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蹴球

平成28年1月16日(土)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権1次リーグB組 日本対タイ カタール・ドーハ グランド・ハマド・スタジアム

オリンピック最終予選1次リーグ2試合目は確実に得点を重ねた日本代表が4-0とタイ代表を圧倒して早くもグループリーグ突破を決めました。

タイ代表はボールコントロール技術もポジショニング技術もやや劣るチームで、守備のブロックもどこに敷きたいのか中途半端で荒さが目立つチーム。日本代表は前線からのプレッシングが効果的でチャンスを多く作り出す。
前半27分、鈴木武蔵選手が体の強さを生かして先制。リプレイ中の出来事でよく分からず。タイ代表キーパーのキックに奈良竜樹選手が競り勝って矢島慎也選手、遠藤航選手と渡って鈴木武蔵選手が決めた様子。
その後日本代表は安定していない左サイドをタイ代表に攻め込まれるも、シュートミスなどに助けられ無失点。後半に入る。
相変わらず安定しない左サイド。浅野拓磨選手がなかなか上がれなくなる。交代で入ったオナイウ阿道選手はよくボールに絡むが軽いプレーが多く余計浅野選手にボールが渡らなくなる。リズムが悪くなるなあと思ったところ、後半4分、右サイドオナイウ選手の飛び出しからセンタリングはあわないものの原川力選手がこぼれ玉を拾って左サイドからセンタリング。矢島選手が頭で合わせて日本代表2点目。
日本代表はミスパスが多いが2点差がついて楽な試合展開。
後半30分、岩波拓也選手が見事な出足でインターセプトしてそのまま久保裕也選手へスルーパス。キーパーに当たるも3点目。
後半37分、奈良選手が競り勝って遠藤選手からオナイウ選手、ワンタッチで久保選手へとつながりPKゲット。久保選手が決めて日本代表4点目。
試合はそのまま4-0で終了し、日本代表は決勝トーナメント進出を決める。前線が体の強さで突破しているので今後どうなるか不安だが、今日のタイ代表相手にはよい戦術だったと思う。お疲れ様でした。

櫛引政敏 6.0 ビックセーブもあったが判断ミスもあり。フィードはもう少し丁寧にお願いしたい。

岩波拓也 6.5 不安定な左サイドも最後でうまくまとめる最終ライン。競り合いにも強くカバーリングも正確。

室屋成 6.0 積極的なオーバーラップが時間とともに減っていくのは第1戦と同様。後半は最終ラインで一人残ってしまうこともあり、体力に課題があるのではないか。サイドバックなのに…

奈良竜樹 6.5 やや強引なプレーもあるが、対人で圧倒。ただクリアするだけでなく味方に繋ぐことができる頼もしい存在。

亀川諒史 5.0 ボールコントロールミスが多く守備でもマークを外してしまう。判断が悪く相手にPKを献上。自信をなくしたのかパスの方向も悪い。プレイスキックを考えても今後起用しづらくなってくる。

遠藤航 6.0 守備での存在感はさすがだが、ややバテたか。ちょっと休ませてあげたい。

原川力 6.5 ミスが少なく得点にも絡む。守備のとき相手を挟み込んだりパスコースを防ぐのがうまい。展開力があまりないが今日の試合では問題なし。

矢島慎也 7.0 室谷選手とのコンビネーションもよく、組み立てから得点まであらゆるところで存在感を発揮。技術の高さを見せ付けた。

鈴木武蔵 6.5 体が強いのであまり難しいことを考えなくても活躍できる。動き出しがいいわけではないので決勝トーナメントでも活躍できるかどうかは不明。

豊川雄太 5.5 積極的に攻撃に絡むがミスが多い。守備でも足を引っ張っていた。慣れていないポジションなのかもしれない。

浅野拓磨 6.0 スピード抜群で技術も高く視野も広い。守備も頑張る。性格的にやさしいので目立たなくなる時間帯があるが、決してポジショニングが悪いわけではない。チームとして機能しているとは言い難いがこういう選手はちゃんと評価が必要。

オナイウ阿道 5.5 体は強いが軽いプレーが目立つ。よくボールに絡むが結果的に味方につながらないことが多くリズムを崩す。なんかもったいないと思わせるプレーが多い。

久保裕也 6.5 短い出場時間で2得点。ワンタッチ目が本当に上手。もっと楽にボールをもらえるようになればもっと活躍できると思う。

南野拓実 5.5 守備の負担を減らしてあげたい。普段クラブチームではどのポジションを担っているのだろうか。

手倉森誠監督 6.5 大量得点で決勝トーナメント進出を決める。選手を入れ替えながら結果を出せたのは見事。最後まで左サイドが修正できなかったのは課題だが、失点しない運を持っている。短期決戦ではラッキーボーイ的な存在が必要といわれるが、手倉森監督自身がラッキーボーイなのかもしれない。

蹴球

平成28年1月13日(水)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権1次リーグB組 日本対北朝鮮 カタール・ドーハ グランド・ハマド・スタジアム

