蹴球

サッカー女子リオ五輪アジア最終予選

サッカーの話題に尽きないところですが、今更ながらサッカー女子リオ五輪アジア最終予選について。

残念ながらアジア予選敗退に終わったなでしこジャパン。今回特別に何か悪かったというより、いつもどおり頑張ったけどたまたま勝てなかったという感じなので、また次も頑張ってほしいところです。その中で好き嫌いレベルで気になることをいくつか。

まず守備について、相手フォワードが前を向いてボールを持ったらペナルティエリア付近まで下がるなでしこ。ディフェンスラインを下げることで、ディフェンダー+キーパーで守ることができるというメリットがあります。アメリカやフランスなど強豪チームにはプレッシャーなく打てるロングシュートをゴールされてしまうという欠点はありましたが、アジアレベルではそれなりに通用するはずでした。しかし。
キーパーの反応が正直イマイチ。この守備はキーパーとの連携がなくては成り立ちません。また、相手チームもショートパスをうまいことつないだり、アーリークロスの精度を上げたりとレベルが向上。ゴールに近い位置で守るので、ちょっとした事故が失点につながってしまうため運も必要な守備は当たり外れが出てしまいます。

ビルドアップについて、キーパーも含めディフェンスラインからショートパスをつなぐことが多いなでしこ。大きく蹴ってしまうと前向きの相手の方が有利なのでショートパスを選択するのは一般的な判断です。しかし。
ディフェンスラインからまっすぐ下りてくるボランチへ展開。プレッシャーがあるとボールを下げることしかできない。相手を引き寄せて読まれやすく戻すのでボールはあっという間に相手プレッシャーの真っ只中。ゴールに近い位置で奪われたボールは簡単に相手の決定機を演出。
ロングボールを蹴ろうにも、下がるのが好きなフォワード陣。ディフェンスを引き連れて下がるので展開は狭く狭くならざるを得ない。下がって守るディフェンスラインから前線への距離が長いこともあって前線空いたスペースを有効に使うこともできない。
ショートパス、足元へのパスは悪いものではないが、動いた先、走った先の足元やワンクッション当てて繋ぐことができればプレッシャーも緩和できるはず。
また、ワンタッチ目のプレーが足元過ぎる。ノートラップの展開も少ない。足元に自信があるのかもしれないが、先を読んだプレーが以前に比べ少なくなった気がする。

選手起用について、結果的にゴールやシュートに結びついたプレーを大きく評価しすぎている気がする。データ化していくとどうしても結果が出たものを評価することになりやすいが、そこに至る過程、そこに至らなかった過程をもう少し評価すべきだと思う。

あと、見ているとギスギスしたものを感じる。インタビューなどを聞いている限り、意識が高いのと他人を批判することを混同しているような部分があるのではないか。以前に比べて笑顔が見られなくなった。ボールボーイ(ガール?)にはもう少し優しくしてあげてほしい。

世代交代については、いわゆる若手は出られない理由があるのでしょうがない。全体的にもう少しロングキックが蹴れるような部分があった方が良いと思う。キック力がないわけではないと思うが、試合の中で大きな展開ができると幅が広がるので監督も起用しやすいと思う。

これから中盤の人材が不足して前線も高さがないので苦しい時期が続くと思う。それでも世界を制したなでしこジャパンとして自信と誇りを持って前に進んでほしい。なでしこジャパンはすごいチームです。

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平成27年6月17日(水)FIFA女子ワールドカップカナダ2015 日本女子代表対エクアドル女子代表 ウィニペグ・スタジアム

グループリーグ突破を決めているなでしこジャパン。引き分け以上で首位突破が決まるグループリーグ最終戦を1-0で見事な勝利!

ポジションチェンジをし過ぎてよく分からなかったが、どうも欠点を補うためにポジションチェンジを繰り返しているものの、ポジションチェンジをしたがゆえに本来自分がなすべき仕事ができなくなった印象。選手が勝手にやってるのかと思ったが後半の采配を見たら監督の指示なのかもしれない。サッカーはピッチ上11人がそれぞれ役割分担をしてチームを作るものです。自分の仕事をないがしろにして他の仕事ばかりやっていたらチームとして機能するのは難しいでしょう。

エクアドル代表はサイドの守備がルーズで、なでしこジャパンは右サイド細かいパスで、左サイド宮間あや選手を中心とした早いタイミングのロングボールでエクアドル守備陣を切り裂く。ところが、ボランチの展開がうまくいかない。田中明日菜選手はともかく、澤穂希選手はボランチではないような高いポジション取りが多く、組み立てに参加しても左からのボールに対しては右を向こうという意思は感じられるものの右からのボールに対しては来たところに返すだけで攻撃が手狭になってしまう。守備のときは相手フォワードがそれほどいるわけでもないのにディフェンスラインまで下がってしまいこぼれ玉を拾われて連続攻撃を許す。ボールを奪った後の攻撃への切り替えが遅いのでカウンターを決められない。積極的なゴール前への飛び出しや思い切った積極的な守備といったよいプレーは本来のボランチの仕事をこなした上で輝くものです。これも監督の指示なのだろうか。

ボランチが機能しないのでサイドの選手が中に入ってくる。そうすると誰がサイドに行くんだという話になる。じゃあ私が、とポジションが変わってしまうので、そもそも誰がどのポジションなのか分からなくなりそれが固定化される。

ボランチ問題からか前線も下がってきてしまう。組み立てに参加するのは悪くはないが、センタリングが入るときにゴール前にいないことが多い。このチームは中盤の飛び込みで得点を奪うというよりフォワードがゴール前で仕事をしてフォワードが得点するチームではないかと考える。試合が進むにつれて相手ゴール前に誰もいないチームはどれだけ攻めても得点を奪うことは難しい。岩渕真奈選手が出てきてからは大儀見優季選手が前線に残るようになり、ようやくゴールに迫ることができるようになった。

得意のセットプレーは澤選手を狙いすぎ。得意なプレーだと思うので機会を増やすのは悪くないが、あまりにも重用しすぎている気がする。他の選手にも奮起を期待したい。

エクアドル代表があまり数をかけて攻めてこなかったにもかかわらず、なでしこジャパン最終ラインは前へのプレッシャーが少ない。ボールが味方ゴールに近づけば近づくほど失点のリスクは高まる。数で圧倒している守備なのだからもう少し積極的な守備を行っても良かったのではないか。

チームがばらばらで機能していたとは言い難いが要所要所できっちり相手を上回り結果的に勝利を収めることができたのは大きな収穫。首位通過をきめて日程的にも有利となる。大きなアドバンテージはなでしこジャパンの心強い味方となってくれるだろう。

今後はチーム内での役割分担を明確化し、その上で効果的なポジションチェンジを繰り返すこと。守備への切り替えは早いが守備から攻撃への切り替えにも心を備えていくこと。セットプレーにおいてセンターバックなどとの連携を高めること。などが重要になってくると思う。グループリーグでの最高の結果を今後のアドバンテージとして大いに活用してほしい。