蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年8月9日(日) EAFF東アジアカップ2015決勝大会 日本代表対中国代表 中国武漢スポーツセンター

1敗1分で迎えた今大会最終戦。勝利で締めくくりたいところでしたが、1-1の引き分けに終わりました。

3試合目にして始めて守備のときフォワードが連動して相手にプレッシャーをかけるようになった日本代表。しかし相変わらずパスミスの多い日本代表はせっかく奪ったボールも中国代表に高い位置で渡してしまい波状攻撃を受け押し込まれて前半10分、あっさり先制を許してしまう。第1戦はボランチが下がらなくて失点。第2戦はボランチが1枚ディフェンスラインに回って失点。第3戦はボランチがディフェンスラインに吸収されてしまい失点。修正しているというかなんと言うか。
日本代表は強引に縦に進んでチャンスを作り出すいつもの作戦。やってるうちにだんだんと中国代表のプレッシャーなんてほとんど無きに等しいことに気が付き始める日本代表。落ち着いたらミスパスが驚くほど減少。ようやくリズムを作り出す。

ここで問題が発生。さて、どこから攻めようか。

中国代表はサイドのハーフェイラインあたりとトップの頭を拠点に攻めてくる。
日本代表はセンターサークルあたりを拠点に。しかし、ここは相手もたくさんいるので拠点にしづらい。
結局、センターバックがドリブルで相手を交わしてからパスを出せばフリーで拠点が作れる、という明日につながらない作戦。今日機能したからいいのかな。
ということで拠点作りに成功した日本代表はパスが回る回る。前後前後にパスが通り、ゴール前までボールが運べるように。

前半41分、槙野智章選手がドリブルで相手陣内に進入。フリーで出したスルーパスはオーバーラップした米倉恒貴選手へ。ダイレクトのセンタリングに走りこんだ武藤雄樹選手がゴール前合わせて同点!

今日トップに入った川又堅碁選手はフリーなのに受けたボールをディフェンスラインまで戻してしまう。ここで前を向いたり裏に走りこんだりすればもっとチャンスができるんじゃないか?というわけで川又選手に代えて興梠慎三選手を投入。ところが、雨が強くなったせいかディフェンスがドリブルしないで横パスをつなぐようになり、縦パスが入らなくなってしまう。これでは攻撃のリズムができない。

その後日本代表は出足の良さで中国代表を圧倒しゴール近くまでボールを運ぶもののゴールを割ることはできず、同点のまま試合終了。

槙野選手は対面ではそこそこの強さを発揮するものの相変わらず裏のスペースをカバーできず相手に走り込みを許してしまう。相手が全く見えていないのはちと困りものです。
森重真人選手はたくましくなりました。ブラジルワールドカップ前はファールされたらすごすごと引き下がっていたのに。経験が大きく成長させてくれているのだと思います。

ハリルホジッチ監督は、この大会決まった采配を繰り返していました。結果が出なかったことがはたして今後どのような変化をもたらすのでしょうか。

日本代表は守備のルールは少しずつできてきたように感じますが、攻撃についてはいまひとつ。
トップが下がってできたスペースをどう使うのか。トップにどう当てるのか。どこに基点を作るのか。どうやってどこからボールを相手ゴールに運ぶのか。
実力で中国代表を圧倒していたにもかかわらず同点に終わったのは、日本代表の展開力のなさと、両チームの戦術に対する徹底度に大きな差があったことが原因です。

少なくとも、サイドバックの役割をどうするのか、どうやってサイドチェンジを図るのか、どのスペースを使って(作って)攻めるのか、このあたりはある程度徹底させていかなくてはなりません。

シンガポール戦の前は得点が入ってしまっていたので欠点が目立ちませんでしたが、今後も得点できないことがないとは言い切れません。
監督の戦術が早く徹底されますように。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年8月5日(水) EAFF東アジアカップ2015決勝大会 日本代表対韓国代表 中国武漢スポーツセンター