オリンピック出場に向けた大事な大事な最終予選初戦。苦手にしていた北朝鮮代表に対し前半5分の先制点を守り抜き、日本代表は見事に勝利を物にしました。

試合開始直後から積極的なプレーを見せる日本。最終ラインから裏を狙うパスを多用。右サイドバックに起用された室屋成選手も積極的に縦に仕掛け、情報がないのか北朝鮮が対応できない場面が連続する。
そんな中右サイド室屋選手の仕掛けから得た前半5分右サイドからのコーナーキック。
山中亮輔選手からのボールは北朝鮮代表の緩慢なマークでファーサイドフリーになった植田直通選手がボレーシュートをゴールに叩き込んで日本代表先制。
その後もロングボールを多用する日本代表。残念ながら鈴木武蔵選手が裏を狙う動きが少なくボールがなかなかつながらないが、日本代表ディフェンスラインやボランチのインターセプトからのショートカウンターが効果的で、久保裕也選手もトラップまではすばらしい輝きを見せ、日本代表はたびたびチャンスを作り出す。
北朝鮮代表は中盤で技術を見せボールをうまくつなぐ。良く分からないタイミングでのサイドチェンジがなぜかつながり数的優位な状況での攻撃が多い。日本代表は両サイドハーフに攻撃的な選手を起用したためサイドバックの外側のフォローが遅く、サイド攻撃に対応できない状態が続く。しかし、北朝鮮代表が両サイドバックの裏を狙ってこなかったため大事に至ることなし。植田選手は対人には強いがカバーリングにやや難があり、岩波拓也選手を狙われるたときたびたびピンチに。植田選手のポジショニングの修正とともに右サイドバックのカバーリングが今後重要になる。
後半に入り、短いボールをつなぎだす日本代表。両サイドハーフが中に絞るようになるが、いかんせんフォワード的な選手を起用しているせいか組み立てにあまり参加せず、ボールロストが増える結果に。北朝鮮が3トップ気味に攻めてくるが、両サイドバックが積極的に前に出る日本代表は最終ラインが3対3になり単純な放り込みも脅威が増える。ボランチのどちらかが最終ラインに入るなど思い切ったポジショニングをすればよかったが、最終ラインにも入らない、前のスペースも埋めないという中途半端なディフェンスとなり、北朝鮮代表にチャンスが続くがシュートミスで難を逃れる。
後半30分過ぎから北朝鮮代表の足が止まり始め、日本代表は左サイドの中島翔哉選手のドリブルで攻撃を組み立てるようになる。というか、ドリブルだけが攻撃手段。この試合では中島選手のドリブルが(この時間において)効果的だったのでよかったが、次の試合からはそれ以外の攻撃をどう機能させるかが重要になってくるだろう。
そういうわけで、終盤は機能しているドリブルを活用して危なげなく終わらせたいところだったが、途中交替の選手があまり試合に入り込めず、鈍い出足で北朝鮮代表にフリーキックを献上。体力が切れて攻撃手段のない相手に対して連続して(特に交代選手が)フリーキックを与えてしまったことは今後の修正ポイントになる。
結果的には、勝利できたわけなので最高の初戦だったといえる。短期決戦なので勢いをつけて次につなげてほしい。

櫛引政敏 6.5 安定したプレーを見せる。一度フリーキックをかぶったのは怖かった。キック力があるのでチャンスも演出できる。

岩波拓也 6.5 対人でも良い読みを見せ、カバーリングも適切。ディフェンスリーダーとして自分が競るときも周りを指示できるとなお良い。

植田直通 6.5 冷静な先制点。対人ではほぼ無双状態。ボールが自分のところに来ないとボールウォッチャーになる性質がある。

山中亮輔 6.5 プレイスキッカーとしての才能を見せ付ける。ゴール前のフリーキックは決めてほしかった。高いポジショニングで北朝鮮代表にプレッシャーをかける。パスの意識がやや低いため、チャンスをつぶすことがある。

室屋成 6.0 すばやい出足でインターセプトを決める。縦への仕掛けは効果的だったが、読まれてからは何もすることができなくなった。もっと思い切ったプレーをしていいと思う。

遠藤航 6.5 ディフェンスラインと連携してうまく相手フォワードを挟み込んでボールを奪っていた。展開が狭く組み立てがうまくいかないことがあるが、もともとそこが特徴の選手ではないのでそこまで望むのは酷だろう。

大島僚太 6.0 ディフェンスでの貢献が目立つ。しかし、遠藤選手とのダブルボランチでは大島選手の展開力が生かされないとチームが追い込まれることになる。責任重大だが、できる選手だと思うので期待したい。ミスしたときにすぐ取り返しに行くところは子供たちにもお手本になるが、イエローカードはもったいなかった。

中島翔哉 6.0 ポジション的に慣れていないのか始めのうちあまり目立たなかった。ディフェンスに入るタイミングが遅いので中盤の守備においては貢献できなかった。終盤になって北朝鮮代表の足が止まってきてからは独壇場。もう一つ前のポジションで思い切って勝負してほしい。

南野拓実 6.0 守備をしようという気概は見えるがいかんせん不慣れな様子。攻撃時のスムーズなボールコントロールは見る者を魅せる。できればフォワードで見たかった。

鈴木武蔵 5.5 いっせーのせでスタートしても先に出られるスピードは驚異的。予測が加われば誰も止められなくなると思うがどうにも読みが苦手な様子。求められているものは恐らく裏を狙う動き。フォワードは候補が多いので早く自分の特長を生かすプレーを見せてほしい。

久保裕也 6.0 トラップなどファーストタッチまでは最高。なんで次のプレーにつながらないのか不思議なくらい。もうワンタッチ制限でプレーした方がいいかもしれない。

矢島慎也 5.0 恐らく試合の組み立てを期待しての起用だったと思うが前線を意識しすぎるポジショニング。ロングボールを蹴られないチーム状態を助けてほしかった。後半37分のラストパスが通っていたら違った評価になったかもしれない。

原川力 6.0 守備でも攻撃でも存在感を見せる。遠藤選手を最終ラインに下げて原川選手をボランチで起用してもいいかもしれない。

豊川雄太 5.0 試合に入り込めなかった。短い時間で難しかったところはあるが、こういうところで結果が出せるかどうかは選手として大事なポイント。

手倉森誠監督 6.0 攻撃的布陣で勝利を収めたのは評価するしかない。北朝鮮代表がサイドをあまりついてこなかった理由は分からないが、それをわかってこの布陣だとしたら恐ろしい手腕。フォーメーションにこだわりすぎているのか最終ラインの修正ができなかった。相手フォワードに柔軟に対応したい。途中交替の選手が試合に入り込めなかったことは次の反省としてほしい。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年11月17日(火)2018FIFAワールドカップロシアアジア2次予選兼AFCアジアカップUAE2019予選 日本代表対カンボジア代表 カンボジア・オリンピックスタジアム

今年最後の代表戦は日本代表が2-0とカンボジア代表を一蹴。最終予選に向けて確実に勝点を積み上げました。

大幅に選手を入れ替えて臨んだ一戦。若手に期待が集まるが、人工芝グラウンドを気にし過ぎているのか、ボールタッチが一つ多く球離れが悪い。選手間の距離も悪く中盤の運動量も少なめでパスが組み立てられない。センターバックが押し上げるのがお約束になっているのかボランチの存在を無視して動くためポジショニングの悪いボランチがさらに居心地が悪くなり、ミスパスにカウンターを食らう日本代表。スピードで翻弄されていたからその気になればカンボジア代表が得点を挙げていてもおかしくなかったが、暑さのせいか経験の少なさか日本代表の弱点を突くこともなく前半終了。

