蹴球 \ サッカー日本代表

FIFAワールドカップカタール大会2022 日本代表対クロアチア代表 アルジャノブ スタジアム

日本サッカー史上初のワールドカップベスト8進出をかけた決勝トーナメント1回戦、日本代表対クロアチア代表。
前半日本代表が今大会初めて先制に成功するも、後半クロアチア代表に追いつかれ、その後延長戦でも決着のつかない大激戦でしたが、PK戦の結果クロアチア代表に軍配が上がり、日本代表は過去最高タイのベスト16で涙を飲む結果となりました。

さて、キックオフ。

試合は、なんだかバランスの悪い日本代表が守備を修正できないままクロアチア代表のペースで展開。クロアチア代表が日本代表の裏を狙ってくるので日本代表はディフェンスライン低めなのにフォワードと中盤は高い位置で守ろうとするからディフェンスラインと中盤の間のスペースを使われて、日本代表が中盤下げると中盤の手前のスペースを使われてそこからそのまま裏を狙われる。クロアチア代表の試合巧者ぶりが目立ちます。

一方日本代表はサイドからの攻撃が効果的。クロアチア代表は前線で一旦プレスかけてその後は引いてじっくり守る。特に押し込まれたときはサイドバックが中に絞るのでそのとき外が空く。ワイドの選手が戻ってこれればいいんだけど、前線でプレスかける関係でどうしても戻るのに時間かかってスペースができがち。前線からのプレスをたびたびうまいこと回避できた日本代表は、前半43分、サイド攻撃で獲得したコーナーキックから、吉田麻也選手の落としたボールに守備でも大きく貢献していた1トップ前田大然選手が押し込んで先制!

日本代表1-0クロアチア代表

この試合は日本代表がプレイスキックいろいろ工夫してました。ここまで隠してたのかな。

しかし、リードして攻めなくてもいい環境になっても日本代表守備のバランスの悪さは修正しきれず。前後のバランスの悪さは修正を試みているようだけど、左右のバランスの悪さが一向に改善されない。日本代表は左ハーフの鎌田大地選手がチャンスメーカーとして期待できるんだけど、右サイドの守りはセンターバックがクロアチア代表のサイドバックについたりして押し上げられるのに対し、左サイドバックの長友佑都選手は相手ワイドの選手に付きっ切りなので、鎌田選手がサイドバックの選手に合わせて守りに戻らなくちゃならない。これは長友選手から三笘薫選手に代わってからも見られた傾向なので、たぶんクロアチア代表の形に合わせた守りだったのかなと思うんだけど、日本代表の強みを出すためには、時にはセンターバックがワイドをマークして長友選手がサイドバックをマークするなどの工夫が見られてもよかったように思います。

それで結局日本代表の左サイドにスペースできがちになり、左センターバックの谷口彰悟選手が浮いてるんだから前に出られれば良かったんだけど後ろに残ったままで、それはそれでスペース埋められれば悪くはないんだけど、なぜか中央のセンターバック吉田選手が左サイドのカバーをするので右センターバックの冨安健洋選手が左に寄ることになって、そのカバーに右ワイドで攻撃に特徴のある伊東純也選手が慌てて戻ってきて相手3トップの一人を見るもんだからミスマッチが生じてしまい、後半10分に失点。

日本代表1-1クロアチア代表

相手はゴール前に二人しかいなかったんだから普通に吉田選手と冨安選手がマークについて伊東選手がカバーしてればよかったんだけど。吉田選手はスペイン代表戦でも同じように左サイドからのセンタリングのとき裏のマークがケアできないときがあって、もしかしたらもともと苦手な形なのかな。ここまで3試合フル出場で疲れ切ってるようにも見えたし、ちょっと気の毒なところではあります。

でもそもそも0-1がゲームプランにあるので全く焦る必要のない日本代表。ところが終盤鎌田選手を途中交代。うーん、どうかな。確かに疲れているようだったけど、いい位置で待ってるけどパスがあんまり出てこないみたいな感じだったし、それなら先に左サイドの守備を修正して鎌田選手の守備のタスクを減らすべきだったと思う。ここは個人的に戦術的な面で少しちぐはぐな印象でした。

その後もポイントゲッターとして絶大なる期待の三笘選手を交代出場させた日本代表ですが、いくら三笘選手とはいえ最終ラインからドリブルで持ち込んでゴールまで決めて頂戴というのはさすがに酷というもの。そんなのメッシ選手でも無理(たぶん)。結局チャンスは作り出すものの得点には至らず、一方クロアチア代表もあまり調子上がらないのか得点のにおいが感じられないまま、延長戦も終了。

日本代表1-1クロアチア代表

PK戦に突入です。

PK戦は、4人目までに3人が外してしまった日本代表に対し1人しか外さなかったクロアチア代表が1-3で勝利。残念ながら日本代表悲願のベスト8進出は叶いませんでした。

クロアチア代表強かったですね。スペースの作り方使い方が抜群で、とても賢く楽にプレーしていました。日本代表はボールの取りどころも見つからなかったようで、得意のプレスをかけることすらほとんどできませんでした。

でも、例えば、日本代表は最終ライン選手余ってたんだから4バックにする手もあったかもしれません。もちろんそのせいで後ろにスペースができて失点していた可能性もあるわけでまあ結果論ですが、ただそれでも、左右のバランスを考えたとき、クロアチア代表右ワイドが左に比べて開くことはわかっていたはずなのにそこにサイドバックの長友選手を付けることでオーバーラップしてくるサイドバックの選手のケアに鎌田選手を戻らせたり、長友選手が押し込まれて鎌田選手との間が空くときボランチの守田英正選手が外に引っ張り出されて中にスペース作られたり、なんだかクロアチア代表の戦術に対してあんまり守備が機能しているように見えませんでした。左サイドが重くなっていく日本代表は全体的に押しだされて右にずれる形になって、ストロングポイントであるはずの鎌田選手の攻撃力を活性化させることができなかったし、左サイドで攻撃に期待したいはずの三笘選手にも最終ラインまで下がらせることになってその攻撃力も半減してしまいました。それなら前半守田選手を左ハーフにして鎌田選手を右ボランチにして伊東選手の近くに置くとか、左ハーフに柴崎岳選手とか、そういうのやってみたらどうだったのかななんて思ったりもします。

この敗戦(記録上は引き分けだけど)を受けて、やれPK戦の機会増やせとかやれボール保持できるようにとかいう声も聞こえてきて、それはそれで大切なことですが、PK戦対策するくらいならコーナーキックとかフリーキックやった方が効率的だと思うし、ボール保持するためにも最終ライン1対1で守れるようにした方が攻撃の枚数も増やせるし結局攻めにつながると思う。1対1で守れないこと前提で守備システム構築するから後ろのカバーばっかりに人数がやたら多くなっちゃって前線で人が少なくなってボール保持もしづらくなっちゃうんですよね。世界相手に守るのはとても難しいことなので今はまだしょうがないのですが、世界基準というならそっちの方からではないかなと。

とはいえ、今回のワールドカップではドイツ代表とスペイン代表に勝利するなど、十分に世界と戦える力があることを示してくれた日本代表。この経験を糧に、日本サッカーのさらなる躍進と充実に期待します。

頑張れニッポン!

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FIFAワールドカップカタール大会2022 日本代表対スペイン代表 ハリファ インターナショナル スタジアム

勝てば決勝トーナメント進出、負ければグループリーグ敗退、とある意味わかりやすい形になったグループリーグ最終戦対スペイン代表戦。引き分けのときは条件がちょっと複雑でめんどくさいのであまり考えないでいきましょう。

試合は、前半先制を許すも、後半2得点をあげて逆転した日本代表が2−1でスペイン代表に勝利!
ドイツ代表、コスタリカ代表、スペイン代表と強豪ひしめくグループリーグを首位で勝ち抜け、見事決勝トーナメント進出を決めました。

さて、キックオフ。

433システムで圧倒的ボール支配率を見せつけるスペイン代表。対する日本代表は541でんでんむし作戦。とにかくスペイン代表のアンカーとワイドにボールを入れさせないことを徹底しながら粘り強くチャンスを狙う。

と思ってたら早速失点。
前半11分、パスをつながれ連続攻撃を許した日本代表は吉田麻也選手と板倉滉選手の連係ミスもあってスペイン代表にヘディングゴールを許し、予定より?早く追いかける展開に。
日本代表0-1スペイン代表

戦術を変えない日本代表と焦る必要のないスペイン代表の試合は大きな動きを見せることなく時間が経過。
日本代表はスペイン代表のセンターバックからアンカーへのパスコースを前田大然選手が切ってるんだけど、
それでもアンカーにパスが入ることがあって、その時日本代表ボランチの一人がアンカーに寄るからどうしてもスペイン代表の逆サイドのインサイドハーフが浮いてしまう。
ときどきスペイン代表の1トップも中盤に降りてきたりするので中盤は多勢に無勢でスペイン代表優勢。

ただ、幸運もあって、スペイン代表は早い時間に先制したからかなんとなくのんびりモードになり、センターバックが持ち上がらないでいてくれるのです。先制点の時もセンターバックがボール持ち上がっていたわけだし、スペイン代表センターバックが持ち上がらないでいてくれたのは日本代表にとって本当に幸運だったと思う。

その後前半の半分くらいから日本代表は3バックがかわりばんこに前へと出てくるようになり中盤に加勢。
のんびりスペイン代表は空いたスペースを使って先手を取るもワイドへの展開を封じられていることもあって足元へのパスが多くなり、日本代表がインターセプト成功からショートカウンター(失敗)とリズムを作り出し始めたところで前半終了。
日本代表0-1スペイン代表

前半の健闘はハーフタイムの選手交代でさらに攻勢を強め日本代表は早速結果を出すことに。

後半3分、前田選手の追い込みからのスペイン代表のわずかなミスを見逃さなかった伊東純也選手がヘディングで競り勝つと、堂安律選手が絶妙トラップから左足ミドルを突き刺して同点!
日本代表1-1スペイン代表

さらにそのわずか142秒後の後半6分、キーパー権田修一選手のロングキックを伊東選手が収め、田中碧選手から堂安選手に繋がってゴール前に送られたボールはいったんは逆サイドに流れるも、ゴールラインぎりぎりで三笘薫選手が折り返して田中選手が押し込み逆転!
日本代表2-1スペイン代表

