政治 \ 多摩市議会

平成30年12月議会一般質問通告書

12/3から始まる平成30年12月多摩市議会に向けて、質問通告しました。

きりきの一般質問登壇は、12/6(木)11時頃(2番目)の予定です。

 

  • 多摩市の障害福祉と介護について

障害福祉制度における「障害」及び「障がい者」に関する対象規定は、個々人に応じて必要となる様々なサービスを提供するために対象者を特別視するという側面があり、一方でそれが障がい者に対する「差別」「偏見」「スティグマ」といったマイナスイメージを生み出している部分もあります。そこで近年では障害を「個性」「文化」として障がい者福祉の価値観を見直し、障害のある者と障害のない者といった対立概念ではなく、単なる文化やコミュニティの違いであると考える動きもあります。障害を「個性」や「文化」として捉える見方は国際障害分類から国際生活機能分類へと概念が変わったことと同じく、これまでの自己否定的なイメージを変化させ、障がい者自身の前向きな姿勢や肯定的な生き方を生み出し、生きる意欲、自立への動機づけを強化する可能性を生み出してきた点で重要なものであり、さらに、障がい者に関する課題を一般市民の生活とは別の特別な課題として捉えるのではなく、一般市民が通常関心を持つ生活の課題の中に位置づけることの必要性を強調した点で、それらの課題に取り組もうとする市民の意識を大いに高めることも期待されるものです。

このように障害を「個性」や「文化」として捉える視点は大変意義深いものですが、現実には、いくら「個性」を強調しても、障害から生じる日常生活の困難さは頑として存在しています。「個性」や「文化」を強調することによって、逆に必要な支援を見えにくくするという問題も大きくなることが懸念されるところです。

障がい者の社会参加を乏しくしている原因を社会的環境に捉え社会を変えていくアプローチとともに、障がい者個人個人に応じた特別な支援を提供することで社会参加を容易にするためのアプローチもまた充実させていくために、以下質問します。

  • 障がい者に関する必要な支援は個人差が大きく、また技術の進歩による新たな支援が創出されることもあり、障害福祉は幅広い分野を柔軟に対応する必要があります。また、こうした援助活動は「唯一の正解」が見出しにくいもので、様々な形で倫理的ジレンマを引き起こしやすいものです。障がい者自身の生活のためにも、それを支援する介護福祉の現場にいるものを支援する意味においても、より広範囲をフォローできる支援体制を多摩市として築いていく必要があると思います。制度による違いもあり対応に悩むことも多いかと思いますが、多摩市においては、それらの課題をどのように分析し対応をお考えでしょうか。
  • 障がい者も65歳を過ぎると介護保険制度の対象となり、それまでとは異なる制度による支援を受けることになります。障害者総合支援法など障がい者福祉の法制度と介護保険制度の切り替えによって、どのような変化が想定され、その対策をお考えでしょうか。
  • 地域で福祉を充実させていくためには地域包括支援センターの役割を欠かすことはできないものですが、これからは地域包括支援センターにおいても障害分野の支援が求められるようになるのでしょうか。またその場合、地域包括支援センターの位置づけやその役割における課題をどのように分析されていらっしゃいますか。

 

2、子どもたちのスポーツ環境の整備について

少子化が進む現代ですが、少子化だからこそ多くの大人たちが関与して子どもたちの健全育成を見守っていくことができる時代です。一方で、少子化・核家族化という変化の中で「子育てに正解があるはずだ」「子育てで失敗は許されない」と悩む親の思いもあり、支援を欠かすことはできません。子どもたちが自己肯定感と共にのびのびと成長するために、失敗から学び、また仲間集団の形成を経験することができるスポーツという要素を子育て支援環境に有効活用していくことはこれからの社会において重要なものであると考え、以下質問します。

  • 子どもは小さな大人ではありません。人間が成長する過程は、単に小さいものが大きくなっていくといった単純なものではなく、また、人間の器官や機能の発達速度はアンバランスであり20歳前後でようやくバランスのとれた状態になるとされています。したがって、それぞれの子どもたちのそれぞれの発育発達段階に応じた経験や刺激が必要であり、それらを適切に支援することで健全な成長を促すことができます。また、ある課題に対して吸収しやすい時期としにくい時期があり、もっとも吸収しやすい時期にその課題を与えていくことも大切です。適切な支援を連続的に受けられる体制作りが求められるところですが、市のお考えを伺います。
  • 今年の夏は猛暑による被害を多く聞かれた夏でしたが、これから寒い冬を迎えるにあたり、どのようなリスクを想定し対策をお考えでしょうか。
蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2018明治安田生命J2リーグ第29節 東京ヴェルディ対大分トリニータ 明治安田生命DAY 練馬区サンクスマッチ 味の素スタジアム

現在6位とプレーオフ圏内につける東京ヴェルディ。今日の相手は2位の大分トリニータ。ホームの上位対決で弾みをつけたいところでしたが、0-0の引き分けに終わりました。

 

試合は大分ペースで展開。3バック、1アンカー、2トップの大分に対しヴェルディのディフェンスラインが大混乱。両ワイドに選手がいるのでサイドバックが対応しようとすると、中がセンターバック2枚とフォワード2枚になり余裕がなくなってしまうのです。

仕方がないのでフォワードのはずの藤本寛也選手を最終ラインまで下げて数で対応するヴェルディディフェンス。しかし中盤はアンカーシステムの3枚のままだしそれでも佐藤優平選手は右に流れてるしドウグラスヴィエイラ選手は真ん中に残ったままだし泉澤仁選手は左サイドを主戦場にしているし、誰かが間違ってるんだけど誰が間違ってて誰が合ってるのか外から見ててもわからないほどの混乱ぶり。

そうすると、本来藤本選手が守っているはずの場所にいる大分の左センターバックがいつでもフリーに。ヴェルディが慌ててスライドすると今度は右サイドに歪が。前半の大分の狙いは、フォワードの走り込みとこれ。ギャップのできた右サイドに右センターバック、右ワイド、右ハーフ、フォワード、時にはアンカーまで絡んで4人(もしくは5人)で突破を試みる。ヴェルディは泉澤選手が引っ張られてしまっているので左サイドバックの奈良輪雄太選手と左ハーフの梶川諒太選手と左センターバックの平智広選手の3人しか人が割けない。サイドが突破されるも最後の最後で中央のマークを外さなかったヴェルディは何とか大分の攻撃を耐え忍んでいく。

大分が攻め込んでいるのでカウンターが効果的なのですが、ヴェルディはカウンターというと一気にフォワードに繋ぐことばかりが優先されてしまっていて、そこが完全に大分に対応されてしまっていたのでカウンターを発動することもかないませんでした。大分のディフェンスはボールのところと最終ラインのところの2か所だけだったので、ベルギー代表とかフランス代表みたいに中盤で一旦起点を作るカウンターだったらうまくいくと思うんだけど、残念ながらこれはワールドカップじゃなくてJ2リーグだった。

そういうわけで、前半終了間際にヴェルディが少し攻め返すところはあったけどだいたい大分が攻め込む展開が続いて前半はスコアレスドローのまま終了。東京ヴェルディ0-0大分トリニータ

後半に入り、ヴェルディは混乱していたシステムを修正。右サイドの藤本選手をはっきりと右サイドバックに落とし5バックシステム。中盤はアンカーシステムの3枚。フォワードに2枚。これでとりあえず最終ラインはマークが明確化し、落ち着きを取り戻しました。

個人的には、大分の2トップに対し井林章選手と平智広選手の両センターバックとアンカーの内田達也選手が対応して、藤本選手を前に出すのがセオリーだと思います。特に藤本選手のドリブルは前半から大きな武器になっていたため、できることなら藤本選手を前線近くに残したかったはず。また、大分の3バックに対し2トップで追いかけるのは無理があるため、大分の攻撃の起点となっていたパスの出しどころが止めきれない可能性も拭い切れません。ダブルボランチにすれば大分のインサイドハーフにもピッタリはまり対応できます。しかし、ヴェルディの狙いは違いました。内田選手を中盤に残すことで前半に何度か使われていたデイフェンスラインと中盤のスペースを埋めることと、あえて大分のセンターバック、更にいうなら左センターバックの選手にボールを持たせる選択をしたのです。

大分の左センターバックの選手が、例えば逆サイドに展開できたり、ドリブルで持ち出したりできていたら全然違った展開になったと思いますが、基本的にはプレッシャーがあまりなくても近くの味方へパスを渡したがる選手。しかし、周りはマークでびっちり。ボールを持っている本人がフリーという事は、逆に言うと、自分以外のチームメイトは数的不利な状況になっているということ。そこにパスを打ち込もうというのですから、結構難儀な話です。そういうわけで、大分の攻撃はことごとくヴェルディのインターセプトにあい、形にならなくなりました。

また、ヴェルディの攻撃も、単にドウグラスヴィエイラ選手に慌てて繋ぐのではなく、一旦中盤でパスをつなぐようにしました。大分の守りも中盤は基本的に3枚だけなので、中盤のスペースはあります。梶川選手が効果的に飛び出すことで三角形のパスコースが生まれ、後半のヴェルディは守備でも攻撃でもリズムを作り出すことに成功。試合はヴェルディのものです。

しかし、サッカーと言うのは自分たちと相手のゴール数を競うスポーツ。得点を挙げることができなければどれだけいい試合をしても勝つことはできません。キーパーのビッグセーブもありましたが、もう少し早いタイミングでシュートを打った方がよかったかな。

アランピニェイロ選手が入って541にシステム変更、最後は李栄直選手を入れてパワープレーに持ち込もうとするも不発。

結局スコアレスドローのまま試合終了。東京ヴェルディ0-0大分トリニータ

ヴェルディは後半の建て直し策がズバリはまって相手の弱点をつきながら試合を優位に進められたので、なんとか勝ちたかった試合。ただ、大分のフォワードが中盤の守備を助けに来てたらどうなってたかわからなかったし、左センターバックからのパスが供給されていたら負け試合だったと思う。そういう意味でも賭けに勝ったのだからやはり勝ち切りたかった。

