蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年11月12日(木)2018FIFAワールドカップロシアアジア2次予選兼AFCアジアカップUAE2019予選 日本代表対シンガポール代表 シンガポール・ナショナルスタジアム

日本代表勝利!3-0とシンガポール代表を破る。

早いパス交換からリズムのいい攻撃を繰り出していた日本代表。金崎選手がディフェンスラインを押し込むことによりできた4バックの両サイド裏のスペースを早いタイミングで使うことができたのは良かったです。得点は3点だけでしたが、10点近く取れていてもおかしくないチャンスを作り出していたのであんまり気にすることはないと思います。決定力とかいうよりも質の高いチャンスをたくさん作ることで数打ちゃ当たるものですから。ただ、試合が始まってなかなか点が取れなかったり相手に先に点を許したりするとどうしても焦りというか疑いのようなものが出てきます。これから先最終予選などでは今よりも得点が少なくなるでしょうから、どれだけ間違いのない戦術の中でどれだけ自分たちを信じて全うできるかが大切になってきます。
ただ、守備は修正が必要。中央で相手と対するのが森重選手はともかく背の低い長友選手では失点は免れない。ゴール前をどう守っていくのか組織力が問われる。

金崎選手について
金崎選手は岡崎選手と違って前でディフェンスラインを押し込めるので攻撃の幅が広がります。あれだけ押し込めれば両サイドの裏が使えるので相乗効果。前半30分過ぎくらいから圧倒的な攻撃の時間が合ったけど、そのときあまり目立たなかった金崎選手がディフェンスラインを押し込めたのが大きい。引いてスペースを作る岡崎選手と押し込んでスペースを作る金崎選手。ディフェンスが強くなってきたとき金崎選手が機能するかは未知数ですが、現在の日本代表の中盤の構成を考えると岡崎選手より金崎選手の方が日本代表は攻めやすいのではないか。もちろん金崎選手に岡崎選手を絡ませるのは効果的だと思います。
なお、2点目のとき長谷部選手からの縦パスをうまくさばいて一発で前を向いてパスを出したのは良かったけど、パス出しの後立ち止まってたのはいただけなかったな。

宇佐美選手について
相手の運動量が減っているときに宇佐美選手を投入するのは効果的なのですが、前線や中盤の運動量が減ってきているときに宇佐美選手を投入してもあまり改善されないでしょう。技術の高い選手ですが欠点もある選手なので監督にはもう少し使い方を配慮してもらいたい。(宇佐美選手も頑張れ)

香川選手について
ワンタッチプレーは別格。グラウンドが荒れてきていたからかミスも多かったが意図のあるプレーをあの判断スピードで実現していくんだから大したもんだ。周りの理解が進めばもっと活躍できるだろう。

原口選手について
運動量もあり積極的でいいプレーを見せる。中央で香川選手とのコンビは小気味良い。本田選手もうかうかしていられないのでは。

柏木選手について
とにかくうまい。運動量もある。後半日本の足が止まってきたときには長谷部選手とともに積極的に前線へ走りこむ。青山選手とともにJの誇る今お勧めのボランチ。足滑らせても正確なプレイスキックは日本代表の大きな武器になる。ただ、日本のディフェンスラインを考えると今後どうなるのかは不安。

吉田選手について
ミスが多い。積極的に前に出るのはいいがディフェンスラインを省みない守りは組織的とはいいがたい。日本代表は最終ラインに背の高い選手が起用されるとは限らないので、ゴール前をしっかり守ってほしい。試合を通じてヘディングミスが続いていたのは存在意義を疑われかねない。

清武選手について
期待していただけにちょっと残念な印象。時折見せるワンタッチプレーやパス精度は類まれなものを感じるので継続的に表現していってほしい。ユニフォームを破られながらもスピードの落ちないフィジカルには驚愕した。

攻撃のバリエーションが増えてきたのは高評価だが、後半は新たな攻撃にこだわって幅が狭くなってきたのは、やはり監督の指示がうまく伝わっていないのではないだろうか。中からも外からも遠くからも攻められるのだから、その選択を間違わないように戦っていってほしい。

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平成27年6月16日(火)W杯アジア2次予選兼アジアカップ2019予選 日本代表対シンガポール代表 埼玉スタジアム2002