後半に入り柏木選手を投入。ようやくリズムが生まれた日本代表はゴール前でのプレーが増える。いきなりPKを獲得(岡崎失敗)したかと思えば、プレイスキックも蹴れる柏木選手はフリーキックからオウンゴールを誘い日本代表漸く先制。その後も5バックなのにサイドが開いたり中央が開いたりする中途半端なカンボジア代表の裏を狙い続けた日本代表は前が詰まっていてあまり出番のなかった藤春選手が試合終了間際初めてスピードを生かしてサイドの裏を突き本田選手のヘディングで追加点。先発メンバーを変え過ぎたハリルホジッチ監督だったが無失点で勝点3をゲット。これでメンバーがある程度固まってくるのかな?次戦(メンバー選考)に注目です。

長友選手について
今日は高い位置でプレーできた。センターバックとの相性だと思うが、左より右の方がポジションは取りやすいのだろう。センターバックが釣り出されてばかりなので中央で相手フォワードと競るのは気の毒だしチームとしてどう考えているのか全く修正される気配がない。

槙野選手について
ディフェンダーとして相手フォワードに翻弄されてしまった。攻撃時もミスが多い。ボランチがいるのだからボランチに仕事をさせるべき。役割分担が大切。

藤春選手について
前が詰まっていて自慢のスピードを生かせず。守備の時センターバックが前に出ることがチームとして約束になっているのかもしれないが、それより自分で行った方がよさそうな時もあってディフェンスの選手としての起用は怖い面がある。

吉田選手について
体は強いがスピードに欠けることが露呈。軽いミスも多くコンディションの不良を心配させる。シンガポール戦を一瞬思い出したかもしれないがそうはいかなかった。

遠藤選手、山口選手について
ボールタッチが余計でチームにリズムをもたらせず。守備面でもミスを連発。攻守の切り替えが遅い場面が目立つ。センターバックが張り切っていたのは不運かもしれないが、ボランチが二人ともタラタラ歩いていたら攻撃が組み立てられなくて当然。ボールをもらいに行き過ぎてポジショニングを悪くすることも目立った。展開しやすいボールの受け方を工夫してもらいたい。正直言って今日の守備は遅かったです。

香川選手について
うまさは随所に見せるがスペースがないので生かし切れない。特に岡崎選手は最近スペースに走り込まずまっすぐ降りてくるだけなので、香川選手の場合その裏を直線的に使わない限りスペースが作れない。金崎選手をトップに据えて岡崎選手を使うなら左サイドなどの方が香川選手は生きると思う。

原口選手について
よくボールに絡んだがミスが多すぎた。人工芝グラウンドの影響だろうか。決定機を作り出すことができるようになれば代表にも定着できると思うのだが、ラストパスが雑。

岡崎選手について
以前はディフェンスラインの裏によく走り込む選手だったが、いつの間にかただ下がって足元でボールをもらう選手に変身。レスターでは裏を足の速い選手が走るし相手も引いて守ったりしないのでそれでいいのかもしれないが、日本代表でアジア2次予選では機能しないどころか中盤に渋滞を呼び起こす悪い影響。技術がついて変な選手になった。1列下げた方がいいかもしれない。

宇佐美選手について
とにかく守備がひどい。サイドのポジションは守備面でサイドバックの外側だったりボランチの脇だったり守備での仕事も多い。宇佐美選手を起用することで日本代表に穴ができる。攻撃では抜群の技術を持つ選手で視野も広いので、もったいないが現代サッカーでは使う場所がない。ワントップ?

柏木選手について
前の試合でようやく代表で初めてくらいに力を発揮したのに今日の試合ではもう主力としてサブメンバーチームの立て直しに起用されるほどの信頼を勝ち得たスーパースター。柴崎選手が失敗した役割をしっかり果たし天と地と人がかみ合っている印象。

本田選手について
監督の指示なのだと思うが、人数いるだけでポジショニングもカバーリングもまだまだなカンボジア代表を中央から攻め込みサイド攻撃も引き出した。積極的なプレースタイルは得点に直結。本当はこれ岡崎選手の役割だよな。この交代によって本職の金崎選手や武藤選手は胸中複雑になっただろう。南野選手をトップにしないのだったら本田選手にさせない方がよかったと思う。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年11月12日(木)2018FIFAワールドカップロシアアジア2次予選兼AFCアジアカップUAE2019予選 日本代表対シンガポール代表 シンガポール・ナショナルスタジアム

日本代表勝利!3-0とシンガポール代表を破る。

早いパス交換からリズムのいい攻撃を繰り出していた日本代表。金崎選手がディフェンスラインを押し込むことによりできた4バックの両サイド裏のスペースを早いタイミングで使うことができたのは良かったです。得点は3点だけでしたが、10点近く取れていてもおかしくないチャンスを作り出していたのであんまり気にすることはないと思います。決定力とかいうよりも質の高いチャンスをたくさん作ることで数打ちゃ当たるものですから。ただ、試合が始まってなかなか点が取れなかったり相手に先に点を許したりするとどうしても焦りというか疑いのようなものが出てきます。これから先最終予選などでは今よりも得点が少なくなるでしょうから、どれだけ間違いのない戦術の中でどれだけ自分たちを信じて全うできるかが大切になってきます。
ただ、守備は修正が必要。中央で相手と対するのが森重選手はともかく背の低い長友選手では失点は免れない。ゴール前をどう守っていくのか組織力が問われる。

