蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対ポーランド代表 ヴォルゴグラードアリーナ

引き分け以上、負けても他会場の結果次第でグループリーグ突破が決まる日本代表。残念ながらこの試合には0-1で敗れてしまいましたが、同時に他会場で行われていた試合でコロンビア代表がセネガル代表に1-0で勝利。日本代表とセネガル代表は、勝ち点、得失点差、総得点、当該チーム同士の対戦成績まですべて同じ数字となりましたが、反則ポイントの差でセネガル代表を上回った日本代表がグループ2位に滑り込み、見事決勝トーナメント進出を決めました。

 

緊張のせいか、はたまた先発6名を入れ替えたせいか、ミス連発で試合にならない立ち上がりの日本代表。ボールを奪われ、縦パスを許し、追い込まれてロングボールしか活路を見いだせなくなってきます。とりあえずカウンターだけは許すな。反則ポイントの関係でイエローカードも怖い。

一方のポーランド代表はこれまでの2戦と変わらぬショートパス攻撃。しかもパズダン選手もいないし、リブス選手もいないし、攻撃の核となりそうな選手をベンチに置いてしまい、コンディションの問題かもしれませんがもしかしたらこれはもう出場機会のための試合なのかもしれません。ジェリンスキ選手をトップにおいてもそこにボールを回す選手が不足しているので、日本代表はちょっとチャンスかもしれません。

それにしてもカメラアングルが悪く試合が見づらいことこの上ない。前線の動き出しやディフェンスラインのバランスが全く見えないしすぐに選手のアップ画像に切り替わってしまうので試合の様子がわかりづらい。コロンビア代表戦もそうでしたが、本当にこの辺り、何とかしたほうがいいと思います。

そういうわけでここから先の戦評には想像の要素がいつもより多くなりがちですが、たぶん間違っていないと思うのでよろしくお願いします。

ポーランド代表はショートパス作戦の他、フォワードがサイドに開きサイドバックとの1対1の局面を作り出して、そこから起点を作ろうとしたように思います。サイドバックの頭めがけてボールが飛んでくるので、日本代表のセンターバックはあまり競ることすらできませんでした。センターバックと争うよりサイドバックの方が弱いことが多く、万が一競り合いに負けてもサイドでボールを失うのでカウンターにはつながりづらい。当たり前のことが徹底できている辺りはさすが世界の強豪だなと思います。

日本代表はいつものように中盤からの展開でスルーパスなどを狙っていきたいところでしたが、せっかく相手がショートパス作戦できているのにこちらの守備のバランスが悪くてインターセプトにつながらず。ビルドアップでは雑なプレーが目立ち、ボールを蹴りやすい体勢を作ることができません。前線にボールが収まらないこともあり、引き分けでもいいという状況も後押ししたのか、ポーランド代表の前線のプレスがほとんどないにもかかわらず攻撃の形を作ることができず、前半は互いにスコアレスで試合を折り返します。

後半に入り、怪我の岡崎慎司選手に代わり大迫勇也選手がピッチに。ちょっと得点も狙っておきたい日本代表はサイドバックも少し上がり気味になるのですが、後ろの方で少し困った状況に陥ります。

後半8分、宇佐美貴史選手のシュートは仕掛けが遅くポーランド代表DFがブロック。ボールを拾ったポーランド代表は楔のパスを入れる。対応に行く槙野智章選手でしたが、あっさり裏を取られ、ポーランド代表のカウンター発動。幸いゴールキーパー川島永嗣選手が前に出て難を逃れるのですが、今シーズンアジアチャンピオンズリーグ含め、裏を取られてスピードで負けることの多かった槙野選手にとってありがたくない展開。以後槙野選手のプレーに迷いが生じ、サイドバックが高い位置を取り始めたこともあって、日本代表のボランチとセンターバックの間にスペースが生まれ始めます。

後半14分、ポーランド代表はショートパスの展開で左サイドへ。山口蛍選手がマークを外して下がってしまい、慌ててプレッシャーをかけるもファールの判定。まだフリーキックからしか今大会で得点していないポーランド代表でしたが、ここもフリーキックからベドナレク選手が右足で合わせてゴール。ポーランド代表が先制します。日本代表0-1ポーランド代表

得点の欲しい日本代表は宇佐美選手に代えて乾貴士選手を投入。しかしここでプレーに迷いがある槙野選手がイエローカードを貰ってしまう。どうしても下がってしまいマークを外しクリアもままならない槙野選手。2枚目のイエローカードが出たら反則ポイントでもセネガル代表に抜かれてしまう。しかし、攻めなければグループリーグ突破できない。しかし、攻めれば食らうであろうカウンターを防ぎきれそうにない。八方ふさがりの日本代表。ここで他会場に動きがあります。

なんと、コロンビア代表が先制したのです。日本代表は、得点をあげなくてもグループリーグ突破の目が出てきたのです。もうこれにかけるしかない。0-1で負けることが今できる最善の手なのです。

そこで日本代表は武藤嘉紀選手に代えて長谷部誠選手を投入。とにかく失点を防ぎ、カウンターを防ぎ、イエローカードを防ぎ、グループリーグ突破を目指します。一方のポーランド代表は、この試合が始まる前からグループリーグ敗退が決まってしまっており、リードしているので無理に攻める必要はありません。日本代表が前線から追わなくなったこともあり、ポーランド代表は日本代表以上にのんびりとしたパス回しを始めます。

もともと前線からのプレスが乏しいポーランド代表がさらにのんびりに。プレッシャーから解放された日本代表のキープするボールは回り続け、そのまま試合終了。遅れて他会場ではコロンビア代表がセネガル代表に1-0で勝利し、日本代表のグループリーグ突破が決定しました。

コロンビア代表対セネガル代表の試合は、2戦目を見た感じではコロンビア代表の勝機は大きいと思っていましたが、実際にはセネガル代表ペースで進んでいたため、交代の隙間を突いたコロンビア代表の得点をそのままセネガル代表が返せずに試合が終わるとは想像しづらい展開でした。日本代表が他会場の試合展開まで確認したうえでの0-1敗戦を選択したのかどうかは疑問の残るところですが、日本代表の状況からはその選択肢しかなかったように思います。

大きな博打でしたが、おかげで選手を休ませ、また経験を積ませることができました。決勝トーナメントでも日本代表の健闘を期待するところです。

 

川島 永嗣 7.0 ミスの少ない安定したプレイ。守備機会はそれほど多くなかったが、ピンチにはビッグセーブでチームを救う。

長友 佑都 6.5 素早い攻守の切り替えからピンチを未然に防いだ。失点したくない試合でも効果的なオーバーラップで攻撃にも貢献。槙野選手との息があまりあっていなかったように思う。

酒井 宏樹 7.0 ロングボールがたびたび飛んできたが、空中戦でも負けなかった。体を張って最後までゴールを守った。

槙野 智章 5.0 相手を振り向かせないところまではよかったが、インターセプトまでは到達できず、裏を取られだすとマークを外して引いてしまいピンチを招いてしまった。クリアボールがほとんど相手につながってしまう。ビルドアップでファーストタッチが良くなく、効果的なフィードができなかった。

酒井 高徳 3.5 リブス選手対策で起用されたのかもしれないが、肝心の相手がベンチ。役割が中途半端になったのか、ほとんどのプレーでミスし、攻守の切り替えも遅く、失点シーンでもマークを外し、酒井高徳選手の特徴である運動量や縦への意識などいいところをほとんど見せることができなかった。守備もできるサイドハーフとしての起用は少し難しそう。

吉田 麻也 7.0 判断良くプレーできた。意外とスピードがあるので思い切ったプレーができる。ファールもいつもより少なめだった。セットプレーでは攻撃でも抜群の制空権を見せた。

柴崎 岳 6.5 いつもよりミスが多かったが、すぐに切り替えて対処しカウンターを許さなかった。勘がいいのか守備での予測も驚異的。

宇佐美 貴史 5.0 ボールタッチは非凡なものを見せるものの、判断が遅く仕掛けに時間がかかり効果的なプレーができなかった。判断の悪さは守備面でも。もっと相手に寄せられるといいと思う。

山口 蛍 4.5 守備の時視野があまり広くないので後ろの状況が把握できず縦パスを通してしまう。うっかりボールに寄ってしまい裏を取られる悪癖も露呈。空中戦ではほとんど勝てなかった。なんでプレイスキックでグリク選手につけさせたのだろう。他にいなかったのかな。挙句の果てにファールで失点にも絡んでしまう。ビルドアップでは雑なプレーで味方を慌てさせる一幕も。

岡崎 慎司 5.5 あまりボールが収まらなかったが、チャンスでゴール前にいる嗅覚はさすが。さぼる時間も長いが頑張る時間は本当によく頑張って走り回る。

武藤 嘉紀 4.5 ボールが全く収まらない。判断が悪くチャンスをふいにしてしまう。乾選手が入って守備が安定したが、せっかく思い通りにボールを追い込んでも武藤選手がさぼっていることでチャンスがピンチになってしまった。

大迫 勇也 6.5 本当にボールがよく収まる。攻守の切り替えも早いのでディフェンスも助かる。いつもと違うメンバー構成でも抜きんでた才能と意識の高さを見せつける。

乾 貴士 6.0 技術にも戦術眼にも優れた才能を発揮。今日はボールがなかなか出てこないのでやりにくかったと思う。中に入ってボールを取られると危険なので、中と外でプレーを少し変える工夫が欲しかった。

長谷部 誠 6.0 ポーランド代表がまだプレッシャーをかけてきていた時は危なっかしいプレーが見受けられたが、統率力でチームをまとめ試合を閉めた。センターバックのできるボランチは日本代表では貴重な存在。

西野 朗 監督 7.0 先発メンバーの選考については議論を呼ぶところであろうが、結果的には一つしか見えなかった選択肢にもかかわらず、その可能性を大きくできたと思う。ただ一つ、大島僚太選手はどうだったのだろうか。起用できない特別な理由があったのだろうか。

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2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対セネガル代表 エカテリンブルクアリーナ

運にも恵まれコロンビア代表との初戦を勝利で飾った日本代表。2戦目のセネガル代表戦は2度リードを許す苦しい展開も2度とも追いつくという底力を見せ、2-2の引き分けでグループリーグ突破に一歩近づきました。2戦目のアフリカ勢相手に0-2敗戦のアトランタからの成長です!

 

それにしても、テレビ中継の仕方というか、選手がアップされる場面が多すぎて試合が見づらい。普段からディフェンスラインのビルドアップ時に前線の状況がわからなくてストレスだけど、今日は特にひどい。よくわからないうちにボールがゴール前に移動している。もうちょっと俯瞰して試合を映してはくれないものだろうか。日本のサッカー文化の醸成のためにひとつお願いしたいものです。

さて、試合はセネガル代表の選手たちが昌子源選手に襲い掛かる形で始まります。いやー、こんなに露骨なことされるとは。勝負の世界とは恐ろしいものです。

もともと体格差もあってボールが入ったら何されるかわからない相手。日本代表はボールをディフェンスラインまで運ばれないようにラインを高く設定して前線からプレッシャーをかけていきます。しかし、セネガル代表もアンカーのA.エンディアイエ選手が最終ラインまで落ちてボールを展開。圧をかけきれない日本代表はボールの出どころもボールの行き先も十分に抑えることができず、次第に劣勢となります。さらに押し込まれて中盤が最終ラインまで下がってしまい、セネガル代表の連続攻撃を許す形に。

すると前半11分、セネガル代表の右サイドからのセンタリングに原口元気選手がクリアミス。セネガル代表左サイドバックのサバリ選手にボールが渡るとクロス性のシュート。ゴールキーパー川島永嗣選手が弾いたボールはゴール前に詰めていたマネ選手に当たってゴール。日本代表不運な形で先制を許します。日本代表0-1セネガル代表

その後も暫く3枚で攻めてくるセネガル代表に対し、7~8枚で守る日本代表。クリアしてもその先に味方がいないので、ボールはセネガル代表に拾われてまた攻められる。辛く耐え忍ぶ時間が続きます。

