1 農業と市民の関係及びコメ問題について
米は「八十八の手間がかかる」という漢字の成り立ちからもわかるように、放っておいて勝手ににょきにょき育ってくれるような屈強な生命力のあるものではなく、日本に持ち込まれてから3000年以上の歳月を経過してもなお土着していないひ弱な外来種です。日本のコメは日本人がコメ作りをやめてしまえばすぐに絶滅してしまうような存在ですが、その格段に優れた収穫量や栄養価、またその生育過程で水を多く使い酸性に比較的強いという特徴が雨の多く火山国のため酸性土壌が多い日本の風土に適しているといった理由もあって縄文時代からコメ作りが定着し、手間のかかるコメ作りによって人々が定住することで集落や町ができ、さらには酒や味噌などの原材料となり、稲わらは草履や蓑、しめ縄や壁材などにも用いられ、日本人の衣食住はコメによって支えられてきました。しかし、2010年に一世帯当たりの年間購入額がパンに逆転され、その後麺類と同じ水準まで落ち込み、近年では人口減少も相まって国内で必要とされるご飯用のコメが毎年10万トンも減っていると言われます。大きな転換期を迎えているコメ問題や農業と市民の関係について、以下、質問します。
(1) 日本のコメ政策について、課題をどのように分析され、今後のあり方についてどのようにお考えになりますか。
(2) コメの価格についてどのようにお考えになりますか。また、コメの価格について政策的な対応はお考えでしょうか。
(3) 食料自給率について市長はどのようにお考えですか。また、食料自給率向上と食料価格の関係性についてどのように分析されていらっしゃいますか。
(4) 土いじりは抗うつ効果、アレルギーの予防、ストレス軽減、認知症予防など、健康増進に役立つと言われ、福祉の分野で農福連携として行われることもあります。マンションの多い多摩市において、市民が土に触れる機会についてどうお考えでしょうか。また、ガーデニングなどを楽しむ市民からは、園芸用土の処分に困っているという声を聞くことがありますが、多摩市では園芸用土の処分についてどのような対応をされているのでしょうか。
2 介護事業者と介護従事者への支援について
食料や燃料物価が高騰してもその経費を価格転嫁できない介護業界は、地域包括ケアシステムを支える地域の担い手であるにもかかわらず、大変な苦境に立たされています。多摩市内でもまた訪問系の介護事業所がその事業を縮小するという情報を耳にしたところです。WHO(世界保健機構)や国連の言う超高齢社会の定義を大きく超える高齢化が進んでいる多摩市において、市民が安心して生活していくためには介護基盤の整備を欠かすことはできません。介護福祉を支える担い手が、その責務を適切に評価され、すべての人が安心してその生涯を全うすることのできる多摩市のために、以下、質問します。
(1) 3年ごとに見直しが行われている介護保険事業計画ですが、専門家の間からは3年を待たずに報酬改定に着手すべき、とする声もあります。第9期多摩市介護保険事業計画は2024年度から2026年度までの計画となっていますが、期中での見直しを検討することはできるのでしょうか。
(2) 物価や人件費の高騰、人材不足により、全国で介護事業者の倒産が相次いでいます。多摩市の事業者支援策について、改めてお考えを伺います。
(3) 介護保険制度の中核を担う介護支援専門員(ケアマネジャー)は介護保険制度において連絡調整等を行う者とされていますが、ほかに手段がないという理由でその範囲外とも思える業務まで担わざるを得ない状況に置かれることがあります。例えば救急搬送時において、家族不在のため「介護の人が同乗しなければ病院を探すことができない」と救急隊員に言われ、やむを得ず同乗し、報酬のない業務に長い時間を取られ、なおかつ近くの病院に搬送されるとは限らないにもかかわらず帰りの交通費を誰にも請求できないため自ら負担しなくてはならなかったりすることもあり、こういったものは本来の業務に支障が生じかねない課題です。介護支援専門員の人員不足はすでに顕著となっており、中央福祉人材センターによる今年3月の介護支援専門員の有効求人倍率は9.04倍となっていて、このことは、対人援助の専門家の支援を受けることのできない住民が増えていることを示唆します。介護支援専門員は処遇改善加算の対象から外れていることもあって報酬面でも課題があり、また全体的に介護支援専門員自身の高齢化も進んでおり、厳しい資格更新条件や法定研修等の負担からも、今後介護支援専門員不足がさらに深刻化することも予想されます。市は介護支援専門員不足についてどのようにお考えでしょうか。また、介護支援専門員が足りなくなった結果、セルフプランやケアプランなしの償還払いによる介護サービス利用が行われることについてどのようにお考えでしょうか。
3 スポーツ施設の整備とスポーツ文化の醸成について
最後まで優勝争いが展開された2024-25WEリーグは、5月17日の最終節で日テレ・東京ヴェルディベレーザが勝利し、2021年WEリーグ発足以来としては初めての優勝を果たすことになりました。おめでとうございます。J1の舞台で白熱の試合を続ける地元のサッカークラブとともに、地域のスポーツ文化の醸成や市民の健康増進と健幸の獲得に大きな意味のある結果であり、今後も地域で連携し多摩市を盛り上げていただきたいと思います。スポーツを通じたまちづくりが市民の健幸に繋がり、市民一人一人の自己実現と高齢化少子化に苛まれる現状への対策に発展していくことを期待し、以下、質問します。
(1) WEリーグ初優勝を果たした日テレ・東京ヴェルディベレーザについて、どのように評価されていますか。
(2) スポーツ施策における熱中症対策についてどのような施策をお考えでしょうか。また、以前小中学校全校へのナイター設備設置を提案いたしました。1校でも多くナイター設備のある学校グラウンドを増やすことが直接的な熱中症対策となり、市民の運動機会の確保や健康増進に寄与するものと考えますが、その後の検討状況について伺います。
(3) これまでの市のご答弁から、市はボールの蹴れるグラウンドをすべてサッカーのできるグラウンドと呼んでいるようですが、サッカーに関わる市民は正式なサッカーコートのフルピッチとして規定されている縦105m横68mが取れないグラウンドのことは、ボールの蹴れるグラウンドとは呼んでも、サッカーのできるグラウンドとは通常呼ばないものです。そのため、市は市内にサッカーグラウンドが一定水準維持できていると認識し、市民は市内にサッカーグラウンドが足りないと認識していて、双方の認識に齟齬があるように感じます。スポーツ施設整備計画等を進めるにあたっては市と市民とのサッカーグラウンドに対する認識の齟齬を解消する必要があるのではないかと思いますが、市のお考えを伺います。
(4) 多摩市でサッカーに関わる市民は、グラウンド使用料の高騰にも悩まされています。市は市民の健幸のために積極的に市民にとって過度な負担とならず使いやすいスポーツ環境の整備に尽力すべきだと思いますが、市のお考えを伺います。
ご意見等ございましたら、きりきまでお気軽にご連絡くださいませ。