金崎選手について
金崎選手は岡崎選手と違って前でディフェンスラインを押し込めるので攻撃の幅が広がります。あれだけ押し込めれば両サイドの裏が使えるので相乗効果。前半30分過ぎくらいから圧倒的な攻撃の時間が合ったけど、そのときあまり目立たなかった金崎選手がディフェンスラインを押し込めたのが大きい。引いてスペースを作る岡崎選手と押し込んでスペースを作る金崎選手。ディフェンスが強くなってきたとき金崎選手が機能するかは未知数ですが、現在の日本代表の中盤の構成を考えると岡崎選手より金崎選手の方が日本代表は攻めやすいのではないか。もちろん金崎選手に岡崎選手を絡ませるのは効果的だと思います。
なお、2点目のとき長谷部選手からの縦パスをうまくさばいて一発で前を向いてパスを出したのは良かったけど、パス出しの後立ち止まってたのはいただけなかったな。

宇佐美選手について
相手の運動量が減っているときに宇佐美選手を投入するのは効果的なのですが、前線や中盤の運動量が減ってきているときに宇佐美選手を投入してもあまり改善されないでしょう。技術の高い選手ですが欠点もある選手なので監督にはもう少し使い方を配慮してもらいたい。(宇佐美選手も頑張れ)

香川選手について
ワンタッチプレーは別格。グラウンドが荒れてきていたからかミスも多かったが意図のあるプレーをあの判断スピードで実現していくんだから大したもんだ。周りの理解が進めばもっと活躍できるだろう。

原口選手について
運動量もあり積極的でいいプレーを見せる。中央で香川選手とのコンビは小気味良い。本田選手もうかうかしていられないのでは。

柏木選手について
とにかくうまい。運動量もある。後半日本の足が止まってきたときには長谷部選手とともに積極的に前線へ走りこむ。青山選手とともにJの誇る今お勧めのボランチ。足滑らせても正確なプレイスキックは日本代表の大きな武器になる。ただ、日本のディフェンスラインを考えると今後どうなるのかは不安。

吉田選手について
ミスが多い。積極的に前に出るのはいいがディフェンスラインを省みない守りは組織的とはいいがたい。日本代表は最終ラインに背の高い選手が起用されるとは限らないので、ゴール前をしっかり守ってほしい。試合を通じてヘディングミスが続いていたのは存在意義を疑われかねない。

清武選手について
期待していただけにちょっと残念な印象。時折見せるワンタッチプレーやパス精度は類まれなものを感じるので継続的に表現していってほしい。ユニフォームを破られながらもスピードの落ちないフィジカルには驚愕した。

攻撃のバリエーションが増えてきたのは高評価だが、後半は新たな攻撃にこだわって幅が狭くなってきたのは、やはり監督の指示がうまく伝わっていないのではないだろうか。中からも外からも遠くからも攻められるのだから、その選択を間違わないように戦っていってほしい。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年11月1日(日)J2リーグ第39節 東京ヴェルディ対ジュビロ磐田 味の素スタジアム 多摩市サンクスマッチ MJSデイ

プレーオフに向けて前進したいところでしたが、前半24分に退場者を出し前半41分にはエースジェイ選手を怪我で交代させざるを得なかったたジュビロに対してなすすべなく0-3で敗戦してしまいました。

前半はヴェルディのペースでした。ショートパスやドリブルでの突破が効果的で、ロングボールを使ったサイドチェンジも織り交ぜた攻撃は驚異的でもあり、守備でもジェイ選手の頭めがけて放り込んでくるジュビロの攻撃に対しセンターバックの井林章選手や田村直也選手が競り負けず中盤もディフェンスに踏ん張りを見せ、攻守にジュビロを圧倒しました。攻撃時に中盤がサイドに開いて突破した時にゴール前に入り込んでくる選手が少ないという欠点はあったものの、多くのチャンスを作り出すことに成功。

前半23分には、素早い切り替えで中央のスペースを突いた南秀仁選手がドリブルで切り込み高木大輔選手にスルーパス。高木選手のシュートはジュビロGKカミンスキー選手に一度は防がれるもののこぼれ球に素早く反応して二度目のシュートはジュビロDF森下選手の腕に当たりPK獲得&森下選手一発退場。しかし、南選手の真ん中を狙ったPKはカミンスキー選手に防がれ得点ならず。ここで、退場者を出したジュビロは中盤でバランスを取っていた太田選手を下げ、センターバックを補充します。

前半のうちは、この交代は状況を悪化させていました。ヴェルディのサイド攻撃に対しサイドバックの外側を中盤がフォローする形で守るジュビロにあって中盤と最終ラインのバランスを絶妙にとっていた太田選手がいなくなり、グラウンドのいたるところで数的不利に陥ったジュビロは、両サイドを突破され、中央にスペースを作り、さらにはけが人まで出てしまいまさに大混乱。

しかし、後半に入りジュビロの守備が立て直されます。オフサイドトラップを多用することでヴェルディFWの走り込みを抑え込みます。最終ラインのカバーまで走り回っていた太田選手がいなくなったことが逆にオフサイドトラップをかけやすくする土壌を形成していました。その結果ヴェルディの中盤はスルーパスを出しづらくなり迷いから判断の遅れが目立つようになり、攻撃が遅くなりがちに。しかも最終ラインを押し上げ守備の面積が狭くなることで少人数で守っていても判断の遅いヴェルディ攻撃陣に強い圧力をかけることに成功。逆サイドのスペースまで埋められるようになり、ロングボールでのサイドチェンジは蹴ることも難しければフリーになることも難しいという状況を作り出しました。この結果ボールをつなごうと中央に集まるヴェルディMFの裏をかき外で起点を作り出せるようになったジュビロは守備の薄いサイドでのボールキープにより時間を稼ぎオーバーラップの時間を作り出し、慌てて対応するヴェルディの裏を突くことができるようになりました。

数的不利からの太田選手の交代、ディフェンスラインの押し上げによるプレーエリアの縮小化とプレッシング、オフサイドトラップによるヴェルディFW走り込みの無効化、ヴェルディの選手を中央に寄せることでサイドからの攻撃時間の創出など、ジュビロの戦術と修正力はヴェルディを大きく凌駕していました。

やっぱり名波浩監督はゾーンプレスを受け継いでいるのかしら。

一方ヴェルディは中央のスペースをうまく使いジュビロディフェンスにギャップを生じさせたいところでしたが、オフサイドトラップを意識させられていたのと数的優位を気にし過ぎていたのかサイド攻撃に偏り過ぎており、サイドチェンジのできないサイド攻撃はジュビロのゴールから遠いところでの相手にとって怖くない攻撃にしかなり得ず、自らリズムを崩してしまいました。

