蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第42節 東京ヴェルディ対徳島ヴォルティス 味の素スタジアム

※閲覧注意!福岡の人は絶対に見ないでね!

長かったJ2リーグもいよいよ最終戦。6位までが出場できるプレーオフ圏内ぎりぎりの6位東京ヴェルディがホームに迎えるは5位徳島ヴォルティス。得失点差の関係で引き分けてもプレーオフ出場がほぼ間違いない徳島に対し、引き分け以下だと他会場の結果次第で出場を逃す状況のため10年ぶりのJ1復帰を目指して勝って確実にプレーオフ進出を決めたい東京ヴェルディ。スペイン人監督同士の決戦はまさかのBS生中継。コイントスによりエンドを入れ替え、いざキックオフ!

聞き慣れたチャントがテレビから聞こえてくるのってなんか不思議な気分だなあ。

さて、3バックの徳島に合わせいつもの4バックではなく3バックで臨むヴェルディ。しかし、中盤がバラバラで守備が全く機能しない。挙句の果てにドウグラスヴィエイラ選手まで下がってしまい徳島に押し込まれたまま耐え忍び続ける展開。徳島は攻撃時サイドに偏らせて逆サイドにスペースを作る作戦だったと思うけど、サイドチェンジしなくても前に進めてしまうので、そのうち点が入るんだろうなという感じで進むも、ヴェルディのGK柴崎貴広選手が最後の最後で踏ん張って失点は許さない。

ミゲルアンヘルロティーナ監督は早々に3バックを諦めて4バックに変更。ただ、ちょっと変則的な配置。というのは、基本的な配置は右から安在和樹選手、田村直也選手、畠中槙之輔選手、平智広選手の4バックなんだけど、攻撃時はディフェンスライン右に田村選手、中央に畠中選手、左に平選手を配置して右サイドバックの安在選手を1列前進させる3バックに変化。守備の時は徳島のサイド攻撃に対し、左サイドは安西幸輝選手と平選手(+畠中選手もしくは梶川諒太選手)、右サイドはアランピニェイロ選手はそれほど下がらず安在選手と田村選手(+井上潮音選手)で守る。このアシンメトリーな戦術の肝はアンカーの内田達也選手。通常はアンカーの選手が最終ラインに入ることが多くなるけど、このシステムなら中盤の真ん中でどっしり構えられる。危険なエリアを閉じられるしこぼれ玉にも反応できる。なかなか奥の深いシステムだがや。そういうことでヴェルディは4バックに移行してから攻守の役割分担がはっきりして徳島のサイド攻撃をつぶすことに成功。試合開始直後思いのほか上手く攻めれちゃって戸惑ったはずの徳島は、今度は思いのほか攻められなくなって戸惑っちゃって、ヴェルディの前線からのプレスの餌食となり、試合は一気にヴェルディペースに。

ただ、ヴェルディの攻撃もそれほど多彩というわけではなくて、今日はドウグラス選手のポストも密着マークにあってあまり冴えなかったせいもあり、基本的には左サイド安西選手を経由してセンタリングかファールやコーナー貰ってプレイスキックという感じ。それでも、徳島は背の低い選手が多く、ヴェルディとしては極めて珍しいことに背の高さで優位に立つことができ、プレイスキックも大きな脅威。そうなれば俄然得意のドリブルが威力を増してくる。そこで引かなかった徳島は偉かったけど、できたスペースを効果的に使った安西選手がさらに躍動。そして先制点につながる。

前半31分、狙い通り左サイドで得たフリーキック。安在選手の正確なボールは平選手が相手を体で制してヘディングシュート。キーパー反応するも及ばず!東京ヴェルディ1-0徳島ヴォルティス

押し込まれてどうにもビルドアップができない徳島も作戦変更。前半38分早くも選手交代で4バックに変更するとともに中盤に技術のある選手を配置してボール回しと長身フォワードによる攻撃を期待。

ところが、徳島は中盤で期待通りボールキープはできるものの前線でフォワードが余ってるのになぜか外から攻めようとしてしまう。丁寧なのはいいけどサッカーの目的はボール回しじゃなくてゴール。その為にはゴール前にボールを運ばなくてはならないしシュートを打たなくてはならない。丁寧に外から攻めようとする徳島に対し中を崩されないヴェルディは守備練習をしているかのように安定して対応。外から攻めたい徳島と外から攻めさせたいヴェルディの思惑が合致した結果、徳島は外から攻めてもシュートすら打てずじまい。ドウグラス選手が封じられてるのは気になるけど、このまま守ってればどこかでプレイスキックでもう1点くらい取れたりしてヴェルディの勝ちは固いかな、という感じで前半終了。

後半に入りさすがに修正を見せる徳島。縦パスなどで中を使いだす攻撃にヴェルディディフェンスラインが右往左往し始める。ありゃりゃ、こりゃまずいな、と思う隙もなく、後半4分縦パスが起点になって左サイドから右サイドにボールが回りセンタリングからヴェルディ失点。東京ヴェルディ1-1徳島ヴォルティス

ヴェルディは相変わらず左サイドからの攻撃が冴えを見せるが、楔が入り始めた徳島の攻撃はさらに冴えを見せる。もうハーフタイムはないからチームとしての修正は難しいヴェルディ。試合展開としては徳島のペース。

しかし、ヴェルディは、この切羽詰まった状況で2つの転機により、試合ではなく結果を支配することが可能に。

1つは、プレーオフ出場のライバル7位松本山雅FCが京都サンガF.C.に0-1で負けていること。その為、ここから松本が2点以上取って逆転しなければ、たとえヴェルディが負けても松本はヴェルディより下の順位で終わる。同じくプレーオフ出場ライバルの8位ジェフユナイテッド千葉は勝利しても得失点差の関係でヴェルディは負けさえしなければ千葉が上の順位に行く可能性は低い。つまり、このまま同点で試合が終わればプレーオフに出場できる可能性が高いということ。無理に攻めないでちゃんと守ろう。運が良ければプレイスキックから得点できるかもしれないのだ。

もう1つは、言葉は悪いけど井上選手が怪我で交代に追い込まれたこと。実は徳島の縦パスの多くは井上選手の裏のスペースを突いたもので、前半からの運動量で体力的な問題もあったのかもしれないけどこの時間少し守備の穴にもなっていたのが井上選手。しかし、守りを第一優先させるべき状況で守備の穴を埋めるための交代にも関わらず守備に特化した選手がベンチに見当たらないため、井上選手を交代させることによって(攻めろという)誤ったメッセージを他の選手たちに伝えてしまう可能性があったわけで、この穴を埋めるのはきわめて繊細な問題になっていました。井上選手の交代が負傷による交代となったことで、ヴェルディにとって守備を重視しながら自然な形でスムーズに守備の修正作業が完了できたのだと思う。

ということで、井上選手に代えて橋本英郎選手がピッチに登場。さらに守備の強化も兼ねてアランピニェイロ選手に代えてカルロスマルティネス選手を投入。すると、やや動きが減っておりバテたのかな、と思わせていた安西選手が急に元気を取り戻します。

いやいや、安西選手はもう体力切れてるはずだから、ディフェンスラインを3枚に戻して、ドウグラス選手とアランピニェイロ選手を3対2で封じよう、これで失点は防げる、ディフェンスラインの人数を減らした分前線に人を捌けるから運が良ければサイド攻撃から前線勝負で得点できるはずだ、別に得点できなくても同点で終われば良いのだ、と徳島は思っていたはず。私もそう思いました。安西選手はもう終わったのだ、ヴェルディは得点できない、徳島の引き分け以上は固いと。しかし、それはただの死んだふりでした。

守備が安定しだしたヴェルディは安西選手を起点にボールを前線へと送り始めます。安西選手の2つのロングパスからのチャンスに安在選手がきわどいシュートを放った後、ついにそのときが訪れます。

後半43分、梶川選手の絶妙な左コーナーキックに畠中選手がヘディングシュート!惜しくもポストを弾くもごちゃごちゃしたこぼれ球に内田選手が詰め、ヴェルディ勝ち越しゴール!東京ヴェルディ2-1徳島ヴォルティス

その後さらにアップダウンを繰り返す安西選手に、3バックへと移行した徳島は対応できず。というのは、左サイドを起点に3トップで攻め込むヴェルディに対し、徳島は3枚のディフェンスだけでは守りきれないため両サイドバックを下げざるを得ず、いざ攻撃時に選手が最終ラインから出て行かなくてはならなくなってしまい、徳島はどうにも攻撃にギアが切り替えられないのです。

引き分けでよかったのに攻撃に出た結果うまく得点が奪えず結果的にペース配分に失敗した感じの徳島は、他会場で千葉がアディショナルタイムで逆転してしまい暫定で7位に転落。慌てて攻めるも形にならず、余力を残したヴェルディが逃げ切って勝利。その結果、東京ヴェルディが5位、最後に逆転した千葉が6位、徳島は残り2分でまさかの7位とプレーオフ圏内から脱落。プレーオフ最後の出場権はヴェルディと千葉がもぎ取りました。

ヴェルディの試合をテレビで観るのはまた特別な感慨があるけど、テレビはどうしてもわかりづらい。サッカーはやっぱりスタジアムで観るのが最高の贅沢です。勝てばなお!