大分は丁寧に外から攻めようとし過ぎ。そういうときも必要だけど、ゴール前でフリーのフォワードがいるときはさっさとシュートまで持ち込んだ方がいいと思う。チャンスの神様はいつまでも待っていてはくれないらしいから。

 

上福元 直人 8.0 クロスにことごとく反応。シュートに対しても抜群のキャッチング力で相手の連続攻撃を未然に防いだ。

井林 章 7.0 かなり攻め込まれていたが、最後の最後ゴール前マークを外さなかった。ライン統率にもかなり気を使っていた様子。

平 智広 6.0 中途半端な戦術の中体を張って対応。ただ、センターバックとしてサイドに出ていくなら確実に止めたいところ。チームがパワープレーに出たときキックがキーパーに直接キャッチされてしまったのは残念だった。

田村 直也 5.0 守備面では確実なカバーで貢献。藤本選手のポジションを下げたのは田村選手の指示なのかな(チーム戦術っぽくなかった)。ビルドアップのパスミスが多かったのは課題。

奈良輪 雄太 5.5 攻守に貢献し、終盤には得点のチャンスも。数的不利の中攻められ続けて大変だったと思うけど、少し簡単に裏を取られ過ぎたきらいがある。あと、ファーストタッチが悪すぎるのは何としても改善してほしい。

内田 達也 6.0 前に出るのか下がるのかはっきりしないことがあるけど、全体的にはよくスペースを埋めていた。後半の左サイドへのロングパスは見事だった。

佐藤 優平 5.5 前半右サイドに引っ張られ過ぎていてどうなるかと思っていたけど、後半に入り徐々にボールに絡みだした。ヴェルディのあのポジションにはシュートも期待したい。個人的にはあのフリーキックはゴールしづらいと思う。もう少し回転数を落とした方がいい結果が出る気がする。

梶川 諒太 7.5 攻撃はかならず梶川選手を経由していく。動きながらの攻撃なのでなかなか相手も止めきれないだろう。技術があるのでもうワンテンポ早くシュートできれば簡単にゴールできそうな気がする。

泉澤 仁 6.5 よく裏を狙って走っていた。ボールが出てこなかったが、続ければ必ず得点に繋がるはず。ヴェルディは1トップなので、自分が生きるだけでなく1トップと絡む動きも増やしてほしい。

ドウグラス ヴィエイラ 6.0 前半は孤立し過ぎていてボールも収まらなかったが、徐々に力を発揮し始める。うまくスペースを作っているから、空いたスペースを使える選手を同時に起用してあげたい。

藤本 寛也 5.5 役割がよくわからなかった。あれだけドリブルが効果的だったのだから、もっとチームのために自分のドリブルができる環境を試合の中で作っていっていいと思う。

アラン ピニェイロ 6.5 ポジションは右ハーフだったと思うが、攻撃時素早く攻め上がり前線でドウグラス選手と連携してチャンスを演出。

李 栄直 5.0 パワープレー要員だったと思うが機能しなかった。時間も短かったからしょうがない。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 7.0 大混乱だった前半から見事にチームを立て直した。ただ、攻撃に関してはアイデアが少なかったと思う。ドウグラス選手が動いてできたスペースをどう使うか、ここにもっと重点を置いた方がよかったような気がする。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第42節 東京ヴェルディ対徳島ヴォルティス 味の素スタジアム

※閲覧注意!福岡の人は絶対に見ないでね!

長かったJ2リーグもいよいよ最終戦。6位までが出場できるプレーオフ圏内ぎりぎりの6位東京ヴェルディがホームに迎えるは5位徳島ヴォルティス。得失点差の関係で引き分けてもプレーオフ出場がほぼ間違いない徳島に対し、引き分け以下だと他会場の結果次第で出場を逃す状況のため10年ぶりのJ1復帰を目指して勝って確実にプレーオフ進出を決めたい東京ヴェルディ。スペイン人監督同士の決戦はまさかのBS生中継。コイントスによりエンドを入れ替え、いざキックオフ!

聞き慣れたチャントがテレビから聞こえてくるのってなんか不思議な気分だなあ。

さて、3バックの徳島に合わせいつもの4バックではなく3バックで臨むヴェルディ。しかし、中盤がバラバラで守備が全く機能しない。挙句の果てにドウグラスヴィエイラ選手まで下がってしまい徳島に押し込まれたまま耐え忍び続ける展開。徳島は攻撃時サイドに偏らせて逆サイドにスペースを作る作戦だったと思うけど、サイドチェンジしなくても前に進めてしまうので、そのうち点が入るんだろうなという感じで進むも、ヴェルディのGK柴崎貴広選手が最後の最後で踏ん張って失点は許さない。

ミゲルアンヘルロティーナ監督は早々に3バックを諦めて4バックに変更。ただ、ちょっと変則的な配置。というのは、基本的な配置は右から安在和樹選手、田村直也選手、畠中槙之輔選手、平智広選手の4バックなんだけど、攻撃時はディフェンスライン右に田村選手、中央に畠中選手、左に平選手を配置して右サイドバックの安在選手を1列前進させる3バックに変化。守備の時は徳島のサイド攻撃に対し、左サイドは安西幸輝選手と平選手(+畠中選手もしくは梶川諒太選手)、右サイドはアランピニェイロ選手はそれほど下がらず安在選手と田村選手(+井上潮音選手)で守る。このアシンメトリーな戦術の肝はアンカーの内田達也選手。通常はアンカーの選手が最終ラインに入ることが多くなるけど、このシステムなら中盤の真ん中でどっしり構えられる。危険なエリアを閉じられるしこぼれ玉にも反応できる。なかなか奥の深いシステムだがや。そういうことでヴェルディは4バックに移行してから攻守の役割分担がはっきりして徳島のサイド攻撃をつぶすことに成功。試合開始直後思いのほか上手く攻めれちゃって戸惑ったはずの徳島は、今度は思いのほか攻められなくなって戸惑っちゃって、ヴェルディの前線からのプレスの餌食となり、試合は一気にヴェルディペースに。

ただ、ヴェルディの攻撃もそれほど多彩というわけではなくて、今日はドウグラス選手のポストも密着マークにあってあまり冴えなかったせいもあり、基本的には左サイド安西選手を経由してセンタリングかファールやコーナー貰ってプレイスキックという感じ。それでも、徳島は背の低い選手が多く、ヴェルディとしては極めて珍しいことに背の高さで優位に立つことができ、プレイスキックも大きな脅威。そうなれば俄然得意のドリブルが威力を増してくる。そこで引かなかった徳島は偉かったけど、できたスペースを効果的に使った安西選手がさらに躍動。そして先制点につながる。

前半31分、狙い通り左サイドで得たフリーキック。安在選手の正確なボールは平選手が相手を体で制してヘディングシュート。キーパー反応するも及ばず!東京ヴェルディ1-0徳島ヴォルティス

押し込まれてどうにもビルドアップができない徳島も作戦変更。前半38分早くも選手交代で4バックに変更するとともに中盤に技術のある選手を配置してボール回しと長身フォワードによる攻撃を期待。

ところが、徳島は中盤で期待通りボールキープはできるものの前線でフォワードが余ってるのになぜか外から攻めようとしてしまう。丁寧なのはいいけどサッカーの目的はボール回しじゃなくてゴール。その為にはゴール前にボールを運ばなくてはならないしシュートを打たなくてはならない。丁寧に外から攻めようとする徳島に対し中を崩されないヴェルディは守備練習をしているかのように安定して対応。外から攻めたい徳島と外から攻めさせたいヴェルディの思惑が合致した結果、徳島は外から攻めてもシュートすら打てずじまい。ドウグラス選手が封じられてるのは気になるけど、このまま守ってればどこかでプレイスキックでもう1点くらい取れたりしてヴェルディの勝ちは固いかな、という感じで前半終了。

後半に入りさすがに修正を見せる徳島。縦パスなどで中を使いだす攻撃にヴェルディディフェンスラインが右往左往し始める。ありゃりゃ、こりゃまずいな、と思う隙もなく、後半4分縦パスが起点になって左サイドから右サイドにボールが回りセンタリングからヴェルディ失点。東京ヴェルディ1-1徳島ヴォルティス

ヴェルディは相変わらず左サイドからの攻撃が冴えを見せるが、楔が入り始めた徳島の攻撃はさらに冴えを見せる。もうハーフタイムはないからチームとしての修正は難しいヴェルディ。試合展開としては徳島のペース。

しかし、ヴェルディは、この切羽詰まった状況で2つの転機により、試合ではなく結果を支配することが可能に。

1つは、プレーオフ出場のライバル7位松本山雅FCが京都サンガF.C.に0-1で負けていること。その為、ここから松本が2点以上取って逆転しなければ、たとえヴェルディが負けても松本はヴェルディより下の順位で終わる。同じくプレーオフ出場ライバルの8位ジェフユナイテッド千葉は勝利しても得失点差の関係でヴェルディは負けさえしなければ千葉が上の順位に行く可能性は低い。つまり、このまま同点で試合が終わればプレーオフに出場できる可能性が高いということ。無理に攻めないでちゃんと守ろう。運が良ければプレイスキックから得点できるかもしれないのだ。

もう1つは、言葉は悪いけど井上選手が怪我で交代に追い込まれたこと。実は徳島の縦パスの多くは井上選手の裏のスペースを突いたもので、前半からの運動量で体力的な問題もあったのかもしれないけどこの時間少し守備の穴にもなっていたのが井上選手。しかし、守りを第一優先させるべき状況で守備の穴を埋めるための交代にも関わらず守備に特化した選手がベンチに見当たらないため、井上選手を交代させることによって(攻めろという)誤ったメッセージを他の選手たちに伝えてしまう可能性があったわけで、この穴を埋めるのはきわめて繊細な問題になっていました。井上選手の交代が負傷による交代となったことで、ヴェルディにとって守備を重視しながら自然な形でスムーズに守備の修正作業が完了できたのだと思う。

ということで、井上選手に代えて橋本英郎選手がピッチに登場。さらに守備の強化も兼ねてアランピニェイロ選手に代えてカルロスマルティネス選手を投入。すると、やや動きが減っておりバテたのかな、と思わせていた安西選手が急に元気を取り戻します。

