをしても良かったかもしれない。

豊川雄太 - 終了間際に投入。勝利の瞬間をピッチで味わう。

手倉森誠監督 6.0 チームの課題を修正できなかった。最終ラインに対人に強いセンターバックを並べるのはある程度あたったが、加えてクリアボールを拾える戦術がほしいところ。短期決戦に必要な運を持った監督である。

蹴球

平成28年1月22日(金)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権準々決勝 日本対イラン カタール・ドーハ アブドゥッラー・ビン・ハリーファ・スタジアム

負けたら終わりのトーナメント。延長までもつれ込んだ試合でしたが、日本代表は3-0でイラン代表を一蹴。見事準決勝進出を決めてオリンピック出場に王手をかけました。

4-4-2で臨む日本代表に対して4-1-4-1のイラン代表。中盤中央は日本代表ボランチ2枚とイランインサイドハーフ2枚が基本的にマッチアップする形だが、アウトサイドハーフが下がってきたときフリーになってしまう。通常はサイドバックが上がるところかと思うがスペースを与えたくない日本代表はサイドバックは最終ラインに残す。ところがサイドハーフが下がってこない(特に左サイド)。その結果中盤はイランが制することに。ただ、岩波拓也選手、植田直通選手が中央で競り勝つのでそれほどピンチには陥らない。
中盤を生かせない日本の攻撃陣はオナイウ阿道選手の頭を狙って攻める。ところが日本代表ボランチの二人はボールをつなぐのはうまいものの大きな展開ができないので日本代表の攻撃はサイドチェンジのスピードが遅くなり余計に攻撃が停滞してしまう。しかも、ロングボール自体が少ない上、足元があまり得意でないオナイウ選手が徐々に下がりだし、もっとボールが繋げなくなって逆にカウンターのピンチに。久保裕也選手はそこそこボールがつなげるからかオナイウ選手を前線に残して久保選手が下がるようになるが、イラン代表は中央の守りの数を増やそうとしないのでオナイウ選手と久保選手が前線に張って2対2を作り出した方が良かったと思う。左サイド中島翔哉選手は全く機能しないのであれだが、矢島慎也選手が攻守に貢献。室屋成選手もおたおたしながらも豊富な運動量で右サイドの活性化に大きく寄与する。
岩波選手からのロングボールがなかったら日本代表は前半もっとリズムが悪かったに違いない。
後半に入っても、プレイスキックでしかチャンスを作れない両チーム。日本代表は2トップが前線に張るようになるもパスの出し手がいない。後半37分浅野拓磨選手を投入してもパスの出し手がいない。浅野選手の個人技でチャンスを作り出すものの得点にはいたらず延長戦に突入。
足が止まり始めるイラン代表。中央からごちゃごちゃし始める。中央に選手が集まるので外はサイドハーフにカバーしてほしい日本代表だが、特に左サイドはカバーがないので選手が引っ張られてたびたびピンチに陥る。ゴールキーパー櫛引政敏選手の体を張ったプレーやクロスバーに守られ切り抜けた日本代表は待望のときを迎える。
延長前半6分、左サイドから丁寧につないだボールは右サイド室屋成選手へ。切り替えして左足であげたボールはその前に走り出して右サイドにスペースを作っていたゴール前フリーの豊川雄太選手にどんぴしゃ。頭で合わせて日本代表が先制点を挙げる。
その後イラン代表中央突破からのピンチを何とかしのぎ延長戦も後半に入る。
延長後半4分、オフサイドを取った日本代表はゴールキーパー櫛引選手からのロングボールにオナイウ選手が競り、こぼれ玉を拾った浅野選手から戻したボールに中島選手が遠目の位置から思い切ったシュートで2点目。
さらに延長後半6分、イラン代表キーパーのクリアキックを遠藤航選手が拾ってボールは再び左サイド中島選手へ。ドリブルで切り込んだ中島選手のシュートは再度ゴールに突き刺さり日本代表は3点目を挙げる。
その後はお互いチャンスを作り出すもののゴールにはいたらずそのまま試合終了。得点を重ねた日本代表は結果的に圧倒することになりました。
守備から考えたと思われる選手起用の中で唯一攻撃のための布陣であった中島選手。試合の中でほとんどの時間機能していませんでしたが、2得点という最高の形で監督の期待に応えました。他の選手を起用していたらもっとピンチが少なくチャンスが多かったかもしれませんが3点取れなかったかもしれません。このまま結果にこだわってオリンピックの出場権、そしてアジアチャンピオンの座をつかんでほしいと思います。