ゴールラインを割ったとセルフジャッジしてプレーを止めたスペイン代表に対し足を止めなかった三笘選手と田中選手(と前田選手)の頑張りが逆転ゴールに繋がりました。

その後攻勢を強めるスペイン代表に対し、ワイドを抑える守りをさらに徹底する日本代表。
スペイン代表はティキタカで中から攻めるイメージ強いけど、実際は中攻めてから外に繋いで最後に中で仕留めるパターンが多い。中から攻めるときはボールを受ける選手がゴールに背を向けていることが多いけど、外から攻めるときはゴール方向を向くことができるので攻撃が比較的楽ちんになるのです。

そんなこんなで攻め手を欠き、三笘選手と伊藤選手の連係ミスからスペイン代表アセンシオ選手(いつもやられてる)に強烈シュートを許すも、所属の清水エスパルス癖か失点0には抑えられないけど2点目は許さないキーパー権田選手が鉄壁のセーブを見せる。

ディフェンス陣もコスタリカ代表戦の反省を生かして集中を切らさずしっかりクリアも徹底。

コスタリカ代表戦ではいまいちだった守備面でもこの試合では貢献した三笘選手がウイングバックを覚えたのは所属のブライトンでの経験みたいだし、ワールドカップ初出場の谷口彰悟選手が意外と機能してビルドアップでも起点になれたのも所属の川崎フロンターレで似たようなサッカーに慣れてたからかなと思うし、所属クラブでの経験を個々の選手がいかんなく発揮して最後まで守り切った日本代表が逃げ切って勝利!
日本代表2-1スペイン代表

代表としての積み重ねが生かされた感じじゃないのがいいのかどうかは評価分かれると思うけど、ドイツ代表戦はアタッカーだらけの選手起用になって、スペイン代表戦はセンターバックだらけの布陣とか、森保一監督の柔軟性は一定程度評価されるものかなと思います。

また、コスタリカ代表戦ではいまいちフィットしなかった交代起用がドイツ代表戦とスペイン代表戦では抜群の結果を残したことも大きかった。

三笘選手の先発を期待する声もあるけれど、途中から違いを見せつけた方が相手チームは嫌かなと個人的には思います。

堂安選手は相手が守備をセットしてる状態だとプレーやり切れない傾向があるので、少しごちゃごちゃしてきた後半に出場したほうが活躍できるような気がしてます。

ちょっと心配なのは浅野選手。2戦目3戦目動きが重いです。この試合も出場5分でバテてたし。初戦で点取ったことで自分を見失ってるような。自分に何ができて何ができないのかわからなくなってるような感じがします。

戦前の予想を覆しグループリーグを首位で突破した日本代表。

次戦は12/5(月)24時(12/6(火)0時)から、決勝トーナメント1回戦、対クロアチア代表戦です。

勝てば日本サッカー史上初のベスト8。

頑張れニッポン!

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FIFAワールドカップカタール大会2022 日本代表対コスタリカ代表 アフメド ビン アリー スタジアム

大会前、今日の相手のコスタリカ代表にはどうにか勝って、1勝2分で予選突破、なんて考えてたらまさかの日本代表初戦ドイツ代表に勝っちゃって、選手スタッフだけじゃなくてサポーターもマスコミもコスタリカ代表は勝てる相手だと思い込んでしまったような、そんな雰囲気のまま0-1で敗戦したこの試合。
もともと勝てなくても不思議じゃない相手だったし、もちろん勝っても不思議ではない試合でもありました。

さて、キックオフ。

442で守り、攻撃する時は433にシステムを変えて試合を優勢に進める日本代表。しかし541でコンパクトにブロックを敷くコスタリカ代表相手にいまいちボールを運びきれない。
日本代表はサイド攻撃比較的得意なんですが、コンパクトな541は外から単純に攻めてもあんまり隙間できにくかったりするんですよね。

一方のコスタリカ代表も前節のスペイン代表戦0-7ショックの影響かあまりサッカーになっていなくて、日本代表の左サイドバック長友佑都選手の裏を狙ってるんだろうなという感じはあったものの、そこは左サイドハーフの相馬勇紀選手がうまくバランスをとって対処していて、コスタリカ代表の左サイドはそれなりにテンポよくボール回るものの狙いがあるという感じでもなくそのまま右サイドまで流れて行ったりして、何かよくわからないまま何となく時間が経過していく。

日本代表はとにかくボールが動かせなくて、困ったな、どうしよう、我々が勝つはずなのになかなか点取れそうにない、そうだ、こういうときはドイツ代表戦のときうまくいった作戦で、みたいな感じで前半途中から3バックに移行。

というか、みんなあんまり調子よくなさそうで、攻撃で何とか機能してたのが吉田麻也選手と山根視来選手と相馬勇紀選手(ドリブルで抜くまでは)だったから、その3人をバランスよく配置してゴール前までボール運んでシャドーの鎌田大地選手か堂安律選手の決定力でドカン、みたいな作戦だったのかな。

まあ相手のあることだしそんなにうまくいくこともなく前半終了。
日本代表0-0コスタリカ代表

後半も3バックで戦う日本代表。しかし、とにかくボールが動かない。守田英正選手が少し下がってリズムを作るもののチーム全体として縦パス裏パスが少なすぎてコスタリカ代表の5バックを崩せない。

後半17分、切り札の三笘薫選手を投入。またドイツ代表戦に倣って大博打のウイングバック起用。でも2匹目のドジョウはいなかった。

後半22分には伊東純也選手をインサイドハーフで投入。あれ、いつもはワイドじゃなかったっけ。

やってないことやり続けた日本代表は次第にボロが出て、後半36分にミスから失点。
日本代表0-1コスタリカ代表

その後もそれほどボールがちゃんと動くことなく、そのまま試合終了。
日本代表0-1コスタリカ代表

なんで後ろ余ってたのに最後吉田選手上げてパワープレーとかすらやらなかったんだろう。

今までやり続けたハイプレスからのショートカウンターは全然発動しなかったし、今まであんまり出てない選手とかやってないポジションに選手配置するし、そもそも3バックシステム自体あんまりやってなかったものだし、柔軟と言えばそうなのかもしれないけど、今まで4年間かけて何を準備してきたのかなとちょっと疑問も残ります。

少し難しいなと思ったのは、コスタリカ代表戦だけは他の2試合と違って勝つための戦術や選手起用を大会前に考えていたはずの試合だったってことと、この時点ではこの試合勝っても結局次のスペイン代表戦に負けると予選落ちの可能性もあったってところかな。すべてを尽くしてコスタリカ代表に勝つ、という感じにはなりづらかった。

とりあえず日本代表の選手は、インプレー中に悔しがったりしてないでボールから目を離さず追いかけ続けた方がいいです。あと、パスを出したら走る、攻守の切り替えを早く、といった基本に忠実になってほしい。

次はグループリーグ第3戦最終戦、12/1(木)深夜28時(12/2(金)4時)から対スペイン代表戦。

勝てば予選突破です。わかりやすい。

頑張れニッポン!

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FIFAワールドカップカタール大会2022 日本代表対ドイツ代表 ハリファ インターナショナル スタジアム

こんなことってあるんですね。サッカーって不思議だし面白い。
我らが日本代表は強豪ドイツ代表に先制を許すも逆転勝利をおさめ、見事ワールドカップ初戦を飾りました。

さて、キックオフ。

いつもの4231システムで前半スタートする日本代表。
ハイプレスからのショートカウンターからチャンスは作り出すものの
試合はほぼほぼドイツペース。特に左中盤に入った久保建英選手の後ろのスペースをドイツ代表に突かれ
そのスペースを田中碧選手が埋めに行き、その空いたスペースを遠藤航選手が埋め、
その空いたスペースを埋めようとした右サイドの伊東純也選手と酒井宏樹選手の連係ミスもあってピンチの連続。

いつもの日本代表は外は前線が頑張るか諦めて放っておくんだけど、さすがにドイツ代表は外から確実に日本ゴールに突進してくるのでちょいまずい。
所属の清水エスパルスがJ2降格で就職活動中?の気合抜群ゴールキーパー権田修一選手を中心によく守るも
前半33分PKによる1失点を喫して前半は終了。
日本代表0-1ドイツ代表

ドイツ代表の攻撃時4バックのうち左サイドバックだけ高いポジション取る左右変則システムを久保選手の攻撃力で何とかつきたいけど
その前にこちらの守りを何とかしないと、と思いながら後半、日本代表は久保選手を冨安健洋選手に代えて3バック、というか、2ボランチのままの3トップに移行。

これでマークの相手が明確に。
中からの攻撃も怖いけど、森保監督はドイツ代表のボランチ2人を遠藤選手と田中選手で抑えられると賭けたんだと思う。
結果、ドイツ代表のボランチが前後にポジショニングするので遠藤選手の1ボランチみたいになったけど賭けには勝った感じ。
今の日本代表って、意外と中中の攻めに強いんですよね。

逆に中盤にスペースができることにもなり、ドイツ代表の運動量の減少も相まって日本代表は最終ラインからパスを繋ぐこともできるように。
ときどき危なっかしい守備を見せる交代出場のウイングバック三苫薫選手が意外にはまりだしてドリブルから交代出場の南野拓実選手のシュートに繋がり、
こぼれ球に交代出場の堂安律選手がつめて後半30分に同点!
日本代表1-1ドイツ代表

さらに後半38分、シュートの意識高い交代出場の浅野拓磨選手がディフェンスラインからのフリーキックにドイツ代表のラインコントロールが効かないところを抜けだして、角度のないところから豪快な逆転弾!
日本代表2-1ドイツ代表

最後はドイツ代表も猛攻を仕掛けるも決定力を欠き、日本代表が見事な勝利!
試合終了 日本代表2-1ドイツ代表

グループリーグ突破とベスト8(決勝トーナメント1回戦の勝利)に向けて最高の船出となりました。

冨安選手と酒井選手の怪我の具合が気がかり。

次はグループリーグ第2戦、11/27(日)対コスタリカ代表
スペイン代表に0-7と大敗して意気消沈しているであろうコスタリカ代表を相手に、しっかりと勝利に結び付けてほしいものです。

頑張れニッポン!