いやいや、安西選手はもう体力切れてるはずだから、ディフェンスラインを3枚に戻して、ドウグラス選手とアランピニェイロ選手を3対2で封じよう、これで失点は防げる、ディフェンスラインの人数を減らした分前線に人を捌けるから運が良ければサイド攻撃から前線勝負で得点できるはずだ、別に得点できなくても同点で終われば良いのだ、と徳島は思っていたはず。私もそう思いました。安西選手はもう終わったのだ、ヴェルディは得点できない、徳島の引き分け以上は固いと。しかし、それはただの死んだふりでした。

守備が安定しだしたヴェルディは安西選手を起点にボールを前線へと送り始めます。安西選手の2つのロングパスからのチャンスに安在選手がきわどいシュートを放った後、ついにそのときが訪れます。

後半43分、梶川選手の絶妙な左コーナーキックに畠中選手がヘディングシュート!惜しくもポストを弾くもごちゃごちゃしたこぼれ球に内田選手が詰め、ヴェルディ勝ち越しゴール!東京ヴェルディ2-1徳島ヴォルティス

その後さらにアップダウンを繰り返す安西選手に、3バックへと移行した徳島は対応できず。というのは、左サイドを起点に3トップで攻め込むヴェルディに対し、徳島は3枚のディフェンスだけでは守りきれないため両サイドバックを下げざるを得ず、いざ攻撃時に選手が最終ラインから出て行かなくてはならなくなってしまい、徳島はどうにも攻撃にギアが切り替えられないのです。

引き分けでよかったのに攻撃に出た結果うまく得点が奪えず結果的にペース配分に失敗した感じの徳島は、他会場で千葉がアディショナルタイムで逆転してしまい暫定で7位に転落。慌てて攻めるも形にならず、余力を残したヴェルディが逃げ切って勝利。その結果、東京ヴェルディが5位、最後に逆転した千葉が6位、徳島は残り2分でまさかの7位とプレーオフ圏内から脱落。プレーオフ最後の出場権はヴェルディと千葉がもぎ取りました。

ヴェルディの試合をテレビで観るのはまた特別な感慨があるけど、テレビはどうしてもわかりづらい。サッカーはやっぱりスタジアムで観るのが最高の贅沢です。勝てばなお!

 

柴崎 貴広 7.0 安定した守備でビッグセーブを連発。シーズンフル出場は自身初とのこと。足元の不安もあまり感じさせず安定したプレーを見せた。

畠中 槙之輔 6.5 ロティーナ監督としてはセンターバックにロングキックが蹴れる選手を考えているような気がする。小型ボランチが多いチーム事情もあってロングボールも蹴れてセンターバックの専門性も兼ね備えた畠中選手には期待が大きい。

平 智広 6.0 強さを見せて先制点を挙げる。守備は安定しているがキックがやや不安定。

田村 直也 5.0 気合が空回り。一人でラインを下げたり前に出られずプレッシャーを掛け切れなかったり最終ラインでボールロストしたり。ディフェンダーとしていつものように冷静なプレーを見せてほしい。

安西 幸輝 7.0 フリーキックでボールを掴もうとするトリックプレーを試みるも誰もひっかからなかった悲しい過去を持つ。途中でおとなしくなったのでさすがにバテたのかと思ったら、最後に復活して再び縦横無尽の働きを見せた。

安在 和樹 6.5 プレイスキックが大きな脅威となっていた。右足も正確。でもやっぱり攻撃の幅を考えると左サイドの方が良いような気がする。

内田 達也 6.5 後方だけでなく前線へも飛び出しチームの中心を担った。対戦相手としては内田選手をどかすことが勝利へのポイントとなるだろう。

井上 潮音 5.5 豊富な運動量と正確なテクニックでチームに貢献。やや反応がよくないのと動きが淡白なところがある。アンカーシステムはどうしてもアンカー脇が弱点になるので、縦パスに対する蓋になってほしい。

アラン ピニェイロ 5.0 攻守の切り替えも早くよく動いていたが、イマイチ連携が取りきれなかった。

ドウグラス ヴィエイラ 5.5 ポストプレイヤーとしての役割を十分に果たしたとは言いがたいが、献身的に裏に走りこんで基点になったことが得点につながった。

梶川 諒太 7.0 抜群の運動量とセンスのある縦パスで多くのチャンスを演出。プレイスキックでもチームに大きく貢献した。

橋本 英郎 6.0 スクランブル発進。守備の選手ではないので負担は大きかったと思うが得意の攻撃でしっかりと貢献。

カルロス マルティネス 6.5 まず守備面でチームを落ち着かせ、得点につなげることができた。1トップに入ってからも基点となり試合を優位に進めた。

高木 大輔 6.0 いきなり相手選手と入れ替わるよくない守備を見せどうなるかと思ったが、その後は運動量を生かして試合を閉めた。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 7.5 ピンチをチャンスに変える見事な演出。個々の選手の特徴を生かして独特なチームを作り上げた。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第39節 東京ヴェルディ対アビスパ福岡 味の素スタジアム イーグランドDAY

4連勝でプレーオフ圏内(6位以内)に浮上してきた東京ヴェルディはホームで自動昇格圏内(2位以内)につける勝点5差のアビスパ福岡との上位対決。今シーズンもラスト4試合。両チーム是が非でも勝ちたいところだ。

前半は福岡がやや優勢で試合は進んでいく。
ヴェルディの攻撃は福岡のダブルボランチに阻まれ前に進めない。そこでボランチを省略してドウグラスヴィエイラ選手の頭を狙った攻撃でゴールに向かうとこれがなかなか効果的。ドウグラス選手は高さはあってもワントップ的な選手じゃないイメージだったのにあんなに頑張れる選手になったのだなあ。デカモリシ取らなかったフロントの判断は間違いじゃなかった。
中盤でボールが奪える福岡は両サイドバックもしくは絶妙な間受けを見せるボランチの山瀬功治選手らから多彩な攻撃を展開。ヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手のポジショニングがやや低めなせいか、福岡の駒野友一選手へのプレッシャーが不十分で攻撃を止めきれない。
引いてスペースを作る相手フォワードの動きに対してしっかりマークを離さない畠中槙之輔選手。空いたスペースのフォローに偏りがちな井林章選手と田村直也選手の間に今度は松田力選手が飛び込んでくる。しかし福岡の狙いは田村選手がうまくポジション調整して絶妙に松田力選手の侵入を阻む。
ヴェルディは最終ラインの安定と柴崎貴広選手の好守、渡辺皓太選手のボール奪取からのカウンターなどで押し返すも両チーム得点なしのまま前半終了。福岡は攻撃の時ゴール前から選手がいなくなってしまう傾向があるのでちょっと中途半端かな。

後半に入りヴェルディは2つの変化を見せる。

一つは左サイドの安西選手と右サイドのアランピニェイロ選手の両サイドフォワードのポジションを入れ替えた。前半福岡の右サイドバック駒野選手に安西選手がプレッシャーをかけきれなかったのと、ヴェルディの左サイドバックは安在和樹選手なので攻撃もいいんだけど右サイドバックの田村選手はちょっとセンタリングに臆病になってる風だったので、ストライカータイプのアラン選手よりウィンガータイプの安西選手と組ませた方がバランスが良くなるし福岡左サイドバックの亀川諒史選手に対して裏をつけるとかオーバーラップさせずに攻撃を封じるとかそういう作戦だったと思う。

もう一つは、中盤の3枚の位置を少し下げてインサイドハーフの二人を福岡のボランチ周辺に配置したこと。前半はインサイドハーフがワントップのドウグラス選手に近い位置にいたせいか縦パスの選択肢が少なかったしそもそも福岡のボランチに引っかかってボールが前に進まなかった。そこを福岡のボランチの周辺で一度ボールを中継することで福岡の中盤に引っかからずにボールがフォワードまで運べるようになった。福岡は城後寿選手がフォワードやってたんだから中盤に下がってあげればよかったんだけど、そういう対応はしてこなかったのでアンカーの内田達也選手を含め数的優位でボールが回せるヴェルディは後半一方的に攻める形になった。

しかし、ボールが回せる分余裕のあるサイドからの攻撃に偏り過ぎて福岡ディフェンスが慣れてしまったのか最後で踏ん張りを見せる福岡ディフェンスラインを崩し切るには至らず、惜しいシーンは作ったものの得点できないまま試合終了。前半27分ドウグラス選手の抜け出しにユニフォームを引っ張った福岡の岩下敬輔選手にカードが出なかったシーンがこの試合一番のハイライトだったかもしれない。後半のアディショナルタイム5分は少し短かった印象。キーパー倒れてたからね。

試合の中で柔軟に修正を見せたヴェルディは強さは見せたものの勝ちきることはできなかった。たぶん真面目な選手が多くて監督の言うことを確実に表現した結果培った強さだと思うけど、今日の試合に限ってはゴール前では相手の想像を超えるような発想力がもう少し必要だったのかもしれない。J1昇格のために、強くなっているこのサッカーをさらに進めるために、今のものに加えて更なる力で残り3試合(+昇格プレーオフ)を勝ちきってほしい。

 

柴崎 貴広 7.0 ビッグセーブでチームを救う。昨シーズンまではビルドアップに消極的だったけど、今シーズンは普通に組み立てに参加している。何で今までやらなかったんだろう。

井林 章 6.5 安定した守備を見せる。ロングキックも正確。

畠中 槙之輔 6.0 前半ややミスパスが多くリズムを崩した面がある。守備の選手として穴が少なくなオールラウンドプレーヤーへと成長しつつある。

安在 和樹 6.5 豊富な運動量で攻守に貢献。プレイスキック含めラストパスとしてみると少し不満が残る部分もあった。前を向いたままのセンタリングをもう少しチャレンジしてもいいかもしれない。

田村 直也 6.5 ポジショニングが引っ張られがちな井林選手に声をかけてポジションを未然に修正。走り込む選手をいち早く見つけケアしていた。オーバーラップした時シュータリング上げればゴールに入るかもしれないからミスを恐れず積極的にプレーしてほしい。

内田 達也 6.0 アンカーのポジションとしてはロングパスがやや不安定。周りに技術の高い選手が多いのであまり無理をせず後半のようにプレッシャーの少ないポジションから確実にボールをつなげてほしい。

