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東京ヴェルディ対レノファ山口 2016明治安田生命J2リーグ第39節 味の素スタジアム 多摩市サンクスマッチ

サッカーは文化だ!
文化の日の今日、多摩市サンクスマッチと銘打って開催された東京ヴェルディ対レノファ山口の一戦。残留争いに巻き込まれている東京ヴェルディは残り試合得意の上位対決(今シーズン東京ヴェルディの勝ち星は昇格を争うようなチームとの試合が多い)とあって見通しは明るいものの苦手の中位下位にも着実に勝点を積み重ねておきたいところ。

試合は不思議な力が働いて2-2の同点に終わり、東京ヴェルディは残留に向けて大きな大きな勝点1を手にしました。

 

試合は開始早々早くも動きます。

前半8分、トラップでうまく体を入れ替え最終ラインを突破した高木大輔選手からのパスを渡辺皓太選手がトラップミスするもののボールを失わずに右サイド駆け上がってきた安西幸輝選手にパス。ダイレクトでゴール前に入れたボールにドウグラスヴィエイラ選手が飛び込んで先制。東京ヴェルディ1-0レノファ山口。

やっぱサンクスマッチはこうじゃないとな~、有名どころと当った時の方が集客はいいんだろうけど有名どころにはなかなか勝てないからそこそこのチームでいい結果を出す方がサンクスマッチ的にはありがたいよな~(過去は振り返らない)、などと不謹慎なことを考えていたら試合は徐々に山口さんちペースに。

ヴェルディはとにかく中盤でボールがつながらない。山口の攻撃陣はあまり下がらないので高い位置でボールを奪われるとあっという間にピンチ到来。山口の攻撃は広さにやや欠けるものの常に裏を狙い走り続けるという基本をおろそかにしない堅実な攻撃。ヴェルディはサイドを突破されセンターバックが引きずり出されて薄くなった中を突かれるという繰り返し。普通は中をサイドバックとボランチがカバーするんだけどヴェルディのボランチは誰なんだ?

前半19分、そうこうしているうちに右サイドをピンボールみたいに繋がれて田村直也選手が引っ張り出されたところゴール前で山口フォワード陣3人に対しヴェルディは平智広選手が一人で対応して失点。東京ヴェルディ1-1レノファ山口。

前半21分、今度は左サイドからうまくつながれてロングシュートがポストを直撃。跳ね返ったボールをつめられて逆転。東京ヴェルディ1-2レノファ山口。

冨樫剛一監督によるとヴェルディのディフェンスは3枚だったらしい。442に見えたけどなあ。ボランチが楠美圭史選手と二川孝広選手っぽかったのが逆転された後楠美選手と渡辺選手に変わったような気はするけどあまり効果はなかったみたい。

その後ドウグラス選手がペナルティエリア内で倒されたりしたけどPKは得られず前半終了。

後半に入ってヴェルディは中盤の構成を諦め前線をどんとん狙う作戦に変更。そしたら中盤がスカスカになってしまい山口にさらにチャンスが増えるものの鈴木椋大選手のセーブに救われ何とか失点は免れる。

どうにもならないヴェルディは楠美選手に代え大木暁選手を投入。右サイドバックに大木選手、安西選手が左サイドバックに回り、安在和樹選手がボランチへと移動。でもあまり効果なし。それでも試合が動くのがサッカーが文化たるゆえん。

後半19分、空中戦でたびたび相手を圧倒していた平選手が二川選手のコーナーキックに頭で合わせて同点。東京ヴェルディ2-2レノファ山口。

その後は山口がスピードでヴェルディ最終ラインを突破したりヴェルディが中盤でボールを奪ってカウンターを仕掛けたりするものの得点には至らず。

後半ロスタイム、素早いリスタートから山口が得点を挙げたかに見えたものの、ポイントがずれていてボールも止まっておらず、近くにいた審判が試合を止めたかどうかわからなくなってしまい遠くにいた副審に確認したところ試合が止まっていて再開されていなかったことがわかったらしく得点は取り消されフリーキックからやり直しという珍しい文化を拝見したところで試合終了。東京ヴェルディ2-2レノファ山口。

ヴェルディは幸運も重なり残留に向けて貴重な勝点1をゲット。勝負事には運も付き物なのです。

ヴェルディは裏とられるのが嫌で引いて守るのならフォワードも(せめて一人は)戻ってきた方がいいと思う。中盤がスカスカになってしまう。
センターバックが引き出されて中がカバーしきれないならボランチがサイドバックをカバーしたらどうだろう。外なら背の高さはあまり気にならない。もしくはサイドバックが低い位置で守るようにしよう。センターバックが中に残ることができる。
ボランチはもう少しパスコースを切りながら動くことを意識すべきだと思う。今のままでは動いたスペースをそのまま使われて格好の餌食にされかねない。
パスを出した後は次のパスコースを作るために動きなくてはならない。試合中に頭を休めないで常に考え試合に集中していないと90分間試合に入り込むことはできない。