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2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対ベルギー代表 ロストフアリーナ

ワールドカップもいよいよ決勝トーナメント(ノックアウトステージというらしい)
史上初のベスト8を目指して戦った日本代表は世界ランク3位の強豪ベルギー相手に2点先行するも、その後3点取られてまさかの逆転負け。日本代表のワールドカップはベスト16で幕を閉じました。

 

試合は開始早々日本代表香川真司選手が相手のクリアボールを拾って見事なコントロールからシュート!惜しくも右に外れますが、ベルギー代表は守備意識の低い中盤がスカスカでクリアボール拾われることをビビったのか、フォワードがしっかり下がり541で守るようになります。

さすがに最終ラインに5枚も並ばれると、日本代表も今までのように逆サイドへのロングパスでチャンスを作ろうにもスペースがありません。しかし、ベルギー代表も皆が守備に戻る分ルカク選手がトップで孤立してしまい攻撃力が半減。アザール選手のドリブルは怖いもののその後ろはあまりついて来ず、2人がかりでドリブルさえ封じてしまえば何とかなる。試合開始早々のベルギー代表の弱点を突いた日本代表のシュートがベルギー代表にいつもと違う守備意識を植え付けたようで、プレイスキックは怖いものの両チーム得点を挙げることなく試合が進んでいく。

前半残り10分となり、ベルギー代表は徐々にエンジンがかかってきたのか、フォワードがあまり下がらず攻め残りをするように。しかしなぜかベルギー代表が外から丁寧に攻めてくれるので対応できる日本代表。ベルギー代表が3バック+2ボランチの5人でビルドアップするのに対し日本代表は前線4枚(+時々柴崎岳選手)のプレッシャーと数的不利なおかつ中盤スカスカ守備なのに、中央をボールが通らなかったので助かりました。前半終了。後半へ続く。

ベルギー代表のフォワードが守備に下がらないので、その穴をつきたい日本代表。ベルギー代表の両ワイドが攻撃参加し、なおかつベルギー代表右ワイドのムニエ選手がボールを奪われて取り返しに行かずあっさり入れ替わってくれたので、日本代表がベルギー代表ディフェンス3枚に対しカウンターを発動します。

後半3分、乾貴士選手の奪ったボールは柴崎選手へ。得意の逆サイドスルーパスがこの試合不発の柴崎選手でしたが、相手が3枚しかいなければ疲れていても話は別。同サイド駆け上がった原口元気選手に絶妙のタイミングでスルーパス。一瞬間を空けて放った原口選手のシュートがゴールに突き刺さる。日本代表先制です。日本代表1-0ベルギー代表

1分後のベルギー代表のビッグチャンスをバーに助けてもらった日本代表は柴崎選手が長谷部誠選手と縦並びになり、柴崎選手は疲労の見える中でも抜群のセンスを見せつけます。攻守に安定した日本代表はセンターバックが前に出て守備できるようになり、ベルギー代表のカウンター封じ&日本代表のショートカウンターで日本代表が試合のペースを握ります。

そして後半7分、吉田麻也選手が奪ったボールは左サイドフリーの乾選手へ。ドリブルから大迫勇也選手へのセンタリングはクリアされるもののスカスカの中盤でクリアボールを拾ったのは香川選手。抜群のテクニックからボールを受け取ったまだフリーのままの乾選手が無回転シュートをベルギー代表のゴールマウスに叩き込む!日本代表追加点!日本代表2-0ベルギー代表

このまま負けるわけにはいかないベルギー代表は長身のフェライニ選手とシャドリ選手を投入。攻撃時ルカク選手とフェライニ選手が前線に並ぶので日本代表のセンターバックが前に出づらくなり、長谷部選手もフェライニ選手について下がらざるを得なくなってきてしまい、今まで効果的だったカウンター封じが機能しなくなってしまう。中盤が使えるようになったベルギー代表は前7枚がくるくるポジションチェンジを繰り返し、日本代表は後手に回る展開。中盤3枚だけなら日本代表も同じようなサッカーしてましたが、全員でできちゃうところらへんが世界ランキング3位たる所以か。

押し込まれた日本代表。後半24分、コーナーキックからクリアしきれず押し込まれたところ、ベルギー代表左サイドからのヘディングがそのままゴールインし、1点差。ここは川島永嗣選手に止めてほしかったところかな。体の向きというか足の位置がおかしかった。残念。日本代表2-1ベルギー代表

くるくるポジションチェンジから中央を使われ、空いた外を使われ、特に長友佑都選手と昌子源選手の間を使われてさらに押し込まれる日本代表。スタミナも切れてきたのか、ファールでも止めることができずに押し込まれ、ギリギリのところで体を張ってゴールを守る日本代表。しかし、さすがに最後まで守りきれるものではありませんでした。

後半29分、ベルギー代表左コーナーキックのこぼれ球が再び左サイドのアザール選手へ。ドリブルで大迫選手を交わしたアザール選手はまさかの左足で絶妙クロス。長身フェライニ選手が頭で押し込みついに同点。アザール選手に左足で上げられちゃあしょうがない。日本代表2-2ベルギー代表

体力的にも精神的にも追い込まれた日本代表は山口蛍選手と本田圭佑選手を投入。ベルギー代表の中盤プレッシャーが少ないこともあってボールはキープできるようになるものの前に運ぶことはできない日本代表。これではカウンターを食らってしまう。しかし守備のできるサイドハーフは今の日本代表にはいない。なんとかフリーキックでももらえないものだろうか…

そんな願いがかなったのか、大迫選手が遠目ではあるものの正面からのフリーキック獲得。これは南アフリカ大会の時のデンマーク代表戦の本田選手か…と思ったけど、クルトワ選手がセーブ。日本代表コーナーキックから最後のチャンスです。

南アフリカ大会デンマーク代表戦のときは、本田選手が決めて、そのイメージが相手にある中で裏をかいて遠藤保仁が決めたんだよな。しかし今回は、初戦のコロンビア代表戦のコーナーキックのイメージが相手ではなく日本代表に残ってしまったのか。そっくり同じボールを蹴り込んだ本田選手のキックはクルトワ選手が難なくキャッチ。走り出すデブルイネ選手。ついていけない日本代表。山口選手は今までの日本代表がしてきたように前に出ることができない。香川選手が自分のマークを放ってデブルイネ選手に寄ってしまう。右サイドでフリーになったフェルトゲン選手に絶妙なスルーパスが供給。前を走るのはエースルカク選手。なんでルカク選手はコーナーキックのピンチなのに最前線にいて今までカウンターの場面でも降りてくるだけだったのになんで今回だけはちゃんと裏に走り込むのか。振り回された長友選手がボールに寄ってしまい、ルカク選手へのパスコースを閉めることができず。結果論だけど相手はディフェンスの選手なんだしシュートコース空けてでも中へのパスコース切りながら寄せた方がよかったと思う。ラストパスをルカク選手がスルーするとフリーのシャドリ選手がそのまま押し込み、試合終了直前にまさかの逆転ゴール。日本代表2-3ベルギー代表

ここで日本代表は戻りきれなかった選手もすごい勢いで戻ってきた昌子選手もドーハの悲劇よろしく立てなくなってしまう。まだ試合は終わってないよ!しかし、ようやく立ち上がってキックオフと同時に試合終了のホイッスル。ベスト8の壁は厚かった。試合終了。日本代表2-3ベルギー代表

体力面、選手層、個人能力、どれをとっても大きな差のあるベルギー代表相手によく戦った日本代表でしたが残念な敗戦となりました。長友選手と昌子選手の間を狙われているときに左サイドハーフに守備のできる選手を、せめて原口選手を左に回すという方法もあったかもしれませんが、その場合長友選手がセンターバック的なプレーもすることになってしまうので、長身ぞろいのベルギー代表相手には難しい選択。だったら植田直通選手を左サイドバック、長友選手をひとつ前に上げることはできなかったのかな。柴崎選手に代えて同じくパスが出せて疲労の溜まっていない大島遼太選手を使ってスペースを埋めることはできなったのかな。先に2点取っていただけに悔しい敗戦です。

1993年ドーハの悲劇のときはアジア予選でしたが同点に追いつかれて立ち上がる気力を失いました。今大会はワールドカップ本戦の決勝トーナメントでしたが、最後の失点で気力を失いました。日本サッカーの進歩と停滞の両方が同時に現れた場面。本気の戦いから得た貴重な経験が次の成長を促してくれるものだと信じています。

 

川島 永嗣 5.0 失点の質が悪すぎた。いいセーブもあったが試合の流れを大きく変えてしまった。

昌子 源 6.0 世界最強の攻撃陣相手に互角に渡り合った。長友選手との間のスペースをケアできなかったのはルカク選手を気にし過ぎてのことか。

長友 佑都 6.5 豊富な運動量で攻守にチームを牽引。数的不利な場面も多かったが判断よくマークを置いてボールに向かうことができた。最後のカウンターはボールを追いかけすぎてしまったと思う。

酒井 宏樹 6.5 空中戦に強く攻撃でも起点になることができた。日本代表のビルドアップは大迫選手か酒井選手のどちらかを経由しなければなりたたないものだった。攻守で日本代表のポイントだった。

吉田 麻也 6.0 勇気をもって前に出ることでベルギー代表にカウンターを許さなかった。ショートカウンターの起点としても機能。

柴崎 岳 5.5 さすがに疲れがたまっているのか、キックに勢いが欠けていた気がする。どこかで休ませてあげたかった。

原口 元気 5.0 走り出せば頑張るしチャンスは必ずゴール前に入り込むし、だから得点も挙げられるわけで、いいところもたくさんある選手なのは言うまでもないのだけれど、このレベルでは少し厳しいのかもしれない。パス出しが一番近くの味方の足元にしか出ない。攻撃の選手としてあまり効果的な繋ぎができなかった。

香川 真司 6.5 抜群のテクニックでベルギー代表ディフェンス陣を翻弄。開始早々のベルギー代表守備陣の弱点を突いたシュートがなかったらもっとベルギー代表に攻め込まれて全く違う試合展開になっていたと思う。最後のカウンターでボールに寄ってしまったのは気力が尽きたのかもしれない。

乾 貴士 5.5 あのゴールはスーパーだったが、疲れが残っているのか判断の悪さが目立った。守備で最後までついていけないことも多かった。

長谷部 誠 6.0 試合展開に合わせてポジションを上下左右に柔軟に変更。怖いボールロストもあったが、攻守でチームの中心を担った。

大迫 勇也 6.5 よくボールが収まった。途中ベルギー代表のセンターバックとボランチに挟まれるようになり苦戦していたが、ベルギー代表の中盤がスカスカなところをうまくついてボールを次につないでいた。

山口 蛍 4.5 ほとんど何もできなかった。最後のカウンターでは下がるべきという見方もあるかもしれないが、日本代表(西野監督)の今までのやり方からすればもっと早いタイミングで前に出るべきだったと思うし、下がろうと上がろうとあの場面では絶対に入れ替わってはいけなかった。ベルギー代表相手に酷な話かもしれないが、期待されている役割を果たすことはできなかった。

本田 圭佑 5.0 プレッシャーの少ない中でそれなりにボールはキープできるもののあまり前にボールを運べないのでいつボールを奪われてカウンターを受けるかヒヤヒヤ。最後のコーナーキックはコロンビア代表戦の自らの亡霊にやられた感じ。過去にとらわれず前を向いてこの経験を活かしてほしい。