渡辺 皓太 7.5 驚異のボール奪取能力。パスが少し狭いが、そんなこと気にならないほどの力を発揮して見せる。

梶川 諒太 6.0 技術が高いのでボールがよく収まり無難に繋げるが、多少リスクがあってももう少し縦パスを狙うべきだと思う。守備もやりながら前線の仕事まで担うので大変だと思うけどできる選手だと思うので頑張ってスーパーマンになってほしい。

安西 幸輝 6.0 若いんだからもう少し思い切りを見せてもいいんじゃないか。プレーは確実に相手に脅威を与えている。

アラン ピニェイロ 6.5 驚異的なスピードでゴールに迫る。裏に抜けられないときはもう少しディフェンダーから離れるようにすればシュートが打ちやすくなると思う。

ドウグラス ヴィエイラ 7.5 あんなに献身的にボールに執着してくれる選手だという印象がなかった。彼がいればどんな相手でも互角以上に戦えるだろう。彼がいなければ前半のうちに福岡のショートカウンターの餌食になっていたはずだ。

井上 潮音 6.0 技術の高さでうまくボールを捌いていた。ゴールに向かうプレーも見せたかったが、チームとして形になっていたから今日はこれでよかったと思う。

カルロス マルティネス 6.0 相手を背負うことなくボールに触れるようになったので活躍できるようになった。ワントップはやりにくそうだがドウグラス選手と2トップ的に起用しても面白いかもしれない。

高木 善朗 6.0 出場時間は短かったがしっかりチャンスに絡む。一瞬で突破できちゃう選手なので、やはり前線で起用すると面白い。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 6.5 ハーフタイムに見事にチームを修正し後半はほぼ一方的に攻め立てた。点は取れなかったけどしょうがない。中盤を厚くした結果試合を優位に進めたので間違いではなかったのだが、中盤より前線を厚くする方法があったような気はするが、これは後出しじゃんけんなので、国民総監督論者の戯言としてほしい。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第29節 東京ヴェルディ対V・ファーレン長崎 味の素スタジアム 練馬区サンクスマッチ 銀魂チャイルドDAY

今季初観戦のヴェルディ戦は、現在6位のヴェルディに対し5位とプレーオフ進出を争うV・ファーレン長崎との直接対決。話題になってた3バックを見ることはかないませんでしたが、勝てばオッケー。ヴェルディは見事2-1で3連勝を飾りました。

 

前半2分、「V・ファーレン長崎」って打ち込みづらいな。「・」って全角しか出ないのかな…などとスマホと格闘していたら、いつの間にかヴェルディ先制。パスカットに失敗した長崎はゴール前スペースを空けてしまう。ボールを拾ったドウグラスヴィエイラ(これもなかなか打ち込みづらい)選手は左サイドアランピニェイロ(これもなかなか…)選手にパス。梶川諒太(苗字だけならセーフ)選手の走り込みでフリーになったアランピニェイロ選手は日本代表黄金のカルテット小野伸二選手を彷彿とさせる(右足だけど)シュートでゴールに流し込む。東京ヴェルディ1-0V・ファーレン長崎

その後前半20分くらいまではヴェルディペース。大きいパスで長崎のプレスを無効化し、左右から何度も作り出す決定機。しかし得点には至らない。

体力的な問題なのか、ヴェルディのパスがだんだん小さく各駅停車になり、プレスをかけるものの裏のカバーが間に合わなくなってきて、試合は徐々に長崎のペースに。前線に多くの選手が飛び出し、前後のゆさぶりで最終ラインを突破していく長崎。しかし、ゴール前の競り合いでヴェルディに分があり、攻撃時守備のバランスが悪い長崎はカウンター対策も打てず、惜しい展開の中両チーム得点に至ることなく前半終了。東京ヴェルディ1-0V・ファーレン長崎

後半に入り、短いパスながらも広く正確な展開でサイドチェンジを繰り返し長崎のプレスをかいくぐるヴェルディ。一発の大きいパスで大きく避ければいいのにね、とも思うけど、たぶん選手の適正的にはこっちの方がやりやすいんだと思う。監督の指示かな?

そういうわけでこのままヴェルディペースで試合が進むのかなと思った後半8分、長崎のロングフィードにゴールキーパー柴崎貴広選手と井林章選手が連携ミス。こぼれ球を拾った長崎は無人のゴールに流し込んで同点。東京ヴェルディ1-1V・ファーレン長崎

フィードの段階ではキーパーボールかなと思ったけど、スリッピーなはずのグラウンドなのになぜかワンバウンド目でボールにブレーキがかかっちゃったから、あの時点でキーパーは自重の判断に変更すべきだったと思う。井林選手もキーパーが判断ミスしてるんだから、諦めてコーナーにでも逃げたほうがよかったと思う。実際にプレーしてると大変なんだけど、横から見てたものとしては残念な失点でした。

それでも試合は続く。得点に沸く長崎はサイド攻撃がますます活性化。ヴェルディはサイドバックが前にプレスをかけたときゴール前を残り3枚のブロックで対応するんだけど、サイドバックの裏を狙われた時センターバックの1枚がスライドするとどうしてもゴール前がスカスカになってしまう。そこで普通はボランチが最終ラインに下がるんだけど、アンカーシステムでアンカーが下がったときインサイドハーフがボランチの仕事を約束事にしてるかというと、どうもヴェルディはそうではないらしい。そこでアンカーの内田達也選手は最終ラインにはあまり下がらず中盤のラインを形成。そうしないとバイタルエリアが空いてしまうし、せっかく最終ラインでボールを弾き飛ばしてもこぼれ球を相手に拾われて事故的ピンチに陥ることが多いからだと思うけど、でもゴール前でシュートを打たせてしまっては元も子もない。今日は長崎が前線に選手を多く配置していてもゴール前にはあまり侵入してこなかったしゴール前デュエルで負けなかったからいいんだけど、特にヴェルディ右サイドを突かれた時の守備は不安定さを露呈していたと思う。この部分の解説は後程。

最近は都リーグの試合ばかり見ていたのでJやっぱり面白いなあ、すごいなあと楽しんでいると、ヴェルディにスーパーゴールが飛び出す。笑う門に福は来るのだ。

後半15分、右サイド細かいパス交換でプレスをかいくぐったヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手が空いたスペースをドリブルで伺う。この試合何度も縦の突破を見せていた安西選手はここでは切り込んで左足のシュートを選択。ペナルティエリア外からのシュートは絶妙なコントロールでポストの内側を叩いてゴールネットに吸い込まれる。ヴェルディ勝ち越し!東京ヴェルディ2-1V・ファーレン長崎

その後は高さのないヴェルディに対してハイボールで攻め込みたい長崎だが身長の割に強さを見せるヴェルディゴール前を制することができず、ヴェルディも特に修正できた感じはなかったけどそれほどピンチに陥ることなく、時折効果的なカウンターを見せながら試合終了。やった勝った、3連勝!東京ヴェルディ2-1V・ファーレン長崎

というわけで、システム解説の続き。ヴェルディの今のシステムは433と表記されることが多いようだけど、狙っているのは4141に近いと思う。433といえばバルサが思い浮かぶし、左右の違いはあれど左サイドにアランピニェイロ選手を配置しているから特徴的には似ているんだけど、バルサのように守備の時442への展開みたいなのを選手たちは作り出せていない。そこでアトレティコマドリッドが時々やってた4141システムに近くなるんだけど、あのシステム実はディフェンディングサードでは4バックがゴール前を固め、サイドはサイドハーフが担う。だからアンカーは最終ラインに戻らなくていいんだけど、ヴェルディの場合は両サイドハーフ(フォワード)が下がる4141だけどサイドバックも高い位置でプレッシャーをかける昔ながらのスタイル。センターバックの一人(もしくはボランチでもいいんだけどヴェルディはそうではない)がサイドバックの後ろをカバーするため、ゴール前は2枚しか残らなくなる。長崎はゴール前1枚、多くて2枚しかいなかったので競り合いで負けなければ何とかなるけど、ゴール前3枚目が飛び込んで来たら誰が見るのか。今日の長崎のように、攻撃時最終ライン近くにボランチ1枚下がって逆三角形からフィードしてくるチームに対しては、今日のようにインサイドハーフがかわりばんこに前に出て自分たちからバランスを崩すような守備をするより、ダブルボランチにして守備も頑張れるフォワードかトップ下に長崎ボランチへのプレッシャーをかけさせた方がフィード自体を止めることもできるしサイドへの守備も役割分担が進むし最終ラインのカバーも入りやすくなるような気がする。インサイドハーフが前に出ることで逆に最終ラインの前が空いてしまい内田選手が下がりづらくなる悪循環もあるような気もする。この形でやるのなら、インサイドハーフがボランチの位置に下がる約束事も必要なのだと思う。

あわせて、攻撃への切り替えでやはり1トップは制限が多い。ドウグラスヴィエイラ選手はそれほど攻守の切り替えが早いタイプではないから、ボールを奪った瞬間にボールを前に運べなくなることが結構ある。カルロスマルティネス選手に至っては、ボールがなかなか収まらず攻撃が形にならないことが多い。1トップ的選手が見当たらない中では、やはり2トップの関係性の中で前線に基点を作った方がいいような気がする。とはいえ、ドウグラスヴィエイラ選手とアランピニェイロ選手の2トップはデメリットが増すだけのような気がするし、アランピニェイロ選手をサイドハーフに据える442が機能するかどうかは冒険でもある。梶川選手と渡辺皓太選手の運動量は2012シーズンの梶川・和田拓也コンビを彷彿とさせるが、あの時も8月の暑い時期体力的に厳しくなり負けが込んだ印象がある。

幸い得点を奪える選手がいるのだから、暑い時期は個人に得点を期待して現在のシステムで守備面の修正を加え、涼しくなってきたら攻撃面に手を加えていくのが、現実的なチーム編成なのかもしれない。

今日勝ってヴェルディはプレーオフ圏内の6位をキープ。自動昇格の2位まではまだ少し離れているけど、長いシーズンの全体を見ながら、シーズンが終わったときにいい結果が出ていることを期待したいものです。

 