後半4分、ヴェルディ左サイドを突破したジュビロは走り込む時間を作り出して一気にシュートし先制。直前のプレーで傷んでいたように見えた田村直也選手はついていくことができず、その直後チーム戦術も含め交代。一歩遅かった印象。ちなみに、ボランチが展開できなくなったのはジュビロの戦術変更が大きな理由なのでヴェルディは付き合ってボランチを修正させる必要はなかったと思います。それよりも中から攻められるように平本一樹選手の早期投入や振り向くことができる高木善朗選手を前の方で起用するべきでした。

後半16分、三竿健斗選手が転んでいる間にアダイウトン選手に右サイドをドリブル突破され2失点目。

後半18分にはジュビロがゴール前フリーでのシュートをミスに助けられたものの全く修正がきかないヴェルディ守備陣。

後半24分、中後雅喜選手のクリアが後ろに転がり、三竿選手が一歩届かず、井林選手のフォローが届かず、あと一歩が3つ続いてアダイウトン選手に押し込まれ3失点目。

徐々に中盤のプレッシャーがきつくなるものの、センターバックが持ち上がらないヴェルディは最終ラインでいつも2人余る状態。これではせっかく1人多い状況でもフィールドでは逆に1人少ない状態で戦っているようなものでした。
その後もシュートチャンスは作るものの、しかし大事なところでミスが出たりあと一歩が届かなかったりジュビロの体を張った競り合いを崩せず得点を挙げることができませんでした。セットプレーでもファーサイドを狙う意図は垣間見えるのですが精度がいまいちでチャンスを広げることはかなわず。

最後はパワープレーに持ち込む気力もなく試合終了。大幅にゲームプランが狂ったはずのジュビロに修正力を見せつけられての貫禄負けです。

もう残り試合も少ないので、内容にこだわっている暇はありません。平本選手とブルーノコウチーニョ選手のツインタワー(もしくは井林選手のFW起用)に杉本竜士選手か高木選手をシャドーに交代で走り回らせ、3ボランチもしくは5バックで跳ね返す。思い切った戦術変更で「短期決戦」「一発勝負」の戦い方が必要な時期に来ています。今勝負にこだわることこそが来シーズンにつながります。結果にこだわって残り試合すべてを出し尽くしてほしいものです。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年10月8日(木)2018FIFAワールドカップロシアアジア2次予選兼AFCアジアカップUAE2019予選 日本代表対シリア代表 オマーンシーブスポーツスタジアム

初戦のシンガポール戦に引き分けてしまった日本代表は1位突破のために絶対に勝ちたいグループ首位のシリア代表との一戦。でこぼこのグラウンドと暑さのためかミスが目立つものの後半の3得点で3-0と勝利を収めました。

シリア代表は守備の意識は高いものの、今までの対戦相手のように5バック、6バックと最終ラインに人を集めて守備をせず4バックを敷いてそれなりに攻め上がってくる。これなら日本代表有利。例の速い攻撃とやらで中中中とゴールへの近道を突き進めばそのうち点が取れるぞ!
と思っていたら、なぜか今までの試合の反省からかサイドからのセンタリングを軸に攻撃を組み立てる日本代表。なぜだ。監督に言われたからか?スカウティングに失敗したのか?例の速い攻撃とやらを忘れてしまったのか?
その後もいちいち遠回りして外を使って攻撃を繰り広げる日本代表。悪環境もあってミスが多くなり、ボールに目が奪われて視野が狭くなっていく。パスの出しどころはあるのだよ、ただボールが落ち着かないから走り込んだ味方まで目が届かないだけで…(たぶん)

それでも、両チーム選手のレベルの差は歴然。グラウンドコンディションの悪さは日本代表だけでなくシリア代表にも同じように降りかかってくる。蹴りたいところに飛ばないボール。フリーキック以外ならそんなに怖くはなさそう。ただロングボール放り込んでくるから事故も怖い。日本代表は早めに1点、できれば2点取っておきたいところ。

前半が終わって、4バックのシリア相手なら体力的にも持つはずないしこのまま行けば日本代表はいずれ点が取れそう。早く点が取れるための交代(中中中の例の速い攻撃とやらのため)をしていくか?しかし、万が一シリア代表が後半5~6バック作戦に挑むようならサイド攻撃を残さにゃならん。暑いからバテたり怪我したりカード貰ったりする輩も出てくるやもしれん。かといってあんまり待ちすぎて0-0のまま試合が終わったらちょっとまずいよな…
ハリルホジッチ監督は悩んだことでしょう。とりあえずはメンバー交代なく後半開始。シリア代表は前半とあんまり変わらない…?でももうちょっと様子見ようか…と思ったら、後半9分、散々本田圭佑選手が取ってもらえなかったファールを岡崎慎司選手がペナルティエリア内で獲得。やったー、日本代表待望のPKだ!
キッカーは本田選手。中中中の例のいわゆる速い攻撃はいいからちゃんとコースに、中中中じゃないぞ、でもやっぱり真ん中に蹴るのかなあ、と思ったら左!よかったー

それでもシリア代表は引き分けでいいので、5~6バックにして1点だけを取りに来たらそれはそれで日本代表も苦労したかと思うのですが、シリア代表は普通に攻撃してきた。これは例の速い攻撃で中中中でしょう。宇佐美貴史選手を投入。ドリブルとショートバスでゴールへの最短距離を突き進む。
後半25分、ペナルティエリア内でボールを持った香川真司選手が左サイドをドリブル突破。スライディングしてきたディフェンスの股を通したラストパスに岡崎選手が走り込んで日本代表2点目。マイナスでボールを待っていた吉田麻也選手も見事でした。

いよいよスペースが埋められなくなったシリア代表を攻め立てる日本代表。後半43分、武藤嘉紀選手が競り勝って清武弘嗣選手へ、清武選手は絶妙なワンタッチで前を向き走り込んだ本田選手へスルーパス。裏に出来たスペースを宇佐美選手が使って見事な追加点!試合終盤で勝ってるからサイドバックが上がってこないのもチームとして見事なゴールです。