西野 朗 監督 5.5 実力差が明白とはいえ2点差からの逆転負けはいただけない。守備で明らかに機能していない左サイドを放置したのはいかがなものか。乾選手のスーパーゴールの亡霊でも見たのだろうか。サイドハーフとしての交代要員を考えると迷うところだが、例えば長友選手を一つ上げて左サイドバックにセンターバックの選手をいれる手はあったと思う。ただ、短い期間ながらハリルホジッチ監督時代から大きな変化として、中盤からの攻撃を復活させ、3トップ気味だった前線を2トップ気味にして両サイドハーフとトップ下の役割を明確にして、原口選手を右サイドに移動させることで乾選手の起用と長友選手ではなく酒井選手が中に絞れるディフェンスラインを作り上げ、センターバックが前に出ることでカウンター封じに成功させたことは大きな成果だと思う。これだけカウンターをさせなかった日本代表は初めてなのではないか。最後にそのカウンターにやられて負けるというのはこれがサッカーと言うものか。勝負事なので致し方ないが、賭けに負けたということだろう。

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2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対ポーランド代表 ヴォルゴグラードアリーナ

引き分け以上、負けても他会場の結果次第でグループリーグ突破が決まる日本代表。残念ながらこの試合には0-1で敗れてしまいましたが、同時に他会場で行われていた試合でコロンビア代表がセネガル代表に1-0で勝利。日本代表とセネガル代表は、勝ち点、得失点差、総得点、当該チーム同士の対戦成績まですべて同じ数字となりましたが、反則ポイントの差でセネガル代表を上回った日本代表がグループ2位に滑り込み、見事決勝トーナメント進出を決めました。

 

緊張のせいか、はたまた先発6名を入れ替えたせいか、ミス連発で試合にならない立ち上がりの日本代表。ボールを奪われ、縦パスを許し、追い込まれてロングボールしか活路を見いだせなくなってきます。とりあえずカウンターだけは許すな。反則ポイントの関係でイエローカードも怖い。

一方のポーランド代表はこれまでの2戦と変わらぬショートパス攻撃。しかもパズダン選手もいないし、リブス選手もいないし、攻撃の核となりそうな選手をベンチに置いてしまい、コンディションの問題かもしれませんがもしかしたらこれはもう出場機会のための試合なのかもしれません。ジェリンスキ選手をトップにおいてもそこにボールを回す選手が不足しているので、日本代表はちょっとチャンスかもしれません。

それにしてもカメラアングルが悪く試合が見づらいことこの上ない。前線の動き出しやディフェンスラインのバランスが全く見えないしすぐに選手のアップ画像に切り替わってしまうので試合の様子がわかりづらい。コロンビア代表戦もそうでしたが、本当にこの辺り、何とかしたほうがいいと思います。

そういうわけでここから先の戦評には想像の要素がいつもより多くなりがちですが、たぶん間違っていないと思うのでよろしくお願いします。

ポーランド代表はショートパス作戦の他、フォワードがサイドに開きサイドバックとの1対1の局面を作り出して、そこから起点を作ろうとしたように思います。サイドバックの頭めがけてボールが飛んでくるので、日本代表のセンターバックはあまり競ることすらできませんでした。センターバックと争うよりサイドバックの方が弱いことが多く、万が一競り合いに負けてもサイドでボールを失うのでカウンターにはつながりづらい。当たり前のことが徹底できている辺りはさすが世界の強豪だなと思います。

日本代表はいつものように中盤からの展開でスルーパスなどを狙っていきたいところでしたが、せっかく相手がショートパス作戦できているのにこちらの守備のバランスが悪くてインターセプトにつながらず。ビルドアップでは雑なプレーが目立ち、ボールを蹴りやすい体勢を作ることができません。前線にボールが収まらないこともあり、引き分けでもいいという状況も後押ししたのか、ポーランド代表の前線のプレスがほとんどないにもかかわらず攻撃の形を作ることができず、前半は互いにスコアレスで試合を折り返します。

後半に入り、怪我の岡崎慎司選手に代わり大迫勇也選手がピッチに。ちょっと得点も狙っておきたい日本代表はサイドバックも少し上がり気味になるのですが、後ろの方で少し困った状況に陥ります。

後半8分、宇佐美貴史選手のシュートは仕掛けが遅くポーランド代表DFがブロック。ボールを拾ったポーランド代表は楔のパスを入れる。対応に行く槙野智章選手でしたが、あっさり裏を取られ、ポーランド代表のカウンター発動。幸いゴールキーパー川島永嗣選手が前に出て難を逃れるのですが、今シーズンアジアチャンピオンズリーグ含め、裏を取られてスピードで負けることの多かった槙野選手にとってありがたくない展開。以後槙野選手のプレーに迷いが生じ、サイドバックが高い位置を取り始めたこともあって、日本代表のボランチとセンターバックの間にスペースが生まれ始めます。

後半14分、ポーランド代表はショートパスの展開で左サイドへ。山口蛍選手がマークを外して下がってしまい、慌ててプレッシャーをかけるもファールの判定。まだフリーキックからしか今大会で得点していないポーランド代表でしたが、ここもフリーキックからベドナレク選手が右足で合わせてゴール。ポーランド代表が先制します。日本代表0-1ポーランド代表

得点の欲しい日本代表は宇佐美選手に代えて乾貴士選手を投入。しかしここでプレーに迷いがある槙野選手がイエローカードを貰ってしまう。どうしても下がってしまいマークを外しクリアもままならない槙野選手。2枚目のイエローカードが出たら反則ポイントでもセネガル代表に抜かれてしまう。しかし、攻めなければグループリーグ突破できない。しかし、攻めれば食らうであろうカウンターを防ぎきれそうにない。八方ふさがりの日本代表。ここで他会場に動きがあります。

なんと、コロンビア代表が先制したのです。日本代表は、得点をあげなくてもグループリーグ突破の目が出てきたのです。もうこれにかけるしかない。0-1で負けることが今できる最善の手なのです。

そこで日本代表は武藤嘉紀選手に代えて長谷部誠選手を投入。とにかく失点を防ぎ、カウンターを防ぎ、イエローカードを防ぎ、グループリーグ突破を目指します。一方のポーランド代表は、この試合が始まる前からグループリーグ敗退が決まってしまっており、リードしているので無理に攻める必要はありません。日本代表が前線から追わなくなったこともあり、ポーランド代表は日本代表以上にのんびりとしたパス回しを始めます。

もともと前線からのプレスが乏しいポーランド代表がさらにのんびりに。プレッシャーから解放された日本代表のキープするボールは回り続け、そのまま試合終了。遅れて他会場ではコロンビア代表がセネガル代表に1-0で勝利し、日本代表のグループリーグ突破が決定しました。

コロンビア代表対セネガル代表の試合は、2戦目を見た感じではコロンビア代表の勝機は大きいと思っていましたが、実際にはセネガル代表ペースで進んでいたため、交代の隙間を突いたコロンビア代表の得点をそのままセネガル代表が返せずに試合が終わるとは想像しづらい展開でした。日本代表が他会場の試合展開まで確認したうえでの0-1敗戦を選択したのかどうかは疑問の残るところですが、日本代表の状況からはその選択肢しかなかったように思います。

大きな博打でしたが、おかげで選手を休ませ、また経験を積ませることができました。決勝トーナメントでも日本代表の健闘を期待するところです。

 

川島 永嗣 7.0 ミスの少ない安定したプレイ。守備機会はそれほど多くなかったが、ピンチにはビッグセーブでチームを救う。

長友 佑都 6.5 素早い攻守の切り替えからピンチを未然に防いだ。失点したくない試合でも効果的なオーバーラップで攻撃にも貢献。槙野選手との息があまりあっていなかったように思う。

酒井 宏樹 7.0 ロングボールがたびたび飛んできたが、空中戦でも負けなかった。体を張って最後までゴールを守った。

槙野 智章 5.0 相手を振り向かせないところまではよかったが、インターセプトまでは到達できず、裏を取られだすとマークを外して引いてしまいピンチを招いてしまった。クリアボールがほとんど相手につながってしまう。ビルドアップでファーストタッチが良くなく、効果的なフィードができなかった。

酒井 高徳 3.5 リブス選手対策で起用されたのかもしれないが、肝心の相手がベンチ。役割が中途半端になったのか、ほとんどのプレーでミスし、攻守の切り替えも遅く、失点シーンでもマークを外し、酒井高徳選手の特徴である運動量や縦への意識などいいところをほとんど見せることができなかった。守備もできるサイドハーフとしての起用は少し難しそう。

吉田 麻也 7.0 判断良くプレーできた。意外とスピードがあるので思い切ったプレーができる。ファールもいつもより少なめだった。セットプレーでは攻撃でも抜群の制空権を見せた。

柴崎 岳 6.5 いつもよりミスが多かったが、すぐに切り替えて対処しカウンターを許さなかった。勘がいいのか守備での予測も驚異的。

宇佐美 貴史 5.0 ボールタッチは非凡なものを見せるものの、判断が遅く仕掛けに時間がかかり効果的なプレーができなかった。判断の悪さは守備面でも。もっと相手に寄せられるといいと思う。

山口 蛍 4.5 守備の時視野があまり広くないので後ろの状況が把握できず縦パスを通してしまう。うっかりボールに寄ってしまい裏を取られる悪癖も露呈。空中戦ではほとんど勝てなかった。なんでプレイスキックでグリク選手につけさせたのだろう。他にいなかったのかな。挙句の果てにファールで失点にも絡んでしまう。ビルドアップでは雑なプレーで味方を慌てさせる一幕も。

岡崎 慎司 5.5 あまりボールが収まらなかったが、チャンスでゴール前にいる嗅覚はさすが。さぼる時間も長いが頑張る時間は本当によく頑張って走り回る。

武藤 嘉紀 4.5 ボールが全く収まらない。判断が悪くチャンスをふいにしてしまう。乾選手が入って守備が安定したが、せっかく思い通りにボールを追い込んでも武藤選手がさぼっていることでチャンスがピンチになってしまった。

大迫 勇也 6.5 本当にボールがよく収まる。攻守の切り替えも早いのでディフェンスも助かる。いつもと違うメンバー構成でも抜きんでた才能と意識の高さを見せつける。

乾 貴士 6.0 技術にも戦術眼にも優れた才能を発揮。今日はボールがなかなか出てこないのでやりにくかったと思う。中に入ってボールを取られると危険なので、中と外でプレーを少し変える工夫が欲しかった。

長谷部 誠 6.0 ポーランド代表がまだプレッシャーをかけてきていた時は危なっかしいプレーが見受けられたが、統率力でチームをまとめ試合を閉めた。センターバックのできるボランチは日本代表では貴重な存在。

西野 朗 監督 7.0 先発メンバーの選考については議論を呼ぶところであろうが、結果的には一つしか見えなかった選択肢にもかかわらず、その可能性を大きくできたと思う。ただ一つ、大島僚太選手はどうだったのだろうか。起用できない特別な理由があったのだろうか。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対セネガル代表 エカテリンブルクアリーナ

運にも恵まれコロンビア代表との初戦を勝利で飾った日本代表。2戦目のセネガル代表戦は2度リードを許す苦しい展開も2度とも追いつくという底力を見せ、2-2の引き分けでグループリーグ突破に一歩近づきました。2戦目のアフリカ勢相手に0-2敗戦のアトランタからの成長です!