柴崎貴広 5.5 失点やフィードなど酷いミスと言わざるを得ない部分が散見。しかし、ハイボール処理などで堅実な守備を見せ勝利にも大きく貢献した。

田村直也 6.0 豊富な運動量でチームに貢献。パス制度がいまいちかな。1つ目のファールはPKっぽかったけど、2つ目は合わせ技一本を狙ったのかもしれないけど貰いに行き過ぎ。カード貰わなくて良かった。

井林章 6.0 失点の判断ミスは酷かったが、それ以外では安定した守備を見せる。空中で止まっているように見えるのでよく目立つ。

平智広 7.0 強さを発揮し攻守両面で活躍。左足のフィードはチームにリズムをもたらした。

安西幸輝 7.0 よく走り、よく仕掛け、よく決めた。守備もやるので偉い。足も速い。

渡辺皓太 6.5 豊富な運動量とミスの少ないプレーで計算できる選手。計算できちゃうので想像を超えるプレーが見せられるようになるとステップアップできるかもしれない。

内田達也 6.0 インサイドハーフが前に出た後一人で中盤をカバーするというシステム的に無理がある中でもよく頑張った。でも無理だった。フィードが正確なので、大きいパスにも期待したい。

安在和樹 5.5 体を張って気合を見せる。最終ラインで一人残ってしまいがちで、そこをつかれたらやばかったけど、今日はつかれなかった。

アランピニェイロ 7.0 足速い。あのロングシュートもすごかった。このまま守備も攻撃も頑張ってほしい。

梶川諒太 6.5 前線までよく駆け上がっていたが、途中で疲れちゃったかな。暑い中お疲れ様でした。

ドウグラスヴィエイラ 6.5 1トップの制約の中それなりに起点づくりに成功。守備も頑張るのでいいのだが、その分攻撃に切り替えられないことがあり、チームとしてもう少し守備の負担を減らしてあげたい。

高木善朗 6.5 技術があり間受けもできるのでチームにリズムをもたらすことができる。なんだかんだで一人でフィニッシュまで持ち込めるすごい選手。

カルロスマルティネス 5.0 ボールが収まらずあまり機能しているとは言い難い。1トップなのでボールの受け方にもう少し工夫が必要。取られたら取り返そう。

橋本英郎 6.0 出場時間が短い中でポジショニングやボールの出しどころ(奪われどころ)に賢いプレーを見せる。サッカーは11人だけで戦うのではないのです。

ロティーナ監督 6.5 攻撃面では修正できたけど、守備面はちょっと微妙。長崎の攻撃はボランチ→ワイドかセンターバック(もしくは開いたボランチ)→フォワード、もしくはフォワードの裏という形の中でボールの出所にもパスの到達先にもあまり修正が見られなかった。ゴール前で負けてなかったから守備の修正よりも攻撃を修正することでショートカウンター対策や守備の回数を減らすことを主眼にしていたのかもしれないけど、ゴール前まで運ばれてしまうと事故でも失点してしまうので、もうちょっとなんとかした方がよかったと思う。でも勝ったからよし。

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東京ヴェルディ対レノファ山口 2016明治安田生命J2リーグ第39節 味の素スタジアム 多摩市サンクスマッチ

サッカーは文化だ!
文化の日の今日、多摩市サンクスマッチと銘打って開催された東京ヴェルディ対レノファ山口の一戦。残留争いに巻き込まれている東京ヴェルディは残り試合得意の上位対決(今シーズン東京ヴェルディの勝ち星は昇格を争うようなチームとの試合が多い)とあって見通しは明るいものの苦手の中位下位にも着実に勝点を積み重ねておきたいところ。

試合は不思議な力が働いて2-2の同点に終わり、東京ヴェルディは残留に向けて大きな大きな勝点1を手にしました。

 

試合は開始早々早くも動きます。

前半8分、トラップでうまく体を入れ替え最終ラインを突破した高木大輔選手からのパスを渡辺皓太選手がトラップミスするもののボールを失わずに右サイド駆け上がってきた安西幸輝選手にパス。ダイレクトでゴール前に入れたボールにドウグラスヴィエイラ選手が飛び込んで先制。東京ヴェルディ1-0レノファ山口。

やっぱサンクスマッチはこうじゃないとな~、有名どころと当った時の方が集客はいいんだろうけど有名どころにはなかなか勝てないからそこそこのチームでいい結果を出す方がサンクスマッチ的にはありがたいよな~(過去は振り返らない)、などと不謹慎なことを考えていたら試合は徐々に山口さんちペースに。

ヴェルディはとにかく中盤でボールがつながらない。山口の攻撃陣はあまり下がらないので高い位置でボールを奪われるとあっという間にピンチ到来。山口の攻撃は広さにやや欠けるものの常に裏を狙い走り続けるという基本をおろそかにしない堅実な攻撃。ヴェルディはサイドを突破されセンターバックが引きずり出されて薄くなった中を突かれるという繰り返し。普通は中をサイドバックとボランチがカバーするんだけどヴェルディのボランチは誰なんだ?

前半19分、そうこうしているうちに右サイドをピンボールみたいに繋がれて田村直也選手が引っ張り出されたところゴール前で山口フォワード陣3人に対しヴェルディは平智広選手が一人で対応して失点。東京ヴェルディ1-1レノファ山口。

前半21分、今度は左サイドからうまくつながれてロングシュートがポストを直撃。跳ね返ったボールをつめられて逆転。東京ヴェルディ1-2レノファ山口。

冨樫剛一監督によるとヴェルディのディフェンスは3枚だったらしい。442に見えたけどなあ。ボランチが楠美圭史選手と二川孝広選手っぽかったのが逆転された後楠美選手と渡辺選手に変わったような気はするけどあまり効果はなかったみたい。

その後ドウグラス選手がペナルティエリア内で倒されたりしたけどPKは得られず前半終了。

後半に入ってヴェルディは中盤の構成を諦め前線をどんとん狙う作戦に変更。そしたら中盤がスカスカになってしまい山口にさらにチャンスが増えるものの鈴木椋大選手のセーブに救われ何とか失点は免れる。

どうにもならないヴェルディは楠美選手に代え大木暁選手を投入。右サイドバックに大木選手、安西選手が左サイドバックに回り、安在和樹選手がボランチへと移動。でもあまり効果なし。それでも試合が動くのがサッカーが文化たるゆえん。

後半19分、空中戦でたびたび相手を圧倒していた平選手が二川選手のコーナーキックに頭で合わせて同点。東京ヴェルディ2-2レノファ山口。

その後は山口がスピードでヴェルディ最終ラインを突破したりヴェルディが中盤でボールを奪ってカウンターを仕掛けたりするものの得点には至らず。

後半ロスタイム、素早いリスタートから山口が得点を挙げたかに見えたものの、ポイントがずれていてボールも止まっておらず、近くにいた審判が試合を止めたかどうかわからなくなってしまい遠くにいた副審に確認したところ試合が止まっていて再開されていなかったことがわかったらしく得点は取り消されフリーキックからやり直しという珍しい文化を拝見したところで試合終了。東京ヴェルディ2-2レノファ山口。

ヴェルディは幸運も重なり残留に向けて貴重な勝点1をゲット。勝負事には運も付き物なのです。

ヴェルディは裏とられるのが嫌で引いて守るのならフォワードも(せめて一人は)戻ってきた方がいいと思う。中盤がスカスカになってしまう。
センターバックが引き出されて中がカバーしきれないならボランチがサイドバックをカバーしたらどうだろう。外なら背の高さはあまり気にならない。もしくはサイドバックが低い位置で守るようにしよう。センターバックが中に残ることができる。
ボランチはもう少しパスコースを切りながら動くことを意識すべきだと思う。今のままでは動いたスペースをそのまま使われて格好の餌食にされかねない。
パスを出した後は次のパスコースを作るために動きなくてはならない。試合中に頭を休めないで常に考え試合に集中していないと90分間試合に入り込むことはできない。

山口はサイドを突破するときダイアゴナルなボールの動かし方(選手の配置含めて)を意識するともっと攻撃に迫力が増すと思う。今は縦縦の攻撃なのでいったん阻まれだすとジリ貧になってしまうんじゃないかな。あと中盤のプレスをかいくぐられたときのことも想定しておいた方がいいと思う。

ヴェルディの攻撃は結局最終ラインからのロングパス頼み。もちろん裏に走ったりドウグラスの頭を狙ったりと工夫しているのはわかるけど、なかなかそうおいそれと機能するものじゃない。もう少し中盤から攻撃を組み立てたいところだがあれだけスペースが空いていた中盤をさほど突破できなかったことから見るとボールを出した後の動きやいわゆる3人目の動きなど修正すべき点がたくさんあるのだと思う。守備に関しては縦パスに対してもう少し意識を高めたほうがいいと思う。パスコースを切ったりインターセプトのわなを仕掛けたりして危険なところを潰していくべきだ。今のままだと守備の狙いは相手のシュートをブロックするという一点だけになってしまうような気がする。どこでどのようにボールを奪い攻撃を開始するのか、その為にどこにボールを誘導してどこを通させてはいけないのか、チームでもう少し統一したほうがいいと思う。

今シーズンも残り3試合。低迷が続いているけど、一歩ずつ前に進んでほしい。じゃないといろいろ計画が狂う。頼むよ、ヴェルディ!