交代で出場した選手がいずれも活躍した攻撃陣。ハリルホジッチ監督は比較的選手の好き嫌いがはっきりしているのでレギュラーが入れ替わるのは相当な苦労が必要だろうけど、長いワールドカップ予選なので切磋琢磨しあってカバーしあいながら得点を重ねていってほしい。
逆に守備陣は大幅な修正が必要。ラインが凸凹になるのが怖くて選手交代しなかったのだろうけれど、いくらグラウンドが悪いからってさすがにボールコントロールが悪すぎるしなんたって視野が狭すぎる選手が多い。アジア予選では引いて守られることが多い日本代表なので、ディフェンスのビルドアップやオーバーラップが生命線となる。もしかしたらサイドアタッカー的な選手をサイドバックに据える必要が出てくるのかもしれない。ボランチの選手を最終ラインに下げて3バックを検討した方がいいかもしれない。例の速い攻撃とやらで引いて守る相手に対して中中中で攻めたかと思えばスペースがあるのにわざわざ外から遠回りしてゴールを目指したり、チームとしての柔軟性に欠けるところがある。サッカーは相手があってやるもの。「自分たちのサッカー」よりも「目の前の相手に勝つサッカー」を心掛けて一戦必勝をこれからも期待。

監督も少しずつ選手のことがわかってくるだろうし、選手も監督の言いたいことがだんだんわかってくると思う。新しい選手が入ったときにどうやって共通認識を持つかという課題はあるが、監督の戦術は以外と柔軟性がありそうだし、チームもだんだんと監督の戦術を体現出来てきたようだから、これから少しずついいチームになってよい結果をもたらしてほしい。
シリア4バック。結構攻めてくる。日本有利。
今日みたいな試合ならわざわざ外使う必要ないのに。なんでいちいち遠回りしてゴールに向かうんだろう。まあ、ホームとは言えシリアがこんなに強気に出てくるとは思ってなかったんだろうなあ。
ゴートク余裕がないからセンタリングが合わない。体の向きがおかしいし体の動きとボールの動きがあってない。
蛍のポジショニングが中途半端。後ろ過ぎる、前過ぎる、離れすぎる。
パスが出ないのは恐らく受け手の問題じゃない。パスコースができてるのに見えてない出し手に問題がある。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年10月4日(日)J2リーグ第35節 東京ヴェルディ対コンサドーレ札幌 味の素スタジアム 立川市サンクスマッチ

ここ3試合無得点の東京ヴェルディ。ホームにコンサドーレ札幌を迎えて調子を取り戻したいところでしたが、0-2と敗戦に終わりました。

試合開始直後だけは札幌が攻勢をかけていましたが、その後は全体的にヴェルディペース。札幌ディフェンダーはふわっとしたハイボールと1対1の守備にかなりの強さを見せる。攻撃陣に高さがあまりないヴェルディもアランピニェイロ選手が苦手なはずのポストプレーを数多く成功させていましたが、ブルーノコウチーニョ選手や平本一樹選手を投入しない限りポストプレーで崩していくのは難しい。とはいえサイドからの攻撃も1対1に強い札幌につぶされてしまう。しかしここは考えようで、札幌のディフェンダーは1対1に自信があるからか、ふらふらとサイドまでカバーに出て来てくれます。5バック気味に守る札幌のサイドを引き出した裏で3バックを誘い出せば、中が空くはず。数をかけて守る札幌には外からの攻撃が必要。サイドを突破、ロングシュートなどの攻撃が機能すればもっとペースを握れていたはずです。実際には特に工夫した攻撃ではなかったもののそれなりにゴール前まで進出できていたので、もう一工夫があれば得点の可能性は高かったのではないでしょうか。また、最近のヴェルディはホームに弱くてアウェイに強い傾向があります。その辺プロサッカーチーム(お客さんを呼べてなんぼ)としてどうなのか、という疑問はありますが、それはおいておいて、相手守備にスペースがあれば攻撃が機能するがスペースがないときにこじ開けることがまだできていないことが原因ではないかと思われます。では、どうやってスペースを作り出そうとしているのか。
ヴェルディは恐らくそのあたりを工夫した結果、ロングボールを使ってのサイドチェンジを意図的に多用していたのではないかと思われます。ディフェンダーはボールサイドに寄って守るので、サイドチェンジを早く行うことで逆サイドの敵が少ないエリアを攻めることができるのです。しかし、せっかく相手の数が少ないエリアを攻めているのに、数的優位が作れない状態が続く。ヴェルディはサイドチェンジを行うことができても、何のためにロングボールで早いサイドチェンジをしているのかが共有化できていなかったのではないでしょうか。南秀人選手は比較的サイドチェンジからサイドバックとの連携を見せていたと右サイドにはアランピニェイロ選手が流れてきがちだったので、前半途中に右サイドからのロングボールを機能させるために南選手を左サイドに移動させたのは恐らくそういう目的があったのだと思います。しかし、どうしてもサイドでの攻撃がゆっくりしがちなことは解消されませんでした。サイドチェンジまではできるようになっていたのでその先のスピードを意識することでサイドから最終ラインを突破してディフェンスに後ろ向きでプレーさせることができ相手を混乱に陥れることができてくるのではないかと思います。
もう一つこの試合で苦戦した理由として、チャンスはあったものの得点が挙げられなかったことです。特にコーナーキックを含むプレイスキック。札幌ディフェンスはフリーキックとコーナーキックで違う守り方をしていて、プレイスキックのたびに混乱していました。ヴェルディは質の高いキッカーがいて中で合わせられる選手もいるので、特に試合開始直後に3つあったプレイスキックで1点も挙げられなかったのは試合全体に大きく影響しました。得点の可能性が高いのは、流れの中よりもプレイスキックです。より結果が求められるようになるこれからの試合のために、ぜひコーナーキックやフリーキックの精度を上げるような練習を積み上げてもらいたいと思います。