 

柴崎 貴広 7.0 安定した守備でビッグセーブを連発。シーズンフル出場は自身初とのこと。足元の不安もあまり感じさせず安定したプレーを見せた。

畠中 槙之輔 6.5 ロティーナ監督としてはセンターバックにロングキックが蹴れる選手を考えているような気がする。小型ボランチが多いチーム事情もあってロングボールも蹴れてセンターバックの専門性も兼ね備えた畠中選手には期待が大きい。

平 智広 6.0 強さを見せて先制点を挙げる。守備は安定しているがキックがやや不安定。

田村 直也 5.0 気合が空回り。一人でラインを下げたり前に出られずプレッシャーを掛け切れなかったり最終ラインでボールロストしたり。ディフェンダーとしていつものように冷静なプレーを見せてほしい。

安西 幸輝 7.0 フリーキックでボールを掴もうとするトリックプレーを試みるも誰もひっかからなかった悲しい過去を持つ。途中でおとなしくなったのでさすがにバテたのかと思ったら、最後に復活して再び縦横無尽の働きを見せた。

安在 和樹 6.5 プレイスキックが大きな脅威となっていた。右足も正確。でもやっぱり攻撃の幅を考えると左サイドの方が良いような気がする。

内田 達也 6.5 後方だけでなく前線へも飛び出しチームの中心を担った。対戦相手としては内田選手をどかすことが勝利へのポイントとなるだろう。

井上 潮音 5.5 豊富な運動量と正確なテクニックでチームに貢献。やや反応がよくないのと動きが淡白なところがある。アンカーシステムはどうしてもアンカー脇が弱点になるので、縦パスに対する蓋になってほしい。

アラン ピニェイロ 5.0 攻守の切り替えも早くよく動いていたが、イマイチ連携が取りきれなかった。

ドウグラス ヴィエイラ 5.5 ポストプレイヤーとしての役割を十分に果たしたとは言いがたいが、献身的に裏に走りこんで基点になったことが得点につながった。

梶川 諒太 7.0 抜群の運動量とセンスのある縦パスで多くのチャンスを演出。プレイスキックでもチームに大きく貢献した。

橋本 英郎 6.0 スクランブル発進。守備の選手ではないので負担は大きかったと思うが得意の攻撃でしっかりと貢献。

カルロス マルティネス 6.5 まず守備面でチームを落ち着かせ、得点につなげることができた。1トップに入ってからも基点となり試合を優位に進めた。

高木 大輔 6.0 いきなり相手選手と入れ替わるよくない守備を見せどうなるかと思ったが、その後は運動量を生かして試合を閉めた。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 7.5 ピンチをチャンスに変える見事な演出。個々の選手の特徴を生かして独特なチームを作り上げた。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第39節 東京ヴェルディ対アビスパ福岡 味の素スタジアム イーグランドDAY

4連勝でプレーオフ圏内(6位以内)に浮上してきた東京ヴェルディはホームで自動昇格圏内(2位以内)につける勝点5差のアビスパ福岡との上位対決。今シーズンもラスト4試合。両チーム是が非でも勝ちたいところだ。

前半は福岡がやや優勢で試合は進んでいく。
ヴェルディの攻撃は福岡のダブルボランチに阻まれ前に進めない。そこでボランチを省略してドウグラスヴィエイラ選手の頭を狙った攻撃でゴールに向かうとこれがなかなか効果的。ドウグラス選手は高さはあってもワントップ的な選手じゃないイメージだったのにあんなに頑張れる選手になったのだなあ。デカモリシ取らなかったフロントの判断は間違いじゃなかった。
中盤でボールが奪える福岡は両サイドバックもしくは絶妙な間受けを見せるボランチの山瀬功治選手らから多彩な攻撃を展開。ヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手のポジショニングがやや低めなせいか、福岡の駒野友一選手へのプレッシャーが不十分で攻撃を止めきれない。
引いてスペースを作る相手フォワードの動きに対してしっかりマークを離さない畠中槙之輔選手。空いたスペースのフォローに偏りがちな井林章選手と田村直也選手の間に今度は松田力選手が飛び込んでくる。しかし福岡の狙いは田村選手がうまくポジション調整して絶妙に松田力選手の侵入を阻む。
ヴェルディは最終ラインの安定と柴崎貴広選手の好守、渡辺皓太選手のボール奪取からのカウンターなどで押し返すも両チーム得点なしのまま前半終了。福岡は攻撃の時ゴール前から選手がいなくなってしまう傾向があるのでちょっと中途半端かな。

後半に入りヴェルディは2つの変化を見せる。

一つは左サイドの安西選手と右サイドのアランピニェイロ選手の両サイドフォワードのポジションを入れ替えた。前半福岡の右サイドバック駒野選手に安西選手がプレッシャーをかけきれなかったのと、ヴェルディの左サイドバックは安在和樹選手なので攻撃もいいんだけど右サイドバックの田村選手はちょっとセンタリングに臆病になってる風だったので、ストライカータイプのアラン選手よりウィンガータイプの安西選手と組ませた方がバランスが良くなるし福岡左サイドバックの亀川諒史選手に対して裏をつけるとかオーバーラップさせずに攻撃を封じるとかそういう作戦だったと思う。

もう一つは、中盤の3枚の位置を少し下げてインサイドハーフの二人を福岡のボランチ周辺に配置したこと。前半はインサイドハーフがワントップのドウグラス選手に近い位置にいたせいか縦パスの選択肢が少なかったしそもそも福岡のボランチに引っかかってボールが前に進まなかった。そこを福岡のボランチの周辺で一度ボールを中継することで福岡の中盤に引っかからずにボールがフォワードまで運べるようになった。福岡は城後寿選手がフォワードやってたんだから中盤に下がってあげればよかったんだけど、そういう対応はしてこなかったのでアンカーの内田達也選手を含め数的優位でボールが回せるヴェルディは後半一方的に攻める形になった。

しかし、ボールが回せる分余裕のあるサイドからの攻撃に偏り過ぎて福岡ディフェンスが慣れてしまったのか最後で踏ん張りを見せる福岡ディフェンスラインを崩し切るには至らず、惜しいシーンは作ったものの得点できないまま試合終了。前半27分ドウグラス選手の抜け出しにユニフォームを引っ張った福岡の岩下敬輔選手にカードが出なかったシーンがこの試合一番のハイライトだったかもしれない。後半のアディショナルタイム5分は少し短かった印象。キーパー倒れてたからね。

試合の中で柔軟に修正を見せたヴェルディは強さは見せたものの勝ちきることはできなかった。たぶん真面目な選手が多くて監督の言うことを確実に表現した結果培った強さだと思うけど、今日の試合に限ってはゴール前では相手の想像を超えるような発想力がもう少し必要だったのかもしれない。J1昇格のために、強くなっているこのサッカーをさらに進めるために、今のものに加えて更なる力で残り3試合(+昇格プレーオフ)を勝ちきってほしい。

 

柴崎 貴広 7.0 ビッグセーブでチームを救う。昨シーズンまではビルドアップに消極的だったけど、今シーズンは普通に組み立てに参加している。何で今までやらなかったんだろう。

井林 章 6.5 安定した守備を見せる。ロングキックも正確。

畠中 槙之輔 6.0 前半ややミスパスが多くリズムを崩した面がある。守備の選手として穴が少なくなオールラウンドプレーヤーへと成長しつつある。

安在 和樹 6.5 豊富な運動量で攻守に貢献。プレイスキック含めラストパスとしてみると少し不満が残る部分もあった。前を向いたままのセンタリングをもう少しチャレンジしてもいいかもしれない。

田村 直也 6.5 ポジショニングが引っ張られがちな井林選手に声をかけてポジションを未然に修正。走り込む選手をいち早く見つけケアしていた。オーバーラップした時シュータリング上げればゴールに入るかもしれないからミスを恐れず積極的にプレーしてほしい。

内田 達也 6.0 アンカーのポジションとしてはロングパスがやや不安定。周りに技術の高い選手が多いのであまり無理をせず後半のようにプレッシャーの少ないポジションから確実にボールをつなげてほしい。

渡辺 皓太 7.5 驚異のボール奪取能力。パスが少し狭いが、そんなこと気にならないほどの力を発揮して見せる。

梶川 諒太 6.0 技術が高いのでボールがよく収まり無難に繋げるが、多少リスクがあってももう少し縦パスを狙うべきだと思う。守備もやりながら前線の仕事まで担うので大変だと思うけどできる選手だと思うので頑張ってスーパーマンになってほしい。

安西 幸輝 6.0 若いんだからもう少し思い切りを見せてもいいんじゃないか。プレーは確実に相手に脅威を与えている。

アラン ピニェイロ 6.5 驚異的なスピードでゴールに迫る。裏に抜けられないときはもう少しディフェンダーから離れるようにすればシュートが打ちやすくなると思う。

ドウグラス ヴィエイラ 7.5 あんなに献身的にボールに執着してくれる選手だという印象がなかった。彼がいればどんな相手でも互角以上に戦えるだろう。彼がいなければ前半のうちに福岡のショートカウンターの餌食になっていたはずだ。

井上 潮音 6.0 技術の高さでうまくボールを捌いていた。ゴールに向かうプレーも見せたかったが、チームとして形になっていたから今日はこれでよかったと思う。

カルロス マルティネス 6.0 相手を背負うことなくボールに触れるようになったので活躍できるようになった。ワントップはやりにくそうだがドウグラス選手と2トップ的に起用しても面白いかもしれない。

高木 善朗 6.0 出場時間は短かったがしっかりチャンスに絡む。一瞬で突破できちゃう選手なので、やはり前線で起用すると面白い。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 6.5 ハーフタイムに見事にチームを修正し後半はほぼ一方的に攻め立てた。点は取れなかったけどしょうがない。中盤を厚くした結果試合を優位に進めたので間違いではなかったのだが、中盤より前線を厚くする方法があったような気はするが、これは後出しじゃんけんなので、国民総監督論者の戯言としてほしい。