 

鈴木椋大 6.5 フィードの不正確さやシュートをはじく位置がなんかおかしかったけど負けなかったのは鈴木選手のおかげ。ありがとうございました。

安西幸輝 6.5 左サイドでも機能することを証明。最終ラインからの正確なロングパスはヴェルディの攻撃の柱の一つ。体が強くなったな。

田村直也 5.0 競り合いにあまり勝てずスピードでも振り切られフィードも不正確であまりいいところがなかった。疲れてるんだと思う。

平智弘 7.0 抜群の制空力を発揮。気迫満点の守備で体を投げ出してシュートを防いでいた。ゴールは相手のミスもありたまたまっぽいが雰囲気があるのでまた決めてくれそうな気がする。

安在和樹 5.5 周りの動きが悪いこともあるが判断が遅くボールを失うことあり。ヴェルディのボランチはかつての鈴木惇選手みたいにロングパスが出せる選手が少なく貴重な存在だと思うのでうまく定着してほしい。

渡辺皓太 5.5 運動量豊富できびきびとよく頑張っていたが何分ミスが多い。守備でもポジショニングが悪く簡単にパスを通されてしまう。経験を積んでさらなる成長を期待。

楠美圭史 5.0 ボールを効果的に散らすことができず。守備を期待されての起用ということもあったのかもしれないが挟み込みが甘くあまり機能しなかった。

二川孝広 5.0 ミスパスが多く動き直しも悪い。センスがあるのにもったいない。

澤井直人 5.5 チーム事情もあるので仕方ないところもあるがあまりボールに絡めなかった。シュートは惜しかったが悔しがっている時間が長い。

ドウグラスヴィエイラ 6.5 ヘディングでゴールは決めたが、背の高さに比べるとあまりヘディングが得意ではない様子。足元の方がボールがよく収まっていた。

高木大輔 6.5 うまく裏を突いていた。なかなか成功することは少ないかもしれないが通れば1点なので常に意識してほしいと同時にもう少しサイドでボールをもらって起点になる動きもしてほしい。守備の時下がって中盤を助けてあげてもいいような気がするがチームの決め事なのかフォワード起用時はハーフウエイラインから下がらなかった。

大木暁 5.0 よく攻め上がっていたが守備の意識が低すぎる。サイドバックだと思うが中盤の選手みたいなポジショニングだった。

アランピニェイロ 5.5 積極的にボールに絡んでいたがうまくミートしきれなかった感じ。今のヴェルディの前線は結構個人技頼りみたいなところがあるのでスピードとドリブル力があるアランピニェイロ選手には期待が大きいと思う。

杉本竜士 5.0 短い起用時間で結果を残すのは大変だと思うが、やや空回り気味。杉本選手のいいところはいい意味でのいい加減さだと思うので、短い時間でも自分の良さを忘れずに相手を欺くプレーを期待したい。

冨樫剛一監督 5.5 チームの機能していないところを修正しようとしていたようには感じるが結果的にあまり効果はでなかった。監督のせいとは言い切れないが、相手に対してうまく準備しきれていなかったような気がする。そのあたりチームとしてスカウティング面の課題が露呈しているのかもしれない。

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平成28年5月3日(火)J2第11節 東京ヴェルディ対モンテディオ山形 味の素スタジアム

無料券で忍び込んだためいつもより気合の入った今シーズン初観戦でしたが、残念ながら0-1の敗戦に終わりました。

 

前半2~3分まではヴェルディペース。前線のプレスに焦った山形ディフェンスはサイドバックあたりでボールを奪われてヴェルディは素早くゴールに迫る。しかしヴェルディの時間はあっさり終了。
山形はサイドバックがワンタッチでプレーするようになり、またボランチのアルセウ選手が落ち着いたボールさばきを見せる。ヴェルディはフォワードがやみくもに突っ込むだけなので、山形は一つ交わすだけであっさりとボールをつないで組み立てることができる。山形の攻撃がロングボールで頭か裏という作戦なのでヴェルディ中盤のプレスが余計にかからず、その後は山形の時間が続きます。

それでもヴェルディは前半23分、井林章選手の大きなサイドチェンジから細かくつないで杉本竜士選手がペナルティエリアに突っ込む!しかし残念、シュートは打てず。

山形は31分澤井直人選手からボールを奪い一気にカウンター。シュートはゴールに向かうものの平智弘選手がゴールに入って何とかクリア!
43分にも左サイドをドリブルで駆け上りさらに左に開いて折り返したボールに決定的なシュート!ここはヴェルディ唯一の30代柴崎貴広キーパーが体を張ってブロック。山形に得点を許しません。

ヴェルディは中野雅臣選手のフリーキックがゴールを脅かすも得点には至らず前半を終了します。

後半に入っても何となく山形ペース。とはいえ、山形も攻撃の形がいまいちで両チーム得点チャンスが作りきれない。

ところで山形は4-4-2システムだったようだけど、右サイドハーフが前線に残る変則型。そのためヴェルディは守備の時最終ラインはあまりインターセプトなど前に出ないし左サイドハーフは外側に気を取られてスペースが空くからかボランチもあまり前に出てこない。山形はサイドから攻めるときサイドハーフとサイドバックがいてボランチが絡むと、ヴェルディは2-3で守らなくてはならなくなる。
ボランチ相手なんだからボランチが出ればいいじゃんと思うのだが、ヴェルディはボランチが前に出ずフォワードが下がってくる守り方。しかし、残念ながらフォワードの戻りは遅い。
というわけで後半33分、悠々と左サイドでボールをキープされた結果、サイドから中央に攻め込まれ、一度はキーパー柴崎選手が防ぐもこぼれ球を山形に押し込まれ、ついに山形に先制を許す。

後がなくなったヴェルディだが、いかんせん攻撃の形がない。
特にサイドからの攻撃において、突破は見られるものの突破した時ゴール前に人がいない。突破した側もセンタリングを上げるそぶりも見せない。結局中側から外側に攻めることになるので、ゴールから遠く遠くへボールを運ぶという、攻撃してるのか守備してるのかわからないボール運びの方向。前線にボールが入ってもトラップして前を向いてドリブルする、というやり方なので当然つぶされる。シュートまで持ち込むことができない。

ということで後半40分、ウェズレイ選手を投入して放り込み作戦。これがかなり効いて押し込むも得点には至らず。

ここで試合終了。失点は不運もあったけど人数はいたもののサイドが薄くなり押し込まれてしまったという作戦失敗が大きい。得点できなかったのは必然の部分が大きい。ゴール前でシュートを打てるところに人がいないのだからなかなか得点は難しいだろうと思う。

攻撃面は前線での判断の遅さ、サイドを突破してもゴール前に人が入らないしゴール前に出そうともしない、外から中ではなく中から外に攻めてしまう、など課題が多い。少なくとも最終ラインを突破した時はゴール前に飛び込む、ロングシュートはこぼれ球を狙う、など基本的な約束事を徹底すべきだと思う。
また、今日の山形は右サイドが戻らなかったので、ヴェルディの左サイドは広大なスペースが生まれていた。しかし、澤井選手が中に入り込み過ぎてしまったこと、また右サイドの安西幸輝選手が開き過ぎてしまったことで山形ディフェンスのそろっているところばかり攻め込んでしまった。山形の作戦なのかヴェルディの柔軟性の欠如なのかわからないけど、右から左へサイドチェンジすることができればもっと楽にボールを運べたと思う(それでも中に人がいないので辛いとは思うが)。

守備に関しては、まずディフェンスラインがでこぼこになり裏を取られることは改善が必要。井林選手と平選手とどちらが指示を出すのか、二人の中で十分にコミュニケーションが取れていないのではないかと思う。コンビネーションを磨いてほしい。
ボランチの二人はボールへの反応もよくこぼれ球に素早く反応していたが、山形がボールを保持した時戻るだけのディフェンスなので山形は怖さを感じなかったのではないだろうか。必要な時はパスコースを消しながら(誘いながら)前に出るようなことも学んでいってほしい。
前線のプレスは落第点。ただボールに突っ込んで行くだけ。どこにボールを誘い込むのか、どこでボールを奪うのか、チームで統一されたものは何も感じなかった。その結果、フォワードが突っ込んで行ってパスが出されて中盤は追いつけずプレス終了、山形は楽にビルドアップという場面が多く見られた。前線でのボール奪取は得点の大きなチャンス。今一度チームで守備戦術を見直してほしい。

今シーズンは監督業の手伝いとプライベートな問題でなかなか試合を見に行くことはできないけれど、地元のチームであるヴェルディには常に注目しているし応援しています。今シーズンもベストを尽くして観客を魅せてくれることを期待しています。

 

採点

柴崎貴広 6.5 たびたびのビッグセーブで試合を作った。パワープレーに入った時もっと積極的にフィードできるとよかった。

大木暁 5.5 豊富な運動量で攻撃にも貢献。ただ、チームメイトとの関係もあるが、攻撃のあと後ろのスペースを狙われていたのに対応しきれていなかった。

井林章 5.0 相手の8番に翻弄されていたイメージ。いいボールが来なかったため問題なかったが、度々マークを外されていた。得意のヘディングもややミスがみられる。フィードがうまくなったが左足はいまいち。

平智弘 5.5 まだ信頼関係ができていないのか周りとバラバラな動きがみられた。こぼれ球を積極的に拾いに行くのはいいが緊張するのかコントロールミスしてボールが離れてしまうのでこれから直してほしい。

中野雅臣 6.0 今までのヴェルディに少なかった大型サイドバック。ボランチも小柄なヴェルディにあって空中戦に出られるサイドバックの存在は非常に大きい。フリーキックは山形に脅威を与えた。オーバーラップ時の小さいミスを何とかしてほしい。

楠美圭史 6.0 ボールに対する予測が良く球際も強い。パススピードも速いのでサイドの攻撃をうまく引き出していた。守備の時積極性も兼ね備えられるとなおよい。

井上潮音 5.5 抜群の判断力と的確なパス能力で試合を作る。ミスパスが多かったがこれから改善できると思う。背が低いぶん前へのディフェンスを磨いてほしい。

安西幸輝 5.0 ドリブルでチャンスを作るもボールがその先につながらない。迷ったり確かめたりしないで思い切りの良いプレーをしてほしい。

澤井直人 5.0 守備では頑張ったが肝心の攻撃面がいまいち。判断が遅いのでボールを奪われてしまう。簡単にはたいてリズムを作りたい。山形のシステム上目の前に広大なスペースがあったにも関わらずうまく使うことができなかった。

北脇健慈 5.0 フォワードやったり中盤やったり大変だった。次の次のプレーを予測しておらず、せっかくボールが前線に入っても受け手になり得なかった。サイドの人数不足をフォワードがフォローするのがチームの約束事であるとしたら、もう少しポジショニングを調整したかった。

杉本竜士 4.5 ボールが入ってもトラップして前を向いてドリブルして、というのんびりした攻撃。判断良くワンタッチでプレーすることも必要。得意のドリブルで突破を試みるも今日はボールが足につかなかった。中から外に動いてしまうので山形としては怖さを感じない。以前のような急に襲ってくるような狡賢い怖さを思い出してほしい。