 

それにしても、テレビ中継の仕方というか、選手がアップされる場面が多すぎて試合が見づらい。普段からディフェンスラインのビルドアップ時に前線の状況がわからなくてストレスだけど、今日は特にひどい。よくわからないうちにボールがゴール前に移動している。もうちょっと俯瞰して試合を映してはくれないものだろうか。日本のサッカー文化の醸成のためにひとつお願いしたいものです。

さて、試合はセネガル代表の選手たちが昌子源選手に襲い掛かる形で始まります。いやー、こんなに露骨なことされるとは。勝負の世界とは恐ろしいものです。

もともと体格差もあってボールが入ったら何されるかわからない相手。日本代表はボールをディフェンスラインまで運ばれないようにラインを高く設定して前線からプレッシャーをかけていきます。しかし、セネガル代表もアンカーのA.エンディアイエ選手が最終ラインまで落ちてボールを展開。圧をかけきれない日本代表はボールの出どころもボールの行き先も十分に抑えることができず、次第に劣勢となります。さらに押し込まれて中盤が最終ラインまで下がってしまい、セネガル代表の連続攻撃を許す形に。

すると前半11分、セネガル代表の右サイドからのセンタリングに原口元気選手がクリアミス。セネガル代表左サイドバックのサバリ選手にボールが渡るとクロス性のシュート。ゴールキーパー川島永嗣選手が弾いたボールはゴール前に詰めていたマネ選手に当たってゴール。日本代表不運な形で先制を許します。日本代表0-1セネガル代表

その後も暫く3枚で攻めてくるセネガル代表に対し、7~8枚で守る日本代表。クリアしてもその先に味方がいないので、ボールはセネガル代表に拾われてまた攻められる。辛く耐え忍ぶ時間が続きます。

すると、どうやらたくさん経験値を積んだ昌子選手のレベルが試合中に上がったようで、セネガル代表のニアン選手を抑えだします。安心した日本代表は中盤が下がり過ぎず厚みのある守備体制を構築。セネガル代表も疲れてきたのか前線へのプレスが減りだします。ようやく試合になってきました。

ここから日本代表は攻めに入りたいところでしたが、ワールドカップともなるとサッカー弱小国と目されるであろう日本代表でも容赦なくスカウティングされるようで、日本代表のダブルボランチ+トップ下に対し、セネガル代表はアンカーシステムの逆三角形でマンツーマンディフェンス。日本代表の誇る中盤は抜群のパスセンスを誇る柴崎岳選手、技術と経験を兼ね備えた香川真司選手、コロンビア代表戦よりも格段に前への意識が感じられた長谷部誠選手ですが、さすがにフィジカルに優れた相手にマンツーマンで付かれると辛いものがあります。そこで日本代表は、主に長谷部選手が最終ラインまで下がってプレッシャーの少ないところからパスを出す作戦に移行します。

セネガル代表はポーランド代表戦でも442ゾーンを見せていたようにおそらく普段はブロックを敷いてゾーンディフェンスを基本とするのでしょう。中盤はマンツーマンで日本代表をケアしているものの、ディフェンスラインは4枚のゾーンディフェンス。日本代表の中盤がポジションの形を変更するとどうしてもセネガル代表のアンカー脇にスペースが出来上がる。その空いたスペースを乾貴士選手や大迫勇也選手が使い、彼らが動いてできた新しい空きスペースを今度は原口選手や長友佑都選手が活用。セネガル代表は日本代表の中盤をマンツーマンでつぶすと同時に日本代表のキープレイヤーの一人である乾選手をワゲ選手とB.エンディアイエ選手で挟んでつぶし、大迫選手をクリバリ選手とサネ選手でつぶす作戦だったと思うのですが、セネガル代表の守備の弱点を巧妙についた戦術と、日本代表の連動したポジションチェンジについていくことができず、試合は徐々に日本代表が盛り返し始めます。

そして前半34分、前を向いた柴崎選手から大きく左サイドの裏へフィード。乾選手が(おそらく)空けたスペースに長友選手が走り込む。見事なボールコントロールからボールは乾選手へ。得意の角度から放ったシュートはゴール右隅に収まって同点!日本代表1-1セネガル代表

その後は攻撃面だけでなく、守備面においても柴崎選手が右サイドに流れたことは好影響を及ぼしていて、セネガル代表のストロングポイントであるマネ選手とサバリ選手の二人を酒井宏樹選手と原口選手と柴崎選手の三人で対応することができ、セネガル代表にカウンターを許さず、オフサイドのルール改正で何年も見ていなかったフリーキックからのオフサイドトラップも飛び出し、同点のまま前半を終了します。

後半に入り中盤での無理な構成にこだわることをやめた日本代表。長谷部選手はアンカーに下がり、柴崎選手は右サイドでサバリ選手対策アンドカウンター対処、香川選手は左サイドに低いポジション。セネガル代表の最終ラインはマークの受け渡しがいまいちで裏が空きやすいので、前を向けるようになった日本代表の誇る中盤からはシンプルに大きな展開で決定的なパスが多く供給されるようになります。

そこでセネガル代表は中盤をダブルボランチに変更。日本代表の中盤の形に合わせマークの明確化を図り日本代表のパスの供給を滞らせ、フィジカルに勝るセネガル代表が次第にペースを掴んでいく、はずでした。

しかしここで、ありえないことが起こります。なんと、香川選手が下がることで孤立している大迫選手が屈強なセネガル代表センターバック相手に競り勝つのです。これは予想外でした。こんなことってあるんですね。

おかげで攻められる回数が減り、中盤の頑張りもあってカウンターを受けることは少なく、シュートチャンスまで得ることができた日本代表。早いとこ勝ち越し点が欲しかったところですが、残念ながら得点には至らず。すると中盤のエネルギーが切れてきたこともあって、試合の流れ的にセネガル代表の順番になってしまいます。

後半26分、抑え続けていた日本代表の右サイドが突破されてしまい、低いセンタリング。ボールはゴール前を横切って走り込んだセネガル代表ワゲ選手がシュート。懸命に戻る乾選手も届かず、セネガル代表に勝ち越しを許してしまいます。日本代表1-2セネガル代表

日本代表のペースの時に得点があげられなかったこと、直前に乾選手が自らのミスとはいえイエローカードを受けてしまったこと、柴崎選手が突破されてしまったこと、センタリングをあげさせてしまったこと、ゴール前でクリアできなかったこと、フリーでシュートを打たせてしまったこと、どれか一つでも防げていたら、というところですが、これがサッカーと言うべきか。

リードを許した日本代表は、香川選手に代えて本田圭佑選手、原口選手に代えて岡崎慎司選手を投入。システムを442に変更して得点を狙います。

本田選手はすぐに後ろにボールを返すし攻守の切り替えも遅く、岡崎選手はボールが収まりきらず、セネガル代表のカウンターを発動させかねないなあと思っていたのですが、2トップになったことで前線へのボールの供給もしやすくなった様子。さすがに岡崎選手は普段プレミアリーグでやっているだけあって肉弾戦には慣れているようでした。

後半33分、時間的にもスカスカになってきた中盤をすんなりすり抜けた昌子選手の縦パスは岡崎選手に入って大迫選手に。センタリングに岡崎選手が飛び込むと、なぜかセネガル代表のゴールキーパーがボールに触れずに岡崎選手に激突。流れたボールを乾選手が折り返すとセネガル代表のゴールキーパーはもう一回岡崎選手に激突。岡崎選手はキーパーに何か面白いことでも言ったのかなあ。そのまま転がっていくボールをゴール前フリーで待ち構えていた本田選手がシュート。日本代表再び同点に追いつきます。日本代表2-2セネガル代表

その後はミスが増えた日本代表でしたが、柴崎選手の読みの良さでカウンターを封じ、大迫選手がゴール前で体を張ってシュートを防ぎ、同点のまま試合終了。日本代表2-2セネガル代表

決定機の多さから勝てた試合ともいえるし、全体的には押されていたともいえる試合。押し込まれたときにディフェンスラインが1列になってしまうのは守り切るのにはいいかもしれないけど連続攻撃を許してしまうので、少なくともペナルティアークの辺りくらいはちゃんと抑えておいた方がいいと思います。

あと感じたのは、守備のできるサイドハーフが今の日本代表には意外と見当たらないなあということ。もちろん主には攻撃が役割になるのではありますが。原口選手も頑張れるいい選手なのですが、守備ができるとなると少し違うかなと。柴崎選手をサイドに、というのも一つかと思いますが、それもまた守備というのとは少し違うような。昔はサイドでしか生きられないワイドアタッカー的な選手がいたものですが、ポリバレントが進み過ぎたのかどうも絶滅危惧種となってしまったのかもしれません。中島翔哉選手に気を取られていましたが、もう少し選択肢を広げるやり方もあったのではないかと思いました。

 

川島 永嗣 6.0 1失点目は結果的に良くない判断ではあったものの、目の前にマネ選手がいたことを考えるとまあしょうがないところもある。その後しっかり立て直して勝ち点獲得に貢献。

昌子 源 6.0 パスが回ってくるとセネガル代表選手が一斉に群がる恐ろしい環境。ちょっと心配だったけど取られても取り返す強さがあった。思ったより制空権も取れていて、勝ち点に大きく貢献した。

長友 佑都 6.5 やたら足の速い選手を相手にしていたが、堅実に対応していた。運動量豊富で攻撃でも大きく貢献。

酒井 宏樹 6.5 速くてうまい選手を二人も相手にして大変そうだったが負けていなかった。空中戦でも期待できるので困ったときは助かる。

吉田 麻也 6.5 相変わらずファールは多いが、迫力満点。怖がらずにディフェンスラインを高く保てたのはよかった。

柴崎 岳 7.5 魅力的なパスでチャンスを演出。守備面でもポイントへのパスコースを遮断することで幾度となくカウンターを未然に防いだ。セネガル代表のプレイスキックでトリックプレーを読み切っていたので、ちょっと未来が見えるタイプなんだと思う。