すると、どうやらたくさん経験値を積んだ昌子選手のレベルが試合中に上がったようで、セネガル代表のニアン選手を抑えだします。安心した日本代表は中盤が下がり過ぎず厚みのある守備体制を構築。セネガル代表も疲れてきたのか前線へのプレスが減りだします。ようやく試合になってきました。

ここから日本代表は攻めに入りたいところでしたが、ワールドカップともなるとサッカー弱小国と目されるであろう日本代表でも容赦なくスカウティングされるようで、日本代表のダブルボランチ+トップ下に対し、セネガル代表はアンカーシステムの逆三角形でマンツーマンディフェンス。日本代表の誇る中盤は抜群のパスセンスを誇る柴崎岳選手、技術と経験を兼ね備えた香川真司選手、コロンビア代表戦よりも格段に前への意識が感じられた長谷部誠選手ですが、さすがにフィジカルに優れた相手にマンツーマンで付かれると辛いものがあります。そこで日本代表は、主に長谷部選手が最終ラインまで下がってプレッシャーの少ないところからパスを出す作戦に移行します。

セネガル代表はポーランド代表戦でも442ゾーンを見せていたようにおそらく普段はブロックを敷いてゾーンディフェンスを基本とするのでしょう。中盤はマンツーマンで日本代表をケアしているものの、ディフェンスラインは4枚のゾーンディフェンス。日本代表の中盤がポジションの形を変更するとどうしてもセネガル代表のアンカー脇にスペースが出来上がる。その空いたスペースを乾貴士選手や大迫勇也選手が使い、彼らが動いてできた新しい空きスペースを今度は原口選手や長友佑都選手が活用。セネガル代表は日本代表の中盤をマンツーマンでつぶすと同時に日本代表のキープレイヤーの一人である乾選手をワゲ選手とB.エンディアイエ選手で挟んでつぶし、大迫選手をクリバリ選手とサネ選手でつぶす作戦だったと思うのですが、セネガル代表の守備の弱点を巧妙についた戦術と、日本代表の連動したポジションチェンジについていくことができず、試合は徐々に日本代表が盛り返し始めます。

そして前半34分、前を向いた柴崎選手から大きく左サイドの裏へフィード。乾選手が(おそらく)空けたスペースに長友選手が走り込む。見事なボールコントロールからボールは乾選手へ。得意の角度から放ったシュートはゴール右隅に収まって同点!日本代表1-1セネガル代表

その後は攻撃面だけでなく、守備面においても柴崎選手が右サイドに流れたことは好影響を及ぼしていて、セネガル代表のストロングポイントであるマネ選手とサバリ選手の二人を酒井宏樹選手と原口選手と柴崎選手の三人で対応することができ、セネガル代表にカウンターを許さず、オフサイドのルール改正で何年も見ていなかったフリーキックからのオフサイドトラップも飛び出し、同点のまま前半を終了します。

後半に入り中盤での無理な構成にこだわることをやめた日本代表。長谷部選手はアンカーに下がり、柴崎選手は右サイドでサバリ選手対策アンドカウンター対処、香川選手は左サイドに低いポジション。セネガル代表の最終ラインはマークの受け渡しがいまいちで裏が空きやすいので、前を向けるようになった日本代表の誇る中盤からはシンプルに大きな展開で決定的なパスが多く供給されるようになります。

そこでセネガル代表は中盤をダブルボランチに変更。日本代表の中盤の形に合わせマークの明確化を図り日本代表のパスの供給を滞らせ、フィジカルに勝るセネガル代表が次第にペースを掴んでいく、はずでした。

しかしここで、ありえないことが起こります。なんと、香川選手が下がることで孤立している大迫選手が屈強なセネガル代表センターバック相手に競り勝つのです。これは予想外でした。こんなことってあるんですね。

おかげで攻められる回数が減り、中盤の頑張りもあってカウンターを受けることは少なく、シュートチャンスまで得ることができた日本代表。早いとこ勝ち越し点が欲しかったところですが、残念ながら得点には至らず。すると中盤のエネルギーが切れてきたこともあって、試合の流れ的にセネガル代表の順番になってしまいます。

後半26分、抑え続けていた日本代表の右サイドが突破されてしまい、低いセンタリング。ボールはゴール前を横切って走り込んだセネガル代表ワゲ選手がシュート。懸命に戻る乾選手も届かず、セネガル代表に勝ち越しを許してしまいます。日本代表1-2セネガル代表

日本代表のペースの時に得点があげられなかったこと、直前に乾選手が自らのミスとはいえイエローカードを受けてしまったこと、柴崎選手が突破されてしまったこと、センタリングをあげさせてしまったこと、ゴール前でクリアできなかったこと、フリーでシュートを打たせてしまったこと、どれか一つでも防げていたら、というところですが、これがサッカーと言うべきか。

リードを許した日本代表は、香川選手に代えて本田圭佑選手、原口選手に代えて岡崎慎司選手を投入。システムを442に変更して得点を狙います。

本田選手はすぐに後ろにボールを返すし攻守の切り替えも遅く、岡崎選手はボールが収まりきらず、セネガル代表のカウンターを発動させかねないなあと思っていたのですが、2トップになったことで前線へのボールの供給もしやすくなった様子。さすがに岡崎選手は普段プレミアリーグでやっているだけあって肉弾戦には慣れているようでした。

後半33分、時間的にもスカスカになってきた中盤をすんなりすり抜けた昌子選手の縦パスは岡崎選手に入って大迫選手に。センタリングに岡崎選手が飛び込むと、なぜかセネガル代表のゴールキーパーがボールに触れずに岡崎選手に激突。流れたボールを乾選手が折り返すとセネガル代表のゴールキーパーはもう一回岡崎選手に激突。岡崎選手はキーパーに何か面白いことでも言ったのかなあ。そのまま転がっていくボールをゴール前フリーで待ち構えていた本田選手がシュート。日本代表再び同点に追いつきます。日本代表2-2セネガル代表

その後はミスが増えた日本代表でしたが、柴崎選手の読みの良さでカウンターを封じ、大迫選手がゴール前で体を張ってシュートを防ぎ、同点のまま試合終了。日本代表2-2セネガル代表

決定機の多さから勝てた試合ともいえるし、全体的には押されていたともいえる試合。押し込まれたときにディフェンスラインが1列になってしまうのは守り切るのにはいいかもしれないけど連続攻撃を許してしまうので、少なくともペナルティアークの辺りくらいはちゃんと抑えておいた方がいいと思います。

あと感じたのは、守備のできるサイドハーフが今の日本代表には意外と見当たらないなあということ。もちろん主には攻撃が役割になるのではありますが。原口選手も頑張れるいい選手なのですが、守備ができるとなると少し違うかなと。柴崎選手をサイドに、というのも一つかと思いますが、それもまた守備というのとは少し違うような。昔はサイドでしか生きられないワイドアタッカー的な選手がいたものですが、ポリバレントが進み過ぎたのかどうも絶滅危惧種となってしまったのかもしれません。中島翔哉選手に気を取られていましたが、もう少し選択肢を広げるやり方もあったのではないかと思いました。

 

川島 永嗣 6.0 1失点目は結果的に良くない判断ではあったものの、目の前にマネ選手がいたことを考えるとまあしょうがないところもある。その後しっかり立て直して勝ち点獲得に貢献。

昌子 源 6.0 パスが回ってくるとセネガル代表選手が一斉に群がる恐ろしい環境。ちょっと心配だったけど取られても取り返す強さがあった。思ったより制空権も取れていて、勝ち点に大きく貢献した。

長友 佑都 6.5 やたら足の速い選手を相手にしていたが、堅実に対応していた。運動量豊富で攻撃でも大きく貢献。

酒井 宏樹 6.5 速くてうまい選手を二人も相手にして大変そうだったが負けていなかった。空中戦でも期待できるので困ったときは助かる。

吉田 麻也 6.5 相変わらずファールは多いが、迫力満点。怖がらずにディフェンスラインを高く保てたのはよかった。

柴崎 岳 7.5 魅力的なパスでチャンスを演出。守備面でもポイントへのパスコースを遮断することで幾度となくカウンターを未然に防いだ。セネガル代表のプレイスキックでトリックプレーを読み切っていたので、ちょっと未来が見えるタイプなんだと思う。

原口 元気 5.5 豊富な運動量で右サイドを駆け巡るが、判断があまりよくなく球離れが遅かったり守備をやりきれなかったりするところがある。本田選手との相性があまりよくなさそう。

香川 真司 6.5 持ち味であるシンプルなプレーでリズムを作る。マンツーマンでついてきたA.エンディアイエ選手を交代に追いやった。味方のためにスペースを作る動きも欠かさずチームプレーを徹底。

乾 貴士 6.5 得点が期待される存在だが、守備面でも絶妙なポジショニングでパスを出させない守り方ができる。やや疲労があるのかミスが多かった。次が心配。

長谷部 誠 7.0 ボランチとして、最終ラインとして、チームを引き締めた。この試合のように前方にボールを運べる時と後ろにしか蹴らない時の差が激しい。意識を高めてチャンスにも多く絡んでほしい。

大迫 勇也 7.5 前線で孤立気味だったのに普通にボールが収まる。彼がいなかったら勝ち点はあり得なかった。変態。

本田 圭佑 5.5 得点できるポジショニングはさすが。ボールロストがあるのはしょうがないけど、攻守の切り替えをもっと早くした方がいいと思う。

岡崎 慎司 6.5 今日はいつもよりボールがよく収まった。新喜劇かなと思わせるようなドタバタ同点劇を生み出した主役。相手に強く当たられた方が得意なのかもしれない。

宇佐美 貴史 5.0 戻らない、カバーしない、遅い、ボールを奪われる、とあまりいいところがなかった。いざボールタッチすると非凡なものを感じさせるだけにもったいない。

西野 朗 監督 7.5 システム変更は博打だったと思うけど、見事に勝ち切った印象。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対コロンビア代表 サランスク モルドヴィアアリーナ

1930年にワールドカップが始まって88年が経過する2018FIFAワールドカップロシア大会。2-1でグループリーグ初戦を勝利を飾った日本代表は、史上初めてのアジア勢として南米の代表チームに勝利するという歴史的偉業を達成することになりました。

 

試合は開始早々動きます。前半3分、裏をしっかりカバーしながらセンタリングに対応した昌子源選手のヘディングは香川真司選手へ。ダイレクトで裏に流すと大迫勇也選手が競り勝ってシュートチャンス。抜け出して打ったシュートは残念ながらキーパーにセーブされるもパスアンドゴーで走り込んでいた香川選手がいち早く追いつきそのままダイレクトシュート。キーパー不在のゴールマウスに向かうボールをコロンビア代表のカルロスサンチェス選手が腕でセーブ。反則を認めた審判は、ペナルティキックとレッドカードの提示。コロンビア代表から見直しの訴えがあるも判定変わらず、前半6分、香川選手がペナルティキックを冷静に沈め、日本代表先制!さらに一人多い状態で残り84分を戦えることになりました。日本代表1-0コロンビア代表

一人減ってしまったコロンビア代表はキンテロ選手がボランチに下がって441に修正。対する日本は、ハリルホジッチ監督時代の3トップ気味433ではなく、香川選手が前線大迫選手に近く位置する4411に近いシステムで対応。そして今までと大きく違うのは、ボランチに柴崎岳選手がいること。
これにより、パスセンスに優れる柴崎選手から前線にボールが渡る。大迫選手は近くにいる香川選手と連動してゴールに向かうことができる。両サイドハーフが今までより引き気味になるものの、その分空いたスペースを幅広く大迫選手が基点作りに活用。香川選手が前線にいることも大迫選手がサイドに流れやすくなった理由の一つだと思います。西野朗監督になってからの練習試合含め、今までできていなかったことがかなり修正されてきたようです。
その分今まで3人で守っていた中央を2人で守らなければならなくなる時が出てくるのですが、少しポジションが下がった両サイドからカバーできるのと、グループリーグ3戦の相手チームはそれぞれあまり中央をゴリゴリ来るタイプではないのと、守備の時は大迫選手まで戻って全員で守る徹底ぶりでそれほど問題にならず。今まで先発起用だった槙野智章選手は最近裏を取られ過ぎて逆に前に出ることもできなくなっていましたが、昌子選手と吉田麻也選手は前にも出られるタイプで両サイドハーフが今までより低い分両サイドバックも中央のカバーがしやすく、穴になりかねない中央を逆にボールの取りどころにするほどの充実ぶり。後怖いのはビルドアップにおけるボールロストからショートカウンターというところかな。