山口はサイドを突破するときダイアゴナルなボールの動かし方(選手の配置含めて)を意識するともっと攻撃に迫力が増すと思う。今は縦縦の攻撃なのでいったん阻まれだすとジリ貧になってしまうんじゃないかな。あと中盤のプレスをかいくぐられたときのことも想定しておいた方がいいと思う。

ヴェルディの攻撃は結局最終ラインからのロングパス頼み。もちろん裏に走ったりドウグラスの頭を狙ったりと工夫しているのはわかるけど、なかなかそうおいそれと機能するものじゃない。もう少し中盤から攻撃を組み立てたいところだがあれだけスペースが空いていた中盤をさほど突破できなかったことから見るとボールを出した後の動きやいわゆる3人目の動きなど修正すべき点がたくさんあるのだと思う。守備に関しては縦パスに対してもう少し意識を高めたほうがいいと思う。パスコースを切ったりインターセプトのわなを仕掛けたりして危険なところを潰していくべきだ。今のままだと守備の狙いは相手のシュートをブロックするという一点だけになってしまうような気がする。どこでどのようにボールを奪い攻撃を開始するのか、その為にどこにボールを誘導してどこを通させてはいけないのか、チームでもう少し統一したほうがいいと思う。

今シーズンも残り3試合。低迷が続いているけど、一歩ずつ前に進んでほしい。じゃないといろいろ計画が狂う。頼むよ、ヴェルディ!

 

鈴木椋大 6.5 フィードの不正確さやシュートをはじく位置がなんかおかしかったけど負けなかったのは鈴木選手のおかげ。ありがとうございました。

安西幸輝 6.5 左サイドでも機能することを証明。最終ラインからの正確なロングパスはヴェルディの攻撃の柱の一つ。体が強くなったな。

田村直也 5.0 競り合いにあまり勝てずスピードでも振り切られフィードも不正確であまりいいところがなかった。疲れてるんだと思う。

平智弘 7.0 抜群の制空力を発揮。気迫満点の守備で体を投げ出してシュートを防いでいた。ゴールは相手のミスもありたまたまっぽいが雰囲気があるのでまた決めてくれそうな気がする。

安在和樹 5.5 周りの動きが悪いこともあるが判断が遅くボールを失うことあり。ヴェルディのボランチはかつての鈴木惇選手みたいにロングパスが出せる選手が少なく貴重な存在だと思うのでうまく定着してほしい。

渡辺皓太 5.5 運動量豊富できびきびとよく頑張っていたが何分ミスが多い。守備でもポジショニングが悪く簡単にパスを通されてしまう。経験を積んでさらなる成長を期待。

楠美圭史 5.0 ボールを効果的に散らすことができず。守備を期待されての起用ということもあったのかもしれないが挟み込みが甘くあまり機能しなかった。

二川孝広 5.0 ミスパスが多く動き直しも悪い。センスがあるのにもったいない。

澤井直人 5.5 チーム事情もあるので仕方ないところもあるがあまりボールに絡めなかった。シュートは惜しかったが悔しがっている時間が長い。

ドウグラスヴィエイラ 6.5 ヘディングでゴールは決めたが、背の高さに比べるとあまりヘディングが得意ではない様子。足元の方がボールがよく収まっていた。

高木大輔 6.5 うまく裏を突いていた。なかなか成功することは少ないかもしれないが通れば1点なので常に意識してほしいと同時にもう少しサイドでボールをもらって起点になる動きもしてほしい。守備の時下がって中盤を助けてあげてもいいような気がするがチームの決め事なのかフォワード起用時はハーフウエイラインから下がらなかった。

大木暁 5.0 よく攻め上がっていたが守備の意識が低すぎる。サイドバックだと思うが中盤の選手みたいなポジショニングだった。

アランピニェイロ 5.5 積極的にボールに絡んでいたがうまくミートしきれなかった感じ。今のヴェルディの前線は結構個人技頼りみたいなところがあるのでスピードとドリブル力があるアランピニェイロ選手には期待が大きいと思う。

杉本竜士 5.0 短い起用時間で結果を残すのは大変だと思うが、やや空回り気味。杉本選手のいいところはいい意味でのいい加減さだと思うので、短い時間でも自分の良さを忘れずに相手を欺くプレーを期待したい。

冨樫剛一監督 5.5 チームの機能していないところを修正しようとしていたようには感じるが結果的にあまり効果はでなかった。監督のせいとは言い切れないが、相手に対してうまく準備しきれていなかったような気がする。そのあたりチームとしてスカウティング面の課題が露呈しているのかもしれない。