原口 元気 5.5 豊富な運動量で右サイドを駆け巡るが、判断があまりよくなく球離れが遅かったり守備をやりきれなかったりするところがある。本田選手との相性があまりよくなさそう。

香川 真司 6.5 持ち味であるシンプルなプレーでリズムを作る。マンツーマンでついてきたA.エンディアイエ選手を交代に追いやった。味方のためにスペースを作る動きも欠かさずチームプレーを徹底。

乾 貴士 6.5 得点が期待される存在だが、守備面でも絶妙なポジショニングでパスを出させない守り方ができる。やや疲労があるのかミスが多かった。次が心配。

長谷部 誠 7.0 ボランチとして、最終ラインとして、チームを引き締めた。この試合のように前方にボールを運べる時と後ろにしか蹴らない時の差が激しい。意識を高めてチャンスにも多く絡んでほしい。

大迫 勇也 7.5 前線で孤立気味だったのに普通にボールが収まる。彼がいなかったら勝ち点はあり得なかった。変態。

本田 圭佑 5.5 得点できるポジショニングはさすが。ボールロストがあるのはしょうがないけど、攻守の切り替えをもっと早くした方がいいと思う。

岡崎 慎司 6.5 今日はいつもよりボールがよく収まった。新喜劇かなと思わせるようなドタバタ同点劇を生み出した主役。相手に強く当たられた方が得意なのかもしれない。

宇佐美 貴史 5.0 戻らない、カバーしない、遅い、ボールを奪われる、とあまりいいところがなかった。いざボールタッチすると非凡なものを感じさせるだけにもったいない。

西野 朗 監督 7.5 システム変更は博打だったと思うけど、見事に勝ち切った印象。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシア大会 日本代表対コロンビア代表 サランスク モルドヴィアアリーナ

1930年にワールドカップが始まって88年が経過する2018FIFAワールドカップロシア大会。2-1でグループリーグ初戦を勝利を飾った日本代表は、史上初めてのアジア勢として南米の代表チームに勝利するという歴史的偉業を達成することになりました。

 

試合は開始早々動きます。前半3分、裏をしっかりカバーしながらセンタリングに対応した昌子源選手のヘディングは香川真司選手へ。ダイレクトで裏に流すと大迫勇也選手が競り勝ってシュートチャンス。抜け出して打ったシュートは残念ながらキーパーにセーブされるもパスアンドゴーで走り込んでいた香川選手がいち早く追いつきそのままダイレクトシュート。キーパー不在のゴールマウスに向かうボールをコロンビア代表のカルロスサンチェス選手が腕でセーブ。反則を認めた審判は、ペナルティキックとレッドカードの提示。コロンビア代表から見直しの訴えがあるも判定変わらず、前半6分、香川選手がペナルティキックを冷静に沈め、日本代表先制!さらに一人多い状態で残り84分を戦えることになりました。日本代表1-0コロンビア代表

一人減ってしまったコロンビア代表はキンテロ選手がボランチに下がって441に修正。対する日本は、ハリルホジッチ監督時代の3トップ気味433ではなく、香川選手が前線大迫選手に近く位置する4411に近いシステムで対応。そして今までと大きく違うのは、ボランチに柴崎岳選手がいること。
これにより、パスセンスに優れる柴崎選手から前線にボールが渡る。大迫選手は近くにいる香川選手と連動してゴールに向かうことができる。両サイドハーフが今までより引き気味になるものの、その分空いたスペースを幅広く大迫選手が基点作りに活用。香川選手が前線にいることも大迫選手がサイドに流れやすくなった理由の一つだと思います。西野朗監督になってからの練習試合含め、今までできていなかったことがかなり修正されてきたようです。
その分今まで3人で守っていた中央を2人で守らなければならなくなる時が出てくるのですが、少しポジションが下がった両サイドからカバーできるのと、グループリーグ3戦の相手チームはそれぞれあまり中央をゴリゴリ来るタイプではないのと、守備の時は大迫選手まで戻って全員で守る徹底ぶりでそれほど問題にならず。今まで先発起用だった槙野智章選手は最近裏を取られ過ぎて逆に前に出ることもできなくなっていましたが、昌子選手と吉田麻也選手は前にも出られるタイプで両サイドハーフが今までより低い分両サイドバックも中央のカバーがしやすく、穴になりかねない中央を逆にボールの取りどころにするほどの充実ぶり。後怖いのはビルドアップにおけるボールロストからショートカウンターというところかな。

と思ったら、ボールロストではないけど、長友佑都選手のクリアがミスで自陣ゴール方向へ。長谷部誠選手が落下地点に入るも、コロンビアの選手に押されて転倒。するとなぜか日本のファール。ちょっと厳しい判定。

コロンビア代表の直接フリーキックはキンテロ選手。ゴールキーパーの川島永嗣選手は壁の選手に「飛ぶなよ、飛ぶなよ、絶対飛ぶなよ」と指示していたみたいなので、素直にジャンプする壁の選手たち。するとボールは壁の下を抜けていく。何とか川島選手の手がゴールライン上でボールに届くも掻き出すまでには至らず、コロンビア代表が同点に追いつく。その前のフリーキックにおいて日本代表の守備のマークが曖昧だったのも川島選手の反応に影響していたかもしれない。日本代表1-1コロンビア代表

もともと格上相手、相手は一人少ないわけだし、同点に追いつかれても慌てることはない。慌てることはないんだけど、慌ててしまう日本代表。ボールの動きが悪くなり、ただただ焦りだす。しかし、直前のスイス戦では縦パスの意識が見られた長谷部選手がいつものように後ろにしか蹴れなくなり、中盤がボールを捌けないので香川選手が下がってきてしまい、中盤は大混雑、前線は連動せず。攻撃の悪いリズムは守備にも響き、原口元気選手は悪い癖でボールによってしまい、外れたマークに裏を突かれてどうなるかと思ったら、なぜか今度はアディショナルタイムがわずか1分で水が入る。助かった。

ハーフタイムで修正した日本代表。人数不足もあって前からのプレッシャーがあまりないコロンビア代表に対し、プレッシャーの少ない最終ラインからのビルドアップを図る。コロンビア代表が柴崎選手をケアするのを逆手にとってマークをずらしていく日本代表。コロンビア代表が中途半端に柴崎選手を気にし過ぎていたのは日本代表を楽にしたように思います。

ディフェンスラインから中盤のビルドアップが安定してきた日本代表は香川選手が高い位置にいられるので大迫選手からの落としがスムーズに繋がる。押し込む日本代表。しかし得点には至らず。増えだすコーナー。しかし、柴崎選手のプレイスキックは正確過ぎて大体同じ位置に飛ぶのでキーパーに読まれだす。相変わらずコロンビア代表のコーナーキックでマークがつききれてないディフェンス。どちらに得点が入ってもおかしくない展開で日本ベンチが動く。後半25分、トップ下の香川選手に代えて本田圭佑選手を投入。これが副産物を生み出す。

後半29分、怒涛の攻撃から得たコーナーキックを蹴るのは柴崎選手ではなく本田選手。この試合で本田選手が初めて蹴ったコーナーキックにコロンビア代表ゴールキーパーが予測を外す。キーパーの守備範囲のはるか手前で落ちたボールに対し大迫選手がディフェンダーにうまく体を当てて競り勝ち、放たれたヘディングシュートはポジショニングを修正できないキーパーを交わしてポストを弾きゴールに吸い込まれる。日本勝ち越し!日本代表2-1コロンビア代表

その後本田選手や長谷部選手の中途半端なプレーからピンチの連続も大迫選手や原口選手が体を張ってブロック。今大会の特徴としてフォワードの選手がゴール前で体を張って守ると勝つ傾向があります。いい感じです。

本田選手も香川選手のようにトップに張ればよかったと思うのですが、引いたりなぜか右サイドに張り出したりして、原口選手が渋滞起こしてバランスの悪い攻撃になる。攻撃でリズムが作れないと守備が悪くなる原口選手。ボールロストしても切り替えの遅い本田選手。この辺りは修正が必要なようです。

交代で入った本田選手や山口蛍選手、前への意識が低い長谷部選手がリズムに乗れないけれど、柴崎選手や乾貴士選手の守備のうまさが際立って互角に持ち込める展開。岡崎慎司選手もあまりボールが収まらずボールが回って来ずでフォワードとしてはいまいちな感じだったけど、前線でプレッシャーに走り回り持ち味をある程度発揮。

やるべきことをやる選手が多かった日本代表はそのまま歴史的な勝利を獲得しました。日本代表2-1コロンビア代表

ハリルホジッチ監督時代のサッカーを継承しつつ、わずか3試合の調整の中で見事に修正してきた日本代表。攻撃は大迫選手頼みだったのがトップ下香川選手を高めに位置することで連動性を担保。攻守に忙しかった両サイドハーフ(フォワード)はより守備からスタートできるポジショニング。中盤の構成をある程度諦めて守備第一、そしてロングキックできる選手を配置していたインサイドに効果的なパスを得意とする柴崎選手を置くことで攻撃のリズムを作り、守備、特に相手のショートカウンターの回数を減らす。中盤の守備はデュエルというよりパスコースのカットをメインに。サイドハーフの位置が下がったことでセンターバックのフォローに回れるサイドバック。見事としか言いようがありません。

今後、チームの選手層を厚くすることを考えるのか、グループリーグの3試合だけを考えてチーム編成していくのかは議論の分かれるところかと思いますが、長谷部選手に前への意識が戻れば他国にとってかなりの脅威となれる日本代表だと思います。状況限定であれば発揮できる能力を存分に持つ選手もいるので、足りない部分を補い、有利な展開に持ち込むことで勝利を目指して戦っていってほしいところです。

 

川島 永嗣 6.5 前方向の守備に不安はあるがビッグセーブを連発。壁の構成含め、プレイスキックに対する守りでマークやポジショニングがずれていることがあり、ここは川島選手のコーチングに期待したい。

昌子 源 7.5 相手の攻撃をシャットアウト。カバー、ラインコントロール、空中戦、ビルドアップと余すことなく能力を証明した。

長友 佑都 7.5 あのクリアミスは痛かったが、あの身長で驚異的な空中戦を見せた。対戦経験があり慣れていたのかクアドラード選手を完封して早期の交代に持ち込めたのもよかった。