と思ったら、ボールロストではないけど、長友佑都選手のクリアがミスで自陣ゴール方向へ。長谷部誠選手が落下地点に入るも、コロンビアの選手に押されて転倒。するとなぜか日本のファール。ちょっと厳しい判定。

コロンビア代表の直接フリーキックはキンテロ選手。ゴールキーパーの川島永嗣選手は壁の選手に「飛ぶなよ、飛ぶなよ、絶対飛ぶなよ」と指示していたみたいなので、素直にジャンプする壁の選手たち。するとボールは壁の下を抜けていく。何とか川島選手の手がゴールライン上でボールに届くも掻き出すまでには至らず、コロンビア代表が同点に追いつく。その前のフリーキックにおいて日本代表の守備のマークが曖昧だったのも川島選手の反応に影響していたかもしれない。日本代表1-1コロンビア代表

もともと格上相手、相手は一人少ないわけだし、同点に追いつかれても慌てることはない。慌てることはないんだけど、慌ててしまう日本代表。ボールの動きが悪くなり、ただただ焦りだす。しかし、直前のスイス戦では縦パスの意識が見られた長谷部選手がいつものように後ろにしか蹴れなくなり、中盤がボールを捌けないので香川選手が下がってきてしまい、中盤は大混雑、前線は連動せず。攻撃の悪いリズムは守備にも響き、原口元気選手は悪い癖でボールによってしまい、外れたマークに裏を突かれてどうなるかと思ったら、なぜか今度はアディショナルタイムがわずか1分で水が入る。助かった。

ハーフタイムで修正した日本代表。人数不足もあって前からのプレッシャーがあまりないコロンビア代表に対し、プレッシャーの少ない最終ラインからのビルドアップを図る。コロンビア代表が柴崎選手をケアするのを逆手にとってマークをずらしていく日本代表。コロンビア代表が中途半端に柴崎選手を気にし過ぎていたのは日本代表を楽にしたように思います。

ディフェンスラインから中盤のビルドアップが安定してきた日本代表は香川選手が高い位置にいられるので大迫選手からの落としがスムーズに繋がる。押し込む日本代表。しかし得点には至らず。増えだすコーナー。しかし、柴崎選手のプレイスキックは正確過ぎて大体同じ位置に飛ぶのでキーパーに読まれだす。相変わらずコロンビア代表のコーナーキックでマークがつききれてないディフェンス。どちらに得点が入ってもおかしくない展開で日本ベンチが動く。後半25分、トップ下の香川選手に代えて本田圭佑選手を投入。これが副産物を生み出す。

後半29分、怒涛の攻撃から得たコーナーキックを蹴るのは柴崎選手ではなく本田選手。この試合で本田選手が初めて蹴ったコーナーキックにコロンビア代表ゴールキーパーが予測を外す。キーパーの守備範囲のはるか手前で落ちたボールに対し大迫選手がディフェンダーにうまく体を当てて競り勝ち、放たれたヘディングシュートはポジショニングを修正できないキーパーを交わしてポストを弾きゴールに吸い込まれる。日本勝ち越し!日本代表2-1コロンビア代表

その後本田選手や長谷部選手の中途半端なプレーからピンチの連続も大迫選手や原口選手が体を張ってブロック。今大会の特徴としてフォワードの選手がゴール前で体を張って守ると勝つ傾向があります。いい感じです。

本田選手も香川選手のようにトップに張ればよかったと思うのですが、引いたりなぜか右サイドに張り出したりして、原口選手が渋滞起こしてバランスの悪い攻撃になる。攻撃でリズムが作れないと守備が悪くなる原口選手。ボールロストしても切り替えの遅い本田選手。この辺りは修正が必要なようです。

交代で入った本田選手や山口蛍選手、前への意識が低い長谷部選手がリズムに乗れないけれど、柴崎選手や乾貴士選手の守備のうまさが際立って互角に持ち込める展開。岡崎慎司選手もあまりボールが収まらずボールが回って来ずでフォワードとしてはいまいちな感じだったけど、前線でプレッシャーに走り回り持ち味をある程度発揮。

やるべきことをやる選手が多かった日本代表はそのまま歴史的な勝利を獲得しました。日本代表2-1コロンビア代表

ハリルホジッチ監督時代のサッカーを継承しつつ、わずか3試合の調整の中で見事に修正してきた日本代表。攻撃は大迫選手頼みだったのがトップ下香川選手を高めに位置することで連動性を担保。攻守に忙しかった両サイドハーフ(フォワード)はより守備からスタートできるポジショニング。中盤の構成をある程度諦めて守備第一、そしてロングキックできる選手を配置していたインサイドに効果的なパスを得意とする柴崎選手を置くことで攻撃のリズムを作り、守備、特に相手のショートカウンターの回数を減らす。中盤の守備はデュエルというよりパスコースのカットをメインに。サイドハーフの位置が下がったことでセンターバックのフォローに回れるサイドバック。見事としか言いようがありません。

今後、チームの選手層を厚くすることを考えるのか、グループリーグの3試合だけを考えてチーム編成していくのかは議論の分かれるところかと思いますが、長谷部選手に前への意識が戻れば他国にとってかなりの脅威となれる日本代表だと思います。状況限定であれば発揮できる能力を存分に持つ選手もいるので、足りない部分を補い、有利な展開に持ち込むことで勝利を目指して戦っていってほしいところです。

 

川島 永嗣 6.5 前方向の守備に不安はあるがビッグセーブを連発。壁の構成含め、プレイスキックに対する守りでマークやポジショニングがずれていることがあり、ここは川島選手のコーチングに期待したい。

昌子 源 7.5 相手の攻撃をシャットアウト。カバー、ラインコントロール、空中戦、ビルドアップと余すことなく能力を証明した。

長友 佑都 7.5 あのクリアミスは痛かったが、あの身長で驚異的な空中戦を見せた。対戦経験があり慣れていたのかクアドラード選手を完封して早期の交代に持ち込めたのもよかった。

酒井 宏樹 7.0 原口選手が不安定な中攻守に貢献。空中戦でも抜群の強さを見せた。攻撃時にゴールに向かう斜めのグラウンダーパスが多かったのは作戦かな。

吉田 麻也 7.0 ややファールが多かったが、積極的な守備は大きな脅威となった。ビルドアップも正確でセットプレーも抜群の空中戦を見せつけ攻撃面でも貢献。

柴崎 岳 7.5 絶妙なポジショニングからの絶妙なパス供給。守備面でも相手のカウンターを許さない見事なポジショニングとインターセプトを見せた。途中で交代してしまったのが残念。

原口 元気 6.5 驚異の運動量。守備の時今までよりも相手に一歩近づけるようになったようで、ファーストディフェンダーとしてもチームに貢献。ややボールを追ってしまいマークを外す癖を修正してほしい。本田選手に遠慮しなくてよい。

香川 真司 6.5 高い位置にいたおかげで大迫選手と連動して多くのチャンスを創出。役割が明確化されたのでシンプルな普段のプレーを見せてくれた。守備面でもパスコースを限定してコロンビア代表を苦しめた。パラグアイ戦で右サイドに入ったら消えてしまったけど、右ハーフでも機能するのであれば日本代表にとって大きな武器になると思う。

乾 貴士 6.0 ややミスが目立ったが、得意のドリブルでコロンビア代表ディフェンスラインを切り裂く。得点が欲しかった。守備での貢献も目立つ。守備で勝つにもデュエルにこだわる必要はないのだ。

長谷部 誠 5.5 パスが前に出ないのでどうしても狙われてしまう。今日はコロンビア代表が一人少なかったのでよかったが、相手フォワードが2人のとき対応できるのか心配だ。守備面ではインターセプトでカウンターをうまく封じていた。

大迫 勇也 6.5 確実なテクニックでフォワードとしての役割を果たす。選手間の距離感がいいので今までよりもやりやすくなったのではないか。日本代表に欠かせない存在。

本田 圭佑 5.0 ポジショニングが中途半端でミスやボールロストが多く、攻守の切り替えも遅いので中盤ではリスクが高すぎて見ていて怖い。体の強さが特徴の一つなのだから、香川選手のように前線で大迫選手の近くにポジショニングし、得点にこだわった方がチームに貢献できると思う。

山口 蛍 5.0 いつものプレーなのでしょうがないのだが、ボールを持った時出しどころを見つけるのに難儀するように見受けられる。技術や判断力は急には上がらないので、ボールを持ったら前線に出すことだけは決め込んでしまって、後はどこに蹴るかだけを悩むようにした方がこれから成長できると思う。蹴るところさえ決まればキックはかなり正確。

岡崎 慎司 5.5 ボールがあまり回って来ず不運な面もあったがどうにもボールが収まらなかった。とにかく追っかけてくれるので、いつかチャンスをつかめると思う。

西野 朗 監督 8.0 悪い部分を修正し、良い部分を増やし、相手に合った戦術を選択した。運にも恵まれ、ラッキーボーイ的な存在は監督自身なのかもしれない。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第42節 東京ヴェルディ対徳島ヴォルティス 味の素スタジアム

※閲覧注意!福岡の人は絶対に見ないでね!

長かったJ2リーグもいよいよ最終戦。6位までが出場できるプレーオフ圏内ぎりぎりの6位東京ヴェルディがホームに迎えるは5位徳島ヴォルティス。得失点差の関係で引き分けてもプレーオフ出場がほぼ間違いない徳島に対し、引き分け以下だと他会場の結果次第で出場を逃す状況のため10年ぶりのJ1復帰を目指して勝って確実にプレーオフ進出を決めたい東京ヴェルディ。スペイン人監督同士の決戦はまさかのBS生中継。コイントスによりエンドを入れ替え、いざキックオフ!

聞き慣れたチャントがテレビから聞こえてくるのってなんか不思議な気分だなあ。

さて、3バックの徳島に合わせいつもの4バックではなく3バックで臨むヴェルディ。しかし、中盤がバラバラで守備が全く機能しない。挙句の果てにドウグラスヴィエイラ選手まで下がってしまい徳島に押し込まれたまま耐え忍び続ける展開。徳島は攻撃時サイドに偏らせて逆サイドにスペースを作る作戦だったと思うけど、サイドチェンジしなくても前に進めてしまうので、そのうち点が入るんだろうなという感じで進むも、ヴェルディのGK柴崎貴広選手が最後の最後で踏ん張って失点は許さない。

ミゲルアンヘルロティーナ監督は早々に3バックを諦めて4バックに変更。ただ、ちょっと変則的な配置。というのは、基本的な配置は右から安在和樹選手、田村直也選手、畠中槙之輔選手、平智広選手の4バックなんだけど、攻撃時はディフェンスライン右に田村選手、中央に畠中選手、左に平選手を配置して右サイドバックの安在選手を1列前進させる3バックに変化。守備の時は徳島のサイド攻撃に対し、左サイドは安西幸輝選手と平選手(+畠中選手もしくは梶川諒太選手)、右サイドはアランピニェイロ選手はそれほど下がらず安在選手と田村選手(+井上潮音選手)で守る。このアシンメトリーな戦術の肝はアンカーの内田達也選手。通常はアンカーの選手が最終ラインに入ることが多くなるけど、このシステムなら中盤の真ん中でどっしり構えられる。危険なエリアを閉じられるしこぼれ玉にも反応できる。なかなか奥の深いシステムだがや。そういうことでヴェルディは4バックに移行してから攻守の役割分担がはっきりして徳島のサイド攻撃をつぶすことに成功。試合開始直後思いのほか上手く攻めれちゃって戸惑ったはずの徳島は、今度は思いのほか攻められなくなって戸惑っちゃって、ヴェルディの前線からのプレスの餌食となり、試合は一気にヴェルディペースに。