初戦北朝鮮にまさかの逆転負けを喫した日本代表。韓国代表に勝って悪い流れを断ち切りたいところでしたが、1-1の引き分けに終わりました。

試合は完全に韓国代表ペース。日本代表もボランチの位置関係が北朝鮮代表戦から修正され、真横ではなくつるべの動きでスペースを埋めるが、ディフェンスラインが深すぎる。ディフェンスラインを上げようにも、フォワードがボールの出し手にいいプレッシャーをかけてくれない。パスコースを消さずにふらふら上がってしまうので、韓国代表に自由なスペースを与えボールをまわされてしまい韓国代表に効果的な攻撃を許してしまう。
当然日本代表ゴール前でのシーンが増え、不運なハンドからPKで韓国代表に先制されてしまう。
日本代表はフリーキックから反撃。こぼれ球を前線に蹴りこむと運良くフリー。落としたボールに山口蛍選手がミドルシュートを決めて日本代表が同点に追いつく。
なかなかボランチから有効な展開が作れない日本代表。次の展開を読めず予測して動くことのできない選手がいる中、柴崎岳選手や倉田秋選手が走り回りボールに絡むことでテンポを作り出していくが、前線の選手が裏を狙わずディフェンスの前だけでボールを受け取るため、得点しやすい形でシュートを打つことができない。それでもボールキープからディフェンスラインを押し上げるようになり、何とか互角の展開へ。韓国代表もチャンスは作るものの日本代表の体を張った守りの前に追加点を奪うことはできず。
あまりにもミスが多くリズムを作り出すことができない日本代表。コンディションのせいなのか、それとも…

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年8月2日(日) EAFF東アジアカップ2015決勝大会 日本代表対北朝鮮代表 中国武漢スポーツセンター

国内組のみの若手主体で挑んだ日本代表でしたが、北朝鮮相手に1-2とまさかの敗戦。

開始早々先制点を挙げた日本代表でしたが、狭く小さく攻める日本の攻撃は次第に北朝鮮に読まれ、暑さの影響もあるのか選手たちの実力不足か日本代表のパスはミスだらけ。山口蛍選手だけが唯一ボールを散らしはするものの、そのほかの選手は狭いプレーに終始し、パスを出せない繋げない攻撃の遅い日本代表は守備への切り替えも遅く次第に守備の時間が増えてくる。
北朝鮮はサイドからアーリークロスを放り込んでくる単純な攻撃。日本代表はサイドバックが中に絞って対応するも、ボランチの柔軟性が乏しくディフェンスラインの前のスペースが埋められない。ピンチが多くなるが北朝鮮代表の個人技がそれほどでもないため失点までには至らない。
守備に時間を取られる日本代表は集中力をなくしてきたのかコーナーキックの守備でマークを確認しきれないなどピンチが深刻化。
守備に追われた宇佐美貴史選手が前半途中で体力が切れ、ますますピンチに。
それでも日本代表は時折見せる単純に縦へ早い攻撃が一気にチャンスを作る。しかし、シンガポール戦同様決定力に泣き得点ができない。
連携の取れないチームは守備の始まりでフォワードが自分勝手にプレッシャーをかけに行ってしまいあっさり北朝鮮代表に攻撃を許す展開。
柴崎岳選手が入ってボランチが縦の関係に。ディフェンスラインの前のスペースが埋められて功を奏するかと思われたが、前線が守備に戻らないサイドから北朝鮮代表に切り込まれてなかなか守備が安定しない。
柴崎選手が入って守備のバランスは良くなったが、山口選手がなぜか柴崎選手ばかりを見てしまい展開が小さくなり攻撃のリズムが崩れる日本代表。
牧野智章選手が対面にはそこそこ強いものの裏のスペースが全くフォローできないこともあって守備のリズムまで徐々に崩れだす。
長身選手に競り負けるのはしょうがないとしても、その後がカバーできない日本代表はトップの頭を狙った北朝鮮の単純な攻撃を防ぎきれず逆転を許してしまう。
反撃に出たい日本代表だったが、ミスが多くボールを前に運べず、ディフェンスラインを上げることもできない。
フリーキックでチャンスを作るも得点には至らず試合終了。
チャンスで得点できていれば勝てたかもしれないけど、得点できなかったから欠点が露呈。修正して次に生かしてほしい。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年7月26日(日)2015明治安田生命J2リーグ第26節 東京ヴェルディ対京都サンガ 味の素スタジアム 稲城市・日野市・多摩市・立川市合同サンクスマッチ

