JFA公認C級コーチリフレッシュ研修会 2017明治安田生命J1リーグ第26節 FC東京対ベガルタ仙台 味の素スタジアム

Pocket
LINEで送る

日本サッカー協会(JFA)公認指導者ライセンスは取得後リフレッシュ研修を一定程度受講しなければ資格が失効してしまいます(C級以上)。日頃仕事があり、休みの日はコーチ(監督)をしている立場としてはリフレッシュポイントを稼ぐのが難しかったのですが、今回たまたま近く(味の素スタジアム)でJリーグの試合を見ながらポイントを稼ぐ機会と遭遇し、日程的にも余裕があったので受講してみました。

台風が近づき小雨の降る中、集合場所は雨に濡れないユーロスポーツ前。特別なADカードを受け取り、勝手知ったる関係者入口まで屋根の下を移動。いつもに比べて人が多いなあ、さすがJ1だ、などと感心しながらインタビュールームで1時間の講義。

まず初めに連絡事項。本日のスケジュールに加えて、リフレッシュポイント取得に当たって実技や指導実践のあるものも利用してください、とのこと。受けてみたいけど、いつやってるのかなあ。

そして注意事項が二つ。

1、講義パワーポイントスライドの写真撮影及びSNS等への投稿の禁止。
今日の試合の簡単な戦術解説として、どういうスカウティングがあるとかどの選手が期待(注意)とかどういう戦術を企んでいそうかとか、などあったからだと思うけど、FC東京は公式戦5連敗中でこの2試合は4、5点失点して監督交代した直後だったし、関係者はナイーブにならざるを得ずちょっと気の毒だった。

2、観戦中のアルコール摂取、アウェイチームのグッズ露出の禁止。
観客席で他のお客さんに混ざって観るので売り子さんたちが普通にビールを売りに来る。最大の難関でした。こっそり普段使ってるヴェルディグッズをそのまま身に着けていたけど、外から見てわかるものじゃないからセーフ。

講義が始まって最初の議題は、「連敗中のチームの指導者として、どのような声掛けをするか」というタイムリーな話題。そういえば負けが込むチームにいたことないなあ。鶴B以外。選手が混乱しないように役割をなるべく減らしてシンプルに一つ一つできることを丁寧にやることかなあ、などと書いておく。

よく「指導は促すだけで指示してはいけない」みたいなことを言う人がいるんだけど、指導にはコーチングとティーチングがあって、コーチングは選手自身の発見を導く(ガイデッドディスカバリー)視点が必要だけど、そのためにはティーチングで判断する材料を提供しないとただの迷子になりかねない。サッカーは必ずしもすべての試合で勝てるわけじゃないんだけど、やっぱり勝てないと選手は迷うし自信も失う。結果を出すことが一番だけど、試合結果だけではないところにおいて監督が自らのサッカーの判断基準を明確にすることで選手の迷いを払しょくし、チームが勝利に近づくんじゃないかなあと思う。

その後は戦術論がいくつかあって、禁止事項だから書けないけど、コーチングライセンス取得時の講義では戦術論は個人戦術程度しかカリキュラムにないので、試合を通した戦術論はもっとやってほしいと思う。サッカーの目的は勝利であるべきで、勝利を目指すから練習があるべきなのだから、試合での勝ち方を指導者はもっと知る必要があるはず。これを言い出すと今度は勝利至上主義の問題が出てくるから程度が難しいのだけれど。

講義が終わるとスタジアムに移動して試合観戦。ありがたいことに雨に濡れない席を用意してもらう。早めに席に着いたのでウォーミングアップから見学。最近は体幹の血流を促すのが主流らしい。個人的にはじっくりゆっくり引き伸ばしていきたいタイプなんだけど、もう時代遅れかな。アルコール禁止なのでトイレに行くこともなく集中して試合に臨む。

試合は仙台が技術のあるボランチを中心にテンポよくボールを回して試合を優位に進める。FC東京は左右にプレスを仕掛けるもうまくはまらずボールは逆サイド空いているところを付かれてしまう。

FC東京ははじめ高萩洋次郎選手アンカーの橋本拳人選手、東慶悟選手インサイドハーフなのかなと思ってたけど、ダブルボランチの仙台に対して数的優位になるにもかかわらず前(裏)にパスが出せないので攻撃時に高萩選手が最終ラインまで落ちたり橋本選手とのダブルボランチにして大久保嘉人選手を中盤に下げたり工夫してたっぽい。でも、東選手にボールが入ったとき仙台の3バックの一角が前に出て最終ラインにスペースができて大久保選手あたりが裏に走り込むそぶりは見せてたんだけど肝心の東選手が裏を意識できていなくて、ただのボールポゼッションに終始してしまい、1トップっぽくなってた永井謙佑選手はあまり裏に走る気もなさそうで、攻撃はほぼほぼ機能していない感じ。守備ではテンポのいい仙台ボランチの球回しについていけず、サイドバックは仙台3トップにくっついてスペースを空けてしまい仙台サイドバックが上がり放題。ボールの出どころも行く先も抑えられずどうなるのかと思ってたけど、仙台はボールを回せるタイプの選手がある程度限られている感じで、最後のところまでつながらずどうにも得点にはつながりづらいサッカー。それでも前線が攻め残りすればよかったのかもしれないけど、妙に丁寧に下がって守備するもんだからカウンターも攻撃の形になりづらい。ちょっと膠着状態で後半へ続く。

後半に入ってFC東京は、とりあえず裏にパス出して永井選手がスペースに走り込むかボールに競ってこぼれ球を拾う作戦に変更。縦パスに競ることさえできれば中央にボールがこぼれるので、選手が4人集まれるFC東京は断然有利な展開。その分仙台のサイド攻撃は怖いけど、中央を経由しなければボールが出てこない仙台に対しては有効な作戦だったと思う。サッカーは選手の数は11対11で同数なので、どこかを諦めればどこかを有利にすることができるのです。

そういうわけで外にも人はいるけど中からガンガン攻めるFC東京がペースを握って仙台の決定力不足にも助けられながらコーナーからの得点で1-0の完封勝利。

相手に合わせて中盤の配置やボールの動かし方を柔軟に変化させることができたFC東京と同じやり方に終始してしまった仙台の差は大きかったと思う。仙台はあのサッカーやりたいならもう少しそういう選手を多く配置することはできないのかなあ。

ちなみに、FC東京のゴールシーンでついうっかり立ち上がってガッツポーズしてたのは内緒です。

久々のJ1観戦で楽しんで帰ることができたけど、リフレッシュ研修としては観戦後に試合のポイントをおさらい(共有化)するのもありかなと思う。ただ、これもやっぱり勝利至上主義の問題が関わってくるので、協会というより個人レベルの勉強会のような形でやる方がいいかもしれない。試合中の解説でもいいんだけどそれだと結構せわしないから、映像をどうにかしてJクラブでそういう試みやってくれないかな。

Pocket
LINEで送る