ただ、ヴェルディの攻撃もそれほど多彩というわけではなくて、今日はドウグラス選手のポストも密着マークにあってあまり冴えなかったせいもあり、基本的には左サイド安西選手を経由してセンタリングかファールやコーナー貰ってプレイスキックという感じ。それでも、徳島は背の低い選手が多く、ヴェルディとしては極めて珍しいことに背の高さで優位に立つことができ、プレイスキックも大きな脅威。そうなれば俄然得意のドリブルが威力を増してくる。そこで引かなかった徳島は偉かったけど、できたスペースを効果的に使った安西選手がさらに躍動。そして先制点につながる。

前半31分、狙い通り左サイドで得たフリーキック。安在選手の正確なボールは平選手が相手を体で制してヘディングシュート。キーパー反応するも及ばず!東京ヴェルディ1-0徳島ヴォルティス

押し込まれてどうにもビルドアップができない徳島も作戦変更。前半38分早くも選手交代で4バックに変更するとともに中盤に技術のある選手を配置してボール回しと長身フォワードによる攻撃を期待。

ところが、徳島は中盤で期待通りボールキープはできるものの前線でフォワードが余ってるのになぜか外から攻めようとしてしまう。丁寧なのはいいけどサッカーの目的はボール回しじゃなくてゴール。その為にはゴール前にボールを運ばなくてはならないしシュートを打たなくてはならない。丁寧に外から攻めようとする徳島に対し中を崩されないヴェルディは守備練習をしているかのように安定して対応。外から攻めたい徳島と外から攻めさせたいヴェルディの思惑が合致した結果、徳島は外から攻めてもシュートすら打てずじまい。ドウグラス選手が封じられてるのは気になるけど、このまま守ってればどこかでプレイスキックでもう1点くらい取れたりしてヴェルディの勝ちは固いかな、という感じで前半終了。

後半に入りさすがに修正を見せる徳島。縦パスなどで中を使いだす攻撃にヴェルディディフェンスラインが右往左往し始める。ありゃりゃ、こりゃまずいな、と思う隙もなく、後半4分縦パスが起点になって左サイドから右サイドにボールが回りセンタリングからヴェルディ失点。東京ヴェルディ1-1徳島ヴォルティス

ヴェルディは相変わらず左サイドからの攻撃が冴えを見せるが、楔が入り始めた徳島の攻撃はさらに冴えを見せる。もうハーフタイムはないからチームとしての修正は難しいヴェルディ。試合展開としては徳島のペース。

しかし、ヴェルディは、この切羽詰まった状況で2つの転機により、試合ではなく結果を支配することが可能に。

1つは、プレーオフ出場のライバル7位松本山雅FCが京都サンガF.C.に0-1で負けていること。その為、ここから松本が2点以上取って逆転しなければ、たとえヴェルディが負けても松本はヴェルディより下の順位で終わる。同じくプレーオフ出場ライバルの8位ジェフユナイテッド千葉は勝利しても得失点差の関係でヴェルディは負けさえしなければ千葉が上の順位に行く可能性は低い。つまり、このまま同点で試合が終わればプレーオフに出場できる可能性が高いということ。無理に攻めないでちゃんと守ろう。運が良ければプレイスキックから得点できるかもしれないのだ。

もう1つは、言葉は悪いけど井上選手が怪我で交代に追い込まれたこと。実は徳島の縦パスの多くは井上選手の裏のスペースを突いたもので、前半からの運動量で体力的な問題もあったのかもしれないけどこの時間少し守備の穴にもなっていたのが井上選手。しかし、守りを第一優先させるべき状況で守備の穴を埋めるための交代にも関わらず守備に特化した選手がベンチに見当たらないため、井上選手を交代させることによって(攻めろという)誤ったメッセージを他の選手たちに伝えてしまう可能性があったわけで、この穴を埋めるのはきわめて繊細な問題になっていました。井上選手の交代が負傷による交代となったことで、ヴェルディにとって守備を重視しながら自然な形でスムーズに守備の修正作業が完了できたのだと思う。

ということで、井上選手に代えて橋本英郎選手がピッチに登場。さらに守備の強化も兼ねてアランピニェイロ選手に代えてカルロスマルティネス選手を投入。すると、やや動きが減っておりバテたのかな、と思わせていた安西選手が急に元気を取り戻します。

いやいや、安西選手はもう体力切れてるはずだから、ディフェンスラインを3枚に戻して、ドウグラス選手とアランピニェイロ選手を3対2で封じよう、これで失点は防げる、ディフェンスラインの人数を減らした分前線に人を捌けるから運が良ければサイド攻撃から前線勝負で得点できるはずだ、別に得点できなくても同点で終われば良いのだ、と徳島は思っていたはず。私もそう思いました。安西選手はもう終わったのだ、ヴェルディは得点できない、徳島の引き分け以上は固いと。しかし、それはただの死んだふりでした。

守備が安定しだしたヴェルディは安西選手を起点にボールを前線へと送り始めます。安西選手の2つのロングパスからのチャンスに安在選手がきわどいシュートを放った後、ついにそのときが訪れます。

後半43分、梶川選手の絶妙な左コーナーキックに畠中選手がヘディングシュート!惜しくもポストを弾くもごちゃごちゃしたこぼれ球に内田選手が詰め、ヴェルディ勝ち越しゴール!東京ヴェルディ2-1徳島ヴォルティス

その後さらにアップダウンを繰り返す安西選手に、3バックへと移行した徳島は対応できず。というのは、左サイドを起点に3トップで攻め込むヴェルディに対し、徳島は3枚のディフェンスだけでは守りきれないため両サイドバックを下げざるを得ず、いざ攻撃時に選手が最終ラインから出て行かなくてはならなくなってしまい、徳島はどうにも攻撃にギアが切り替えられないのです。

引き分けでよかったのに攻撃に出た結果うまく得点が奪えず結果的にペース配分に失敗した感じの徳島は、他会場で千葉がアディショナルタイムで逆転してしまい暫定で7位に転落。慌てて攻めるも形にならず、余力を残したヴェルディが逃げ切って勝利。その結果、東京ヴェルディが5位、最後に逆転した千葉が6位、徳島は残り2分でまさかの7位とプレーオフ圏内から脱落。プレーオフ最後の出場権はヴェルディと千葉がもぎ取りました。

ヴェルディの試合をテレビで観るのはまた特別な感慨があるけど、テレビはどうしてもわかりづらい。サッカーはやっぱりスタジアムで観るのが最高の贅沢です。勝てばなお!

 

柴崎 貴広 7.0 安定した守備でビッグセーブを連発。シーズンフル出場は自身初とのこと。足元の不安もあまり感じさせず安定したプレーを見せた。

畠中 槙之輔 6.5 ロティーナ監督としてはセンターバックにロングキックが蹴れる選手を考えているような気がする。小型ボランチが多いチーム事情もあってロングボールも蹴れてセンターバックの専門性も兼ね備えた畠中選手には期待が大きい。

平 智広 6.0 強さを見せて先制点を挙げる。守備は安定しているがキックがやや不安定。

田村 直也 5.0 気合が空回り。一人でラインを下げたり前に出られずプレッシャーを掛け切れなかったり最終ラインでボールロストしたり。ディフェンダーとしていつものように冷静なプレーを見せてほしい。

安西 幸輝 7.0 フリーキックでボールを掴もうとするトリックプレーを試みるも誰もひっかからなかった悲しい過去を持つ。途中でおとなしくなったのでさすがにバテたのかと思ったら、最後に復活して再び縦横無尽の働きを見せた。

安在 和樹 6.5 プレイスキックが大きな脅威となっていた。右足も正確。でもやっぱり攻撃の幅を考えると左サイドの方が良いような気がする。

内田 達也 6.5 後方だけでなく前線へも飛び出しチームの中心を担った。対戦相手としては内田選手をどかすことが勝利へのポイントとなるだろう。

井上 潮音 5.5 豊富な運動量と正確なテクニックでチームに貢献。やや反応がよくないのと動きが淡白なところがある。アンカーシステムはどうしてもアンカー脇が弱点になるので、縦パスに対する蓋になってほしい。

アラン ピニェイロ 5.0 攻守の切り替えも早くよく動いていたが、イマイチ連携が取りきれなかった。

ドウグラス ヴィエイラ 5.5 ポストプレイヤーとしての役割を十分に果たしたとは言いがたいが、献身的に裏に走りこんで基点になったことが得点につながった。

梶川 諒太 7.0 抜群の運動量とセンスのある縦パスで多くのチャンスを演出。プレイスキックでもチームに大きく貢献した。

橋本 英郎 6.0 スクランブル発進。守備の選手ではないので負担は大きかったと思うが得意の攻撃でしっかりと貢献。

カルロス マルティネス 6.5 まず守備面でチームを落ち着かせ、得点につなげることができた。1トップに入ってからも基点となり試合を優位に進めた。

高木 大輔 6.0 いきなり相手選手と入れ替わるよくない守備を見せどうなるかと思ったが、その後は運動量を生かして試合を閉めた。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 7.5 ピンチをチャンスに変える見事な演出。個々の選手の特徴を生かして独特なチームを作り上げた。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第39節 東京ヴェルディ対アビスパ福岡 味の素スタジアム イーグランドDAY

4連勝でプレーオフ圏内(6位以内)に浮上してきた東京ヴェルディはホームで自動昇格圏内(2位以内)につける勝点5差のアビスパ福岡との上位対決。今シーズンもラスト4試合。両チーム是が非でも勝ちたいところだ。

前半は福岡がやや優勢で試合は進んでいく。
ヴェルディの攻撃は福岡のダブルボランチに阻まれ前に進めない。そこでボランチを省略してドウグラスヴィエイラ選手の頭を狙った攻撃でゴールに向かうとこれがなかなか効果的。ドウグラス選手は高さはあってもワントップ的な選手じゃないイメージだったのにあんなに頑張れる選手になったのだなあ。デカモリシ取らなかったフロントの判断は間違いじゃなかった。
中盤でボールが奪える福岡は両サイドバックもしくは絶妙な間受けを見せるボランチの山瀬功治選手らから多彩な攻撃を展開。ヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手のポジショニングがやや低めなせいか、福岡の駒野友一選手へのプレッシャーが不十分で攻撃を止めきれない。
引いてスペースを作る相手フォワードの動きに対してしっかりマークを離さない畠中槙之輔選手。空いたスペースのフォローに偏りがちな井林章選手と田村直也選手の間に今度は松田力選手が飛び込んでくる。しかし福岡の狙いは田村選手がうまくポジション調整して絶妙に松田力選手の侵入を阻む。
ヴェルディは最終ラインの安定と柴崎貴広選手の好守、渡辺皓太選手のボール奪取からのカウンターなどで押し返すも両チーム得点なしのまま前半終了。福岡は攻撃の時ゴール前から選手がいなくなってしまう傾向があるのでちょっと中途半端かな。

後半に入りヴェルディは2つの変化を見せる。

一つは左サイドの安西選手と右サイドのアランピニェイロ選手の両サイドフォワードのポジションを入れ替えた。前半福岡の右サイドバック駒野選手に安西選手がプレッシャーをかけきれなかったのと、ヴェルディの左サイドバックは安在和樹選手なので攻撃もいいんだけど右サイドバックの田村選手はちょっとセンタリングに臆病になってる風だったので、ストライカータイプのアラン選手よりウィンガータイプの安西選手と組ませた方がバランスが良くなるし福岡左サイドバックの亀川諒史選手に対して裏をつけるとかオーバーラップさせずに攻撃を封じるとかそういう作戦だったと思う。

もう一つは、中盤の3枚の位置を少し下げてインサイドハーフの二人を福岡のボランチ周辺に配置したこと。前半はインサイドハーフがワントップのドウグラス選手に近い位置にいたせいか縦パスの選択肢が少なかったしそもそも福岡のボランチに引っかかってボールが前に進まなかった。そこを福岡のボランチの周辺で一度ボールを中継することで福岡の中盤に引っかからずにボールがフォワードまで運べるようになった。福岡は城後寿選手がフォワードやってたんだから中盤に下がってあげればよかったんだけど、そういう対応はしてこなかったのでアンカーの内田達也選手を含め数的優位でボールが回せるヴェルディは後半一方的に攻める形になった。