20位に低迷している京都サンガをホーム味スタに迎えた一戦。高木大輔選手が自ら獲得したPKを決めた1点を守りきり、見事勝利を収めました。

京都の両サイドハーフが中に絞って攻撃してくるため、やや混乱するヴェルディディフェンス陣。サイドバックが絞るのか?ボランチが下がるのか?
戸惑いは攻撃にも波及し、サイドからの攻撃がなかなか機能しません。
最終ラインも、積極的に前に出る井林章選手と下がって迎え撃つウェズレイ選手の食い違いもあり、安定しない守備陣。
しかし、調子の出ない京都もミスが多く攻撃が不発。中盤でヴェルディにボールを渡す展開が続きます。

ヴェルディ攻撃陣はよくボールが回り前にボールを運ぶことはできるのですが、ゴール前に選手がいないことが多くシュートに至らない。
流行りのなでしこトレインで挑んだコーナーキックもいいところまでいくのですが最後の最後でうまく合わず。攻めても得点が入らない、嫌な展開で前半を終了します。

後半に入っても攻撃を続けるもいいシュート体勢に持ち込めないヴェルディですが、裏への飛び出しは続く。足が止まりだした京都は走りこんだ高木大選手とペナルティエリア内で接触。やや厳しめな判定ながら先に体を入れた高木大選手がPKを獲得!高木大選手が自らゴール右上に蹴り込み、ヴェルディようやく先制!

点が入って落ち着いたヴェルディと落ち着かない京都。その後得点が動かなかったのはゴールという結果の賜物。見事な勝利です。

ヴェルディ守備陣は京都攻撃陣のミスに助けられたようなところがありました。正面からぶつかれば安定しているヴェルディディフェンスですが、京都フォワードの動きにつられてかなりのギャップができていました。京都の選手交代にも対応でききれていなかったように見受けられます。守備は相手攻撃選手への対応とエリアへの対応とその二つを兼ねていかなくてはなりません。ウェズレイ選手や安在和樹選手など今シーズンのチームを新たに精神的にひよらずに支えてくれる選手がそろっているので、バランスを取るための約束事を徹底すればJ2ではそれなりの結果を残せるのではないかと思います。

ヴェルディ攻撃陣は、技術があって運動量や走り込みによるスペース作りにも長けているのでボールを運ぶことはできますが、最終的な目的であるゴールをあげるために、どこから誰がシュートを打つのかという点があいまいな気がします。楽に得点ができるようなボール運びを意識すると試合の結果がますます良くなるのではないでしょうか。

なお、得点後は誰か一人センターサークルに入って味方が帰ってくるのを待ちましょう。喜んでいる最中に試合を始められてしまったら即失点。チームの雰囲気最悪。いい流れを継続してほしいものです。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年7月12日(日)2015明治安田生命J2リーグ第23節 東京ヴェルディ対大分トリニータ 味の素スタジアム

最下位大分相手にホームで勝点3を手にしたいヴェルディでしたが、大分の気迫に押しやられ1-2と痛い黒星を喫しました。

福岡戦の反省からか、試合開始早々いきなりディフェンスラインの裏に走りこんだ安西幸輝選手がペナルティエリア内でボールを離さず倒される!しかし、笛はならない!よし、今日のレフェリーの基準が一つ見られたぞ!
と思ったのですが、空中戦以外はあまり笛が吹かれないことが分かっていないのか大分の気迫に押されひよってしまったのか、プレッシャーを掛けきれないヴェルディディフェンス陣は大分にフリーでのシュートを許してしまい2失点。
時間経過とともに運動量の増える大分の中盤の走りこみにもついていけなくなってしまいました。

一方攻撃陣は、付いてこない・競り勝てない大分のゆるいディフェンスラインに自由にさせてもらっていたが、パス出しのタイミングが遅いため最後のシュート場面で無理しなくてはならないケースが目に付く。後半に入り左サイド安在和樹選手の単純なオーバーラップからダイレクトのセンタリングが南秀仁選手のフリーからのボレーシュートにつながったように、サイドから単純に早い攻撃を徹底すれば得点の可能性も高まったと思うのだが、選手交代からは特に中央からの攻撃にこだわりすぎてしまいなかなかチャンスが作れない。中野雅臣選手はヘディングも強そうだったので、アランピニェイロ選手が珍しく競り勝っていた戦況を見たら中野選手が前半からもっとゴール前に積極的に飛び込んでいたらまた違う結果が見られたかもしれません。