さて、なかなか得点を挙げることができないヴェルディですが、対する札幌は驚くほど運動量がなく、とくにサイドの動きが緩慢で、札幌の攻撃は背の高いツインタワーにあてるという作戦もあるが主にはフォワードが裏に向かって走る形。単純だが小野伸二選手を中心に中盤がボールを持った時迷いなく裏に走りだすその攻撃は小野選手の移籍後初ゴールという形で実を結ぶことになります。
前半33分、左サイド裏に走り込んだ札幌ナザリト選手がボールをキープ。三竿健斗選手がカバーに入ったため慌てて戻るセンターバック田村直也選手。攻撃に移っていた中後雅喜選手はまだ帰ってこられない。ボランチとセンターバックが最終ラインに集まってしまったヴェルディはディフェンスラインの前をぽっかり空けてしまい、戻したボールをフリーの小野選手が落ち着いてゴールに流し込みました。

後半に入り、まずは元気のない澤井直人選手に代えて高木善朗選手を投入。前を向ける、裏に走り込める高木善朗選手はチームにリズムをもたらすものの、1点を先制している札幌は数でゴール前を守り決定機を作らせない。次の交代は、三竿選手に代えて永井秀樹選手。個人的にはこれはあまり効果がなかったのではないかと思います。というのは、札幌は3枚で攻めてくるので、ヴェルディも3枚+1で守りたかったはず。三竿選手がいればサイドバック+三竿選手の3人がいるのでサイドバックが両サイドに張り出しサイドからの攻撃を活性化させることができ札幌の中央のディフェンスを薄くすることができたと思うのですが、ボランチを1枚にしたことでサイドバックのどちらかは常に最終ラインに残らなくてはならなくなり、せっかく攻撃に特色のある両サイドバックを配している意味を薄めてしまいました。永井選手はワンタッチプレーや視野の広いスルーパスが得意な選手ですが、これだけスペースがないと中央から攻撃するのはさすがに難しいです。もし永井選手がサイドハーフとして投入されていればまた違った展開(サイドバックのオーバーラップを引き出すなど)が見られたように思います。
ヴェルディ最後の交代は、高木大輔選手に代えて中野雅臣選手。これもあまり機能しませんでした。確かに高木大輔選手は疲れからかプレーに正確性を欠き始めていたので交代させるのは悪くなかったとは思います。中野選手は以前は中盤で起用されていたとも思いますが背が高くヘディングもそこそこ強い選手なのでゴール前での活躍を期待されているのか。確かにそういう選手なのですが、あまりゴール前に飛び込むタイプではないように見受けられました。それであればブルーノコウチーニョ選手や平本選手、またウェズレイ選手を投入して井林章選手をトップに上げるなどの選択肢もあったはず。試合を支配していた(ように見えた)ことが采配に思い切りを失わせていたように思います。その後さらに失点を重ねたのですが、チームの総合力を考えるとちょっともったいない結果になったのではないかと思います。

ヴェルディは今までを振り返り少しずつやり方を工夫しているように感じます。しかし、なぜそのプレーをするのか、という目的が共有化できていないのではないでしょうか。また、采配に思い切りが感じられない点も気になります。あまり調子が良くなさそうな選手を起用しているのも試合の中でそこそこうまくいっているものの結果が出ていない戦術をそのまま採用しようとしているのも、采配が守りに入っているのではないかと思います。ヴェルディは若い選手の多いチームで、爆発力がある代わりにシーズンを通じて安定した結果を残せる選手が多いわけではありません。富樫剛一監督も大変だとは思いますが、選手の調子を見極めて、毎試合毎試合新たなラッキーボーイが出現するくらいの魔法のような采配を期待したいところです。今までできていたのですから。

シーズンも終盤。結果を求めるならば、戦術もありますが、忘れてはならないのがプレイスキックです。フリーキック、コーナーキックを意識した采配や練習も割り切って取り組んでもらいたいと思います。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年9月8日(火) 日本代表対アフガニスタン代表 メモ

・攻撃パターンが今までと大きく変更。中央からの早い攻撃はやめて丁寧につないで外から攻めた。
・最終ラインのカバーリングはセンターバック・ボランチともそれなりに修正されていた。
・アフガニスタンの攻撃は主にボールを奪ってカウンターかキーパー(もしくはフリーキック)からのロングボールの2種類しかなかったが、背の低い長友の頭を狙われていたが特に対策しないどころか背の高い酒井宏樹を代えて原口元気をサイドバックにポジションチェンジ。酒井弘樹に攻撃面でのミスが多いのは今日に限ったことではない。
・アフガニスタン代表は日本代表の中盤や最終ラインへのプレッシャーがほぼ皆無だったためフリーでボールを蹴ることができた。そのためサイドの空いたスペースへロングボール含め効果的なパスを繰り出すことができたが、日本代表の前線が意図的にスペースを作り出した場面は少なかったように思う。特に岡崎が足元へのボールを要求が多くチームとしてどのスペースを使うのか意識統一できていない。
・2次予選は実力差があるので、日本代表はあまり難しいことを考えないでシュートを打ってさえいれば勝てる。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年9月3日(木)W杯アジア2次予選 日本代表対カンボジア代表 埼玉スタジアム2002

初戦シンガポール代表戦に引き分け絶対に勝利を収めたい日本代表。

実力差から考えると物足りない点差ではありましたが、3-0と完勝。2次予選初勝利をあげました。

日本代表は中から早い攻撃を形にしているので、中央最終ラインに人を集めて9人でゴール前を固めるカンボジア代表の守備をなかなか崩すことができません。
基本的にマンツーマンで守るため、場合によっては最終ラインが6人になることも。守備が多すぎてシステムが分かりづらいカンボジア代表。

日本代表の攻撃はカンボジア代表のマンツーマンディフェンスを逆手にとって込み合っている中央ではなくサイドにスペースを作って相手に後ろ向きの守備をさせればもっと効率的に攻めることができたはずですが、監督の指示なのか選手のこだわりなのか中央でショートパスをつないで突破しようと試みる。

サイドの攻撃はサイドバックがオーバーラップしたときは形を作ることができるのですが、中盤のサイドは右が左利きの本田圭佑選手、左が右利きの武藤嘉紀選手。どうしても中へ中へ絞る攻撃となり、その分サイドにスペースが空くもののうまく使うことができずシュートを打てども打てどもゴールを決めることができません。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年8月23日(日)2015明治安田生命J2リーグ第30節 東京ヴェルディ対愛媛FC 味の素スタジアム 練馬区サンクスマッチ