しかし、ボールが回せる分余裕のあるサイドからの攻撃に偏り過ぎて福岡ディフェンスが慣れてしまったのか最後で踏ん張りを見せる福岡ディフェンスラインを崩し切るには至らず、惜しいシーンは作ったものの得点できないまま試合終了。前半27分ドウグラス選手の抜け出しにユニフォームを引っ張った福岡の岩下敬輔選手にカードが出なかったシーンがこの試合一番のハイライトだったかもしれない。後半のアディショナルタイム5分は少し短かった印象。キーパー倒れてたからね。

試合の中で柔軟に修正を見せたヴェルディは強さは見せたものの勝ちきることはできなかった。たぶん真面目な選手が多くて監督の言うことを確実に表現した結果培った強さだと思うけど、今日の試合に限ってはゴール前では相手の想像を超えるような発想力がもう少し必要だったのかもしれない。J1昇格のために、強くなっているこのサッカーをさらに進めるために、今のものに加えて更なる力で残り3試合(+昇格プレーオフ)を勝ちきってほしい。

 

柴崎 貴広 7.0 ビッグセーブでチームを救う。昨シーズンまではビルドアップに消極的だったけど、今シーズンは普通に組み立てに参加している。何で今までやらなかったんだろう。

井林 章 6.5 安定した守備を見せる。ロングキックも正確。

畠中 槙之輔 6.0 前半ややミスパスが多くリズムを崩した面がある。守備の選手として穴が少なくなオールラウンドプレーヤーへと成長しつつある。

安在 和樹 6.5 豊富な運動量で攻守に貢献。プレイスキック含めラストパスとしてみると少し不満が残る部分もあった。前を向いたままのセンタリングをもう少しチャレンジしてもいいかもしれない。

田村 直也 6.5 ポジショニングが引っ張られがちな井林選手に声をかけてポジションを未然に修正。走り込む選手をいち早く見つけケアしていた。オーバーラップした時シュータリング上げればゴールに入るかもしれないからミスを恐れず積極的にプレーしてほしい。

内田 達也 6.0 アンカーのポジションとしてはロングパスがやや不安定。周りに技術の高い選手が多いのであまり無理をせず後半のようにプレッシャーの少ないポジションから確実にボールをつなげてほしい。

渡辺 皓太 7.5 驚異のボール奪取能力。パスが少し狭いが、そんなこと気にならないほどの力を発揮して見せる。

梶川 諒太 6.0 技術が高いのでボールがよく収まり無難に繋げるが、多少リスクがあってももう少し縦パスを狙うべきだと思う。守備もやりながら前線の仕事まで担うので大変だと思うけどできる選手だと思うので頑張ってスーパーマンになってほしい。

安西 幸輝 6.0 若いんだからもう少し思い切りを見せてもいいんじゃないか。プレーは確実に相手に脅威を与えている。

アラン ピニェイロ 6.5 驚異的なスピードでゴールに迫る。裏に抜けられないときはもう少しディフェンダーから離れるようにすればシュートが打ちやすくなると思う。

ドウグラス ヴィエイラ 7.5 あんなに献身的にボールに執着してくれる選手だという印象がなかった。彼がいればどんな相手でも互角以上に戦えるだろう。彼がいなければ前半のうちに福岡のショートカウンターの餌食になっていたはずだ。

井上 潮音 6.0 技術の高さでうまくボールを捌いていた。ゴールに向かうプレーも見せたかったが、チームとして形になっていたから今日はこれでよかったと思う。

カルロス マルティネス 6.0 相手を背負うことなくボールに触れるようになったので活躍できるようになった。ワントップはやりにくそうだがドウグラス選手と2トップ的に起用しても面白いかもしれない。

高木 善朗 6.0 出場時間は短かったがしっかりチャンスに絡む。一瞬で突破できちゃう選手なので、やはり前線で起用すると面白い。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 6.5 ハーフタイムに見事にチームを修正し後半はほぼ一方的に攻め立てた。点は取れなかったけどしょうがない。中盤を厚くした結果試合を優位に進めたので間違いではなかったのだが、中盤より前線を厚くする方法があったような気はするが、これは後出しじゃんけんなので、国民総監督論者の戯言としてほしい。

蹴球

JFA公認C級コーチリフレッシュ研修会 2017明治安田生命J1リーグ第26節 FC東京対ベガルタ仙台 味の素スタジアム

日本サッカー協会(JFA)公認指導者ライセンスは取得後リフレッシュ研修を一定程度受講しなければ資格が失効してしまいます(C級以上)。日頃仕事があり、休みの日はコーチ(監督)をしている立場としてはリフレッシュポイントを稼ぐのが難しかったのですが、今回たまたま近く(味の素スタジアム)でJリーグの試合を見ながらポイントを稼ぐ機会と遭遇し、日程的にも余裕があったので受講してみました。

台風が近づき小雨の降る中、集合場所は雨に濡れないユーロスポーツ前。特別なADカードを受け取り、勝手知ったる関係者入口まで屋根の下を移動。いつもに比べて人が多いなあ、さすがJ1だ、などと感心しながらインタビュールームで1時間の講義。

まず初めに連絡事項。本日のスケジュールに加えて、リフレッシュポイント取得に当たって実技や指導実践のあるものも利用してください、とのこと。受けてみたいけど、いつやってるのかなあ。

そして注意事項が二つ。

1、講義パワーポイントスライドの写真撮影及びSNS等への投稿の禁止。
今日の試合の簡単な戦術解説として、どういうスカウティングがあるとかどの選手が期待(注意)とかどういう戦術を企んでいそうかとか、などあったからだと思うけど、FC東京は公式戦5連敗中でこの2試合は4、5点失点して監督交代した直後だったし、関係者はナイーブにならざるを得ずちょっと気の毒だった。

2、観戦中のアルコール摂取、アウェイチームのグッズ露出の禁止。
観客席で他のお客さんに混ざって観るので売り子さんたちが普通にビールを売りに来る。最大の難関でした。こっそり普段使ってるヴェルディグッズをそのまま身に着けていたけど、外から見てわかるものじゃないからセーフ。

講義が始まって最初の議題は、「連敗中のチームの指導者として、どのような声掛けをするか」というタイムリーな話題。そういえば負けが込むチームにいたことないなあ。鶴B以外。選手が混乱しないように役割をなるべく減らしてシンプルに一つ一つできることを丁寧にやることかなあ、などと書いておく。

よく「指導は促すだけで指示してはいけない」みたいなことを言う人がいるんだけど、指導にはコーチングとティーチングがあって、コーチングは選手自身の発見を導く(ガイデッドディスカバリー)視点が必要だけど、そのためにはティーチングで判断する材料を提供しないとただの迷子になりかねない。サッカーは必ずしもすべての試合で勝てるわけじゃないんだけど、やっぱり勝てないと選手は迷うし自信も失う。結果を出すことが一番だけど、試合結果だけではないところにおいて監督が自らのサッカーの判断基準を明確にすることで選手の迷いを払しょくし、チームが勝利に近づくんじゃないかなあと思う。

その後は戦術論がいくつかあって、禁止事項だから書けないけど、コーチングライセンス取得時の講義では戦術論は個人戦術程度しかカリキュラムにないので、試合を通した戦術論はもっとやってほしいと思う。サッカーの目的は勝利であるべきで、勝利を目指すから練習があるべきなのだから、試合での勝ち方を指導者はもっと知る必要があるはず。これを言い出すと今度は勝利至上主義の問題が出てくるから程度が難しいのだけれど。

講義が終わるとスタジアムに移動して試合観戦。ありがたいことに雨に濡れない席を用意してもらう。早めに席に着いたのでウォーミングアップから見学。最近は体幹の血流を促すのが主流らしい。個人的にはじっくりゆっくり引き伸ばしていきたいタイプなんだけど、もう時代遅れかな。アルコール禁止なのでトイレに行くこともなく集中して試合に臨む。

試合は仙台が技術のあるボランチを中心にテンポよくボールを回して試合を優位に進める。FC東京は左右にプレスを仕掛けるもうまくはまらずボールは逆サイド空いているところを付かれてしまう。

FC東京ははじめ高萩洋次郎選手アンカーの橋本拳人選手、東慶悟選手インサイドハーフなのかなと思ってたけど、ダブルボランチの仙台に対して数的優位になるにもかかわらず前(裏)にパスが出せないので攻撃時に高萩選手が最終ラインまで落ちたり橋本選手とのダブルボランチにして大久保嘉人選手を中盤に下げたり工夫してたっぽい。でも、東選手にボールが入ったとき仙台の3バックの一角が前に出て最終ラインにスペースができて大久保選手あたりが裏に走り込むそぶりは見せてたんだけど肝心の東選手が裏を意識できていなくて、ただのボールポゼッションに終始してしまい、1トップっぽくなってた永井謙佑選手はあまり裏に走る気もなさそうで、攻撃はほぼほぼ機能していない感じ。守備ではテンポのいい仙台ボランチの球回しについていけず、サイドバックは仙台3トップにくっついてスペースを空けてしまい仙台サイドバックが上がり放題。ボールの出どころも行く先も抑えられずどうなるのかと思ってたけど、仙台はボールを回せるタイプの選手がある程度限られている感じで、最後のところまでつながらずどうにも得点にはつながりづらいサッカー。それでも前線が攻め残りすればよかったのかもしれないけど、妙に丁寧に下がって守備するもんだからカウンターも攻撃の形になりづらい。ちょっと膠着状態で後半へ続く。

後半に入ってFC東京は、とりあえず裏にパス出して永井選手がスペースに走り込むかボールに競ってこぼれ球を拾う作戦に変更。縦パスに競ることさえできれば中央にボールがこぼれるので、選手が4人集まれるFC東京は断然有利な展開。その分仙台のサイド攻撃は怖いけど、中央を経由しなければボールが出てこない仙台に対しては有効な作戦だったと思う。サッカーは選手の数は11対11で同数なので、どこかを諦めればどこかを有利にすることができるのです。

そういうわけで外にも人はいるけど中からガンガン攻めるFC東京がペースを握って仙台の決定力不足にも助けられながらコーナーからの得点で1-0の完封勝利。

相手に合わせて中盤の配置やボールの動かし方を柔軟に変化させることができたFC東京と同じやり方に終始してしまった仙台の差は大きかったと思う。仙台はあのサッカーやりたいならもう少しそういう選手を多く配置することはできないのかなあ。

ちなみに、FC東京のゴールシーンでついうっかり立ち上がってガッツポーズしてたのは内緒です。

久々のJ1観戦で楽しんで帰ることができたけど、リフレッシュ研修としては観戦後に試合のポイントをおさらい(共有化)するのもありかなと思う。ただ、これもやっぱり勝利至上主義の問題が関わってくるので、協会というより個人レベルの勉強会のような形でやる方がいいかもしれない。試合中の解説でもいいんだけどそれだと結構せわしないから、映像をどうにかしてJクラブでそういう試みやってくれないかな。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対サウジアラビア代表 サウジアラビアキングアブドゥラー スポーツシティスタジアム

すでにワールドカップ本戦出場を決めている日本代表の最終予選最終戦は勝たなければ出場を決めることができないサウジアラビア代表とのアウェイ戦。
攻撃陣を大幅に変更してきた日本代表はサウジアラビア代表の勢いを止めることができず、0-1で最終予選初戦以来の敗戦となりました。

日本代表は1トップにケガの大迫勇也選手に代えて岡崎慎司選手を起用。でも、岡崎選手は良い選手なのですが、高さやスピードや技術が特出しているというタイプではないのでいかんせん1トップはちょっと気の毒なんですよね。ボールが収まらないし競り勝てるわけでもないので、裏へ走る一辺倒に陥る日本代表。ただ裏に走っただけではボールが来てもなかなか一人でどうにかできるものじゃないのでみんなで走っていかなければならない。加えて右のフォワードは走り抜けるタイプではない本田圭佑選手。じゃあ誰が代わりに走り抜けるかといえば、それはサイドバックの酒井宏樹選手。左サイドはまだ原口元気選手が走ってくれますが、やっぱりサイドバックは両サイドとも守備に攻撃にと大忙しで運動量が大変なことに。恐らくサウジアラビア代表のサイドバック(特に左)が中途半端なポジショニング取るのでその裏をつく作戦だったと思いますが、選手起用的には暑いサウジアラビアで選ぶ選択肢ではなかったかもしれません。