渡辺皓太 5.0 頑張って動いていたがキックが遠慮気味。若さで思い切りの良いプレーを期待。

南秀人 5.0 フォワードとして入ってボランチに下がるという不思議な起用。パワープレーに出たのだから前に残ればいいのにと思う。

ウェズレイ 6.5 パワープレー要員として起用。かなりの確率で競り勝ちチャンスを演出。でも周りに味方が少ないので得点にはつながらなかった。

冨樫剛一監督 5.0 守備のズレを修正できず、あまり機能していなかった山形に失点してしまう。攻撃の形を作ることもできず、最後にパワープレーに挑んだのはよいが前線の数を増やさず是が非でも同点に、というものは見えなかった。

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平成27年11月1日(日)J2リーグ第39節 東京ヴェルディ対ジュビロ磐田 味の素スタジアム 多摩市サンクスマッチ MJSデイ

プレーオフに向けて前進したいところでしたが、前半24分に退場者を出し前半41分にはエースジェイ選手を怪我で交代させざるを得なかったたジュビロに対してなすすべなく0-3で敗戦してしまいました。

前半はヴェルディのペースでした。ショートパスやドリブルでの突破が効果的で、ロングボールを使ったサイドチェンジも織り交ぜた攻撃は驚異的でもあり、守備でもジェイ選手の頭めがけて放り込んでくるジュビロの攻撃に対しセンターバックの井林章選手や田村直也選手が競り負けず中盤もディフェンスに踏ん張りを見せ、攻守にジュビロを圧倒しました。攻撃時に中盤がサイドに開いて突破した時にゴール前に入り込んでくる選手が少ないという欠点はあったものの、多くのチャンスを作り出すことに成功。

前半23分には、素早い切り替えで中央のスペースを突いた南秀仁選手がドリブルで切り込み高木大輔選手にスルーパス。高木選手のシュートはジュビロGKカミンスキー選手に一度は防がれるもののこぼれ球に素早く反応して二度目のシュートはジュビロDF森下選手の腕に当たりPK獲得&森下選手一発退場。しかし、南選手の真ん中を狙ったPKはカミンスキー選手に防がれ得点ならず。ここで、退場者を出したジュビロは中盤でバランスを取っていた太田選手を下げ、センターバックを補充します。

前半のうちは、この交代は状況を悪化させていました。ヴェルディのサイド攻撃に対しサイドバックの外側を中盤がフォローする形で守るジュビロにあって中盤と最終ラインのバランスを絶妙にとっていた太田選手がいなくなり、グラウンドのいたるところで数的不利に陥ったジュビロは、両サイドを突破され、中央にスペースを作り、さらにはけが人まで出てしまいまさに大混乱。

しかし、後半に入りジュビロの守備が立て直されます。オフサイドトラップを多用することでヴェルディFWの走り込みを抑え込みます。最終ラインのカバーまで走り回っていた太田選手がいなくなったことが逆にオフサイドトラップをかけやすくする土壌を形成していました。その結果ヴェルディの中盤はスルーパスを出しづらくなり迷いから判断の遅れが目立つようになり、攻撃が遅くなりがちに。しかも最終ラインを押し上げ守備の面積が狭くなることで少人数で守っていても判断の遅いヴェルディ攻撃陣に強い圧力をかけることに成功。逆サイドのスペースまで埋められるようになり、ロングボールでのサイドチェンジは蹴ることも難しければフリーになることも難しいという状況を作り出しました。この結果ボールをつなごうと中央に集まるヴェルディMFの裏をかき外で起点を作り出せるようになったジュビロは守備の薄いサイドでのボールキープにより時間を稼ぎオーバーラップの時間を作り出し、慌てて対応するヴェルディの裏を突くことができるようになりました。

数的不利からの太田選手の交代、ディフェンスラインの押し上げによるプレーエリアの縮小化とプレッシング、オフサイドトラップによるヴェルディFW走り込みの無効化、ヴェルディの選手を中央に寄せることでサイドからの攻撃時間の創出など、ジュビロの戦術と修正力はヴェルディを大きく凌駕していました。

やっぱり名波浩監督はゾーンプレスを受け継いでいるのかしら。

一方ヴェルディは中央のスペースをうまく使いジュビロディフェンスにギャップを生じさせたいところでしたが、オフサイドトラップを意識させられていたのと数的優位を気にし過ぎていたのかサイド攻撃に偏り過ぎており、サイドチェンジのできないサイド攻撃はジュビロのゴールから遠いところでの相手にとって怖くない攻撃にしかなり得ず、自らリズムを崩してしまいました。

後半4分、ヴェルディ左サイドを突破したジュビロは走り込む時間を作り出して一気にシュートし先制。直前のプレーで傷んでいたように見えた田村直也選手はついていくことができず、その直後チーム戦術も含め交代。一歩遅かった印象。ちなみに、ボランチが展開できなくなったのはジュビロの戦術変更が大きな理由なのでヴェルディは付き合ってボランチを修正させる必要はなかったと思います。それよりも中から攻められるように平本一樹選手の早期投入や振り向くことができる高木善朗選手を前の方で起用するべきでした。

後半16分、三竿健斗選手が転んでいる間にアダイウトン選手に右サイドをドリブル突破され2失点目。

後半18分にはジュビロがゴール前フリーでのシュートをミスに助けられたものの全く修正がきかないヴェルディ守備陣。

後半24分、中後雅喜選手のクリアが後ろに転がり、三竿選手が一歩届かず、井林選手のフォローが届かず、あと一歩が3つ続いてアダイウトン選手に押し込まれ3失点目。

徐々に中盤のプレッシャーがきつくなるものの、センターバックが持ち上がらないヴェルディは最終ラインでいつも2人余る状態。これではせっかく1人多い状況でもフィールドでは逆に1人少ない状態で戦っているようなものでした。
その後もシュートチャンスは作るものの、しかし大事なところでミスが出たりあと一歩が届かなかったりジュビロの体を張った競り合いを崩せず得点を挙げることができませんでした。セットプレーでもファーサイドを狙う意図は垣間見えるのですが精度がいまいちでチャンスを広げることはかなわず。

最後はパワープレーに持ち込む気力もなく試合終了。大幅にゲームプランが狂ったはずのジュビロに修正力を見せつけられての貫禄負けです。

もう残り試合も少ないので、内容にこだわっている暇はありません。平本選手とブルーノコウチーニョ選手のツインタワー(もしくは井林選手のFW起用)に杉本竜士選手か高木選手をシャドーに交代で走り回らせ、3ボランチもしくは5バックで跳ね返す。思い切った戦術変更で「短期決戦」「一発勝負」の戦い方が必要な時期に来ています。今勝負にこだわることこそが来シーズンにつながります。結果にこだわって残り試合すべてを出し尽くしてほしいものです。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年10月4日(日)J2リーグ第35節 東京ヴェルディ対コンサドーレ札幌 味の素スタジアム 立川市サンクスマッチ

ここ3試合無得点の東京ヴェルディ。ホームにコンサドーレ札幌を迎えて調子を取り戻したいところでしたが、0-2と敗戦に終わりました。

試合開始直後だけは札幌が攻勢をかけていましたが、その後は全体的にヴェルディペース。札幌ディフェンダーはふわっとしたハイボールと1対1の守備にかなりの強さを見せる。攻撃陣に高さがあまりないヴェルディもアランピニェイロ選手が苦手なはずのポストプレーを数多く成功させていましたが、ブルーノコウチーニョ選手や平本一樹選手を投入しない限りポストプレーで崩していくのは難しい。とはいえサイドからの攻撃も1対1に強い札幌につぶされてしまう。しかしここは考えようで、札幌のディフェンダーは1対1に自信があるからか、ふらふらとサイドまでカバーに出て来てくれます。5バック気味に守る札幌のサイドを引き出した裏で3バックを誘い出せば、中が空くはず。数をかけて守る札幌には外からの攻撃が必要。サイドを突破、ロングシュートなどの攻撃が機能すればもっとペースを握れていたはずです。実際には特に工夫した攻撃ではなかったもののそれなりにゴール前まで進出できていたので、もう一工夫があれば得点の可能性は高かったのではないでしょうか。また、最近のヴェルディはホームに弱くてアウェイに強い傾向があります。その辺プロサッカーチーム(お客さんを呼べてなんぼ)としてどうなのか、という疑問はありますが、それはおいておいて、相手守備にスペースがあれば攻撃が機能するがスペースがないときにこじ開けることがまだできていないことが原因ではないかと思われます。では、どうやってスペースを作り出そうとしているのか。
ヴェルディは恐らくそのあたりを工夫した結果、ロングボールを使ってのサイドチェンジを意図的に多用していたのではないかと思われます。ディフェンダーはボールサイドに寄って守るので、サイドチェンジを早く行うことで逆サイドの敵が少ないエリアを攻めることができるのです。しかし、せっかく相手の数が少ないエリアを攻めているのに、数的優位が作れない状態が続く。ヴェルディはサイドチェンジを行うことができても、何のためにロングボールで早いサイドチェンジをしているのかが共有化できていなかったのではないでしょうか。南秀人選手は比較的サイドチェンジからサイドバックとの連携を見せていたと右サイドにはアランピニェイロ選手が流れてきがちだったので、前半途中に右サイドからのロングボールを機能させるために南選手を左サイドに移動させたのは恐らくそういう目的があったのだと思います。しかし、どうしてもサイドでの攻撃がゆっくりしがちなことは解消されませんでした。サイドチェンジまではできるようになっていたのでその先のスピードを意識することでサイドから最終ラインを突破してディフェンスに後ろ向きでプレーさせることができ相手を混乱に陥れることができてくるのではないかと思います。
もう一つこの試合で苦戦した理由として、チャンスはあったものの得点が挙げられなかったことです。特にコーナーキックを含むプレイスキック。札幌ディフェンスはフリーキックとコーナーキックで違う守り方をしていて、プレイスキックのたびに混乱していました。ヴェルディは質の高いキッカーがいて中で合わせられる選手もいるので、特に試合開始直後に3つあったプレイスキックで1点も挙げられなかったのは試合全体に大きく影響しました。得点の可能性が高いのは、流れの中よりもプレイスキックです。より結果が求められるようになるこれからの試合のために、ぜひコーナーキックやフリーキックの精度を上げるような練習を積み上げてもらいたいと思います。