ヴェルディはホームで弱くアウェイで結果を出すイメージがあります。アウェイの試合を全く見ていないのであくまで推測ですが、相手が積極的に攻めてくるアウェイでは真ん中から中央をゴールに向かって最短距離をまっすぐ進んでいけばチャンスもあるのかもしれませんが、ホームで(特に下位のチーム相手では)守ってくる相手に対して中央からの攻めも必要ですが、スペースの少ない中央だけではなくサイドから攻めていく工夫も必要になるのではないかと思います。

今後については、ホームとアウェイで(というか、相手によって)戦い方を変え中央が空いていれば中央から、中央が空いていなければサイドから攻撃していくこと、守備については人数がそろっているときは積極的にプレッシャーをかけていくこと、あわせてディフェンスラインの前のスペースを誰が埋めるのか徹底すること、ハイボールの守備のとき対応者が比較的明確化されているけれどそのせいでギャップが生じていることも事実なのでそのギャップを埋めるべくさらに役割分担を明確化していくこと、などがポイントになると思われます。

昨シーズンとは違う楽しみを提供してくれるヴェルディ。更なる高みを目指してサポーターをもっともっと楽しませてほしいです。

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年7月4日(土)2015明治安田生命J2リーグ第21節 東京ヴェルディ対アビスパ福岡 味の素スタジアム 日野市サンクスマッチ

前節12戦負けなしの大宮戦にアウェイで勝利をおさめ迎えた雨中のホーム味の素スタジアム。全体的に押し気味で進んだ試合内容でしたが、後半ロスタイムのPKで追いつき同点で試合は終了しました。

ちょっと審判の判定や笛のタイミングが中途半端で荒れ気味の試合展開。前半ロスタイムボールへのプレッシャーがおろそかになったところにクリアミスが重なり押し込まれたこぼれ球からのシュートがディフェンダーに当たって先制を許す苦しい展開。
後半ボールをつないで試合を支配するもののシュートが決まらず、後半ロスタイムに南秀仁選手が自ら得たPKをど真ん中に決めて同点に追いつきなんとか勝点1を手にしました。

キーパー佐藤優也選手は雨の中安定したプレーを見せていましたが、帳尻ファウルでゴール取り消しとなったコーナーキックはポジショニングが不自然でした。キーパーのミスは即失点につながるので修正してもらいたいポイントです。

南選手はよくボールに絡んでいいのですがいかんせんミスが多すぎ。特に後ろの方でボールを取られるのは本当に勘弁してほしい。ボールを受け取ったポジションでプレーを使い分けられる賢さが課題です。

今日の試合のように審判の判定がはっきりしないというときは、ファールをもらったり相手が警告もらったりするようないい意味でのずる賢いプレーをしてほしいのですが、ヴェルディはどうも素直というか正直というか、少なくとも後半始まってすぐ警告もらった中後雅喜選手や福井諒司選手にはベテランであることも含めて反省を促したい。雨でグランド状態がすぐれないのにあれだけボールを回せていたのだから、相手のきついチャージに対して倒れて身を守る、サイドから簡単にセンタリングを上げる、ロングシュートを打つ、などのいい意味で雑なプレーが見られなかったことが勝利を収められなかった原因の一つであると思います。杉本竜士選手も今日のような試合では倒れるところは倒れてしまって問題ないです。

同じように慎重で素直で基本的であることは悪くないのですが、ディフェンスラインに人数がそろっているのに前に出る守備をしない場面も多々見られました。三竿健斗選手や井林章選手に多いのですが、ここで取れればチャンスでしかも抜かれても何とかなりそうだなあ、という場面でもずるずる下がって相手をフリーにしたりボールを運ばれたり。出るべきか出ざるべきか、場面場面での判断を磨いてほしいところです。

後半途中からアランピニェイロ選手が投入されたのですが、どうにもフォーメーションが中途半端というかなんというか、采配に迷いが生じているように思います。足の速い選手なのでスペースに走り込んでほしいのですが、今日のように裏にスペースがない時はサイドを有効に活用したい。でも張り出されるとサイドバックのオーバーラップが不発に終わる。そのため中にいるんだけど外に向かって走り込むという非効率なプレーに終始。個人的にはサイドにボールを開いて斜め及びくの字にに走り込むようにすれば得点につながるプレーができると思います。このあたりはチームとして早く答えを出した方がいいでしょう。

絶賛大注目な選手は安在和樹選手です。昨シーズンはテクニシャンタイプのいけすかないプレーぶりを見せていましたが、今シーズンは泥臭く最後まで粘るすがすがしいプレーを続けています。こういう選手がチームにいると心強い。中後選手が好調をキープしているので、コンビネーションに磨きをかけて勝利に貢献してくれることを期待しています!

蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

平成27年6月21日(日)2015明治安田生命J2リーグ第19節 東京ヴェルディ対ロアッソ熊本 駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場

屋根のない駒沢で雨中行われたこの試合は、ちぐはぐな試合展開のまま90分が終了し、ヴェルディは0-2で熊本に敗れました。

サイドバックをディフェンスラインに4枚並べて4-4-2システムのヴェルディ。雨のグランドコンディションを計算したのか前線でハイボールを待ったり裏に走りこんだりする受け手の意図は見えたものの、ディフェンスラインは前線が全く見えておらず、三竿健斗選手と中後雅喜選手がいつもに比べて横並びになるくらい中後選手が下がってプレーしていたもののディフェンスラインとの距離が近すぎて機能せず、その割にはゴールキーパー佐藤優也選手に気軽にバックパスしたりして、ロングボールを待つ前線に選手が集まり中盤が薄くなることで余計にパスがつながらなくなり、攻撃が全く機能しません。

失点はまあしょうがないです。1失点目はヴェルディコーナーキックのクリアボールに対し熊本攻撃陣が全員ゴール前に戻っているにもかかわらずヴェルディ2選手がお見合い。ボールを奪われてロングシュートはキーパー佐藤選手の頭を超えてそのままゴール。2失点目は中盤でディフェンダーが空中戦に競り負けて相手ボールになったところカウンターを許しループシュートから失点。確かに防げない失点ではないのですが、そこまで崩されたわけでもなく修正も簡単で、同じ展開になってもそうそう点が入るところまで行くほどのものではないでしょうから、今日は失点してしまったけれど守備に関してはそれほどポジショニングが悪かったわけでもなく、ヴェルディ的にはそこそこ機能していたと言っていいと思います。ただ、サッカーは守備だけが守備ではないのが難しいところ。

建て直しが必要なヴェルディは、高木大輔選手に代えて井林章選手を投入。3-4-3システムに移行します。井林選手が入ったからか3バックになったからか、ディフェンスラインからロングボールが供給されるように。さらに中後選手がトップ下に入ることで中盤をなくし単純な攻撃への意図が明確になります。出場停止明けの平本和樹選手が好調で競り合いに強くトラップも正確でシュートも強い。しかし、トップに入った後サイドに展開したところでサイドの選手に消極的なプレーが増えいい形でのラストパスが通らない。かといって中盤でつなごうとするとカットされてカウンター。そのうち明らかに集中を切らしている選手もいたようですが、何とかそれ以上の失点は免れてそのまま終了。奇跡はそうそう起こらない。

試合が終わって選手がスタンドに挨拶に来るのですが、ちょっとふてぶてしく見えました。雨の中屋根もないのにサポーターは応援してくれていたんです(私はランクアップクーポンを使って屋根の下にいましたが)。選手たちがサッカーをすることができるのは、間違いなくサポーターがいるからでしょう。プロとしてサッカー選手を続けるのであれば、もう少しサポーターが喜んでくれるような納得してくれるようなそういうものを試合中も試合後も町の祭りでも見せてほしいと思います。

そういう意味で、試合終盤軽いプレーでボールをとられた後、たらたら歩いていた選手が多くいたのも残念です。そんな中、安在和樹選手は後半ロスタイムにも全力で自陣まで戻って守備をしていました。その時間帯には両サイドハーフは前線にべったり張り付いていたというのに。他の選手もせめて自分が取られたときくらいは取り返しにいくようなプレーをサポーターや子どもたちに見せてほしい。