守備においては4231システムを採用するサウジアラビア代表が中盤で繋ぐスタイルなのに対し、試合開始直後は前線からのプレッシャーでサウジアラビア代表のボランチにボールを触らせず中盤でのリズムを作らせなかった日本代表でしたが、時間が経つにつれて日本代表のサイドのフォワードがサウジアラビア代表のサイドバックをケアするあまり意味のない対応をしてしまいます。別にそういう修正が悪いわけではないのですが、今日の試合では、日本代表は相手の1トップに対して4枚のディフェンスラインで十分対応できているわけです。そこにわざわざさらにディフェンスラインを助けに走るよりも、人数で負けていて自由にボールを回されている中盤をしっかり助けることを優先すべきだったのではないでしょうか。オーストラリア戦では見えるけど使われない弱点を放っておいてうまくいったのですが、今日の試合では見えるけど使われない弱点を先に補って使われている弱点への対応をおろそかにしてしまいました。バランスを崩した日本代表はプレイスキックくらいし攻撃手段がなくなってしまい、運を味方にしなければ勝負にならない試合展開に持ち込んでしまいました。

そうこうしているうちに頼みのプレイスキックでチャンスは作るものの得点はできずに時間が経過してしまい、日本代表はついになるべくして失点してしまいます。

後半18分、暑さや戦術による中盤のスタミナの問題もあり、次第にディフェンスラインを上げられなくなる日本代表。スペースのできた中盤でさらに攻撃を加速させるサウジアラビア代表に対抗しきれず、中央から崩されてサウジアラビア代表が先制。日本代表0-1サウジアラビア代表

どうにもならない日本代表は、岡崎選手に代えて代表初選出の杉本健勇選手を投入するも、ボールが収まらず攻撃は機能しない。

終盤はパワープレーに出るも逆にサウジアラビア代表のカウンターを浴びる展開の中、追加失点は免れたもののそのまま試合は完敗。サウジアラビア代表が強かったとはいえ、今までの日本代表の流れからするとちょっと残念な試合結果でした。

フォワードが競り勝てるわけではない選手起用で1トップ、恐らくだからこその擬似的な3トップをイメージしていると思いますが、サイドのフォワードに守備の役割が多すぎますし、サイドバックに頼るのはスタミナ的に限界があり、特に暑い中ではチームとしてなかなか機能しません。守備面を主に起用されているであろう中盤では攻撃を効果的に組み立てるには至らず、守れない攻められないの構成となってしまいました。いつもより役割を多く担っていたサイドバックもどうしても最後はスタミナ切れ。センターバックはコンビネーションを見せラインを高く保とうとしているようには見受けられましたが、中盤が機能しなければどうしようもないものです。試すには絶好の機会だったと思いますが、ダメだったということしか分からない収穫の少ない試合となりました。

これから世界に出るには当然中盤の守備は重要なので、中盤をコンパクトに厚みを持った戦術が必要になると思います。フォワードについては一人で走り込ませるのは限界がありますので、コンビネーションでスペースを作りながら裏に走り込みたいところです。守備面ではマークの受け渡しに難があるようですので、修正ができないようなら後ろから前に出られるように3バック(5バック)などのシステムに変更してみてもいいかもしれません。今日はまだアジアでの戦いであり、日本代表はワールドカップ本戦への出場権を得たので、今日の試合を以ってどうこうということはありませんが、やはりこれから世界で戦うためにまたそこでの勝利に向けて改めて邁進してもらいたいところです。

 

川島 永嗣 6.5 失点は喫したものの、ビッグセーブもあり、センタリングへの対処では安定したプレーを見せていた。

昌子 源 6.5 ラインを高く保とうとしていたように見受けられたが、チームとしてやり遂げることはできなかった。失点シーンでは通させてはいけないパスを通させてしまったが、それ以外ではフィード面も含め安定したプレーで貢献していた。

長友 佑都 6.0 繰り返すオーバーラップでチームに貢献。守備時に裏のスペースを空けてしまい狙われていた。チームとして誰に裏を任せるかはっきりして前に出るようにしてほしい。

酒井 宏樹 6.5 攻守に貢献。今日のようにセットプレーしか得点機を見出せないときは高さにも期待したい。最後はさすがにスタミナ切れだった様子。

吉田 麻也 6.0 カバーも適切で頼りになるセンターバックだが、やや集中にかけているようなところが見受けられた。

井手口 陽介 6.5 攻守の切り替えが早く、ロングキックも正確。みんながカバーを期待してくるから大変そう。

柴崎 岳 6.0 独特のボールタッチでリズムを作るも味方と合わないことが多かった。正確なプレイスキックはこの試合唯一といっていい日本の武器だった。結果論ではあるが、中盤でマークにつききれなかったことが失点につながってしまった。

山口 蛍 5.0 ミスが多くあまりチームの力になれなかった。キックは正確なのだが蹴るところが見つけられないことが多い。守備については誰がファーストディフェンダーになるのかの判断を間違えることが多く、中盤で相手をフリーにする原因となった。ただ、マークする相手が決まったときは見事なインターセプトを見せる。ヘディングの強さにもよるが、最終ラインで使った方が良いのかもしれない。

本田 圭佑 4.5 たくさんのミスパスで日本代表を多くのピンチに陥れてしまった。厳しい言い方をすると、無能な働き者ほど恐ろしいものはない。もう少し相手に体をぶつけた方が良いと思う。

原口 元気 6.5 いまいちチャンスを作りきれないが守備でも攻撃でもチームのカンフル剤。ただ、サイドバックが余っている状況では相手のサイドをケアするよりも中に絞って中盤を助けるべきだと思う。監督の指示なのだろうか。

岡崎 慎司 5.0 収まらない、競り勝てないで活躍できなかった。守備では貢献していたが、1トップが攻撃で活躍できなければチームの勝利は難しい。ただこれは岡崎選手のせいというよりは岡崎選手にこの役割を担わせるのが間違っていると思う。守備だって計算できるのだから、強いフォワードと組み合わせることはできないものだろうか。

浅野 拓磨 5.5 オーストラリア戦に比べて落ち着いてプレーできているように見えた。自分がボールに絡むときは張り切るが、相変わらずフリーの味方を見つけることができない。

杉本 健勇 5.0 ヴェルディでのプレーも印象深いので期待していたが、残念ながら競り勝てず、ボールも収まらず、あまり良いプレーを見せられなかった。連携の問題もあるが、ボールを迎えに行き過ぎてプレーの幅を狭くしてしまったように思える。ポスト大迫選手として次に期待したい。

久保 裕也 5.0 シュートシーンはあったものの、推進力がなくあまり活躍できなかった。ボールを止めてから考えているように見える。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.5 この試合の位置づけがよくわからない試合だった。勝利を目指したと考えたとき、アウェイだから裏が空くという想定だったのだろうか。テスト的な意味合いもあったのだろうから次に繋げてほしい。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対オーストラリア代表 埼玉スタジアム2002

勝てば6大会連続のワールドカップ出場が決まる日本代表。同じく勝利で出場が決まるオーストラリア代表をホームに迎えた大一番は2-0で見事日本代表が勝利。これでJFAも20億円失わずにすみました。よかったよかった。

試合は両チーム中盤でミスが相次ぐやや退屈な展開。日本代表はオーストラリア代表に対し最終ラインまでマンツーマンでプレッシャーをかけボールを奪ってショートカウンターを狙うもロングキックで逃げられる。日本代表がロングキックを制していたので日本代表ペースで進みましたが、ハリルホジッチ監督の狙いとは違った様子。たぶん前でボールが取れると踏んでいたのでしょう。ロングキックはいつ事故が起こるかわかりません。もしくは体力的な事情からもともと始めだけの作戦だったのかもしれませんが、日本代表は試合途中で作戦を変更し、両サイドのフォワードがオーストラリア代表の両ワイドをケアする形になりました。

ここでオーストラリア代表は試合を優位に進めることができるようになります。オーストラリア代表の3バックの両サイドはほとんどプレッシャーを受けることなくボールを捌ける。しかも中盤において、オーストラリア代表は3トップの両サイドが中盤に参加するため中盤に4枚選手を配置しているのに対し、日本代表は基本的にディフェンスラインもあまり前に出ず3枚の中盤だけで対応。どうしても中盤でオーストラリア代表(特に長谷部誠選手の反対側)が1枚フリーになってしまう。両サイドバック+中盤一人の3枚がフリーでボールを繋げるオーストラリア代表はやりたいサッカーをやることができたのです。しかし、これが日本代表の作戦でした。

過去何度となく苦しめられてきたロングボールを蹴られたくない日本代表。オーストラリア代表もまた磨いてきたショートパスをつなぐサッカーがしたくてロングボールなんか蹴りたくない。相思相愛の関係だったはずが、日本代表のいらぬ前線からのプレッシャーにより両チームが望まないロングボール戦術に陥りそうな崩壊寸前の両チームの関係。日本代表が前線のプレッシャーを減らし中盤にも隙を見せたことで、両チームが望むショートパスのオーストラリア代表をオーストラリア代表が望む形で復活させたのです。悪い男たちやで。

さらに日本代表は、オーストラリア代表の最終ラインや中盤に選手を置かない分日本代表の最終ラインに多くの人数を配置する事になります。これでますますオーストラリア代表はロングボールを蹴りづらくなり、自分たちが望むショートパスサッカーを自らが選択していたかのように錯覚しながら知らず知らずのうちにショートパスサッカーにさらに引きずり込まれていったのです。ひどい男たちだ。

そういうわけで、試合はオーストラリア代表のペースに見えた日本代表の想定どおりの展開。あとは日本代表がどうやって攻めるかという点ですが、これが難しかった。

ワントップに入る大迫勇也選手にボールは収まるものの守備に重きを置く日本代表は飛び出していく選手が乾貴士選手程度しかおらず、大迫選手は孤軍奮闘状態。オーストラリア代表はショートパス作戦のほか、日本代表の中盤でボールを奪ってショートカウンター作戦も兼ね備えていた(ポゼッションチームは必然的にそうなる)ため、プレッシャーを受ける日本代表中盤は守備的な選手が多かったこともありうまくボールが繋げない。日本代表もオーストラリア代表がショートパスをつないでいるときに中盤でインターセプトしてショートカウンターに移行したいところでしたが、作戦上人数不足もありうまくいかない。ただ、一つだけ、オーストラリア代表のシステムには明らかな弱点があったため、日本代表はうまく得点を上げることができました。

現代サッカーでは通常343ダブルボランチシステム(いまどきアヤックスシステムはアヤックスすら使わないらしい)を採用するとき、守備の際は両サイドのフォワードが下がり541の形でスペースを埋めるのですが、オーストラリア代表のフォワードは守備でもあまり下がらず、サイドの守備はワイドの選手が担当し、その後ろはセンターバックがずれてカバー。ディフェンスラインにカバーに入る他の選手も見当たらず、最終ラインにおいて広い広いグラウンドの横幅を3枚だけで埋めようとするのですからそりゃ無理があります。日本代表は恐らく試合前からの約束事であるサイドからの攻撃+ゴール前でファーに離れていく動きを繰り返し得点のチャンスを伺い続け、見事先制点に結び付けます。

前半41分、左サイド長友佑都選手が一旦切り込んでからファーサイドへのセンタリングに対しタイミングよくマークを外してフリーで走りこんだ浅野拓磨選手がボレーでゴールに流し込みます。日本代表1-0オーストラリア代表

後半に入っても、ディフェンスラインから中盤をメインにサッカーをしようとするオーストラリア代表に対し中盤までは自由にやらせて最終ラインに選手を配置して勝負する日本代表。オーストラリア代表はサイドチェンジや縦パスやスルーパスなどゴールに向かうボールの動きがいずれもイマイチなプレーが続き、狙い通りのサッカーなんだけどボールがゴールに近づかないから狙い通りの結果が出ない状態で時間だけが過ぎていく。

サッカーはミスのスポーツなのでどこかでミスが起こるものです。後半37分、原口元気選手がプレッシャーをかけてオーストラリア代表のミスを誘発。パスを受けて左サイドから切り込んだ井手口陽介選手のロングシュートは見事にゴールに突き刺さり日本代表は待望の追加点を上げます。日本代表2-0オーストラリア代表