蹴球

JFA公認C級コーチリフレッシュ研修会 2017明治安田生命J1リーグ第26節 FC東京対ベガルタ仙台 味の素スタジアム

日本サッカー協会(JFA)公認指導者ライセンスは取得後リフレッシュ研修を一定程度受講しなければ資格が失効してしまいます(C級以上)。日頃仕事があり、休みの日はコーチ(監督)をしている立場としてはリフレッシュポイントを稼ぐのが難しかったのですが、今回たまたま近く(味の素スタジアム)でJリーグの試合を見ながらポイントを稼ぐ機会と遭遇し、日程的にも余裕があったので受講してみました。

台風が近づき小雨の降る中、集合場所は雨に濡れないユーロスポーツ前。特別なADカードを受け取り、勝手知ったる関係者入口まで屋根の下を移動。いつもに比べて人が多いなあ、さすがJ1だ、などと感心しながらインタビュールームで1時間の講義。

まず初めに連絡事項。本日のスケジュールに加えて、リフレッシュポイント取得に当たって実技や指導実践のあるものも利用してください、とのこと。受けてみたいけど、いつやってるのかなあ。

そして注意事項が二つ。

1、講義パワーポイントスライドの写真撮影及びSNS等への投稿の禁止。
今日の試合の簡単な戦術解説として、どういうスカウティングがあるとかどの選手が期待(注意)とかどういう戦術を企んでいそうかとか、などあったからだと思うけど、FC東京は公式戦5連敗中でこの2試合は4、5点失点して監督交代した直後だったし、関係者はナイーブにならざるを得ずちょっと気の毒だった。

2、観戦中のアルコール摂取、アウェイチームのグッズ露出の禁止。
観客席で他のお客さんに混ざって観るので売り子さんたちが普通にビールを売りに来る。最大の難関でした。こっそり普段使ってるヴェルディグッズをそのまま身に着けていたけど、外から見てわかるものじゃないからセーフ。

講義が始まって最初の議題は、「連敗中のチームの指導者として、どのような声掛けをするか」というタイムリーな話題。そういえば負けが込むチームにいたことないなあ。鶴B以外。選手が混乱しないように役割をなるべく減らしてシンプルに一つ一つできることを丁寧にやることかなあ、などと書いておく。

よく「指導は促すだけで指示してはいけない」みたいなことを言う人がいるんだけど、指導にはコーチングとティーチングがあって、コーチングは選手自身の発見を導く(ガイデッドディスカバリー)視点が必要だけど、そのためにはティーチングで判断する材料を提供しないとただの迷子になりかねない。サッカーは必ずしもすべての試合で勝てるわけじゃないんだけど、やっぱり勝てないと選手は迷うし自信も失う。結果を出すことが一番だけど、試合結果だけではないところにおいて監督が自らのサッカーの判断基準を明確にすることで選手の迷いを払しょくし、チームが勝利に近づくんじゃないかなあと思う。

その後は戦術論がいくつかあって、禁止事項だから書けないけど、コーチングライセンス取得時の講義では戦術論は個人戦術程度しかカリキュラムにないので、試合を通した戦術論はもっとやってほしいと思う。サッカーの目的は勝利であるべきで、勝利を目指すから練習があるべきなのだから、試合での勝ち方を指導者はもっと知る必要があるはず。これを言い出すと今度は勝利至上主義の問題が出てくるから程度が難しいのだけれど。

講義が終わるとスタジアムに移動して試合観戦。ありがたいことに雨に濡れない席を用意してもらう。早めに席に着いたのでウォーミングアップから見学。最近は体幹の血流を促すのが主流らしい。個人的にはじっくりゆっくり引き伸ばしていきたいタイプなんだけど、もう時代遅れかな。アルコール禁止なのでトイレに行くこともなく集中して試合に臨む。

試合は仙台が技術のあるボランチを中心にテンポよくボールを回して試合を優位に進める。FC東京は左右にプレスを仕掛けるもうまくはまらずボールは逆サイド空いているところを付かれてしまう。

FC東京ははじめ高萩洋次郎選手アンカーの橋本拳人選手、東慶悟選手インサイドハーフなのかなと思ってたけど、ダブルボランチの仙台に対して数的優位になるにもかかわらず前(裏)にパスが出せないので攻撃時に高萩選手が最終ラインまで落ちたり橋本選手とのダブルボランチにして大久保嘉人選手を中盤に下げたり工夫してたっぽい。でも、東選手にボールが入ったとき仙台の3バックの一角が前に出て最終ラインにスペースができて大久保選手あたりが裏に走り込むそぶりは見せてたんだけど肝心の東選手が裏を意識できていなくて、ただのボールポゼッションに終始してしまい、1トップっぽくなってた永井謙佑選手はあまり裏に走る気もなさそうで、攻撃はほぼほぼ機能していない感じ。守備ではテンポのいい仙台ボランチの球回しについていけず、サイドバックは仙台3トップにくっついてスペースを空けてしまい仙台サイドバックが上がり放題。ボールの出どころも行く先も抑えられずどうなるのかと思ってたけど、仙台はボールを回せるタイプの選手がある程度限られている感じで、最後のところまでつながらずどうにも得点にはつながりづらいサッカー。それでも前線が攻め残りすればよかったのかもしれないけど、妙に丁寧に下がって守備するもんだからカウンターも攻撃の形になりづらい。ちょっと膠着状態で後半へ続く。

後半に入ってFC東京は、とりあえず裏にパス出して永井選手がスペースに走り込むかボールに競ってこぼれ球を拾う作戦に変更。縦パスに競ることさえできれば中央にボールがこぼれるので、選手が4人集まれるFC東京は断然有利な展開。その分仙台のサイド攻撃は怖いけど、中央を経由しなければボールが出てこない仙台に対しては有効な作戦だったと思う。サッカーは選手の数は11対11で同数なので、どこかを諦めればどこかを有利にすることができるのです。

そういうわけで外にも人はいるけど中からガンガン攻めるFC東京がペースを握って仙台の決定力不足にも助けられながらコーナーからの得点で1-0の完封勝利。

相手に合わせて中盤の配置やボールの動かし方を柔軟に変化させることができたFC東京と同じやり方に終始してしまった仙台の差は大きかったと思う。仙台はあのサッカーやりたいならもう少しそういう選手を多く配置することはできないのかなあ。

ちなみに、FC東京のゴールシーンでついうっかり立ち上がってガッツポーズしてたのは内緒です。

久々のJ1観戦で楽しんで帰ることができたけど、リフレッシュ研修としては観戦後に試合のポイントをおさらい(共有化)するのもありかなと思う。ただ、これもやっぱり勝利至上主義の問題が関わってくるので、協会というより個人レベルの勉強会のような形でやる方がいいかもしれない。試合中の解説でもいいんだけどそれだと結構せわしないから、映像をどうにかしてJクラブでそういう試みやってくれないかな。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対サウジアラビア代表 サウジアラビアキングアブドゥラー スポーツシティスタジアム

すでにワールドカップ本戦出場を決めている日本代表の最終予選最終戦は勝たなければ出場を決めることができないサウジアラビア代表とのアウェイ戦。
攻撃陣を大幅に変更してきた日本代表はサウジアラビア代表の勢いを止めることができず、0-1で最終予選初戦以来の敗戦となりました。

日本代表は1トップにケガの大迫勇也選手に代えて岡崎慎司選手を起用。でも、岡崎選手は良い選手なのですが、高さやスピードや技術が特出しているというタイプではないのでいかんせん1トップはちょっと気の毒なんですよね。ボールが収まらないし競り勝てるわけでもないので、裏へ走る一辺倒に陥る日本代表。ただ裏に走っただけではボールが来てもなかなか一人でどうにかできるものじゃないのでみんなで走っていかなければならない。加えて右のフォワードは走り抜けるタイプではない本田圭佑選手。じゃあ誰が代わりに走り抜けるかといえば、それはサイドバックの酒井宏樹選手。左サイドはまだ原口元気選手が走ってくれますが、やっぱりサイドバックは両サイドとも守備に攻撃にと大忙しで運動量が大変なことに。恐らくサウジアラビア代表のサイドバック(特に左)が中途半端なポジショニング取るのでその裏をつく作戦だったと思いますが、選手起用的には暑いサウジアラビアで選ぶ選択肢ではなかったかもしれません。

守備においては4231システムを採用するサウジアラビア代表が中盤で繋ぐスタイルなのに対し、試合開始直後は前線からのプレッシャーでサウジアラビア代表のボランチにボールを触らせず中盤でのリズムを作らせなかった日本代表でしたが、時間が経つにつれて日本代表のサイドのフォワードがサウジアラビア代表のサイドバックをケアするあまり意味のない対応をしてしまいます。別にそういう修正が悪いわけではないのですが、今日の試合では、日本代表は相手の1トップに対して4枚のディフェンスラインで十分対応できているわけです。そこにわざわざさらにディフェンスラインを助けに走るよりも、人数で負けていて自由にボールを回されている中盤をしっかり助けることを優先すべきだったのではないでしょうか。オーストラリア戦では見えるけど使われない弱点を放っておいてうまくいったのですが、今日の試合では見えるけど使われない弱点を先に補って使われている弱点への対応をおろそかにしてしまいました。バランスを崩した日本代表はプレイスキックくらいし攻撃手段がなくなってしまい、運を味方にしなければ勝負にならない試合展開に持ち込んでしまいました。

そうこうしているうちに頼みのプレイスキックでチャンスは作るものの得点はできずに時間が経過してしまい、日本代表はついになるべくして失点してしまいます。

後半18分、暑さや戦術による中盤のスタミナの問題もあり、次第にディフェンスラインを上げられなくなる日本代表。スペースのできた中盤でさらに攻撃を加速させるサウジアラビア代表に対抗しきれず、中央から崩されてサウジアラビア代表が先制。日本代表0-1サウジアラビア代表