布陣から見た監督の意図とピッチ上の選手たちの意図に食い違いがあるように見えましたが、特に気になったのは安田晃大選手です。経験的な課題からか判断力が高いというわけではないのですが、ボールが来る前によく周りを見ており、トラップの方向が的確で球離れが早く流れの中からリズムのあるプレーを見せてくれました。5トップ状態のトップ下でしたので前が渋滞しておりやりづらい部分もあったかと思いますが無難なプレー。しかし、なかなかボールが集まりませんでした。このあたりも監督と選手の間の意思疎通に課題があるようで違和感があります。チーム内で綱引きをしているのでチーム力が半減です。もったいない。

チームはこれで2連敗。外国人助っ人が出てないなどチーム状態は決して良くはありません。そんなときこそ基本に立ち返って、努力と感謝を続けること。勝てるチームだしもっと動員できるはずのチームです。プロサッカークラブとしての矜持を期待します。

蹴球

平成27年6月17日(水)FIFA女子ワールドカップカナダ2015 日本女子代表対エクアドル女子代表 ウィニペグ・スタジアム

グループリーグ突破を決めているなでしこジャパン。引き分け以上で首位突破が決まるグループリーグ最終戦を1-0で見事な勝利!

ポジションチェンジをし過ぎてよく分からなかったが、どうも欠点を補うためにポジションチェンジを繰り返しているものの、ポジションチェンジをしたがゆえに本来自分がなすべき仕事ができなくなった印象。選手が勝手にやってるのかと思ったが後半の采配を見たら監督の指示なのかもしれない。サッカーはピッチ上11人がそれぞれ役割分担をしてチームを作るものです。自分の仕事をないがしろにして他の仕事ばかりやっていたらチームとして機能するのは難しいでしょう。

エクアドル代表はサイドの守備がルーズで、なでしこジャパンは右サイド細かいパスで、左サイド宮間あや選手を中心とした早いタイミングのロングボールでエクアドル守備陣を切り裂く。ところが、ボランチの展開がうまくいかない。田中明日菜選手はともかく、澤穂希選手はボランチではないような高いポジション取りが多く、組み立てに参加しても左からのボールに対しては右を向こうという意思は感じられるものの右からのボールに対しては来たところに返すだけで攻撃が手狭になってしまう。守備のときは相手フォワードがそれほどいるわけでもないのにディフェンスラインまで下がってしまいこぼれ玉を拾われて連続攻撃を許す。ボールを奪った後の攻撃への切り替えが遅いのでカウンターを決められない。積極的なゴール前への飛び出しや思い切った積極的な守備といったよいプレーは本来のボランチの仕事をこなした上で輝くものです。これも監督の指示なのだろうか。

ボランチが機能しないのでサイドの選手が中に入ってくる。そうすると誰がサイドに行くんだという話になる。じゃあ私が、とポジションが変わってしまうので、そもそも誰がどのポジションなのか分からなくなりそれが固定化される。

ボランチ問題からか前線も下がってきてしまう。組み立てに参加するのは悪くはないが、センタリングが入るときにゴール前にいないことが多い。このチームは中盤の飛び込みで得点を奪うというよりフォワードがゴール前で仕事をしてフォワードが得点するチームではないかと考える。試合が進むにつれて相手ゴール前に誰もいないチームはどれだけ攻めても得点を奪うことは難しい。岩渕真奈選手が出てきてからは大儀見優季選手が前線に残るようになり、ようやくゴールに迫ることができるようになった。

得意のセットプレーは澤選手を狙いすぎ。得意なプレーだと思うので機会を増やすのは悪くないが、あまりにも重用しすぎている気がする。他の選手にも奮起を期待したい。

エクアドル代表があまり数をかけて攻めてこなかったにもかかわらず、なでしこジャパン最終ラインは前へのプレッシャーが少ない。ボールが味方ゴールに近づけば近づくほど失点のリスクは高まる。数で圧倒している守備なのだからもう少し積極的な守備を行っても良かったのではないか。

チームがばらばらで機能していたとは言い難いが要所要所できっちり相手を上回り結果的に勝利を収めることができたのは大きな収穫。首位通過をきめて日程的にも有利となる。大きなアドバンテージはなでしこジャパンの心強い味方となってくれるだろう。