自分たちのサッカーが否定されるような試合展開にメンタル面のダメージも計り知れないオーストラリア代表。日本代表は勢いに乗ってオーストラリア代表をシャットアウトし試合終了。いよいよ来年のロシアワールドカップへの出場権を手にすることができたのでした。

サッカーとしては弱点がたくさんあった日本代表ですが、そこを有効活用されないと見込んだ賭けに勝ったため危なげなく勝利を収めました。しかし、ワールドカップ本戦ではこのサッカーは通用しないと思うべきであり、得点パターン(というか攻撃パターン)の貧弱さもこれから改善が必要なのは言うまでもありません。しかし、今日の試合において日本代表の状態とオーストラリア代表の状態を見比べた中では結果を出すための見事な戦略であったといえるものでしょう。

この結果を以て日本代表の未来が見通せるというようなものではありませんでしたが、今できることを確実に全うしたことが最良の結果につながったと思います。この調子でぜひ更なる高みへとつなげていってほしいものです。

 

川島 永嗣 5.5 あまり安定しているようには見受けられなかったが守備機会の少なさもありしっかりシャットアウトで試合を閉める。

昌子 源 6.0 クラブでのプレーのように前に出なかったのは監督の指示か。空中戦にも強く役割を確実にこなす。

長友 佑都 6.5 豊富な運動量は健在。今日の戦術であれだけ攻撃に関われるのはさすが。

酒井 宏樹 6.5 高さも武器に攻守に貢献。外も中もよく守った。後半26分のクリアは日本代表に勝利を呼び込んだ。でもなんだかどんどんセンタリングが下手になっていっているような…

吉田 麻也 6.5 いいカバーリングをしていたがボールを奪った後なんだかドタバタしていた。空中戦でしっかり存在感をアピール。

井手口 陽介 7.5 運動量が桁外れ。小さいミスはあったが終盤までロングキックの精度を維持してチームに大きく貢献。クラブでは蹴るところに迷っているようなときがあるが、代表では思い切ってプレーできているようだ。

山口 蛍 6.0 目の前の相手に対する守備はさすがの一言。足元を狙われるようになって無理しなかったのもよかった。

長谷部 誠 6.5 攻撃ではかなり狙われていたが、例えボールを奪われたとしてもしっかり取り戻す責任感がチームを救った。守備の時オーストラリアのフォワードについていたサイドバックとマークの受け渡しにどうしても時間がかかるためスペースを使われそうだったが、そんな無茶ぶりにも何とか応えてみせた日本代表の皇帝。

乾 貴士 6.5 守備でもスペースをつぶし、攻撃においてもワントップの大迫選手のフォローでしっかり貢献。自慢のテクニックはあまり披露できなかったかもしれないが、チームへの貢献はいつも以上。

大迫 勇也 7.0 孤軍奮闘の中しっかりと役割を果たす。前半は追い越していく選手が少なくミスパスも目立ったが体を張って最後までよく頑張った。日本代表の攻撃は全て大迫選手を経由していく。得点という形ではあまり表れないかもしれないけど日本代表の得点は全て大迫選手のおかげと言ってもいいくらいに貢献している。

浅野 拓磨 5.5 得点は決めたがそれ以外ではチームの足を引っ張る場面が多かった。足が速いせいか普段のポジションの関係か、守備で先にスペースを埋めておくイメージがあまりない様子。攻撃においては自分がボールをもらう動きは多いが、相手ディフェンスを引っ張って味方のためにスペースを空ける動きがほとんどなく、周りがスペースを空けてフリーになっても気が付かずにチャンスをつぶしてしまっていることも多い。

原口 元気 6.0 守備から入るいつも計算できる選手。なぜか海外に行ってから技術的にどうかというようなプレーもみられるのだが、それ以上にサッカー選手として成長しているように思える。

岡崎 慎司 6.0 試合終了間際に投入された意味をちゃんと理解し相手を追い掛け回す。日本代表の戦術が大迫選手ワントップで構成されているため本人のプレーをすると先発起用は厳しいと思われるが、良い選手なので何とか2トップかサイドでの起用を検討してもらいたい。

久保 裕也 5.5 出場時間が短くほとんど試合に関わらずに試合終了。交代出場することでチームに貢献しているんだからこちらもしっかり採点します。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 7.0 オーストラリア代表の基本戦術であるビルドアップに対しあえて穴だらけの対策で挑み、結果的にそこを突かれることなくうまくボールの動きを誘導して勝利を掴み取った。見事賭けに勝った形だが、本人はドキドキものだったのではないか。目に見える(試合に影響しない)弱点に動じることなくサッカーの本質を見極め勝利という結果に拘る姿勢は日本代表の監督として尊敬に値するものだった。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第29節 東京ヴェルディ対V・ファーレン長崎 味の素スタジアム 練馬区サンクスマッチ 銀魂チャイルドDAY

今季初観戦のヴェルディ戦は、現在6位のヴェルディに対し5位とプレーオフ進出を争うV・ファーレン長崎との直接対決。話題になってた3バックを見ることはかないませんでしたが、勝てばオッケー。ヴェルディは見事2-1で3連勝を飾りました。

 

前半2分、「V・ファーレン長崎」って打ち込みづらいな。「・」って全角しか出ないのかな…などとスマホと格闘していたら、いつの間にかヴェルディ先制。パスカットに失敗した長崎はゴール前スペースを空けてしまう。ボールを拾ったドウグラスヴィエイラ(これもなかなか打ち込みづらい)選手は左サイドアランピニェイロ(これもなかなか…)選手にパス。梶川諒太(苗字だけならセーフ)選手の走り込みでフリーになったアランピニェイロ選手は日本代表黄金のカルテット小野伸二選手を彷彿とさせる(右足だけど)シュートでゴールに流し込む。東京ヴェルディ1-0V・ファーレン長崎

その後前半20分くらいまではヴェルディペース。大きいパスで長崎のプレスを無効化し、左右から何度も作り出す決定機。しかし得点には至らない。

体力的な問題なのか、ヴェルディのパスがだんだん小さく各駅停車になり、プレスをかけるものの裏のカバーが間に合わなくなってきて、試合は徐々に長崎のペースに。前線に多くの選手が飛び出し、前後のゆさぶりで最終ラインを突破していく長崎。しかし、ゴール前の競り合いでヴェルディに分があり、攻撃時守備のバランスが悪い長崎はカウンター対策も打てず、惜しい展開の中両チーム得点に至ることなく前半終了。東京ヴェルディ1-0V・ファーレン長崎

後半に入り、短いパスながらも広く正確な展開でサイドチェンジを繰り返し長崎のプレスをかいくぐるヴェルディ。一発の大きいパスで大きく避ければいいのにね、とも思うけど、たぶん選手の適正的にはこっちの方がやりやすいんだと思う。監督の指示かな?

そういうわけでこのままヴェルディペースで試合が進むのかなと思った後半8分、長崎のロングフィードにゴールキーパー柴崎貴広選手と井林章選手が連携ミス。こぼれ球を拾った長崎は無人のゴールに流し込んで同点。東京ヴェルディ1-1V・ファーレン長崎

フィードの段階ではキーパーボールかなと思ったけど、スリッピーなはずのグラウンドなのになぜかワンバウンド目でボールにブレーキがかかっちゃったから、あの時点でキーパーは自重の判断に変更すべきだったと思う。井林選手もキーパーが判断ミスしてるんだから、諦めてコーナーにでも逃げたほうがよかったと思う。実際にプレーしてると大変なんだけど、横から見てたものとしては残念な失点でした。

それでも試合は続く。得点に沸く長崎はサイド攻撃がますます活性化。ヴェルディはサイドバックが前にプレスをかけたときゴール前を残り3枚のブロックで対応するんだけど、サイドバックの裏を狙われた時センターバックの1枚がスライドするとどうしてもゴール前がスカスカになってしまう。そこで普通はボランチが最終ラインに下がるんだけど、アンカーシステムでアンカーが下がったときインサイドハーフがボランチの仕事を約束事にしてるかというと、どうもヴェルディはそうではないらしい。そこでアンカーの内田達也選手は最終ラインにはあまり下がらず中盤のラインを形成。そうしないとバイタルエリアが空いてしまうし、せっかく最終ラインでボールを弾き飛ばしてもこぼれ球を相手に拾われて事故的ピンチに陥ることが多いからだと思うけど、でもゴール前でシュートを打たせてしまっては元も子もない。今日は長崎が前線に選手を多く配置していてもゴール前にはあまり侵入してこなかったしゴール前デュエルで負けなかったからいいんだけど、特にヴェルディ右サイドを突かれた時の守備は不安定さを露呈していたと思う。この部分の解説は後程。

最近は都リーグの試合ばかり見ていたのでJやっぱり面白いなあ、すごいなあと楽しんでいると、ヴェルディにスーパーゴールが飛び出す。笑う門に福は来るのだ。

後半15分、右サイド細かいパス交換でプレスをかいくぐったヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手が空いたスペースをドリブルで伺う。この試合何度も縦の突破を見せていた安西選手はここでは切り込んで左足のシュートを選択。ペナルティエリア外からのシュートは絶妙なコントロールでポストの内側を叩いてゴールネットに吸い込まれる。ヴェルディ勝ち越し!東京ヴェルディ2-1V・ファーレン長崎

その後は高さのないヴェルディに対してハイボールで攻め込みたい長崎だが身長の割に強さを見せるヴェルディゴール前を制することができず、ヴェルディも特に修正できた感じはなかったけどそれほどピンチに陥ることなく、時折効果的なカウンターを見せながら試合終了。やった勝った、3連勝!東京ヴェルディ2-1V・ファーレン長崎

というわけで、システム解説の続き。ヴェルディの今のシステムは433と表記されることが多いようだけど、狙っているのは4141に近いと思う。433といえばバルサが思い浮かぶし、左右の違いはあれど左サイドにアランピニェイロ選手を配置しているから特徴的には似ているんだけど、バルサのように守備の時442への展開みたいなのを選手たちは作り出せていない。そこでアトレティコマドリッドが時々やってた4141システムに近くなるんだけど、あのシステム実はディフェンディングサードでは4バックがゴール前を固め、サイドはサイドハーフが担う。だからアンカーは最終ラインに戻らなくていいんだけど、ヴェルディの場合は両サイドハーフ(フォワード)が下がる4141だけどサイドバックも高い位置でプレッシャーをかける昔ながらのスタイル。センターバックの一人(もしくはボランチでもいいんだけどヴェルディはそうではない)がサイドバックの後ろをカバーするため、ゴール前は2枚しか残らなくなる。長崎はゴール前1枚、多くて2枚しかいなかったので競り合いで負けなければ何とかなるけど、ゴール前3枚目が飛び込んで来たら誰が見るのか。今日の長崎のように、攻撃時最終ライン近くにボランチ1枚下がって逆三角形からフィードしてくるチームに対しては、今日のようにインサイドハーフがかわりばんこに前に出て自分たちからバランスを崩すような守備をするより、ダブルボランチにして守備も頑張れるフォワードかトップ下に長崎ボランチへのプレッシャーをかけさせた方がフィード自体を止めることもできるしサイドへの守備も役割分担が進むし最終ラインのカバーも入りやすくなるような気がする。インサイドハーフが前に出ることで逆に最終ラインの前が空いてしまい内田選手が下がりづらくなる悪循環もあるような気もする。この形でやるのなら、インサイドハーフがボランチの位置に下がる約束事も必要なのだと思う。

あわせて、攻撃への切り替えでやはり1トップは制限が多い。ドウグラスヴィエイラ選手はそれほど攻守の切り替えが早いタイプではないから、ボールを奪った瞬間にボールを前に運べなくなることが結構ある。カルロスマルティネス選手に至っては、ボールがなかなか収まらず攻撃が形にならないことが多い。1トップ的選手が見当たらない中では、やはり2トップの関係性の中で前線に基点を作った方がいいような気がする。とはいえ、ドウグラスヴィエイラ選手とアランピニェイロ選手の2トップはデメリットが増すだけのような気がするし、アランピニェイロ選手をサイドハーフに据える442が機能するかどうかは冒険でもある。梶川選手と渡辺皓太選手の運動量は2012シーズンの梶川・和田拓也コンビを彷彿とさせるが、あの時も8月の暑い時期体力的に厳しくなり負けが込んだ印象がある。

