蹴球 \ 東京ヴェルディ1969

2017明治安田生命J2リーグ第39節 東京ヴェルディ対アビスパ福岡 味の素スタジアム イーグランドDAY

4連勝でプレーオフ圏内(6位以内)に浮上してきた東京ヴェルディはホームで自動昇格圏内(2位以内)につける勝点5差のアビスパ福岡との上位対決。今シーズンもラスト4試合。両チーム是が非でも勝ちたいところだ。

前半は福岡がやや優勢で試合は進んでいく。
ヴェルディの攻撃は福岡のダブルボランチに阻まれ前に進めない。そこでボランチを省略してドウグラスヴィエイラ選手の頭を狙った攻撃でゴールに向かうとこれがなかなか効果的。ドウグラス選手は高さはあってもワントップ的な選手じゃないイメージだったのにあんなに頑張れる選手になったのだなあ。デカモリシ取らなかったフロントの判断は間違いじゃなかった。
中盤でボールが奪える福岡は両サイドバックもしくは絶妙な間受けを見せるボランチの山瀬功治選手らから多彩な攻撃を展開。ヴェルディはフォワード起用の安西幸輝選手のポジショニングがやや低めなせいか、福岡の駒野友一選手へのプレッシャーが不十分で攻撃を止めきれない。
引いてスペースを作る相手フォワードの動きに対してしっかりマークを離さない畠中槙之輔選手。空いたスペースのフォローに偏りがちな井林章選手と田村直也選手の間に今度は松田力選手が飛び込んでくる。しかし福岡の狙いは田村選手がうまくポジション調整して絶妙に松田力選手の侵入を阻む。
ヴェルディは最終ラインの安定と柴崎貴広選手の好守、渡辺皓太選手のボール奪取からのカウンターなどで押し返すも両チーム得点なしのまま前半終了。福岡は攻撃の時ゴール前から選手がいなくなってしまう傾向があるのでちょっと中途半端かな。

後半に入りヴェルディは2つの変化を見せる。

一つは左サイドの安西選手と右サイドのアランピニェイロ選手の両サイドフォワードのポジションを入れ替えた。前半福岡の右サイドバック駒野選手に安西選手がプレッシャーをかけきれなかったのと、ヴェルディの左サイドバックは安在和樹選手なので攻撃もいいんだけど右サイドバックの田村選手はちょっとセンタリングに臆病になってる風だったので、ストライカータイプのアラン選手よりウィンガータイプの安西選手と組ませた方がバランスが良くなるし福岡左サイドバックの亀川諒史選手に対して裏をつけるとかオーバーラップさせずに攻撃を封じるとかそういう作戦だったと思う。

もう一つは、中盤の3枚の位置を少し下げてインサイドハーフの二人を福岡のボランチ周辺に配置したこと。前半はインサイドハーフがワントップのドウグラス選手に近い位置にいたせいか縦パスの選択肢が少なかったしそもそも福岡のボランチに引っかかってボールが前に進まなかった。そこを福岡のボランチの周辺で一度ボールを中継することで福岡の中盤に引っかからずにボールがフォワードまで運べるようになった。福岡は城後寿選手がフォワードやってたんだから中盤に下がってあげればよかったんだけど、そういう対応はしてこなかったのでアンカーの内田達也選手を含め数的優位でボールが回せるヴェルディは後半一方的に攻める形になった。

しかし、ボールが回せる分余裕のあるサイドからの攻撃に偏り過ぎて福岡ディフェンスが慣れてしまったのか最後で踏ん張りを見せる福岡ディフェンスラインを崩し切るには至らず、惜しいシーンは作ったものの得点できないまま試合終了。前半27分ドウグラス選手の抜け出しにユニフォームを引っ張った福岡の岩下敬輔選手にカードが出なかったシーンがこの試合一番のハイライトだったかもしれない。後半のアディショナルタイム5分は少し短かった印象。キーパー倒れてたからね。

試合の中で柔軟に修正を見せたヴェルディは強さは見せたものの勝ちきることはできなかった。たぶん真面目な選手が多くて監督の言うことを確実に表現した結果培った強さだと思うけど、今日の試合に限ってはゴール前では相手の想像を超えるような発想力がもう少し必要だったのかもしれない。J1昇格のために、強くなっているこのサッカーをさらに進めるために、今のものに加えて更なる力で残り3試合(+昇格プレーオフ)を勝ちきってほしい。

 

柴崎 貴広 7.0 ビッグセーブでチームを救う。昨シーズンまではビルドアップに消極的だったけど、今シーズンは普通に組み立てに参加している。何で今までやらなかったんだろう。

井林 章 6.5 安定した守備を見せる。ロングキックも正確。

畠中 槙之輔 6.0 前半ややミスパスが多くリズムを崩した面がある。守備の選手として穴が少なくなオールラウンドプレーヤーへと成長しつつある。

安在 和樹 6.5 豊富な運動量で攻守に貢献。プレイスキック含めラストパスとしてみると少し不満が残る部分もあった。前を向いたままのセンタリングをもう少しチャレンジしてもいいかもしれない。

田村 直也 6.5 ポジショニングが引っ張られがちな井林選手に声をかけてポジションを未然に修正。走り込む選手をいち早く見つけケアしていた。オーバーラップした時シュータリング上げればゴールに入るかもしれないからミスを恐れず積極的にプレーしてほしい。

内田 達也 6.0 アンカーのポジションとしてはロングパスがやや不安定。周りに技術の高い選手が多いのであまり無理をせず後半のようにプレッシャーの少ないポジションから確実にボールをつなげてほしい。

渡辺 皓太 7.5 驚異のボール奪取能力。パスが少し狭いが、そんなこと気にならないほどの力を発揮して見せる。

梶川 諒太 6.0 技術が高いのでボールがよく収まり無難に繋げるが、多少リスクがあってももう少し縦パスを狙うべきだと思う。守備もやりながら前線の仕事まで担うので大変だと思うけどできる選手だと思うので頑張ってスーパーマンになってほしい。

安西 幸輝 6.0 若いんだからもう少し思い切りを見せてもいいんじゃないか。プレーは確実に相手に脅威を与えている。

アラン ピニェイロ 6.5 驚異的なスピードでゴールに迫る。裏に抜けられないときはもう少しディフェンダーから離れるようにすればシュートが打ちやすくなると思う。

ドウグラス ヴィエイラ 7.5 あんなに献身的にボールに執着してくれる選手だという印象がなかった。彼がいればどんな相手でも互角以上に戦えるだろう。彼がいなければ前半のうちに福岡のショートカウンターの餌食になっていたはずだ。

井上 潮音 6.0 技術の高さでうまくボールを捌いていた。ゴールに向かうプレーも見せたかったが、チームとして形になっていたから今日はこれでよかったと思う。

カルロス マルティネス 6.0 相手を背負うことなくボールに触れるようになったので活躍できるようになった。ワントップはやりにくそうだがドウグラス選手と2トップ的に起用しても面白いかもしれない。

高木 善朗 6.0 出場時間は短かったがしっかりチャンスに絡む。一瞬で突破できちゃう選手なので、やはり前線で起用すると面白い。

ミゲル アンヘル ロティーナ監督 6.5 ハーフタイムに見事にチームを修正し後半はほぼ一方的に攻め立てた。点は取れなかったけどしょうがない。中盤を厚くした結果試合を優位に進めたので間違いではなかったのだが、中盤より前線を厚くする方法があったような気はするが、これは後出しじゃんけんなので、国民総監督論者の戯言としてほしい。