櫛引政敏 7.0 思い切った飛び出しで失点を防ぐ。一つだけ明確なミスがあったが体を張って守り抜く。自陣深くからのフリーキックではチャンスを作り出していた。

岩波拓也 7.5 競り合いで勝ちきり攻守に貢献。チームで唯一ロングボールでサイドチェンジができた。岩波選手がいなかったら日本代表はもっとリズムが悪くなっていたに違いない。

植田直通 7.0 一つだけ入れ替わってしまったが、持ち前の強さを発揮。空中戦では絶対の強さを誇る。苦手のカバーも意識して頑張っていたようだ。

室屋成 6.5 ミスは多かったが豊富な運動量でチームに貢献。調度疲れていたのでボールと立ち足に間が空き先制アシストとなった良いセンタリングができた。積極性のなせる業。最後まで体を張ってよく頑張った。

亀川諒史 5.5 コーナーからカウンターを受けたときの守備など怖くて怖くて仕方ない。攻守に良く頑張り中央の守備にも貢献していたことは無失点のポイントとなった。

遠藤航 7.0 中盤での守りは完璧でボールつなぎも良かった。ゴール前に飛び出すことはなかったがそこまで望むとバチがあたる。

原川力 6.5 ボールを取られないので安心できる。確実につなげるのでチームメイトも動きやすいのではないか。もう少し大きいボールも期待したい。

中島翔哉 5.5 2得点挙げたのは本当にすごいのだが、その他があまりにも悪すぎるという評価泣かせの活躍。中盤で起用されている以上得点だけでなく守備や攻撃の組み立てにもある程度期待されていたはずだが、ボールを持ったらドリブルして取られる、守備で戻らず穴を作る、という最悪のプレーだった。勝ったから良いが負けていたら戦犯になっていてもおかしくない。でも2得点はすごい。

矢島慎也 6.5 良くボールに絡みゴール前まで進出したかと思えば守備でもチームに貢献。次の試合でも同じように活躍してほしい。

久保裕也 6.5 よくボールが収まる。イランの守備体系を考えず前半ボールをもらいに下がってしまったのはいただけない。楽なプレーでボールをつないで得点できるような工夫ができれば結果が伴うと思う。

オナイウ阿道 6.0 体力を生かして守備まで良く頑張った。ただ、あまりにも足元が悪すぎてほとんどボールが味方につながらない。下がってしまうと簡単にボールを奪われてカウンターのリスクが高まる。空中戦とスピードは一級品なのだが…

浅野拓磨 6.5 個人技で突破できるので頼もしい。出し手がいないチームにあって特徴を活かしきれないがそれでもチームに貢献してくれる。シュートにあまり積極的でないのは昔から。チャンピオンシップで解消されたかと思ったがそうでもなかった。延長後半9分に右サイドを抜けてセンタリングがミスになったように見えたのは、オナイウ選手が止まっちゃったからだからシュートは打たなかったけど悪い判断ではなかったと思う。

豊川雄太 6.5 貴重な先制点を挙げる。攻撃の選手なのだと思うが、途中で入ったのに守備をサボって前線に残るのはいただけない。オナイウ選手が下がったからかもしれないが、途中出場というスタミナ面のメリットをチームに生かしてほしかった。

大島僚太 5.0 クローザーとして入ったのだろうが、守備に入るタイミングが遅くピンチを招く。オナイウ選手の判断の悪いパスは不運だったが、大島選手の技術ならなんとかできるはず。その後クロスバーに守られたが本来大島選手がその前に左サイドから中央にボールが出た段階でつぶさなければならなかった。3点差あったので警告もらうよりは良いが…