幸い得点を奪える選手がいるのだから、暑い時期は個人に得点を期待して現在のシステムで守備面の修正を加え、涼しくなってきたら攻撃面に手を加えていくのが、現実的なチーム編成なのかもしれない。

今日勝ってヴェルディはプレーオフ圏内の6位をキープ。自動昇格の2位まではまだ少し離れているけど、長いシーズンの全体を見ながら、シーズンが終わったときにいい結果が出ていることを期待したいものです。

 

柴崎貴広 5.5 失点やフィードなど酷いミスと言わざるを得ない部分が散見。しかし、ハイボール処理などで堅実な守備を見せ勝利にも大きく貢献した。

田村直也 6.0 豊富な運動量でチームに貢献。パス制度がいまいちかな。1つ目のファールはPKっぽかったけど、2つ目は合わせ技一本を狙ったのかもしれないけど貰いに行き過ぎ。カード貰わなくて良かった。

井林章 6.0 失点の判断ミスは酷かったが、それ以外では安定した守備を見せる。空中で止まっているように見えるのでよく目立つ。

平智広 7.0 強さを発揮し攻守両面で活躍。左足のフィードはチームにリズムをもたらした。

安西幸輝 7.0 よく走り、よく仕掛け、よく決めた。守備もやるので偉い。足も速い。

渡辺皓太 6.5 豊富な運動量とミスの少ないプレーで計算できる選手。計算できちゃうので想像を超えるプレーが見せられるようになるとステップアップできるかもしれない。

内田達也 6.0 インサイドハーフが前に出た後一人で中盤をカバーするというシステム的に無理がある中でもよく頑張った。でも無理だった。フィードが正確なので、大きいパスにも期待したい。

安在和樹 5.5 体を張って気合を見せる。最終ラインで一人残ってしまいがちで、そこをつかれたらやばかったけど、今日はつかれなかった。

アランピニェイロ 7.0 足速い。あのロングシュートもすごかった。このまま守備も攻撃も頑張ってほしい。

梶川諒太 6.5 前線までよく駆け上がっていたが、途中で疲れちゃったかな。暑い中お疲れ様でした。

ドウグラスヴィエイラ 6.5 1トップの制約の中それなりに起点づくりに成功。守備も頑張るのでいいのだが、その分攻撃に切り替えられないことがあり、チームとしてもう少し守備の負担を減らしてあげたい。

高木善朗 6.5 技術があり間受けもできるのでチームにリズムをもたらすことができる。なんだかんだで一人でフィニッシュまで持ち込めるすごい選手。

カルロスマルティネス 5.0 ボールが収まらずあまり機能しているとは言い難い。1トップなのでボールの受け方にもう少し工夫が必要。取られたら取り返そう。

橋本英郎 6.0 出場時間が短い中でポジショニングやボールの出しどころ(奪われどころ)に賢いプレーを見せる。サッカーは11人だけで戦うのではないのです。

ロティーナ監督 6.5 攻撃面では修正できたけど、守備面はちょっと微妙。長崎の攻撃はボランチ→ワイドかセンターバック(もしくは開いたボランチ)→フォワード、もしくはフォワードの裏という形の中でボールの出所にもパスの到達先にもあまり修正が見られなかった。ゴール前で負けてなかったから守備の修正よりも攻撃を修正することでショートカウンター対策や守備の回数を減らすことを主眼にしていたのかもしれないけど、ゴール前まで運ばれてしまうと事故でも失点してしまうので、もうちょっとなんとかした方がよかったと思う。でも勝ったからよし。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対イラク代表 イランPASスタジアム

ボールは疲れない。
空飛ぶオランダ人が遺した言葉は本当だった。ボールは疲れないけど、人は疲れるのです。

日本代表のディフェンスラインの裏や中盤とディフェンスラインの間などのスペースを効率的に使ってくるイラク代表に対して、日本代表は時々大迫勇也選手目掛けて放り込むこともあるけれども基本的には目の前の味方に細かくつないでいく「自分たちのサッカー」
攻撃が狭く、球離れの悪い選手が多く、体の向いている方向にしかパスが出せない日本代表の攻撃はイラク代表にとっては恐らくは組し易い展開だったでしょう。最終ラインで体を張って守れたことで日本は負けずに済んでよかったと思います。

試合は、トップ下に入った原口元気選手を筆頭にパスミスが多い日本代表に対して作戦通りにボールを運んでいるであろうイラク代表という展開。しかし、日本には大迫選手がいた。抜群の能力を活かし日本の攻撃を活性化。前半8分、イラク代表ゴール前まで押し込んでいた日本代表はコーナーキックから本田圭佑選手の絶妙なボールに大迫選手が頭で合わせて早くも先制。日本代表1-0イラク代表

イラク代表は41311みたいな変則的なシステム。守備時は442や433、451など日本代表に合わせて柔軟に変更し、攻撃時はボランチと左サイドハーフが時にはセンターバックの位置まで降りてスペースを作り、左サイドバックが空いたスペースに侵入し、センターバックが左に開いて展開していく形が約束事になっていた様子。ワントップの日本代表は最終ラインまで入り展開するイラク代表のボランチと左サイドハーフとセンターバックを誰が見るのかはっきりせず、技術のあるイラク代表の選手たちにフリーでプレーされてしまう。イラク代表はスペースを作った左サイドから右サイドをフィニッシュ地点として日本代表の左サイドバック長友佑都選手の頭の上を狙う作戦。実際に得点にはつながらなかったものの日本代表のことを良く研究していたのだと感心。

日本代表はせっかくダブルボランチにして中を閉じていたし、サイドバックが前にプレッシャーをかけてセンターバックが積極的に前や外へ出てしまってよかったと思う。このあたりは暑さ対策とシリア戦でサイドバックの裏をつかれた反省だったのかもしれないけど、結果的にはちょっとシリア戦がもったいないことになってしまった。

後半に入ってウィングがイラク代表のサイドバック(主に左)を見る約束になった様子の日本代表。しかし、ボールの出所には相変わらずプレッシャーをかけることができず、結局振り回される展開は変わらず。しかし、イラク代表も完全に裏をつけているわけではなく、押し込まれることさえなければ事故も防げて守りきれるはずだった。そう信じてた。

暑さのせいなのか、コンディションの問題なのか、理由はいろいろあるのだろうけれど、日本代表の選手がバタバタと倒れるようになってしまった。治療のため数的不利で戦う時間の増える日本代表。次第に選手たちは気持ち的に守りに入ってしまう。ディフェンスラインが下がり、中盤にスペースができる。守備のエリアが下がり日本のゴール前までボールを運ばれることが多くなってしまう。失点は必然でした。

後半27分、間で受けるイラク代表に対してスペースが広すぎて誰もプレッシャーをかけることができない日本代表。ボランチの遠藤航選手が裏を取られてしまい、ボールはもつれるようにディフェンスラインの裏へコロコロ。日本代表は深いラインを敷いているのでペナルティエリア内でディフェンスラインの裏に出たボールはキーパーが処理するのが基本だと思うけど、中途半端なところにボールが残ってしまう。残念ながら吉田麻也選手とキーパー川島永嗣選手のコンビネーションも狂ってしまい、慌てて川島選手が前に出るもボールをつかみきれず。こぼれたボールを押し込まれて同点。日本代表1-1イラク代表

その後イラク代表の前線の足が完全に止まり、失点のリスクが低くなった日本代表はスカスカの中盤を攻めてチャンスを作り出すも技術的なミスが多くシュートをゴールに飛ばすことができず。けが人続出の中、何とか終了のホイッスルまでグラウンドに立ち続け、同点で試合終了。とりあえずはワールドカップ出場に向けてまた一歩前に進むことができました。

日本代表はサイドチェンジや一人飛ばすパスを出せる選手がいなかったのが大きな不利に働きました。せっかくダブルボランチにしてもサイドバックもセンターバックもあまり前に出ないのでウィングが下がらざるを得ない。だったら岡崎選手をウィングで使って動き回らせた方が良かったと思います。自分たちのサッカーもいいけど、もう少しサッカーの本質に近づくことも必要ではないでしょうか。サッカーはボールをつなぐスポーツではなくてゴールを奪い合うスポーツ。こういう経験を確実に日本のサッカー文化醸成に繋げていきたいものです。

 

川島 永嗣 5.5 ピンチ自体は少なく安定したディフェンスラインを構築していたが、失点の場面はロングシュートを狙われだしていたため怖かったとは思うけど結果的にもう少し前目のポジショニングで良かったと思う。期待が大きすぎるかもしれないけど、少し遅れたとは言ってもあのタイミングであればちゃんとボールをつかんでほしかった。

昌子 源 6.5 緊張も解けたようで持ち味を出せていた。ラインコントロ-ルをしつつ裏もケア。これからも期待できる。

長友 佑都 5.5 身長差を狙われていたがよく体を当てて対応していた。ボールを追いかけて中に入ってしまう癖が今日は裏目に出たところがある。久保選手はいきなりで大変だったのではないか。

酒井 宏樹 5.0 守備面ではシリア戦の反省が生かせていなかったが、攻撃面ではよくボールに絡むことができた。後半早々に痛そうにしていたにも関わらず、試合に残った結果チームに迷惑をかけてしまった。

吉田 麻也 6.0 安定した守備を見せていたが、失点に絡んでしまった。キーパーに任せたかったのは分かるが、ああなってしまった以上コーナーに逃げてもよかったのではないかとは思う。

遠藤 航 6.0 守備面でチームに貢献。失点シーンではついていくことができなかったが、全体的にすばやい切り替えでカウンターを防ぎ、守備に入っては楔のパスを入れさせなかった。ボランチなので逆サイドにも展開したいところだが、普段クラブチームでもやっていないことをいきなり代表で求められても辛いところだろう。

井手口 陽介 6.5 チーム事情もあって守備も攻撃も大きな役割を担っていた。本来はインサイドハーフがやるであろう仕事までボランチからするんだから大変だったと思う。お疲れ様でした。

本田 圭佑 6.5 先制のコーナーキックは見事。守備も攻撃もよく走って頑張っていたが、ボールを持ったときにあまり仕事ができなかった。

原口 元気 4.5 あまりにも基本的なテクニックレベルのミスが多すぎた。コンディションの問題もあったと思うが、チームの足を引っ張ってしまった。

久保 裕也 5.0 守備ばかりを意識しなくてはならなかったので大変だったと思うが、次に向けていい経験になったと思う。一皮むけてほしい。

大迫 勇也 7.0 前線で孤軍奮闘。チームとしてもっと大迫選手を単純に使うことを意識しても良かったと思う。

今野 泰幸 5.0 堅実なプレーだったが、経験値からすると、守備の押し上げやボールの出所への対処をチームとして主導してほしかった。プレーとは直接関係ないが、交代を告げられた時、数的不利な状況にも関わらず準備がなかなか進まなくて時間を浪費したのはベテランとしていかがなものか。

倉田 秋 5.5 メリハリのある動きでチームに貢献したが、一人だけでは厳しかったと思う。守備のときボールを追いかけすぎて簡単に相手と入れ替わってしまうのは修正した方が良い。

酒井 高徳 5.0 周りがバテバテ状態の時に交代で入ったのにあまり貢献できず。元々体力は確かなものがあるのだから、ダイナミックなプレーを期待したい。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.0 久保選手にこだわったのは得点を期待したからだと思うが、そうであればあれほどに守備の役割を担わさずダブルボランチに任せてもう少し攻め残りさせることも考えるべきではなかったか。得点を挙げるには守備の時にもある程度の攻撃準備がまた求められるものであろう。イラク代表の変則的なシステムにも対応ができず、けが人続出の中采配も後手後手に回ってしまった。長友選手の高さの不安もあったのだろうがセンターバックを中央に残すことを気にしすぎて守備も押し込まれてしまうし、そもそもどうやって得点を挙げたかったのか分からない。