東京スタジアムってなんだ?
ワールドカップ最終予選対イラク代表戦に向けた試金石。キリンチャレンジカップと言えば昔は日本代表と外国のクラブチームとが戦う今では考えられない大会でした。代表キャップ数とかも大事なビジネスチャンスなので(サウジとか代表戦やりまくってた)今は代表チーム同士の大会になりましたが、ボスマン裁判以降事実上の外国人枠撤廃が行われている現代においてはクラブチームを呼んだ方が盛り上がるかもしれないね。
さて、試合は4141シリア代表のアンカー脇を使いたい日本代表ですが、香川真司選手の試合開始早々負傷退場の影響もあったのか中盤でのリズムが悪くインサイドハーフがディフェンス間に入ってボールを受けられず常にプレッシャーを受け続けながらのプレー。攻撃がゴールまでたどり着けそうなのは吉田麻也選手や山口蛍選手のロングボールもしくは大迫勇也選手のポストだけという状態。今野泰幸選手に上がるよう指示していたのもボールを受ける場所を空いているスペースにしたかったからだと思う。
シリア代表の攻撃は必ずサイドバックから始まるような約束があるようだから久保裕也選手・原口元気選手のところで潰したかったところですが、両者とも攻守の切り替えが遅く攻撃の起点となるシリア代表のサイドバックはフリーでボールフィードを繰り返し、まるで、あれ、これ練習だったっけ、と勘違いしてしまいそうな攻撃ができていた感じ。日本代表としてはシリア代表のサイドバックをウィングが見られないのであればサイドバックが見ると決めてしまえばまだよかったと思うけどいかんせん中途半端でウィングが寄せられなくて慌ててサイドバッ
クが上がろうとし、そのタイミングで空いた裏のスペースをつかれ押し込まれる。山口選手のカバーもありディフェンスラインで止めることができていたはよかったけど、守備というのはゴールを守る以外にもボールを奪うという目的があり、ボールをなるべく相手ゴールに近いところで奪うことで「(良い位置から)攻撃を開始する」という守備の目的は全く以て達成できず。支配率では日本代表が優位に進めるものの、ボールの位置は日本代表のゴールの方が近い。どちらかといえばシリア代表が想定どおりといった感じの試合運びで前半終了。
後半立ち上がり本田圭佑選手が入ったからか前から積極的に守備を仕掛ける日本代表だがやっぱり個々のプレッシャー自体が弱くシリア代表は日本代表のプレスを交わしボールを運ぶ。ボールを簡単に運ばれるようになり、ショートコーナーから倉田秋選手が交わされてしまい早いタイミングでのセンタリングにヘディングで押し込まれてシリア代表が先制。日本代表0-1シリア代表
追いつきたい日本代表だが相変わらず中盤のリズムが悪くボールが前に運べずじまい。たぶん日本代表は中盤のパス回しとは別に両ウィングがシリア代表のサイドバックを引っ張って外にスペースを作りたいのだと思うんだけどあまりにもウィングが早く中に入ってきてしまうので日本代表のサイドバックがオーバーラップする前にスペースを埋められてしまう。しょうがないからサイドバックが前線に張り出してみたらシリア代表の中盤がゾーンなのに下がりきってくれて、中盤のプレスがなくなってようやく日本代表は中盤でボールが回せるようになる。ラッキー。中盤で展開がうまくいかなくても縦パスさえ出せるようになればもう日本代表のペース。大迫選手経由で左サイドを突破して長友佑都選手のセンタリングから今野選手が詰めて同点。日本代表1-1シリア代表
その後日本代表はサイドバック相手のサイドバックに対し明確に前にプレスをかけに出るようになり、裏の空いたスペースは山口選手に代わってアンカーに入った井手口陽介選手が埋めるという約束事が成立するようになり、それに伴いセンターバックがつり出されることも少なくなって守備が安定。サッカー7不思議の一つにディフェンスラインに人が少なくなることで守備が安定することがあるのです。
その後、乾貴士選手投入で圧倒的な攻撃力を見せつけるもラストパスの精度が低く得点には至らず試合終了。日本代表1-1シリア代表
全体的にコンディションに不安を抱えている選手が多いように感じる日本代表。イラク代表戦では走れる選手、頑張れる選手を多く起用してほしいと思います。
川島 永嗣 6.5 よく足が動いていたのでたぶん調子よさそう。
昌子 源 5.5 初めは緊張していたのかひどいもんだったけど、時間と共にだんだんプレーが良くなってきた。もう大丈夫でしょう。
長友 佑都 6.0 相変わらず自由に動くので時々バランスがひどいことになるからアンカーシステムでお守すると良さが生きる。
酒井 宏樹 6.0 狙いを持ってやろうとしていることはわかる。運が悪かった。
吉田 麻也 6.5 終盤の連続クリアミスはいただけないが、全体的にそれなりの安定性能を見せた。もうチームに欠かせない。
香川 真司 6.0 早く怪我が治りますように。
山口 蛍 6.0 攻撃面ではロングボールに活路を見出す。守備でのカバーリングは見事だが、何もないところで転んでたしあんまり調子が良くないのかもしれない。ちょっと太った気がする。
今野 泰幸 5.5 とにかく球さばきが悪い。中盤から繋ごうとすると今野選手で止まってしまう。シリア代表の中盤は走り込みについてきていなかったから、前線やアンカー脇に持ち前の運動量で突進してほしかった。
原口 元気 5.5 攻守の切り替えが遅くシリア代表にペースを握らせてしまった。シュートには絡んだが、中盤の構成でももう少し顔を出したかった。
久保 裕也 5.0 何をするにもタイミングが悪い。やりたいことはわからなくもないが、手段が目的化してしまっている感じ。
大迫 勇也 7.0 ボールは収まる、振り向ける、守備への切り替えも早い。昔に比べて得点以外のプレーの意識が高くなっていて、得点自体は少ないかもしれないけど悪くないと思う。
倉田 秋 6.0 中盤で唯一機敏な動きを見せる。あまりチャンスに絡めなかったが次に期待したい。
本田 圭佑 6.0 よくボールに絡むもいかんせんミスが多すぎる。インサイドハーフとしてうまくパスが通った時はいいが、ボールロストを繰り返すようだとショートカウンターの餌食。
井手口 陽介 6.5 ディフェンスラインのお守までよく走った。守備が安定した要因の一つ。
乾 貴士 6.5 ドリブルで相手を翻弄。格の違いを見せつけた。でも守備は穴が多いから監督の立場からしたら使い辛いかもしれない。
浅野 拓磨 5.5 あまり持ち味を発揮できず。周りも見えているようだし冷静にプレーできてはいたようだ。
岡崎 慎司 5.0 なにせボールが収まらない。そういう選手じゃないので申し訳ないが、岡崎選手の良さを生かすためにはシステムも含め再考の余地あり。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 5.5 ボールを前目で奪えない、最終ラインでのボール回しを余儀なくされる、プレイスキックから失点、と前回のイラク代表戦の課題が修正できず。それでも、主力メンバーと経験の少ない選手がわかりあうという目的はある程度達成できたのではないかと思われる。