どうにもならない日本代表は、岡崎選手に代えて代表初選出の杉本健勇選手を投入するも、ボールが収まらず攻撃は機能しない。

終盤はパワープレーに出るも逆にサウジアラビア代表のカウンターを浴びる展開の中、追加失点は免れたもののそのまま試合は完敗。サウジアラビア代表が強かったとはいえ、今までの日本代表の流れからするとちょっと残念な試合結果でした。

フォワードが競り勝てるわけではない選手起用で1トップ、恐らくだからこその擬似的な3トップをイメージしていると思いますが、サイドのフォワードに守備の役割が多すぎますし、サイドバックに頼るのはスタミナ的に限界があり、特に暑い中ではチームとしてなかなか機能しません。守備面を主に起用されているであろう中盤では攻撃を効果的に組み立てるには至らず、守れない攻められないの構成となってしまいました。いつもより役割を多く担っていたサイドバックもどうしても最後はスタミナ切れ。センターバックはコンビネーションを見せラインを高く保とうとしているようには見受けられましたが、中盤が機能しなければどうしようもないものです。試すには絶好の機会だったと思いますが、ダメだったということしか分からない収穫の少ない試合となりました。

これから世界に出るには当然中盤の守備は重要なので、中盤をコンパクトに厚みを持った戦術が必要になると思います。フォワードについては一人で走り込ませるのは限界がありますので、コンビネーションでスペースを作りながら裏に走り込みたいところです。守備面ではマークの受け渡しに難があるようですので、修正ができないようなら後ろから前に出られるように3バック(5バック)などのシステムに変更してみてもいいかもしれません。今日はまだアジアでの戦いであり、日本代表はワールドカップ本戦への出場権を得たので、今日の試合を以ってどうこうということはありませんが、やはりこれから世界で戦うためにまたそこでの勝利に向けて改めて邁進してもらいたいところです。

 

川島 永嗣 6.5 失点は喫したものの、ビッグセーブもあり、センタリングへの対処では安定したプレーを見せていた。

昌子 源 6.5 ラインを高く保とうとしていたように見受けられたが、チームとしてやり遂げることはできなかった。失点シーンでは通させてはいけないパスを通させてしまったが、それ以外ではフィード面も含め安定したプレーで貢献していた。

長友 佑都 6.0 繰り返すオーバーラップでチームに貢献。守備時に裏のスペースを空けてしまい狙われていた。チームとして誰に裏を任せるかはっきりして前に出るようにしてほしい。

酒井 宏樹 6.5 攻守に貢献。今日のようにセットプレーしか得点機を見出せないときは高さにも期待したい。最後はさすがにスタミナ切れだった様子。

吉田 麻也 6.0 カバーも適切で頼りになるセンターバックだが、やや集中にかけているようなところが見受けられた。

井手口 陽介 6.5 攻守の切り替えが早く、ロングキックも正確。みんながカバーを期待してくるから大変そう。

柴崎 岳 6.0 独特のボールタッチでリズムを作るも味方と合わないことが多かった。正確なプレイスキックはこの試合唯一といっていい日本の武器だった。結果論ではあるが、中盤でマークにつききれなかったことが失点につながってしまった。

山口 蛍 5.0 ミスが多くあまりチームの力になれなかった。キックは正確なのだが蹴るところが見つけられないことが多い。守備については誰がファーストディフェンダーになるのかの判断を間違えることが多く、中盤で相手をフリーにする原因となった。ただ、マークする相手が決まったときは見事なインターセプトを見せる。ヘディングの強さにもよるが、最終ラインで使った方が良いのかもしれない。

本田 圭佑 4.5 たくさんのミスパスで日本代表を多くのピンチに陥れてしまった。厳しい言い方をすると、無能な働き者ほど恐ろしいものはない。もう少し相手に体をぶつけた方が良いと思う。

原口 元気 6.5 いまいちチャンスを作りきれないが守備でも攻撃でもチームのカンフル剤。ただ、サイドバックが余っている状況では相手のサイドをケアするよりも中に絞って中盤を助けるべきだと思う。監督の指示なのだろうか。

岡崎 慎司 5.0 収まらない、競り勝てないで活躍できなかった。守備では貢献していたが、1トップが攻撃で活躍できなければチームの勝利は難しい。ただこれは岡崎選手のせいというよりは岡崎選手にこの役割を担わせるのが間違っていると思う。守備だって計算できるのだから、強いフォワードと組み合わせることはできないものだろうか。

浅野 拓磨 5.5 オーストラリア戦に比べて落ち着いてプレーできているように見えた。自分がボールに絡むときは張り切るが、相変わらずフリーの味方を見つけることができない。

杉本 健勇 5.0 ヴェルディでのプレーも印象深いので期待していたが、残念ながら競り勝てず、ボールも収まらず、あまり良いプレーを見せられなかった。連携の問題もあるが、ボールを迎えに行き過ぎてプレーの幅を狭くしてしまったように思える。ポスト大迫選手として次に期待したい。

久保 裕也 5.0 シュートシーンはあったものの、推進力がなくあまり活躍できなかった。ボールを止めてから考えているように見える。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.5 この試合の位置づけがよくわからない試合だった。勝利を目指したと考えたとき、アウェイだから裏が空くという想定だったのだろうか。テスト的な意味合いもあったのだろうから次に繋げてほしい。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対オーストラリア代表 埼玉スタジアム2002

勝てば6大会連続のワールドカップ出場が決まる日本代表。同じく勝利で出場が決まるオーストラリア代表をホームに迎えた大一番は2-0で見事日本代表が勝利。これでJFAも20億円失わずにすみました。よかったよかった。

試合は両チーム中盤でミスが相次ぐやや退屈な展開。日本代表はオーストラリア代表に対し最終ラインまでマンツーマンでプレッシャーをかけボールを奪ってショートカウンターを狙うもロングキックで逃げられる。日本代表がロングキックを制していたので日本代表ペースで進みましたが、ハリルホジッチ監督の狙いとは違った様子。たぶん前でボールが取れると踏んでいたのでしょう。ロングキックはいつ事故が起こるかわかりません。もしくは体力的な事情からもともと始めだけの作戦だったのかもしれませんが、日本代表は試合途中で作戦を変更し、両サイドのフォワードがオーストラリア代表の両ワイドをケアする形になりました。

ここでオーストラリア代表は試合を優位に進めることができるようになります。オーストラリア代表の3バックの両サイドはほとんどプレッシャーを受けることなくボールを捌ける。しかも中盤において、オーストラリア代表は3トップの両サイドが中盤に参加するため中盤に4枚選手を配置しているのに対し、日本代表は基本的にディフェンスラインもあまり前に出ず3枚の中盤だけで対応。どうしても中盤でオーストラリア代表(特に長谷部誠選手の反対側)が1枚フリーになってしまう。両サイドバック+中盤一人の3枚がフリーでボールを繋げるオーストラリア代表はやりたいサッカーをやることができたのです。しかし、これが日本代表の作戦でした。

過去何度となく苦しめられてきたロングボールを蹴られたくない日本代表。オーストラリア代表もまた磨いてきたショートパスをつなぐサッカーがしたくてロングボールなんか蹴りたくない。相思相愛の関係だったはずが、日本代表のいらぬ前線からのプレッシャーにより両チームが望まないロングボール戦術に陥りそうな崩壊寸前の両チームの関係。日本代表が前線のプレッシャーを減らし中盤にも隙を見せたことで、両チームが望むショートパスのオーストラリア代表をオーストラリア代表が望む形で復活させたのです。悪い男たちやで。

さらに日本代表は、オーストラリア代表の最終ラインや中盤に選手を置かない分日本代表の最終ラインに多くの人数を配置する事になります。これでますますオーストラリア代表はロングボールを蹴りづらくなり、自分たちが望むショートパスサッカーを自らが選択していたかのように錯覚しながら知らず知らずのうちにショートパスサッカーにさらに引きずり込まれていったのです。ひどい男たちだ。

そういうわけで、試合はオーストラリア代表のペースに見えた日本代表の想定どおりの展開。あとは日本代表がどうやって攻めるかという点ですが、これが難しかった。

ワントップに入る大迫勇也選手にボールは収まるものの守備に重きを置く日本代表は飛び出していく選手が乾貴士選手程度しかおらず、大迫選手は孤軍奮闘状態。オーストラリア代表はショートパス作戦のほか、日本代表の中盤でボールを奪ってショートカウンター作戦も兼ね備えていた(ポゼッションチームは必然的にそうなる)ため、プレッシャーを受ける日本代表中盤は守備的な選手が多かったこともありうまくボールが繋げない。日本代表もオーストラリア代表がショートパスをつないでいるときに中盤でインターセプトしてショートカウンターに移行したいところでしたが、作戦上人数不足もありうまくいかない。ただ、一つだけ、オーストラリア代表のシステムには明らかな弱点があったため、日本代表はうまく得点を上げることができました。

現代サッカーでは通常343ダブルボランチシステム(いまどきアヤックスシステムはアヤックスすら使わないらしい)を採用するとき、守備の際は両サイドのフォワードが下がり541の形でスペースを埋めるのですが、オーストラリア代表のフォワードは守備でもあまり下がらず、サイドの守備はワイドの選手が担当し、その後ろはセンターバックがずれてカバー。ディフェンスラインにカバーに入る他の選手も見当たらず、最終ラインにおいて広い広いグラウンドの横幅を3枚だけで埋めようとするのですからそりゃ無理があります。日本代表は恐らく試合前からの約束事であるサイドからの攻撃+ゴール前でファーに離れていく動きを繰り返し得点のチャンスを伺い続け、見事先制点に結び付けます。