さて、なかなか得点を挙げることができないヴェルディですが、対する札幌は驚くほど運動量がなく、とくにサイドの動きが緩慢で、札幌の攻撃は背の高いツインタワーにあてるという作戦もあるが主にはフォワードが裏に向かって走る形。単純だが小野伸二選手を中心に中盤がボールを持った時迷いなく裏に走りだすその攻撃は小野選手の移籍後初ゴールという形で実を結ぶことになります。
前半33分、左サイド裏に走り込んだ札幌ナザリト選手がボールをキープ。三竿健斗選手がカバーに入ったため慌てて戻るセンターバック田村直也選手。攻撃に移っていた中後雅喜選手はまだ帰ってこられない。ボランチとセンターバックが最終ラインに集まってしまったヴェルディはディフェンスラインの前をぽっかり空けてしまい、戻したボールをフリーの小野選手が落ち着いてゴールに流し込みました。

後半に入り、まずは元気のない澤井直人選手に代えて高木善朗選手を投入。前を向ける、裏に走り込める高木善朗選手はチームにリズムをもたらすものの、1点を先制している札幌は数でゴール前を守り決定機を作らせない。次の交代は、三竿選手に代えて永井秀樹選手。個人的にはこれはあまり効果がなかったのではないかと思います。というのは、札幌は3枚で攻めてくるので、ヴェルディも3枚+1で守りたかったはず。三竿選手がいればサイドバック+三竿選手の3人がいるのでサイドバックが両サイドに張り出しサイドからの攻撃を活性化させることができ札幌の中央のディフェンスを薄くすることができたと思うのですが、ボランチを1枚にしたことでサイドバックのどちらかは常に最終ラインに残らなくてはならなくなり、せっかく攻撃に特色のある両サイドバックを配している意味を薄めてしまいました。永井選手はワンタッチプレーや視野の広いスルーパスが得意な選手ですが、これだけスペースがないと中央から攻撃するのはさすがに難しいです。もし永井選手がサイドハーフとして投入されていればまた違った展開(サイドバックのオーバーラップを引き出すなど)が見られたように思います。
ヴェルディ最後の交代は、高木大輔選手に代えて中野雅臣選手。これもあまり機能しませんでした。確かに高木大輔選手は疲れからかプレーに正確性を欠き始めていたので交代させるのは悪くなかったとは思います。中野選手は以前は中盤で起用されていたとも思いますが背が高くヘディングもそこそこ強い選手なのでゴール前での活躍を期待されているのか。確かにそういう選手なのですが、あまりゴール前に飛び込むタイプではないように見受けられました。それであればブルーノコウチーニョ選手や平本選手、またウェズレイ選手を投入して井林章選手をトップに上げるなどの選択肢もあったはず。試合を支配していた(ように見えた)ことが采配に思い切りを失わせていたように思います。その後さらに失点を重ねたのですが、チームの総合力を考えるとちょっともったいない結果になったのではないかと思います。

ヴェルディは今までを振り返り少しずつやり方を工夫しているように感じます。しかし、なぜそのプレーをするのか、という目的が共有化できていないのではないでしょうか。また、采配に思い切りが感じられない点も気になります。あまり調子が良くなさそうな選手を起用しているのも試合の中でそこそこうまくいっているものの結果が出ていない戦術をそのまま採用しようとしているのも、采配が守りに入っているのではないかと思います。ヴェルディは若い選手の多いチームで、爆発力がある代わりにシーズンを通じて安定した結果を残せる選手が多いわけではありません。富樫剛一監督も大変だとは思いますが、選手の調子を見極めて、毎試合毎試合新たなラッキーボーイが出現するくらいの魔法のような采配を期待したいところです。今までできていたのですから。

シーズンも終盤。結果を求めるならば、戦術もありますが、忘れてはならないのがプレイスキックです。フリーキック、コーナーキックを意識した采配や練習も割り切って取り組んでもらいたいと思います。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年8月23日(日)2015明治安田生命J2リーグ第30節 東京ヴェルディ対愛媛FC 味の素スタジアム 練馬区サンクスマッチ

自動昇格まであと一歩の3位につける東京ヴェルディ。6位の愛媛FCを破り上位進出を狙いたいところでしたが、0-1と愛媛FCに敗れ、4位に後退してしまいました。

最終ラインとその前のスペースに人数を多く配置する愛媛FCに対し、プレッシャーの少ない中盤でボールをキープするものの最終ラインが突破できないヴェルディ。杉本竜士選手、高木大輔選手が前線で運動量を武器にスペースに走り込み、また高木善朗選手がタイミングよく引くことでスペースを作り出し攻撃にいいリズムを作り出すものの、5バックの愛媛ディフェンスラインの門の間を通るところまでしか到達できず、ゴール前のチャンスを作り出すことができない。南秀仁選手はよろよろと近寄り足元でもらうタイプで他の3人と全く違うプレースタイルでありリズムを作り出すこともあるが、相手が引いて守る今日のような試合ではスペースをつぶしてしまう傾向があり、今日に限って言えばヴェルディの攻めがサイドに逃げる形でしか機能しなかった原因の一つとも言える。もっとも、一本のロングボールなどを使って早いタイミングでのサイドチェンジを繰り出すことができればまた違った展開になったことは間違いないので、南選手には原因というよりももう一つ上のプレーを期待したいといったところだ。

愛媛の攻撃はヴェルディの右サイドから。ヴェルディは丁寧に守るものの、丁寧すぎてドリブルに対しずるずる引いてしまうところがある。ずるずる下がる原因の一つとして丁寧に守るがゆえ最終ラインが前に出るべき時に出ないということもあるが、中盤がプレッシャーをかけきれないことの方が大きい。そういう意味で、試合途中で三竿健斗選手がセンターバックに下がったことは、攻撃面を期待してのことであろうが、チームのリズムを狂わせてしまった感が強い。(失点シーンはまだセンターバックに下がってはいなかったが)

失点の場面はミスが重なった結果だと言える。ずるずる下がってしまったディフェンス隊形、縦に行かせなければよいという緩慢な守備で簡単にセンタリングを上げさせてしまった南選手、センタリングに対し競ることができなった畠中槙之輔選手(その後ろでこっそりマークを外されている安在和樹選手)、届かないシュートに対し安易に飛びついてしまう佐藤優也選手、シュートのこぼれ球に対し完全に足が止まっているディフェンダー陣。失点するかしないかはただの結果だが、この結果はどこかで防ぐことができたはずの失点であり、上位進出のためには何とか阻止してもらいたい失点であった。一人一人の意識から改革して次の失点は必ず防いでもらいたい。

ヴェルディがホームに弱いわりにアウェイで結果が残せる傾向のある理由の一つが引いた相手を崩し切れないという特性であろうと思う。サイドは突破できているのだが、センタリングの意識と精度が低く、その結果相手ディフェンダーは中をケアし、ヴェルディ攻撃陣は外を諦め中に拘ろうとする。引いて守る相手に対しては早いサイドチェンジやサイド攻撃からのセンタリングがディフェンスにボールとマークをはがしやすい攻め方となる。攻めてくる相手に対してはもともとあるスペースを使ってカウンターを仕掛ければ得点の可能性は高く前線の選手に運動量が豊富なヴェルディは結果を残しやすいと思うが、昇格争いをしているヴェルディは上位ということもあり研究されることもあり何となく強いと思われることもあり、相手が引いて守ってくることは容易に想定できる。引いて守ってくることが予想できるゆえ逆に引いた相手を崩す戦略が確立すれば混戦を抜け出して自動昇格することも十分考えられる。簡単ではないが克服してもらいたい。

そんな中で今後キープレーヤーとなりそうなのが高木善朗選手。前線まで上がったかと思えば素早く引いて裏にスペースを作る。足元で後ろ向きにボールを受けても2人くらいのディフェンダーであれば苦も無く前を向くことができるようだ。その技術の高さが余計に相手にプレッシャーを与えスペースを効果的に作ることに成功している。残念なのは、スペースを作ったり裏に走り込んだりするプレーがチームで連動しているというより個人個人が勝手にチームプレーを考えて行っている感じがするところだ。イメージが共有化できない中で勝手に戦術を実行するのはチームプレーとは呼べない。選手が固まりつつある中、いつまでも同じ方向に走り込んで重なったりスペースの作る方向と走り込む方向が違うなどといったプレーはそろそろ終わりにしてもらいたい。

少し心配なのが監督采配だ。選手を有効に起用するためにはポジションチェンジやフォーメーションの変更は悪いことではないが、今日の試合ではチームが混乱しているように見えた。監督はそういう意図ではないかもしれないが懲罰的交代に見えてしまったこともモチベーションを考えると心配だ。また、今日の試合では中盤の守備のプレッシャーが遅いことやサイドチェンジが十分でないことやセンタリングやプレイスキックが不正確であることやサイド攻撃の意識の低さが課題であったように見えたが、選手交代によって中盤の守備がよりもろくなりサイドへの意識より中へのこだわりが強くなりプレイスキックは修正されずどちらかと言えば悪化したように思う。平本一樹選手投入でポストプレーのターゲットとセンタリングのフィニッシュ、永井秀樹選手投入でスルーパスによるサイドを生かした攻撃、アランピニェイロ選手投入でサイド攻撃の意図があったのであろうが、ほぼ機能しなかったと言える。アランピニェイロ選手が一番監督の意図を体現していたと思われるが、しっかり指示されていればもっと明確にサイドを使ってスピード突破できたはず。試合終盤平本選手とともにセンターバックの井林章選手が前線に上がっていたが放り込むでもなく途中で井林選手は守備に戻っていく始末。監督の判断がよくないのか、監督のプランを選手が表現できないのか、監督の伝え方が悪いのか、原因は定かではないが、今まで監督の采配が当たり勝ちを拾ってきたことを考えると今後に大きな不安を感じる。昇格へのプレッシャーもあるのかもしれないが、もともと残留争いをしていたチーム力である。あまり深く考えすぎず1試合1試合を観客が楽しめるように戦い続けてほしい。