ハリルジャパンは今までどおりの試合をしたものの得点が奪えなかった結果、サイドからのアーリークロスに活路を見出そうとしたもののディフェンスに当ててしまう両サイドバックがどんどん自信をなくしてセンタリングできなくなってしまい、頼みのコーナーキックも単純にフィニッシャーの頭に上げるだけで今までのようなポジションチェンジからのごちゃごちゃからのファーサイドでフリーシュート作戦が機能せず、それでもシンガポール代表のカウンターの精度が低かったこともあって失点は免れ、0-0の引き分けで試合終了、ワールドカップへの第一歩を踏み出しました。

ハリルジャパンの一番の攻撃手段の一つであるボランチからの縦パスが全く機能しない。今日の試合では、シンガポール代表がボールを頂点にしたピラミッド型守備体系を敷いていて、中央にでんと居座る柴崎岳選手、長谷部誠選手は相手からのプレッシャーがないからか、W杯予選というプレッシャーがあるからか、のんびりしたプレーで縦パスを入れることができず、前線も本田圭佑選手以外はスペースを見つけ出すことができず受け手になりえず、とにかく縦パスを入れることができずボールが前に運べない。中央からでなくサイドライン際から縦パスを入れたりボールを早く横に動かしてピラミッドの横から楔を打ったりすればよかったが、あまりに中盤がフリーすぎたせいもあって単調なミスを繰り返す。

ハリルジャパンもう一つの得意とする攻撃手段としてコーナーキックを含むプレイスキックがあげられる。イラク戦ではニアサイドで高い選手がごちゃごちゃしながら競った結果ファーサイドにこぼれたボールへクロスしてフリーになった選手が押し込む形が見られたが、今日の試合ではフィニッシャーの頭に直接合わせるだけでファーサイドフリーになる選手もいなければボールもニアサイドではなくシュートが打ちやすいゴール前に直接放り込む。誰もが主役になりたがった感じ。シンガポール代表ゴールキーパーとしてはどこから打ってくるか分かるから、至近距離の止めにくいシュートの中では比較的タイミングを合わせやすくシュートを防ぎやすかったと思う。これは最後まで修正されなかった。

攻撃手段を失ったハリルジャパンだが、サイドからのアーリークロスだけはかすかに得点の匂いがする。中から攻めないので香川真司選手に代えて高さで競れる大迫勇也選手を投入。縦パスのうまい柴崎岳選手に代えてサイド攻撃ができて中央こぼれ球からの得点が期待できる原口元気選手を投入。最後はごちゃごちゃで中央勝負ができない宇佐美貴史選手に代えて空中戦も競れる武藤嘉紀選手を投入。冷静に試合を分析して勝利に近い采配を見せているなあと思ったら、原口選手はなぜかボランチの位置に下がる、アーリークロスを入れるべきサイドバックがミス連発でクロスを上げるのを躊躇、ゴール前で4人以上渋滞してるから岡崎慎司選手が飛び込むスペースがない、とすべてが悪い方向へ。

今までどおりの攻撃をしていたが、中盤でプレッシャーをかけられることなく中央低い位置からの縦パスについてしっかり守備されたことでゴールに近づきづらくなり、今までと違ってたまたま得点が奪えなかったことで今までやっていないサイドからのアーリークロスをしたものの機能しなかった。

守備は今までもそうだが、相手にスペースを与えすぎていて、トップにボールが入ったときにうまく挟み込んでボールを奪うことができない。もともとハリルジャパンは守備のとき前へのプレッシャーが乏しく押し込まれてしまうことが多かったが選手が固定されていないこともあって試合ごとの修正があまりうまくいっていない。トップに入った瞬間にセンターバックとボランチがしっかりプレッシャーをかけること、飛び出した選手の裏をしっかりカバーすること、このあたりの約束事をこれから詰めていくことになるのだろう。

今日のハリルジャパンは試合の入り方として今までと同じことをしていたがたまたま得点が奪えなかっただけに過ぎない。試合を評価するときに得点失点という結果は一番大切なことだが、プロセスを見つめないと次の結果につながらない。チームとして実力を培うために今日の試合結果を大切にしてほしい。

今後のハリルジャパンは今までやってきた早い縦パスとコーナーキックという武器に磨きをかけていくことになるのだと思う。ただ、これは「自分たちのサッカー」ではないだろうから、どこまで選手が勝ちにこだわれるか、そのあたりがチームとしての成熟度に関わっていくのではないか。