手倉森誠監督 6.5 采配が良いとは思えないが勝っているのだから悪くないのだろう。恐らく高さを考えてオナイウ選手を残すなど弱気とも取れる采配だが結果から見れば現実的といえる。中島選手に拘るのはチームとしての慣れかと思うが、今日の試合は賭けに勝った感じ。どちらかというと中盤の組み立てを捨ててトップの頭を狙う戦略だと思うが、勝てた要因は相手のシュートがたまたま入らなかったのと体力的に相手の足が止まったことが大きい。勝っているからというのもあるが、俺たちのサッカーに拘らせない選手掌握術が監督としては大きい。後の課題はプレイスキックか。次も結果に拘ってほしい。

蹴球

平成28年1月19日(火)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権1次リーグB組 日本対サウジアラビア カタール・ドーハ スハイム・ビン・ハマド・スタジアム

オリンピックアジア最終予選1次リーグ最終戦、日本代表は2-1でサウジアラビア代表を下し、予選3戦全勝で決勝トーナメントに進むことになりました。

今までの4-4-2ではなく4-3-3のフォーメーションで臨んだ日本代表。しかし、攻撃的な選手を多く配したシステムはあまり機能しない。個人プレーに走る選手が多く中盤でも戸惑いがあるのか中途半端で不安定な立ち上がり。ワントップのオナイウ阿道選手を使わないというルールでもあるのか、ボールが出てこないし動き出しもない。
ただ、前試合と違うのは、山中亮輔選手。プレイスキックでチャンスを作る。前半16分、26分と立て続けにコーナーキックからチャンスを作るがシュートミスやキーパーのセーブにあって得点できない。
中盤での構成ができない日本代表。パスの出しどころがなくなった大島僚太選手が遠目の位置から思い切ってシュートを打つと左上隅に見事なゴール!前半31分、思わぬ形で日本代表は先制点をあげる。
その後も組み立てができない日本代表に対し、サウジアラビア代表は日本代表のプレスが少ないこともあって波状攻撃を仕掛ける。余裕のある状態から繰り出されるスルーパスは日本代表の右サイドバック松原健選手の裏をたびたび進入。スピードでかなわないとしてもセンターバックとの連携など手はあるし、そもそもパスの出し手がフリーなのはどうなのかと。松原選手は前半28分という早い時間に警告を受けてしまったので、どうしても体を入れづらくなり、余計サウジアラビア代表の攻撃に拍車がかかる。
失点するのも時間の問題かと思っていたら、早くもサウジアラビア代表の運動量が落ち始める。気合が空回り?三竿建斗選手や井手口陽介選手、松原選手などが出足良く相手を挟むことができるようになり高い位置でのボール奪取に成功し始める日本代表。
後半に入り、前半外に張っていた南野拓実選手が中に入るようになり、中盤の守備がスカスカになるサウジアラビア代表。簡単に最前線までボールを運べるようになった日本代表は、南野選手が右サイド個人技で突破すると丁寧なラストパスに井手口選手がコントロール良くシュート!後半8分、日本代表は追加点をあげる。
得点できるとはすばらしいこと。点を取れなければ勝つことはできません。サウジアラビア代表はバテてきているしこのまま勝利かな、と思っていたら、その前のプレーですばらしいカバーリングからゴール前でクリアを見せた植田直通選手がコーナーキックからのごちゃごちゃにトラップが流れ、クリアしようとしたら相手の足を蹴ってしまいPK献上。どちらかというと植田選手の方がボールを保持していたといえる位置取りだったので残念な結果。後半12分サウジアラビア代表にPKを決められてしまい1点を返される。
それでも、中盤の足が止まっているサウジアラビア代表に対し南野選手が自由に動いてチャンスを作る。後半20分、浅野拓磨選手が登場。システムを4-4-2に戻す。三竿建斗は守備は良かったのですが、パスが小さすぎて残念。緊張していたのかな。4-3-3やるなら遠藤航選手をアンカーに井手口選手と原川力選手という起用がはまる気がします。途中出場の浅野選手は守備も頑張るし視野広くパスが出せるので足の速さも含めてバテた相手に最も脅威を与えられる選手でしょう。守備面でも貢献していた井手口選手のボランチが試せたのも良かった。
ここでようやく大島選手が本領発揮。広大なスペースを変幻自在なパスで試合を支配し始める。やっぱり攻撃センスのある選手。今後は相手のプレッシャーがある状態でどれだけ自分の特徴を出せるかがポイントになるでしょう。
最後は久保裕也選手が出てきて相変わらずすばらしいワンタッチ目を披露するもなぜか次につながらない特徴を存分に発揮して試合終了。見事3連勝で1次予選を突破しました。
いつもベスト8で負けてしまうこのチームなので気合を入れて臨んでほしいですが、十分にオリンピックに出場できる力を兼ね備えていると思います。最後までしっかり戦いきってほしいです。
それから、カメラワークがよくないです。選手や審判の表情を映したいのは分かりますが、ちょっと試合の流れが見づらいです。リプレイ中に試合が動いてしまったり。どういう放送体系なのか分かりませんが、こちらも改善してほしいところです。