自動昇格まであと一歩の3位につける東京ヴェルディ。6位の愛媛FCを破り上位進出を狙いたいところでしたが、0-1と愛媛FCに敗れ、4位に後退してしまいました。

最終ラインとその前のスペースに人数を多く配置する愛媛FCに対し、プレッシャーの少ない中盤でボールをキープするものの最終ラインが突破できないヴェルディ。杉本竜士選手、高木大輔選手が前線で運動量を武器にスペースに走り込み、また高木善朗選手がタイミングよく引くことでスペースを作り出し攻撃にいいリズムを作り出すものの、5バックの愛媛ディフェンスラインの門の間を通るところまでしか到達できず、ゴール前のチャンスを作り出すことができない。南秀仁選手はよろよろと近寄り足元でもらうタイプで他の3人と全く違うプレースタイルでありリズムを作り出すこともあるが、相手が引いて守る今日のような試合ではスペースをつぶしてしまう傾向があり、今日に限って言えばヴェルディの攻めがサイドに逃げる形でしか機能しなかった原因の一つとも言える。もっとも、一本のロングボールなどを使って早いタイミングでのサイドチェンジを繰り出すことができればまた違った展開になったことは間違いないので、南選手には原因というよりももう一つ上のプレーを期待したいといったところだ。

愛媛の攻撃はヴェルディの右サイドから。ヴェルディは丁寧に守るものの、丁寧すぎてドリブルに対しずるずる引いてしまうところがある。ずるずる下がる原因の一つとして丁寧に守るがゆえ最終ラインが前に出るべき時に出ないということもあるが、中盤がプレッシャーをかけきれないことの方が大きい。そういう意味で、試合途中で三竿健斗選手がセンターバックに下がったことは、攻撃面を期待してのことであろうが、チームのリズムを狂わせてしまった感が強い。(失点シーンはまだセンターバックに下がってはいなかったが)

失点の場面はミスが重なった結果だと言える。ずるずる下がってしまったディフェンス隊形、縦に行かせなければよいという緩慢な守備で簡単にセンタリングを上げさせてしまった南選手、センタリングに対し競ることができなった畠中槙之輔選手(その後ろでこっそりマークを外されている安在和樹選手)、届かないシュートに対し安易に飛びついてしまう佐藤優也選手、シュートのこぼれ球に対し完全に足が止まっているディフェンダー陣。失点するかしないかはただの結果だが、この結果はどこかで防ぐことができたはずの失点であり、上位進出のためには何とか阻止してもらいたい失点であった。一人一人の意識から改革して次の失点は必ず防いでもらいたい。

ヴェルディがホームに弱いわりにアウェイで結果が残せる傾向のある理由の一つが引いた相手を崩し切れないという特性であろうと思う。サイドは突破できているのだが、センタリングの意識と精度が低く、その結果相手ディフェンダーは中をケアし、ヴェルディ攻撃陣は外を諦め中に拘ろうとする。引いて守る相手に対しては早いサイドチェンジやサイド攻撃からのセンタリングがディフェンスにボールとマークをはがしやすい攻め方となる。攻めてくる相手に対してはもともとあるスペースを使ってカウンターを仕掛ければ得点の可能性は高く前線の選手に運動量が豊富なヴェルディは結果を残しやすいと思うが、昇格争いをしているヴェルディは上位ということもあり研究されることもあり何となく強いと思われることもあり、相手が引いて守ってくることは容易に想定できる。引いて守ってくることが予想できるゆえ逆に引いた相手を崩す戦略が確立すれば混戦を抜け出して自動昇格することも十分考えられる。簡単ではないが克服してもらいたい。

そんな中で今後キープレーヤーとなりそうなのが高木善朗選手。前線まで上がったかと思えば素早く引いて裏にスペースを作る。足元で後ろ向きにボールを受けても2人くらいのディフェンダーであれば苦も無く前を向くことができるようだ。その技術の高さが余計に相手にプレッシャーを与えスペースを効果的に作ることに成功している。残念なのは、スペースを作ったり裏に走り込んだりするプレーがチームで連動しているというより個人個人が勝手にチームプレーを考えて行っている感じがするところだ。イメージが共有化できない中で勝手に戦術を実行するのはチームプレーとは呼べない。選手が固まりつつある中、いつまでも同じ方向に走り込んで重なったりスペースの作る方向と走り込む方向が違うなどといったプレーはそろそろ終わりにしてもらいたい。

少し心配なのが監督采配だ。選手を有効に起用するためにはポジションチェンジやフォーメーションの変更は悪いことではないが、今日の試合ではチームが混乱しているように見えた。監督はそういう意図ではないかもしれないが懲罰的交代に見えてしまったこともモチベーションを考えると心配だ。また、今日の試合では中盤の守備のプレッシャーが遅いことやサイドチェンジが十分でないことやセンタリングやプレイスキックが不正確であることやサイド攻撃の意識の低さが課題であったように見えたが、選手交代によって中盤の守備がよりもろくなりサイドへの意識より中へのこだわりが強くなりプレイスキックは修正されずどちらかと言えば悪化したように思う。平本一樹選手投入でポストプレーのターゲットとセンタリングのフィニッシュ、永井秀樹選手投入でスルーパスによるサイドを生かした攻撃、アランピニェイロ選手投入でサイド攻撃の意図があったのであろうが、ほぼ機能しなかったと言える。アランピニェイロ選手が一番監督の意図を体現していたと思われるが、しっかり指示されていればもっと明確にサイドを使ってスピード突破できたはず。試合終盤平本選手とともにセンターバックの井林章選手が前線に上がっていたが放り込むでもなく途中で井林選手は守備に戻っていく始末。監督の判断がよくないのか、監督のプランを選手が表現できないのか、監督の伝え方が悪いのか、原因は定かではないが、今まで監督の采配が当たり勝ちを拾ってきたことを考えると今後に大きな不安を感じる。昇格へのプレッシャーもあるのかもしれないが、もともと残留争いをしていたチーム力である。あまり深く考えすぎず1試合1試合を観客が楽しめるように戦い続けてほしい。