今後はチーム内での役割分担を明確化し、その上で効果的なポジションチェンジを繰り返すこと。守備への切り替えは早いが守備から攻撃への切り替えにも心を備えていくこと。セットプレーにおいてセンターバックなどとの連携を高めること。などが重要になってくると思う。グループリーグでの最高の結果を今後のアドバンテージとして大いに活用してほしい。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年6月16日(火)W杯アジア2次予選兼アジアカップ2019予選 日本代表対シンガポール代表 埼玉スタジアム2002

ハリルジャパンは今までどおりの試合をしたものの得点が奪えなかった結果、サイドからのアーリークロスに活路を見出そうとしたもののディフェンスに当ててしまう両サイドバックがどんどん自信をなくしてセンタリングできなくなってしまい、頼みのコーナーキックも単純にフィニッシャーの頭に上げるだけで今までのようなポジションチェンジからのごちゃごちゃからのファーサイドでフリーシュート作戦が機能せず、それでもシンガポール代表のカウンターの精度が低かったこともあって失点は免れ、0-0の引き分けで試合終了、ワールドカップへの第一歩を踏み出しました。

ハリルジャパンの一番の攻撃手段の一つであるボランチからの縦パスが全く機能しない。今日の試合では、シンガポール代表がボールを頂点にしたピラミッド型守備体系を敷いていて、中央にでんと居座る柴崎岳選手、長谷部誠選手は相手からのプレッシャーがないからか、W杯予選というプレッシャーがあるからか、のんびりしたプレーで縦パスを入れることができず、前線も本田圭佑選手以外はスペースを見つけ出すことができず受け手になりえず、とにかく縦パスを入れることができずボールが前に運べない。中央からでなくサイドライン際から縦パスを入れたりボールを早く横に動かしてピラミッドの横から楔を打ったりすればよかったが、あまりに中盤がフリーすぎたせいもあって単調なミスを繰り返す。

ハリルジャパンもう一つの得意とする攻撃手段としてコーナーキックを含むプレイスキックがあげられる。イラク戦ではニアサイドで高い選手がごちゃごちゃしながら競った結果ファーサイドにこぼれたボールへクロスしてフリーになった選手が押し込む形が見られたが、今日の試合ではフィニッシャーの頭に直接合わせるだけでファーサイドフリーになる選手もいなければボールもニアサイドではなくシュートが打ちやすいゴール前に直接放り込む。誰もが主役になりたがった感じ。シンガポール代表ゴールキーパーとしてはどこから打ってくるか分かるから、至近距離の止めにくいシュートの中では比較的タイミングを合わせやすくシュートを防ぎやすかったと思う。これは最後まで修正されなかった。

攻撃手段を失ったハリルジャパンだが、サイドからのアーリークロスだけはかすかに得点の匂いがする。中から攻めないので香川真司選手に代えて高さで競れる大迫勇也選手を投入。縦パスのうまい柴崎岳選手に代えてサイド攻撃ができて中央こぼれ球からの得点が期待できる原口元気選手を投入。最後はごちゃごちゃで中央勝負ができない宇佐美貴史選手に代えて空中戦も競れる武藤嘉紀選手を投入。冷静に試合を分析して勝利に近い采配を見せているなあと思ったら、原口選手はなぜかボランチの位置に下がる、アーリークロスを入れるべきサイドバックがミス連発でクロスを上げるのを躊躇、ゴール前で4人以上渋滞してるから岡崎慎司選手が飛び込むスペースがない、とすべてが悪い方向へ。

今までどおりの攻撃をしていたが、中盤でプレッシャーをかけられることなく中央低い位置からの縦パスについてしっかり守備されたことでゴールに近づきづらくなり、今までと違ってたまたま得点が奪えなかったことで今までやっていないサイドからのアーリークロスをしたものの機能しなかった。

守備は今までもそうだが、相手にスペースを与えすぎていて、トップにボールが入ったときにうまく挟み込んでボールを奪うことができない。もともとハリルジャパンは守備のとき前へのプレッシャーが乏しく押し込まれてしまうことが多かったが選手が固定されていないこともあって試合ごとの修正があまりうまくいっていない。トップに入った瞬間にセンターバックとボランチがしっかりプレッシャーをかけること、飛び出した選手の裏をしっかりカバーすること、このあたりの約束事をこれから詰めていくことになるのだろう。