前半41分、左サイド長友佑都選手が一旦切り込んでからファーサイドへのセンタリングに対しタイミングよくマークを外してフリーで走りこんだ浅野拓磨選手がボレーでゴールに流し込みます。日本代表1-0オーストラリア代表

後半に入っても、ディフェンスラインから中盤をメインにサッカーをしようとするオーストラリア代表に対し中盤までは自由にやらせて最終ラインに選手を配置して勝負する日本代表。オーストラリア代表はサイドチェンジや縦パスやスルーパスなどゴールに向かうボールの動きがいずれもイマイチなプレーが続き、狙い通りのサッカーなんだけどボールがゴールに近づかないから狙い通りの結果が出ない状態で時間だけが過ぎていく。

サッカーはミスのスポーツなのでどこかでミスが起こるものです。後半37分、原口元気選手がプレッシャーをかけてオーストラリア代表のミスを誘発。パスを受けて左サイドから切り込んだ井手口陽介選手のロングシュートは見事にゴールに突き刺さり日本代表は待望の追加点を上げます。日本代表2-0オーストラリア代表

自分たちのサッカーが否定されるような試合展開にメンタル面のダメージも計り知れないオーストラリア代表。日本代表は勢いに乗ってオーストラリア代表をシャットアウトし試合終了。いよいよ来年のロシアワールドカップへの出場権を手にすることができたのでした。

サッカーとしては弱点がたくさんあった日本代表ですが、そこを有効活用されないと見込んだ賭けに勝ったため危なげなく勝利を収めました。しかし、ワールドカップ本戦ではこのサッカーは通用しないと思うべきであり、得点パターン(というか攻撃パターン)の貧弱さもこれから改善が必要なのは言うまでもありません。しかし、今日の試合において日本代表の状態とオーストラリア代表の状態を見比べた中では結果を出すための見事な戦略であったといえるものでしょう。

この結果を以て日本代表の未来が見通せるというようなものではありませんでしたが、今できることを確実に全うしたことが最良の結果につながったと思います。この調子でぜひ更なる高みへとつなげていってほしいものです。

 

川島 永嗣 5.5 あまり安定しているようには見受けられなかったが守備機会の少なさもありしっかりシャットアウトで試合を閉める。

昌子 源 6.0 クラブでのプレーのように前に出なかったのは監督の指示か。空中戦にも強く役割を確実にこなす。

長友 佑都 6.5 豊富な運動量は健在。今日の戦術であれだけ攻撃に関われるのはさすが。

酒井 宏樹 6.5 高さも武器に攻守に貢献。外も中もよく守った。後半26分のクリアは日本代表に勝利を呼び込んだ。でもなんだかどんどんセンタリングが下手になっていっているような…

吉田 麻也 6.5 いいカバーリングをしていたがボールを奪った後なんだかドタバタしていた。空中戦でしっかり存在感をアピール。

井手口 陽介 7.5 運動量が桁外れ。小さいミスはあったが終盤までロングキックの精度を維持してチームに大きく貢献。クラブでは蹴るところに迷っているようなときがあるが、代表では思い切ってプレーできているようだ。

山口 蛍 6.0 目の前の相手に対する守備はさすがの一言。足元を狙われるようになって無理しなかったのもよかった。

長谷部 誠 6.5 攻撃ではかなり狙われていたが、例えボールを奪われたとしてもしっかり取り戻す責任感がチームを救った。守備の時オーストラリアのフォワードについていたサイドバックとマークの受け渡しにどうしても時間がかかるためスペースを使われそうだったが、そんな無茶ぶりにも何とか応えてみせた日本代表の皇帝。

乾 貴士 6.5 守備でもスペースをつぶし、攻撃においてもワントップの大迫選手のフォローでしっかり貢献。自慢のテクニックはあまり披露できなかったかもしれないが、チームへの貢献はいつも以上。

大迫 勇也 7.0 孤軍奮闘の中しっかりと役割を果たす。前半は追い越していく選手が少なくミスパスも目立ったが体を張って最後までよく頑張った。日本代表の攻撃は全て大迫選手を経由していく。得点という形ではあまり表れないかもしれないけど日本代表の得点は全て大迫選手のおかげと言ってもいいくらいに貢献している。

浅野 拓磨 5.5 得点は決めたがそれ以外ではチームの足を引っ張る場面が多かった。足が速いせいか普段のポジションの関係か、守備で先にスペースを埋めておくイメージがあまりない様子。攻撃においては自分がボールをもらう動きは多いが、相手ディフェンスを引っ張って味方のためにスペースを空ける動きがほとんどなく、周りがスペースを空けてフリーになっても気が付かずにチャンスをつぶしてしまっていることも多い。

原口 元気 6.0 守備から入るいつも計算できる選手。なぜか海外に行ってから技術的にどうかというようなプレーもみられるのだが、それ以上にサッカー選手として成長しているように思える。

岡崎 慎司 6.0 試合終了間際に投入された意味をちゃんと理解し相手を追い掛け回す。日本代表の戦術が大迫選手ワントップで構成されているため本人のプレーをすると先発起用は厳しいと思われるが、良い選手なので何とか2トップかサイドでの起用を検討してもらいたい。

久保 裕也 5.5 出場時間が短くほとんど試合に関わらずに試合終了。交代出場することでチームに貢献しているんだからこちらもしっかり採点します。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 7.0 オーストラリア代表の基本戦術であるビルドアップに対しあえて穴だらけの対策で挑み、結果的にそこを突かれることなくうまくボールの動きを誘導して勝利を掴み取った。見事賭けに勝った形だが、本人はドキドキものだったのではないか。目に見える(試合に影響しない)弱点に動じることなくサッカーの本質を見極め勝利という結果に拘る姿勢は日本代表の監督として尊敬に値するものだった。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第29節 東京ヴェルディ対V・ファーレン長崎 味の素スタジアム 練馬区サンクスマッチ 銀魂チャイルドDAY

今季初観戦のヴェルディ戦は、現在6位のヴェルディに対し5位とプレーオフ進出を争うV・ファーレン長崎との直接対決。話題になってた3バックを見ることはかないませんでしたが、勝てばオッケー。ヴェルディは見事2-1で3連勝を飾りました。

 

前半2分、「V・ファーレン長崎」って打ち込みづらいな。「・」って全角しか出ないのかな…などとスマホと格闘していたら、いつの間にかヴェルディ先制。パスカットに失敗した長崎はゴール前スペースを空けてしまう。ボールを拾ったドウグラスヴィエイラ(これもなかなか打ち込みづらい)選手は左サイドアランピニェイロ(これもなかなか…)選手にパス。梶川諒太(苗字だけならセーフ)選手の走り込みでフリーになったアランピニェイロ選手は日本代表黄金のカルテット小野伸二選手を彷彿とさせる(右足だけど)シュートでゴールに流し込む。東京ヴェルディ1-0V・ファーレン長崎

その後前半20分くらいまではヴェルディペース。大きいパスで長崎のプレスを無効化し、左右から何度も作り出す決定機。しかし得点には至らない。

体力的な問題なのか、ヴェルディのパスがだんだん小さく各駅停車になり、プレスをかけるものの裏のカバーが間に合わなくなってきて、試合は徐々に長崎のペースに。前線に多くの選手が飛び出し、前後のゆさぶりで最終ラインを突破していく長崎。しかし、ゴール前の競り合いでヴェルディに分があり、攻撃時守備のバランスが悪い長崎はカウンター対策も打てず、惜しい展開の中両チーム得点に至ることなく前半終了。東京ヴェルディ1-0V・ファーレン長崎

後半に入り、短いパスながらも広く正確な展開でサイドチェンジを繰り返し長崎のプレスをかいくぐるヴェルディ。一発の大きいパスで大きく避ければいいのにね、とも思うけど、たぶん選手の適正的にはこっちの方がやりやすいんだと思う。監督の指示かな?

そういうわけでこのままヴェルディペースで試合が進むのかなと思った後半8分、長崎のロングフィードにゴールキーパー柴崎貴広選手と井林章選手が連携ミス。こぼれ球を拾った長崎は無人のゴールに流し込んで同点。東京ヴェルディ1-1V・ファーレン長崎

フィードの段階ではキーパーボールかなと思ったけど、スリッピーなはずのグラウンドなのになぜかワンバウンド目でボールにブレーキがかかっちゃったから、あの時点でキーパーは自重の判断に変更すべきだったと思う。井林選手もキーパーが判断ミスしてるんだから、諦めてコーナーにでも逃げたほうがよかったと思う。実際にプレーしてると大変なんだけど、横から見てたものとしては残念な失点でした。

それでも試合は続く。得点に沸く長崎はサイド攻撃がますます活性化。ヴェルディはサイドバックが前にプレスをかけたときゴール前を残り3枚のブロックで対応するんだけど、サイドバックの裏を狙われた時センターバックの1枚がスライドするとどうしてもゴール前がスカスカになってしまう。そこで普通はボランチが最終ラインに下がるんだけど、アンカーシステムでアンカーが下がったときインサイドハーフがボランチの仕事を約束事にしてるかというと、どうもヴェルディはそうではないらしい。そこでアンカーの内田達也選手は最終ラインにはあまり下がらず中盤のラインを形成。そうしないとバイタルエリアが空いてしまうし、せっかく最終ラインでボールを弾き飛ばしてもこぼれ球を相手に拾われて事故的ピンチに陥ることが多いからだと思うけど、でもゴール前でシュートを打たせてしまっては元も子もない。今日は長崎が前線に選手を多く配置していてもゴール前にはあまり侵入してこなかったしゴール前デュエルで負けなかったからいいんだけど、特にヴェルディ右サイドを突かれた時の守備は不安定さを露呈していたと思う。この部分の解説は後程。