杉本大地 6.0 あまり目立たなかった。いいこと。連携にも問題はなさそう。キックミスはやめてね。

松原健 5.0 裏を取られすぎ。ポジショニングやセンターバックとの連携でしっかり対応してほしい。早い時間に警告をもらったことで自分で自分を追い込んでしまった部分がある。

植田直通 5.5 カバーも頑張っていたが、右サイド突破されたときの対応がイマイチ。競り合いも抜群に強いが審判の癖にも対応したい。コーナーからチャンスがあったので点が取れればよかった。

山中亮輔 6.0 プレイスキックでチャンスを演出。やはりチームに一人置いておきたい。最終ラインでのミスは改善が必要。

奈良竜樹 6.0 競り合いでもしっかり味方に繋げる意図を感じる。最後の最後まで体を張り切ってほしい。前半8分という早すぎる時間に警告もらうのは勘弁。

大島僚太 6.5 相手のプレッシャーがなくなったら独壇場。守備が軽すぎるので、攻撃面でもっと力を発揮しないと起用しづらいかも。

中島翔哉 5.0 ボールを持ちすぎ。もっと簡単にプレーすべきところがある。

三竿建斗 5.5 守備面では活躍を見せたが、パス出しが悪すぎる。もっと思い切ってプレーしてみてはどうか。

井手口陽介 6.5 守備への切り替えも早く、ロングボールも出せる。得点も冷静で才能を感じる。

南野拓実 6.5 シュートを打たないのはどうかと思うが、よくボールに絡んでチャンスを演出していた。前半外に張っていたのは監督の指示か。4-3-3は南野選手の守備負担軽減なのかと思ったがそうはならなかった。

オナイウ阿道 5.0 身体能力はさすがだが、動き出しが悪すぎる。プレーの諦めも早すぎる。優しすぎるのかな?

浅野拓磨 6.5 広島のときと同じような起用のされ方。守備も頑張るしロングパスも出せる貴重な存在。後は得点だ。

亀川諒史 5.5 故障明けの松原選手に代わって登場。相手がバテていたので途中出場の選手として運動量を増やしてもっと効果的に前のスペースを使いたかった。

久保裕也 6.0 短い時間でも存在感を発揮。トラップまでは相手の裏をつける最高の輝きを見せる。久保選手と南野選手のツートップを一度見てみたい気もする。

手倉森誠監督 6.5 攻撃的な選手ばかりの4-3-3はあまり意図が感じられなかったが相手の状況に合わせてシステム変更できたのは良かった。なんだかんだで3戦全勝しながらもすべての選手をチェックできたのは完璧な結果といっていい。次もしっかり戦ってほしい。やはり監督が一番のラッキーボーイ。