今日のハリルジャパンは試合の入り方として今までと同じことをしていたがたまたま得点が奪えなかっただけに過ぎない。試合を評価するときに得点失点という結果は一番大切なことだが、プロセスを見つめないと次の結果につながらない。チームとして実力を培うために今日の試合結果を大切にしてほしい。

今後のハリルジャパンは今までやってきた早い縦パスとコーナーキックという武器に磨きをかけていくことになるのだと思う。ただ、これは「自分たちのサッカー」ではないだろうから、どこまで選手が勝ちにこだわれるか、そのあたりがチームとしての成熟度に関わっていくのではないか。

蹴球 \ サッカー日本代表

平成27年6月11日(木)キリンチャレンジカップ2015 日本代表対イラク代表 日産スタジアム

ワールドカップ前最後の親善試合は4-0とイラクを圧倒。点が入って良かった良かった。

日本代表の攻撃は柴崎岳選手の縦&裏パスとセットプレー。
セットプレーは単純にやってるように見えてしっかりと作られていた印象。ニアに高い選手を複数飛び込ませてクロスして裏に走りこむ二人くらいの選手をゴール前でうまくフリーにしている。今後はバリエーションを増やしていくことになるだろうけれど、今の基本の形をしっかりと充実させることでセットプレーやゴール近くの守りなど様々な相乗効果を期待できる。
イラク代表の守りがかなりルーズで岡崎慎司選手が引っ張ってもディフェンダーが付いてこずゾーンなのに自分のゾーンですらマンマークできず二人同時に動き出すなど組織としての混乱が見られスペースを作り出すことができない試合展開でも冷静迅速な判断でボールを散らし縦パスを多く配給した柴崎選手は今日の試合では欠かすことのできない存在。まだまだ軽いミスが目立つがよく集中して周りを見ている。敢えて言えば、ボランチのポジションとしてはもう少しボールを奪うプレーがほしい。今はボールのコースにいるだけだが、相手のプレーをしっかり予測して線ではなく点でボールを奪いにいってほしい。

日本代表の守備はサイドの守りに課題。
通常のサッカーチームにはセンターバックをできる選手がサイドバックやボランチにいて中央を固めることができるのに対し、日本代表長年の課題としてセンターバック的人材が圧倒的に不足している。実際ボランチの選手をセンターバックに起用したり。決定力不足云々より大きな課題だと思う。サイドから攻められたとき一般的にはサイドバックが前に出てセンターバックがカバーに入り全体的にチーム全員がボールサイドに寄せていくものだが、今日の試合ではサイドバックが最終ラインに残りフォワードやボランチがその前を埋めるような守備をしていた。その結果センターバックは中央に残ることができるのだが、どうしてもサイドを侵入されてしまうし、フォワードが戻れずボランチが寄せていくとセンターバックの前のスペースが空いてしまう。後半に入りセンターバックが前に出たりサイドバックが前に出たりいろいろ試していたようだがまだまだ徹底できていないように感じた。個人的にはセンターバックを中央に残した方が良いと思うので、フォワードも守備の意識を高めてサイドを戻ったり逆サイドから中央を埋めたりしてボランチの負担を減らしてほしい。アジアでの戦いは中央ハイボールが重要になってくるので、メッシやクリスティアーノロナウドでない限り、センターバック的選手を起用できないのであればフォワードにある程度守備もしっかりできる選手を起用していくべき。

ハリルジャパンは内容よりも結果を求めているようなので、効率的に得点が奪えるセットプレーや中央を高さで守るためにセンターバックを残す作戦はさらに重視されていくのだと思う。今後は暑い中でも裏を単純に狙う走りこむサッカーが続けられるのかということと、先制されても同じサッカーが続けられるのかということと、フリーキックが取れないときにどうやって攻めるかという部分が気になる。特に両サイドのフォワードにサイドをえぐるより中に入ってシュートを打つタイプの選手を配置しているとコーナーキックの回数が減ってくるだろうから、カウンターを防ぐという意味合いよりコーナーキックを取るということで強引にシュートで終わるようなことも必要になってくるのだと思う。でもそれは日本の選手が比較的苦手としているプレー。今は勝っているからいいけど、結果が出ないときにどう精神面を維持できるかが最終的な結果に関わってくると思う。協会としても悩むことになると思うけど、全力でハリルホジッチ監督をサポートしてほしい。