酒井 宏樹 7.0 原口選手が不安定な中攻守に貢献。空中戦でも抜群の強さを見せた。攻撃時にゴールに向かう斜めのグラウンダーパスが多かったのは作戦かな。

吉田 麻也 7.0 ややファールが多かったが、積極的な守備は大きな脅威となった。ビルドアップも正確でセットプレーも抜群の空中戦を見せつけ攻撃面でも貢献。

柴崎 岳 7.5 絶妙なポジショニングからの絶妙なパス供給。守備面でも相手のカウンターを許さない見事なポジショニングとインターセプトを見せた。途中で交代してしまったのが残念。

原口 元気 6.5 驚異の運動量。守備の時今までよりも相手に一歩近づけるようになったようで、ファーストディフェンダーとしてもチームに貢献。ややボールを追ってしまいマークを外す癖を修正してほしい。本田選手に遠慮しなくてよい。

香川 真司 6.5 高い位置にいたおかげで大迫選手と連動して多くのチャンスを創出。役割が明確化されたのでシンプルな普段のプレーを見せてくれた。守備面でもパスコースを限定してコロンビア代表を苦しめた。パラグアイ戦で右サイドに入ったら消えてしまったけど、右ハーフでも機能するのであれば日本代表にとって大きな武器になると思う。

乾 貴士 6.0 ややミスが目立ったが、得意のドリブルでコロンビア代表ディフェンスラインを切り裂く。得点が欲しかった。守備での貢献も目立つ。守備で勝つにもデュエルにこだわる必要はないのだ。

長谷部 誠 5.5 パスが前に出ないのでどうしても狙われてしまう。今日はコロンビア代表が一人少なかったのでよかったが、相手フォワードが2人のとき対応できるのか心配だ。守備面ではインターセプトでカウンターをうまく封じていた。

大迫 勇也 6.5 確実なテクニックでフォワードとしての役割を果たす。選手間の距離感がいいので今までよりもやりやすくなったのではないか。日本代表に欠かせない存在。

本田 圭佑 5.0 ポジショニングが中途半端でミスやボールロストが多く、攻守の切り替えも遅いので中盤ではリスクが高すぎて見ていて怖い。体の強さが特徴の一つなのだから、香川選手のように前線で大迫選手の近くにポジショニングし、得点にこだわった方がチームに貢献できると思う。

山口 蛍 5.0 いつものプレーなのでしょうがないのだが、ボールを持った時出しどころを見つけるのに難儀するように見受けられる。技術や判断力は急には上がらないので、ボールを持ったら前線に出すことだけは決め込んでしまって、後はどこに蹴るかだけを悩むようにした方がこれから成長できると思う。蹴るところさえ決まればキックはかなり正確。

岡崎 慎司 5.5 ボールがあまり回って来ず不運な面もあったがどうにもボールが収まらなかった。とにかく追っかけてくれるので、いつかチャンスをつかめると思う。

西野 朗 監督 8.0 悪い部分を修正し、良い部分を増やし、相手に合った戦術を選択した。運にも恵まれ、ラッキーボーイ的な存在は監督自身なのかもしれない。

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2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対サウジアラビア代表 サウジアラビアキングアブドゥラー スポーツシティスタジアム

すでにワールドカップ本戦出場を決めている日本代表の最終予選最終戦は勝たなければ出場を決めることができないサウジアラビア代表とのアウェイ戦。
攻撃陣を大幅に変更してきた日本代表はサウジアラビア代表の勢いを止めることができず、0-1で最終予選初戦以来の敗戦となりました。

日本代表は1トップにケガの大迫勇也選手に代えて岡崎慎司選手を起用。でも、岡崎選手は良い選手なのですが、高さやスピードや技術が特出しているというタイプではないのでいかんせん1トップはちょっと気の毒なんですよね。ボールが収まらないし競り勝てるわけでもないので、裏へ走る一辺倒に陥る日本代表。ただ裏に走っただけではボールが来てもなかなか一人でどうにかできるものじゃないのでみんなで走っていかなければならない。加えて右のフォワードは走り抜けるタイプではない本田圭佑選手。じゃあ誰が代わりに走り抜けるかといえば、それはサイドバックの酒井宏樹選手。左サイドはまだ原口元気選手が走ってくれますが、やっぱりサイドバックは両サイドとも守備に攻撃にと大忙しで運動量が大変なことに。恐らくサウジアラビア代表のサイドバック(特に左)が中途半端なポジショニング取るのでその裏をつく作戦だったと思いますが、選手起用的には暑いサウジアラビアで選ぶ選択肢ではなかったかもしれません。

守備においては4231システムを採用するサウジアラビア代表が中盤で繋ぐスタイルなのに対し、試合開始直後は前線からのプレッシャーでサウジアラビア代表のボランチにボールを触らせず中盤でのリズムを作らせなかった日本代表でしたが、時間が経つにつれて日本代表のサイドのフォワードがサウジアラビア代表のサイドバックをケアするあまり意味のない対応をしてしまいます。別にそういう修正が悪いわけではないのですが、今日の試合では、日本代表は相手の1トップに対して4枚のディフェンスラインで十分対応できているわけです。そこにわざわざさらにディフェンスラインを助けに走るよりも、人数で負けていて自由にボールを回されている中盤をしっかり助けることを優先すべきだったのではないでしょうか。オーストラリア戦では見えるけど使われない弱点を放っておいてうまくいったのですが、今日の試合では見えるけど使われない弱点を先に補って使われている弱点への対応をおろそかにしてしまいました。バランスを崩した日本代表はプレイスキックくらいし攻撃手段がなくなってしまい、運を味方にしなければ勝負にならない試合展開に持ち込んでしまいました。

そうこうしているうちに頼みのプレイスキックでチャンスは作るものの得点はできずに時間が経過してしまい、日本代表はついになるべくして失点してしまいます。

後半18分、暑さや戦術による中盤のスタミナの問題もあり、次第にディフェンスラインを上げられなくなる日本代表。スペースのできた中盤でさらに攻撃を加速させるサウジアラビア代表に対抗しきれず、中央から崩されてサウジアラビア代表が先制。日本代表0-1サウジアラビア代表

どうにもならない日本代表は、岡崎選手に代えて代表初選出の杉本健勇選手を投入するも、ボールが収まらず攻撃は機能しない。

終盤はパワープレーに出るも逆にサウジアラビア代表のカウンターを浴びる展開の中、追加失点は免れたもののそのまま試合は完敗。サウジアラビア代表が強かったとはいえ、今までの日本代表の流れからするとちょっと残念な試合結果でした。

フォワードが競り勝てるわけではない選手起用で1トップ、恐らくだからこその擬似的な3トップをイメージしていると思いますが、サイドのフォワードに守備の役割が多すぎますし、サイドバックに頼るのはスタミナ的に限界があり、特に暑い中ではチームとしてなかなか機能しません。守備面を主に起用されているであろう中盤では攻撃を効果的に組み立てるには至らず、守れない攻められないの構成となってしまいました。いつもより役割を多く担っていたサイドバックもどうしても最後はスタミナ切れ。センターバックはコンビネーションを見せラインを高く保とうとしているようには見受けられましたが、中盤が機能しなければどうしようもないものです。試すには絶好の機会だったと思いますが、ダメだったということしか分からない収穫の少ない試合となりました。

これから世界に出るには当然中盤の守備は重要なので、中盤をコンパクトに厚みを持った戦術が必要になると思います。フォワードについては一人で走り込ませるのは限界がありますので、コンビネーションでスペースを作りながら裏に走り込みたいところです。守備面ではマークの受け渡しに難があるようですので、修正ができないようなら後ろから前に出られるように3バック(5バック)などのシステムに変更してみてもいいかもしれません。今日はまだアジアでの戦いであり、日本代表はワールドカップ本戦への出場権を得たので、今日の試合を以ってどうこうということはありませんが、やはりこれから世界で戦うためにまたそこでの勝利に向けて改めて邁進してもらいたいところです。

 

川島 永嗣 6.5 失点は喫したものの、ビッグセーブもあり、センタリングへの対処では安定したプレーを見せていた。

昌子 源 6.5 ラインを高く保とうとしていたように見受けられたが、チームとしてやり遂げることはできなかった。失点シーンでは通させてはいけないパスを通させてしまったが、それ以外ではフィード面も含め安定したプレーで貢献していた。

長友 佑都 6.0 繰り返すオーバーラップでチームに貢献。守備時に裏のスペースを空けてしまい狙われていた。チームとして誰に裏を任せるかはっきりして前に出るようにしてほしい。

酒井 宏樹 6.5 攻守に貢献。今日のようにセットプレーしか得点機を見出せないときは高さにも期待したい。最後はさすがにスタミナ切れだった様子。

吉田 麻也 6.0 カバーも適切で頼りになるセンターバックだが、やや集中にかけているようなところが見受けられた。

井手口 陽介 6.5 攻守の切り替えが早く、ロングキックも正確。みんながカバーを期待してくるから大変そう。

柴崎 岳 6.0 独特のボールタッチでリズムを作るも味方と合わないことが多かった。正確なプレイスキックはこの試合唯一といっていい日本の武器だった。結果論ではあるが、中盤でマークにつききれなかったことが失点につながってしまった。

山口 蛍 5.0 ミスが多くあまりチームの力になれなかった。キックは正確なのだが蹴るところが見つけられないことが多い。守備については誰がファーストディフェンダーになるのかの判断を間違えることが多く、中盤で相手をフリーにする原因となった。ただ、マークする相手が決まったときは見事なインターセプトを見せる。ヘディングの強さにもよるが、最終ラインで使った方が良いのかもしれない。

本田 圭佑 4.5 たくさんのミスパスで日本代表を多くのピンチに陥れてしまった。厳しい言い方をすると、無能な働き者ほど恐ろしいものはない。もう少し相手に体をぶつけた方が良いと思う。

原口 元気 6.5 いまいちチャンスを作りきれないが守備でも攻撃でもチームのカンフル剤。ただ、サイドバックが余っている状況では相手のサイドをケアするよりも中に絞って中盤を助けるべきだと思う。監督の指示なのだろうか。

岡崎 慎司 5.0 収まらない、競り勝てないで活躍できなかった。守備では貢献していたが、1トップが攻撃で活躍できなければチームの勝利は難しい。ただこれは岡崎選手のせいというよりは岡崎選手にこの役割を担わせるのが間違っていると思う。守備だって計算できるのだから、強いフォワードと組み合わせることはできないものだろうか。

浅野 拓磨 5.5 オーストラリア戦に比べて落ち着いてプレーできているように見えた。自分がボールに絡むときは張り切るが、相変わらずフリーの味方を見つけることができない。