最近は都リーグの試合ばかり見ていたのでJやっぱり面白いなあ、すごいなあと楽しんでいると、ヴェルディにスーパーゴールが飛び出す。笑う門に福は来るのだ。

後半15分、右サイド細かいパス交換でプレスをかいくぐったヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手が空いたスペースをドリブルで伺う。この試合何度も縦の突破を見せていた安西選手はここでは切り込んで左足のシュートを選択。ペナルティエリア外からのシュートは絶妙なコントロールでポストの内側を叩いてゴールネットに吸い込まれる。ヴェルディ勝ち越し!東京ヴェルディ2-1V・ファーレン長崎

その後は高さのないヴェルディに対してハイボールで攻め込みたい長崎だが身長の割に強さを見せるヴェルディゴール前を制することができず、ヴェルディも特に修正できた感じはなかったけどそれほどピンチに陥ることなく、時折効果的なカウンターを見せながら試合終了。やった勝った、3連勝!東京ヴェルディ2-1V・ファーレン長崎

というわけで、システム解説の続き。ヴェルディの今のシステムは433と表記されることが多いようだけど、狙っているのは4141に近いと思う。433といえばバルサが思い浮かぶし、左右の違いはあれど左サイドにアランピニェイロ選手を配置しているから特徴的には似ているんだけど、バルサのように守備の時442への展開みたいなのを選手たちは作り出せていない。そこでアトレティコマドリッドが時々やってた4141システムに近くなるんだけど、あのシステム実はディフェンディングサードでは4バックがゴール前を固め、サイドはサイドハーフが担う。だからアンカーは最終ラインに戻らなくていいんだけど、ヴェルディの場合は両サイドハーフ(フォワード)が下がる4141だけどサイドバックも高い位置でプレッシャーをかける昔ながらのスタイル。センターバックの一人(もしくはボランチでもいいんだけどヴェルディはそうではない)がサイドバックの後ろをカバーするため、ゴール前は2枚しか残らなくなる。長崎はゴール前1枚、多くて2枚しかいなかったので競り合いで負けなければ何とかなるけど、ゴール前3枚目が飛び込んで来たら誰が見るのか。今日の長崎のように、攻撃時最終ライン近くにボランチ1枚下がって逆三角形からフィードしてくるチームに対しては、今日のようにインサイドハーフがかわりばんこに前に出て自分たちからバランスを崩すような守備をするより、ダブルボランチにして守備も頑張れるフォワードかトップ下に長崎ボランチへのプレッシャーをかけさせた方がフィード自体を止めることもできるしサイドへの守備も役割分担が進むし最終ラインのカバーも入りやすくなるような気がする。インサイドハーフが前に出ることで逆に最終ラインの前が空いてしまい内田選手が下がりづらくなる悪循環もあるような気もする。この形でやるのなら、インサイドハーフがボランチの位置に下がる約束事も必要なのだと思う。

あわせて、攻撃への切り替えでやはり1トップは制限が多い。ドウグラスヴィエイラ選手はそれほど攻守の切り替えが早いタイプではないから、ボールを奪った瞬間にボールを前に運べなくなることが結構ある。カルロスマルティネス選手に至っては、ボールがなかなか収まらず攻撃が形にならないことが多い。1トップ的選手が見当たらない中では、やはり2トップの関係性の中で前線に基点を作った方がいいような気がする。とはいえ、ドウグラスヴィエイラ選手とアランピニェイロ選手の2トップはデメリットが増すだけのような気がするし、アランピニェイロ選手をサイドハーフに据える442が機能するかどうかは冒険でもある。梶川選手と渡辺皓太選手の運動量は2012シーズンの梶川・和田拓也コンビを彷彿とさせるが、あの時も8月の暑い時期体力的に厳しくなり負けが込んだ印象がある。

幸い得点を奪える選手がいるのだから、暑い時期は個人に得点を期待して現在のシステムで守備面の修正を加え、涼しくなってきたら攻撃面に手を加えていくのが、現実的なチーム編成なのかもしれない。

今日勝ってヴェルディはプレーオフ圏内の6位をキープ。自動昇格の2位まではまだ少し離れているけど、長いシーズンの全体を見ながら、シーズンが終わったときにいい結果が出ていることを期待したいものです。

 

柴崎貴広 5.5 失点やフィードなど酷いミスと言わざるを得ない部分が散見。しかし、ハイボール処理などで堅実な守備を見せ勝利にも大きく貢献した。

田村直也 6.0 豊富な運動量でチームに貢献。パス制度がいまいちかな。1つ目のファールはPKっぽかったけど、2つ目は合わせ技一本を狙ったのかもしれないけど貰いに行き過ぎ。カード貰わなくて良かった。

井林章 6.0 失点の判断ミスは酷かったが、それ以外では安定した守備を見せる。空中で止まっているように見えるのでよく目立つ。

平智広 7.0 強さを発揮し攻守両面で活躍。左足のフィードはチームにリズムをもたらした。

安西幸輝 7.0 よく走り、よく仕掛け、よく決めた。守備もやるので偉い。足も速い。

渡辺皓太 6.5 豊富な運動量とミスの少ないプレーで計算できる選手。計算できちゃうので想像を超えるプレーが見せられるようになるとステップアップできるかもしれない。

内田達也 6.0 インサイドハーフが前に出た後一人で中盤をカバーするというシステム的に無理がある中でもよく頑張った。でも無理だった。フィードが正確なので、大きいパスにも期待したい。

安在和樹 5.5 体を張って気合を見せる。最終ラインで一人残ってしまいがちで、そこをつかれたらやばかったけど、今日はつかれなかった。

アランピニェイロ 7.0 足速い。あのロングシュートもすごかった。このまま守備も攻撃も頑張ってほしい。

梶川諒太 6.5 前線までよく駆け上がっていたが、途中で疲れちゃったかな。暑い中お疲れ様でした。

ドウグラスヴィエイラ 6.5 1トップの制約の中それなりに起点づくりに成功。守備も頑張るのでいいのだが、その分攻撃に切り替えられないことがあり、チームとしてもう少し守備の負担を減らしてあげたい。

高木善朗 6.5 技術があり間受けもできるのでチームにリズムをもたらすことができる。なんだかんだで一人でフィニッシュまで持ち込めるすごい選手。

カルロスマルティネス 5.0 ボールが収まらずあまり機能しているとは言い難い。1トップなのでボールの受け方にもう少し工夫が必要。取られたら取り返そう。

橋本英郎 6.0 出場時間が短い中でポジショニングやボールの出しどころ(奪われどころ)に賢いプレーを見せる。サッカーは11人だけで戦うのではないのです。

ロティーナ監督 6.5 攻撃面では修正できたけど、守備面はちょっと微妙。長崎の攻撃はボランチ→ワイドかセンターバック(もしくは開いたボランチ)→フォワード、もしくはフォワードの裏という形の中でボールの出所にもパスの到達先にもあまり修正が見られなかった。ゴール前で負けてなかったから守備の修正よりも攻撃を修正することでショートカウンター対策や守備の回数を減らすことを主眼にしていたのかもしれないけど、ゴール前まで運ばれてしまうと事故でも失点してしまうので、もうちょっとなんとかした方がよかったと思う。でも勝ったからよし。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対イラク代表 イランPASスタジアム

ボールは疲れない。
空飛ぶオランダ人が遺した言葉は本当だった。ボールは疲れないけど、人は疲れるのです。

日本代表のディフェンスラインの裏や中盤とディフェンスラインの間などのスペースを効率的に使ってくるイラク代表に対して、日本代表は時々大迫勇也選手目掛けて放り込むこともあるけれども基本的には目の前の味方に細かくつないでいく「自分たちのサッカー」
攻撃が狭く、球離れの悪い選手が多く、体の向いている方向にしかパスが出せない日本代表の攻撃はイラク代表にとっては恐らくは組し易い展開だったでしょう。最終ラインで体を張って守れたことで日本は負けずに済んでよかったと思います。

試合は、トップ下に入った原口元気選手を筆頭にパスミスが多い日本代表に対して作戦通りにボールを運んでいるであろうイラク代表という展開。しかし、日本には大迫選手がいた。抜群の能力を活かし日本の攻撃を活性化。前半8分、イラク代表ゴール前まで押し込んでいた日本代表はコーナーキックから本田圭佑選手の絶妙なボールに大迫選手が頭で合わせて早くも先制。日本代表1-0イラク代表

イラク代表は41311みたいな変則的なシステム。守備時は442や433、451など日本代表に合わせて柔軟に変更し、攻撃時はボランチと左サイドハーフが時にはセンターバックの位置まで降りてスペースを作り、左サイドバックが空いたスペースに侵入し、センターバックが左に開いて展開していく形が約束事になっていた様子。ワントップの日本代表は最終ラインまで入り展開するイラク代表のボランチと左サイドハーフとセンターバックを誰が見るのかはっきりせず、技術のあるイラク代表の選手たちにフリーでプレーされてしまう。イラク代表はスペースを作った左サイドから右サイドをフィニッシュ地点として日本代表の左サイドバック長友佑都選手の頭の上を狙う作戦。実際に得点にはつながらなかったものの日本代表のことを良く研究していたのだと感心。

日本代表はせっかくダブルボランチにして中を閉じていたし、サイドバックが前にプレッシャーをかけてセンターバックが積極的に前や外へ出てしまってよかったと思う。このあたりは暑さ対策とシリア戦でサイドバックの裏をつかれた反省だったのかもしれないけど、結果的にはちょっとシリア戦がもったいないことになってしまった。

