平成28年1月13日(水)リオデジャネイロ五輪最終予選兼U-23アジア選手権1次リーグB組 日本対北朝鮮 カタール・ドーハ グランド・ハマド・スタジアム

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オリンピック出場に向けた大事な大事な最終予選初戦。苦手にしていた北朝鮮代表に対し前半5分の先制点を守り抜き、日本代表は見事に勝利を物にしました。

試合開始直後から積極的なプレーを見せる日本。最終ラインから裏を狙うパスを多用。右サイドバックに起用された室屋成選手も積極的に縦に仕掛け、情報がないのか北朝鮮が対応できない場面が連続する。
そんな中右サイド室屋選手の仕掛けから得た前半5分右サイドからのコーナーキック。
山中亮輔選手からのボールは北朝鮮代表の緩慢なマークでファーサイドフリーになった植田直通選手がボレーシュートをゴールに叩き込んで日本代表先制。
その後もロングボールを多用する日本代表。残念ながら鈴木武蔵選手が裏を狙う動きが少なくボールがなかなかつながらないが、日本代表ディフェンスラインやボランチのインターセプトからのショートカウンターが効果的で、久保裕也選手もトラップまではすばらしい輝きを見せ、日本代表はたびたびチャンスを作り出す。
北朝鮮代表は中盤で技術を見せボールをうまくつなぐ。良く分からないタイミングでのサイドチェンジがなぜかつながり数的優位な状況での攻撃が多い。日本代表は両サイドハーフに攻撃的な選手を起用したためサイドバックの外側のフォローが遅く、サイド攻撃に対応できない状態が続く。しかし、北朝鮮代表が両サイドバックの裏を狙ってこなかったため大事に至ることなし。植田選手は対人には強いがカバーリングにやや難があり、岩波拓也選手を狙われるたときたびたびピンチに。植田選手のポジショニングの修正とともに右サイドバックのカバーリングが今後重要になる。
後半に入り、短いボールをつなぎだす日本代表。両サイドハーフが中に絞るようになるが、いかんせんフォワード的な選手を起用しているせいか組み立てにあまり参加せず、ボールロストが増える結果に。北朝鮮が3トップ気味に攻めてくるが、両サイドバックが積極的に前に出る日本代表は最終ラインが3対3になり単純な放り込みも脅威が増える。ボランチのどちらかが最終ラインに入るなど思い切ったポジショニングをすればよかったが、最終ラインにも入らない、前のスペースも埋めないという中途半端なディフェンスとなり、北朝鮮代表にチャンスが続くがシュートミスで難を逃れる。
後半30分過ぎから北朝鮮代表の足が止まり始め、日本代表は左サイドの中島翔哉選手のドリブルで攻撃を組み立てるようになる。というか、ドリブルだけが攻撃手段。この試合では中島選手のドリブルが(この時間において)効果的だったのでよかったが、次の試合からはそれ以外の攻撃をどう機能させるかが重要になってくるだろう。
そういうわけで、終盤は機能しているドリブルを活用して危なげなく終わらせたいところだったが、途中交替の選手があまり試合に入り込めず、鈍い出足で北朝鮮代表にフリーキックを献上。体力が切れて攻撃手段のない相手に対して連続して(特に交代選手が)フリーキックを与えてしまったことは今後の修正ポイントになる。
結果的には、勝利できたわけなので最高の初戦だったといえる。短期決戦なので勢いをつけて次につなげてほしい。

櫛引政敏 6.5 安定したプレーを見せる。一度フリーキックをかぶったのは怖かった。キック力があるのでチャンスも演出できる。

岩波拓也 6.5 対人でも良い読みを見せ、カバーリングも適切。ディフェンスリーダーとして自分が競るときも周りを指示できるとなお良い。

植田直通 6.5 冷静な先制点。対人ではほぼ無双状態。ボールが自分のところに来ないとボールウォッチャーになる性質がある。

山中亮輔 6.5 プレイスキッカーとしての才能を見せ付ける。ゴール前のフリーキックは決めてほしかった。高いポジショニングで北朝鮮代表にプレッシャーをかける。パスの意識がやや低いため、チャンスをつぶすことがある。

室屋成 6.0 すばやい出足でインターセプトを決める。縦への仕掛けは効果的だったが、読まれてからは何もすることができなくなった。もっと思い切ったプレーをしていいと思う。

遠藤航 6.5 ディフェンスラインと連携してうまく相手フォワードを挟み込んでボールを奪っていた。展開が狭く組み立てがうまくいかないことがあるが、もともとそこが特徴の選手ではないのでそこまで望むのは酷だろう。

大島僚太 6.0 ディフェンスでの貢献が目立つ。しかし、遠藤選手とのダブルボランチでは大島選手の展開力が生かされないとチームが追い込まれることになる。責任重大だが、できる選手だと思うので期待したい。ミスしたときにすぐ取り返しに行くところは子供たちにもお手本になるが、イエローカードはもったいなかった。

中島翔哉 6.0 ポジション的に慣れていないのか始めのうちあまり目立たなかった。ディフェンスに入るタイミングが遅いので中盤の守備においては貢献できなかった。終盤になって北朝鮮代表の足が止まってきてからは独壇場。もう一つ前のポジションで思い切って勝負してほしい。

南野拓実 6.0 守備をしようという気概は見えるがいかんせん不慣れな様子。攻撃時のスムーズなボールコントロールは見る者を魅せる。できればフォワードで見たかった。

鈴木武蔵 5.5 いっせーのせでスタートしても先に出られるスピードは驚異的。予測が加われば誰も止められなくなると思うがどうにも読みが苦手な様子。求められているものは恐らく裏を狙う動き。フォワードは候補が多いので早く自分の特長を生かすプレーを見せてほしい。

久保裕也 6.0 トラップなどファーストタッチまでは最高。なんで次のプレーにつながらないのか不思議なくらい。もうワンタッチ制限でプレーした方がいいかもしれない。

矢島慎也 5.0 恐らく試合の組み立てを期待しての起用だったと思うが前線を意識しすぎるポジショニング。ロングボールを蹴られないチーム状態を助けてほしかった。後半37分のラストパスが通っていたら違った評価になったかもしれない。

原川力 6.0 守備でも攻撃でも存在感を見せる。遠藤選手を最終ラインに下げて原川選手をボランチで起用してもいいかもしれない。

豊川雄太 5.0 試合に入り込めなかった。短い時間で難しかったところはあるが、こういうところで結果が出せるかどうかは選手として大事なポイント。

手倉森誠監督 6.0 攻撃的布陣で勝利を収めたのは評価するしかない。北朝鮮代表がサイドをあまりついてこなかった理由は分からないが、それをわかってこの布陣だとしたら恐ろしい手腕。フォーメーションにこだわりすぎているのか最終ラインの修正ができなかった。相手フォワードに柔軟に対応したい。途中交替の選手が試合に入り込めなかったことは次の反省としてほしい。

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