杉本 健勇 5.0 ヴェルディでのプレーも印象深いので期待していたが、残念ながら競り勝てず、ボールも収まらず、あまり良いプレーを見せられなかった。連携の問題もあるが、ボールを迎えに行き過ぎてプレーの幅を狭くしてしまったように思える。ポスト大迫選手として次に期待したい。

久保 裕也 5.0 シュートシーンはあったものの、推進力がなくあまり活躍できなかった。ボールを止めてから考えているように見える。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.5 この試合の位置づけがよくわからない試合だった。勝利を目指したと考えたとき、アウェイだから裏が空くという想定だったのだろうか。テスト的な意味合いもあったのだろうから次に繋げてほしい。

蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対オーストラリア代表 埼玉スタジアム2002

勝てば6大会連続のワールドカップ出場が決まる日本代表。同じく勝利で出場が決まるオーストラリア代表をホームに迎えた大一番は2-0で見事日本代表が勝利。これでJFAも20億円失わずにすみました。よかったよかった。

試合は両チーム中盤でミスが相次ぐやや退屈な展開。日本代表はオーストラリア代表に対し最終ラインまでマンツーマンでプレッシャーをかけボールを奪ってショートカウンターを狙うもロングキックで逃げられる。日本代表がロングキックを制していたので日本代表ペースで進みましたが、ハリルホジッチ監督の狙いとは違った様子。たぶん前でボールが取れると踏んでいたのでしょう。ロングキックはいつ事故が起こるかわかりません。もしくは体力的な事情からもともと始めだけの作戦だったのかもしれませんが、日本代表は試合途中で作戦を変更し、両サイドのフォワードがオーストラリア代表の両ワイドをケアする形になりました。

ここでオーストラリア代表は試合を優位に進めることができるようになります。オーストラリア代表の3バックの両サイドはほとんどプレッシャーを受けることなくボールを捌ける。しかも中盤において、オーストラリア代表は3トップの両サイドが中盤に参加するため中盤に4枚選手を配置しているのに対し、日本代表は基本的にディフェンスラインもあまり前に出ず3枚の中盤だけで対応。どうしても中盤でオーストラリア代表(特に長谷部誠選手の反対側)が1枚フリーになってしまう。両サイドバック+中盤一人の3枚がフリーでボールを繋げるオーストラリア代表はやりたいサッカーをやることができたのです。しかし、これが日本代表の作戦でした。

過去何度となく苦しめられてきたロングボールを蹴られたくない日本代表。オーストラリア代表もまた磨いてきたショートパスをつなぐサッカーがしたくてロングボールなんか蹴りたくない。相思相愛の関係だったはずが、日本代表のいらぬ前線からのプレッシャーにより両チームが望まないロングボール戦術に陥りそうな崩壊寸前の両チームの関係。日本代表が前線のプレッシャーを減らし中盤にも隙を見せたことで、両チームが望むショートパスのオーストラリア代表をオーストラリア代表が望む形で復活させたのです。悪い男たちやで。

さらに日本代表は、オーストラリア代表の最終ラインや中盤に選手を置かない分日本代表の最終ラインに多くの人数を配置する事になります。これでますますオーストラリア代表はロングボールを蹴りづらくなり、自分たちが望むショートパスサッカーを自らが選択していたかのように錯覚しながら知らず知らずのうちにショートパスサッカーにさらに引きずり込まれていったのです。ひどい男たちだ。

そういうわけで、試合はオーストラリア代表のペースに見えた日本代表の想定どおりの展開。あとは日本代表がどうやって攻めるかという点ですが、これが難しかった。

ワントップに入る大迫勇也選手にボールは収まるものの守備に重きを置く日本代表は飛び出していく選手が乾貴士選手程度しかおらず、大迫選手は孤軍奮闘状態。オーストラリア代表はショートパス作戦のほか、日本代表の中盤でボールを奪ってショートカウンター作戦も兼ね備えていた(ポゼッションチームは必然的にそうなる)ため、プレッシャーを受ける日本代表中盤は守備的な選手が多かったこともありうまくボールが繋げない。日本代表もオーストラリア代表がショートパスをつないでいるときに中盤でインターセプトしてショートカウンターに移行したいところでしたが、作戦上人数不足もありうまくいかない。ただ、一つだけ、オーストラリア代表のシステムには明らかな弱点があったため、日本代表はうまく得点を上げることができました。

現代サッカーでは通常343ダブルボランチシステム(いまどきアヤックスシステムはアヤックスすら使わないらしい)を採用するとき、守備の際は両サイドのフォワードが下がり541の形でスペースを埋めるのですが、オーストラリア代表のフォワードは守備でもあまり下がらず、サイドの守備はワイドの選手が担当し、その後ろはセンターバックがずれてカバー。ディフェンスラインにカバーに入る他の選手も見当たらず、最終ラインにおいて広い広いグラウンドの横幅を3枚だけで埋めようとするのですからそりゃ無理があります。日本代表は恐らく試合前からの約束事であるサイドからの攻撃+ゴール前でファーに離れていく動きを繰り返し得点のチャンスを伺い続け、見事先制点に結び付けます。

前半41分、左サイド長友佑都選手が一旦切り込んでからファーサイドへのセンタリングに対しタイミングよくマークを外してフリーで走りこんだ浅野拓磨選手がボレーでゴールに流し込みます。日本代表1-0オーストラリア代表

後半に入っても、ディフェンスラインから中盤をメインにサッカーをしようとするオーストラリア代表に対し中盤までは自由にやらせて最終ラインに選手を配置して勝負する日本代表。オーストラリア代表はサイドチェンジや縦パスやスルーパスなどゴールに向かうボールの動きがいずれもイマイチなプレーが続き、狙い通りのサッカーなんだけどボールがゴールに近づかないから狙い通りの結果が出ない状態で時間だけが過ぎていく。

サッカーはミスのスポーツなのでどこかでミスが起こるものです。後半37分、原口元気選手がプレッシャーをかけてオーストラリア代表のミスを誘発。パスを受けて左サイドから切り込んだ井手口陽介選手のロングシュートは見事にゴールに突き刺さり日本代表は待望の追加点を上げます。日本代表2-0オーストラリア代表

自分たちのサッカーが否定されるような試合展開にメンタル面のダメージも計り知れないオーストラリア代表。日本代表は勢いに乗ってオーストラリア代表をシャットアウトし試合終了。いよいよ来年のロシアワールドカップへの出場権を手にすることができたのでした。

サッカーとしては弱点がたくさんあった日本代表ですが、そこを有効活用されないと見込んだ賭けに勝ったため危なげなく勝利を収めました。しかし、ワールドカップ本戦ではこのサッカーは通用しないと思うべきであり、得点パターン(というか攻撃パターン)の貧弱さもこれから改善が必要なのは言うまでもありません。しかし、今日の試合において日本代表の状態とオーストラリア代表の状態を見比べた中では結果を出すための見事な戦略であったといえるものでしょう。

この結果を以て日本代表の未来が見通せるというようなものではありませんでしたが、今できることを確実に全うしたことが最良の結果につながったと思います。この調子でぜひ更なる高みへとつなげていってほしいものです。

 

川島 永嗣 5.5 あまり安定しているようには見受けられなかったが守備機会の少なさもありしっかりシャットアウトで試合を閉める。

昌子 源 6.0 クラブでのプレーのように前に出なかったのは監督の指示か。空中戦にも強く役割を確実にこなす。

長友 佑都 6.5 豊富な運動量は健在。今日の戦術であれだけ攻撃に関われるのはさすが。

酒井 宏樹 6.5 高さも武器に攻守に貢献。外も中もよく守った。後半26分のクリアは日本代表に勝利を呼び込んだ。でもなんだかどんどんセンタリングが下手になっていっているような…

吉田 麻也 6.5 いいカバーリングをしていたがボールを奪った後なんだかドタバタしていた。空中戦でしっかり存在感をアピール。

井手口 陽介 7.5 運動量が桁外れ。小さいミスはあったが終盤までロングキックの精度を維持してチームに大きく貢献。クラブでは蹴るところに迷っているようなときがあるが、代表では思い切ってプレーできているようだ。

山口 蛍 6.0 目の前の相手に対する守備はさすがの一言。足元を狙われるようになって無理しなかったのもよかった。

長谷部 誠 6.5 攻撃ではかなり狙われていたが、例えボールを奪われたとしてもしっかり取り戻す責任感がチームを救った。守備の時オーストラリアのフォワードについていたサイドバックとマークの受け渡しにどうしても時間がかかるためスペースを使われそうだったが、そんな無茶ぶりにも何とか応えてみせた日本代表の皇帝。

乾 貴士 6.5 守備でもスペースをつぶし、攻撃においてもワントップの大迫選手のフォローでしっかり貢献。自慢のテクニックはあまり披露できなかったかもしれないが、チームへの貢献はいつも以上。

大迫 勇也 7.0 孤軍奮闘の中しっかりと役割を果たす。前半は追い越していく選手が少なくミスパスも目立ったが体を張って最後までよく頑張った。日本代表の攻撃は全て大迫選手を経由していく。得点という形ではあまり表れないかもしれないけど日本代表の得点は全て大迫選手のおかげと言ってもいいくらいに貢献している。

浅野 拓磨 5.5 得点は決めたがそれ以外ではチームの足を引っ張る場面が多かった。足が速いせいか普段のポジションの関係か、守備で先にスペースを埋めておくイメージがあまりない様子。攻撃においては自分がボールをもらう動きは多いが、相手ディフェンスを引っ張って味方のためにスペースを空ける動きがほとんどなく、周りがスペースを空けてフリーになっても気が付かずにチャンスをつぶしてしまっていることも多い。

原口 元気 6.0 守備から入るいつも計算できる選手。なぜか海外に行ってから技術的にどうかというようなプレーもみられるのだが、それ以上にサッカー選手として成長しているように思える。

岡崎 慎司 6.0 試合終了間際に投入された意味をちゃんと理解し相手を追い掛け回す。日本代表の戦術が大迫選手ワントップで構成されているため本人のプレーをすると先発起用は厳しいと思われるが、良い選手なので何とか2トップかサイドでの起用を検討してもらいたい。

久保 裕也 5.5 出場時間が短くほとんど試合に関わらずに試合終了。交代出場することでチームに貢献しているんだからこちらもしっかり採点します。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 7.0 オーストラリア代表の基本戦術であるビルドアップに対しあえて穴だらけの対策で挑み、結果的にそこを突かれることなくうまくボールの動きを誘導して勝利を掴み取った。見事賭けに勝った形だが、本人はドキドキものだったのではないか。目に見える(試合に影響しない)弱点に動じることなくサッカーの本質を見極め勝利という結果に拘る姿勢は日本代表の監督として尊敬に値するものだった。