後半に入ってウィングがイラク代表のサイドバック(主に左)を見る約束になった様子の日本代表。しかし、ボールの出所には相変わらずプレッシャーをかけることができず、結局振り回される展開は変わらず。しかし、イラク代表も完全に裏をつけているわけではなく、押し込まれることさえなければ事故も防げて守りきれるはずだった。そう信じてた。

暑さのせいなのか、コンディションの問題なのか、理由はいろいろあるのだろうけれど、日本代表の選手がバタバタと倒れるようになってしまった。治療のため数的不利で戦う時間の増える日本代表。次第に選手たちは気持ち的に守りに入ってしまう。ディフェンスラインが下がり、中盤にスペースができる。守備のエリアが下がり日本のゴール前までボールを運ばれることが多くなってしまう。失点は必然でした。

後半27分、間で受けるイラク代表に対してスペースが広すぎて誰もプレッシャーをかけることができない日本代表。ボランチの遠藤航選手が裏を取られてしまい、ボールはもつれるようにディフェンスラインの裏へコロコロ。日本代表は深いラインを敷いているのでペナルティエリア内でディフェンスラインの裏に出たボールはキーパーが処理するのが基本だと思うけど、中途半端なところにボールが残ってしまう。残念ながら吉田麻也選手とキーパー川島永嗣選手のコンビネーションも狂ってしまい、慌てて川島選手が前に出るもボールをつかみきれず。こぼれたボールを押し込まれて同点。日本代表1-1イラク代表

その後イラク代表の前線の足が完全に止まり、失点のリスクが低くなった日本代表はスカスカの中盤を攻めてチャンスを作り出すも技術的なミスが多くシュートをゴールに飛ばすことができず。けが人続出の中、何とか終了のホイッスルまでグラウンドに立ち続け、同点で試合終了。とりあえずはワールドカップ出場に向けてまた一歩前に進むことができました。

日本代表はサイドチェンジや一人飛ばすパスを出せる選手がいなかったのが大きな不利に働きました。せっかくダブルボランチにしてもサイドバックもセンターバックもあまり前に出ないのでウィングが下がらざるを得ない。だったら岡崎選手をウィングで使って動き回らせた方が良かったと思います。自分たちのサッカーもいいけど、もう少しサッカーの本質に近づくことも必要ではないでしょうか。サッカーはボールをつなぐスポーツではなくてゴールを奪い合うスポーツ。こういう経験を確実に日本のサッカー文化醸成に繋げていきたいものです。

 

川島 永嗣 5.5 ピンチ自体は少なく安定したディフェンスラインを構築していたが、失点の場面はロングシュートを狙われだしていたため怖かったとは思うけど結果的にもう少し前目のポジショニングで良かったと思う。期待が大きすぎるかもしれないけど、少し遅れたとは言ってもあのタイミングであればちゃんとボールをつかんでほしかった。

昌子 源 6.5 緊張も解けたようで持ち味を出せていた。ラインコントロ-ルをしつつ裏もケア。これからも期待できる。

長友 佑都 5.5 身長差を狙われていたがよく体を当てて対応していた。ボールを追いかけて中に入ってしまう癖が今日は裏目に出たところがある。久保選手はいきなりで大変だったのではないか。

酒井 宏樹 5.0 守備面ではシリア戦の反省が生かせていなかったが、攻撃面ではよくボールに絡むことができた。後半早々に痛そうにしていたにも関わらず、試合に残った結果チームに迷惑をかけてしまった。

吉田 麻也 6.0 安定した守備を見せていたが、失点に絡んでしまった。キーパーに任せたかったのは分かるが、ああなってしまった以上コーナーに逃げてもよかったのではないかとは思う。

遠藤 航 6.0 守備面でチームに貢献。失点シーンではついていくことができなかったが、全体的にすばやい切り替えでカウンターを防ぎ、守備に入っては楔のパスを入れさせなかった。ボランチなので逆サイドにも展開したいところだが、普段クラブチームでもやっていないことをいきなり代表で求められても辛いところだろう。

井手口 陽介 6.5 チーム事情もあって守備も攻撃も大きな役割を担っていた。本来はインサイドハーフがやるであろう仕事までボランチからするんだから大変だったと思う。お疲れ様でした。

本田 圭佑 6.5 先制のコーナーキックは見事。守備も攻撃もよく走って頑張っていたが、ボールを持ったときにあまり仕事ができなかった。

原口 元気 4.5 あまりにも基本的なテクニックレベルのミスが多すぎた。コンディションの問題もあったと思うが、チームの足を引っ張ってしまった。

久保 裕也 5.0 守備ばかりを意識しなくてはならなかったので大変だったと思うが、次に向けていい経験になったと思う。一皮むけてほしい。

大迫 勇也 7.0 前線で孤軍奮闘。チームとしてもっと大迫選手を単純に使うことを意識しても良かったと思う。

今野 泰幸 5.0 堅実なプレーだったが、経験値からすると、守備の押し上げやボールの出所への対処をチームとして主導してほしかった。プレーとは直接関係ないが、交代を告げられた時、数的不利な状況にも関わらず準備がなかなか進まなくて時間を浪費したのはベテランとしていかがなものか。

倉田 秋 5.5 メリハリのある動きでチームに貢献したが、一人だけでは厳しかったと思う。守備のときボールを追いかけすぎて簡単に相手と入れ替わってしまうのは修正した方が良い。

酒井 高徳 5.0 周りがバテバテ状態の時に交代で入ったのにあまり貢献できず。元々体力は確かなものがあるのだから、ダイナミックなプレーを期待したい。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.0 久保選手にこだわったのは得点を期待したからだと思うが、そうであればあれほどに守備の役割を担わさずダブルボランチに任せてもう少し攻め残りさせることも考えるべきではなかったか。得点を挙げるには守備の時にもある程度の攻撃準備がまた求められるものであろう。イラク代表の変則的なシステムにも対応ができず、けが人続出の中采配も後手後手に回ってしまった。長友選手の高さの不安もあったのだろうがセンターバックを中央に残すことを気にしすぎて守備も押し込まれてしまうし、そもそもどうやって得点を挙げたかったのか分からない。

蹴球 \ サッカー日本代表

キリンチャレンジカップ2017 日本代表対シリア代表 東京スタジアム

東京スタジアムってなんだ?

ワールドカップ最終予選対イラク代表戦に向けた試金石。キリンチャレンジカップと言えば昔は日本代表と外国のクラブチームとが戦う今では考えられない大会でした。代表キャップ数とかも大事なビジネスチャンスなので(サウジとか代表戦やりまくってた)今は代表チーム同士の大会になりましたが、ボスマン裁判以降事実上の外国人枠撤廃が行われている現代においてはクラブチームを呼んだ方が盛り上がるかもしれないね。

さて、試合は4141シリア代表のアンカー脇を使いたい日本代表ですが、香川真司選手の試合開始早々負傷退場の影響もあったのか中盤でのリズムが悪くインサイドハーフがディフェンス間に入ってボールを受けられず常にプレッシャーを受け続けながらのプレー。攻撃がゴールまでたどり着けそうなのは吉田麻也選手や山口蛍選手のロングボールもしくは大迫勇也選手のポストだけという状態。今野泰幸選手に上がるよう指示していたのもボールを受ける場所を空いているスペースにしたかったからだと思う。

シリア代表の攻撃は必ずサイドバックから始まるような約束があるようだから久保裕也選手・原口元気選手のところで潰したかったところですが、両者とも攻守の切り替えが遅く攻撃の起点となるシリア代表のサイドバックはフリーでボールフィードを繰り返し、まるで、あれ、これ練習だったっけ、と勘違いしてしまいそうな攻撃ができていた感じ。日本代表としてはシリア代表のサイドバックをウィングが見られないのであればサイドバックが見ると決めてしまえばまだよかったと思うけどいかんせん中途半端でウィングが寄せられなくて慌ててサイドバッ
クが上がろうとし、そのタイミングで空いた裏のスペースをつかれ押し込まれる。山口選手のカバーもありディフェンスラインで止めることができていたはよかったけど、守備というのはゴールを守る以外にもボールを奪うという目的があり、ボールをなるべく相手ゴールに近いところで奪うことで「(良い位置から)攻撃を開始する」という守備の目的は全く以て達成できず。支配率では日本代表が優位に進めるものの、ボールの位置は日本代表のゴールの方が近い。どちらかといえばシリア代表が想定どおりといった感じの試合運びで前半終了。

後半立ち上がり本田圭佑選手が入ったからか前から積極的に守備を仕掛ける日本代表だがやっぱり個々のプレッシャー自体が弱くシリア代表は日本代表のプレスを交わしボールを運ぶ。ボールを簡単に運ばれるようになり、ショートコーナーから倉田秋選手が交わされてしまい早いタイミングでのセンタリングにヘディングで押し込まれてシリア代表が先制。日本代表0-1シリア代表

追いつきたい日本代表だが相変わらず中盤のリズムが悪くボールが前に運べずじまい。たぶん日本代表は中盤のパス回しとは別に両ウィングがシリア代表のサイドバックを引っ張って外にスペースを作りたいのだと思うんだけどあまりにもウィングが早く中に入ってきてしまうので日本代表のサイドバックがオーバーラップする前にスペースを埋められてしまう。しょうがないからサイドバックが前線に張り出してみたらシリア代表の中盤がゾーンなのに下がりきってくれて、中盤のプレスがなくなってようやく日本代表は中盤でボールが回せるようになる。ラッキー。中盤で展開がうまくいかなくても縦パスさえ出せるようになればもう日本代表のペース。大迫選手経由で左サイドを突破して長友佑都選手のセンタリングから今野選手が詰めて同点。日本代表1-1シリア代表

その後日本代表はサイドバック相手のサイドバックに対し明確に前にプレスをかけに出るようになり、裏の空いたスペースは山口選手に代わってアンカーに入った井手口陽介選手が埋めるという約束事が成立するようになり、それに伴いセンターバックがつり出されることも少なくなって守備が安定。サッカー7不思議の一つにディフェンスラインに人が少なくなることで守備が安定することがあるのです。

その後、乾貴士選手投入で圧倒的な攻撃力を見せつけるもラストパスの精度が低く得点には至らず試合終了。日本代表1-1シリア代表

全体的にコンディションに不安を抱えている選手が多いように感じる日本代表。イラク代表戦では走れる選手、頑張れる選手を多く起用してほしいと思います。
川島 永嗣 6.5 よく足が動いていたのでたぶん調子よさそう。

昌子 源 5.5 初めは緊張していたのかひどいもんだったけど、時間と共にだんだんプレーが良くなってきた。もう大丈夫でしょう。

長友 佑都 6.0 相変わらず自由に動くので時々バランスがひどいことになるからアンカーシステムでお守すると良さが生きる。

酒井 宏樹 6.0 狙いを持ってやろうとしていることはわかる。運が悪かった。

吉田 麻也 6.5 終盤の連続クリアミスはいただけないが、全体的にそれなりの安定性能を見せた。もうチームに欠かせない。

香川 真司 6.0 早く怪我が治りますように。

山口 蛍 6.0 攻撃面ではロングボールに活路を見出す。守備でのカバーリングは見事だが、何もないところで転んでたしあんまり調子が良くないのかもしれない。ちょっと太った気がする。

今野 泰幸 5.5 とにかく球さばきが悪い。中盤から繋ごうとすると今野選手で止まってしまう。シリア代表の中盤は走り込みについてきていなかったから、前線やアンカー脇に持ち前の運動量で突進してほしかった。

原口 元気 5.5 攻守の切り替えが遅くシリア代表にペースを握らせてしまった。シュートには絡んだが、中盤の構成でももう少し顔を出したかった。

久保 裕也 5.0 何をするにもタイミングが悪い。やりたいことはわからなくもないが、手段が目的化してしまっている感じ。

大迫 勇也 7.0 ボールは収まる、振り向ける、守備への切り替えも早い。昔に比べて得点以外のプレーの意識が高くなっていて、得点自体は少ないかもしれないけど悪くないと思う。

倉田 秋 6.0 中盤で唯一機敏な動きを見せる。あまりチャンスに絡めなかったが次に期待したい。

本田 圭佑 6.0 よくボールに絡むもいかんせんミスが多すぎる。インサイドハーフとしてうまくパスが通った時はいいが、ボールロストを繰り返すようだとショートカウンターの餌食。

井手口 陽介 6.5 ディフェンスラインのお守までよく走った。守備が安定した要因の一つ。

乾 貴士 6.5 ドリブルで相手を翻弄。格の違いを見せつけた。でも守備は穴が多いから監督の立場からしたら使い辛いかもしれない。

浅野 拓磨 5.5 あまり持ち味を発揮できず。周りも見えているようだし冷静にプレーできてはいたようだ。

岡崎 慎司 5.0 なにせボールが収まらない。そういう選手じゃないので申し訳ないが、岡崎選手の良さを生かすためにはシステムも含め再考の余地あり。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.5 ボールを前目で奪えない、最終ラインでのボール回しを余儀なくされる、プレイスキックから失点、と前回のイラク代表戦の課題が修正できず。それでも、主力メンバーと経験の少ない選手がわかりあうという目的はある程度達成できたのではないかと思われる。

蹴球 \ サッカー日本代表

FIFAU-20W杯日本2-1南アフリカ

FIFAU-20W杯日本2-1南アフリカ
・試合開始からスピードに翻弄されていた時間に失点が1点だけで済んだのはよかった。時間経過とともに相手の走るコースに入れるようになったので、次戦以降へのいい経験になったと思う。

・ボランチは前には強いが、後ろにボールが入った時のプレスバックや追い越す選手への対応など後ろへの意識に課題を感じる。ゾーンディフェンスの弊害のようなところもあるので修正するとまた別の課題が露呈するのだと思うけど、もう少し意識を高めないと3トッププラスアルファの攻撃には対応できないような気がする。

・フォワードが小川・久保コンビになると、両者とも引き気味になってしまいディフェンスラインを引っ張れず前線での起点も作りづらい。組み合わせを検討した方がいいかもしれない。

・南アフリカのアンカー脇が空いていたので中盤が中に絞って間受けするのはいいが、そこで空いた両サイドを使うタイミングが少し遅い気がする。縦パスが入る前の段階でチーム全員イメージの共有化を図りたいところ。

・全体的に守備において1対1に負け過ぎなきらいがある。初戦の今日はコンディションが整っており組織で守ることができたが、こういう大会は試合間隔が短く徐々に体力的に厳しくなってくるものなので、体力的にプレスが効かなくなった時1対1で負けるようだと難しい試合展開が予想される。今後の新たな課題になってくると思う。

蹴球

2017プレナスなでしこリーグ1部第3節 日テレベレーザ対アルビレックス新潟レディース 多摩市立陸上競技場

途中まで快晴の多摩市立陸上競技場で開催されたなでしこリーグ第3節、首位の日テレベレーザはアルビレックス新潟レディースを迎え2-0で完勝。格の差を見せつけました。

強風の中、風上でスタートした新潟は積極的な守備を披露。532っぽかったけどボールサイドのサイドバックが前に出て442っぽくブロック敷いてコンパクトに高い位置からプレッシャーをかける。

立ち上がり裏抜けの少ないベレーザはボールはキープするものの前線への展開が乏しく中盤で緊迫した展開が続く。

徐々にエンジンのかかってきたベレーザはトップの田中美南選手が躍動。442ブロックっぽく守る新潟はセンターバックがドリブル突破されるとマークがずれてしまいベレーザを跳ね返せない。田中選手の体を張ったプレーでベレーザは最終ラインを突破していきます。

すると前半20分、田中選手がドリブルでこの試合2度目の突破を図る。1度目同様体で止めに入る新潟も今回は一歩遅れてファールの判定。籾木結花選手が決めてベレーザ幸先よく先制。日テレベレーザ1-0アルビレックス新潟レディース

新潟は中盤の攻勢がいまいち。阪口萌乃選手が一人気を吐きベレーザの442システムの弱点である逆サイドにボールが渡ってもその先がうまく作れない。新潟の狙いとしては阪口選手から逆サイドにつなぎ、ファールをもらうか中の上尾野辺めぐみ選手につなぎたかったようだけどなかなかうまくいかない。セットプレーもかなり作り込まれていたからファールしなかったベレーザの選手たちは見事だったと思う。

その後強風の影響かベレーザもボールをうまく供給できないことが続く。完全に5バックになった新潟は田中選手がドリブルで突破してもカバーで対応。そこで田中選手が下がってきたときが新潟の第2の狙いどころ。コンパクトディフェンダーのわなにかかってしまう。前線から少しディフェンス引っ張れば裏を空けられるんだけどなあ。それでも新潟もその先がつながらず、試合はそのまま前半終了。日テレベレーザ1-0アルビレックス新潟レディース

後半に入りさすがに新潟に疲れが見えてくる。特にサイドバックはかなり消耗した様子。風上の前半にリードしておきたかったところ。

後半15分、プレッシャーの少なくなった右サイドから上辻佑実選手が風に乗ってシュータリング。こぼれ球に新潟ディフェンダーがついていけず阪口夢穂選手が頭でつめてベレーザ追加点。日テレベレーザ2-0アルビレックス新潟レディース

左サイドも空いてきて長谷川唯選手がたびたびチャンスメイク。ちょっと籾木選手のパスが雑かな。センタリングが新潟ディフェンダーの手にあたってこの試合2度目のPKも取ったけど田中選手がまさかの失敗。

その後交代で入った植木理子選手が左サイドで無双。新潟はもうついていけない。ヘディングも強い植木選手がらみで更なる追加点かと思った後半33分頃、会場は突然の嵐に巻き込まれる。

もう雨風がすごい。傘刺して見てたけど試合のことはあんまり覚えてない。周り中みんな屋根の下に避難。ベレーザの攻撃は不発に終わり、試合終盤かなり押し込まれてゴール前相手をフリーにもしていたけど、清水梨紗選手がうまく2人の相手選手の間からクリアして試合終了。日テレベレーザ2-0アルビレックス新潟レディース

ちょっとパスが雑でラストパスの精度を上げることができないベレーザ。岩清水選手は一番後ろのプレッシャーの少ないところにいるはずなのにミスパス連発。チーム力の差を見せつけて勝利したけど、サッカーの大事なところで目立たないミスが多かった印象。せっかく強いんだからもう少しサッカーの基本に立ち返って丁寧に勝ち星を積み重ねて3連覇を果たしてほしい。

新潟は上尾野辺選手の起用がいまいち中途半端な印象。どうせなら阪口選手とダブルボランチにして佐山桃子選手と3人でグランド広く展開していってはどうか。その上で上尾野辺選手がフィニッシュに絡めれば最高。特出した選手なのは間違いないが何でもかんでも任せるより試合に直結する仕事を任せるようにした方がいいと思う。

あと審判。どちらかに偏っているというより、プレーに目が追い付いていないようだった。人のすることなのでミスはしょうがないものだが、現段階では今日の審判は少しレベルが低かったと思う。プレーを予測しながら見ることで多くの情報を処理しながら審判としてまたレベルアップしてほしいと思う。