蹴球 \ サッカー日本代表

2018FIFAワールドカップロシアアジア最終予選 日本代表対UAE代表 UAEハッザーアビンザーイドスタジアム

UAE代表に連敗中の日本代表。苦手意識を抱かないためにもワールドカップ出場のためにも勝利を飾りたい日本代表はアウェイUAEの地で2-0と見事に完勝!ワールドカップ出場圏内のグループ2位をキープしました。

 

大迫勇也選手がワントップに入った日本代表は大迫選手の頭という単純で強力な武器を手に攻撃。いやはや、たいした選手だ。ロングボールがあるから下のパスも通りやすい。香川真司選手がクラブでの好調そのままにディフェンスの間に走り込んでくれるため、日本代表は試合開始直後からUAE代表を圧倒します。

UAE代表が442ブロックを敷いてきたのもまた日本代表には有利に。攻撃が多彩な日本代表に対してブロックを敷こうとしても後ろを気にしているうちにサイドチェンジについていけないUAE代表。恐らくUAE代表は攻撃的な選手を配置した両サイドハーフが日本のサイドバックを押し込みたかったのだろうけれど、逆に守備が苦手な両サイドハーフが守備の穴になるという完全なる裏目。こりゃ勝ったな。

前半14分、ハリルホジッチ監督がこけてる間に久保裕也選手が一旦右サイドに張り出してからひょろひょろと中に移動。外にできたスペースに酒井宏樹選手が侵入。ブロックを敷いているUAE代表の中盤は対応が遅れ酒井選手は高い位置でフリーに。中に移動した久保選手に絶妙なスルーパスが通り、久保選手の代表初ゴールで日本代表先制!日本代表1-0UAE代表

UAE代表は技術があるのでいろいろな形で攻撃できるんだけど、主に狙ってるのはフォワードへの楔のパス。日本代表は守備のとき山口蛍選手と今野泰幸選手がダブルボランチっぽくなるんだけど、攻撃のときアンカーの役割になる山口選手がアンカーポジションに拘りすぎているようで中盤にラインができずフォワードへのパスが遮断できない。しかし、少し押し込まれた日本代表は、今までとは少し違う守備を見せる。

中盤では今までどおり積極的にインターセプトを狙いディフェンスラインを高く保つ。しかし一旦攻め込まれると両サイドハーフや時にはワントップの大迫選手も含め全員でゴール前まで戻り数で守る。当然ボールを奪っても前に選手がいないのでドリブルだけ攻撃はなかなかつながらないんだけど、とりあえずボールが運べればオッケーという割り切り方。中盤の守備と押し込まれたときの守備をこれほど明白に分けたことは今までのハリルホジッチ監督になかったような気がする。引いてしまう分ファールが怖いところではあるけれど、ディフェンスというのは基本的にスペースをバランスよく埋めるのがポイント。こりゃ勝ったな。

UAE代表は日本代表を押し込めたくてオマル選手なんかも長友佑都選手よりは押し込めそうな酒井選手を狙って左サイドに移動したりしてたけど、押し込んだら押し込んだで自分たちが困る展開。一息ついたりしてると大迫選手の頭から一気にピンチを迎える。ニアゾーンをつければまた違ったんだろうけど今野選手や香川選手まで運動量でスペースを埋める日本代表に隙はなし。こりゃ勝ったな。

後半に入り、「あれ、日本代表中盤3人しかいないんだからどっか空いてるんじゃ?」と気づいたUAE代表が立て続けに2回ビッグチャンスを迎えるも最後の最後でシュートがゴールに飛ばない。こりゃ勝ったな。

ということで後半6分、吉田麻也選手からのロングフィードに大迫選手がお約束のように競り勝ち右サイド久保選手へ。原口元気選手が逆サイドからゴール前にひょろひょろ移動してできたファーサイドのスペースに走りこんだ今野選手が胸トラップから追加点。こりゃ勝ったな!日本代表2-0UAE代表

その後疲れた選手から順番に交代していった日本代表が順調に勝利。UAE代表はフォワード変えたらサイドに流れる選手ばかりになってしまいチームの攻撃コンセプトがバラバラになる悪循環。ちょっと気になったのは最後大迫選手が怪我してしまったので岡崎慎司選手が入ったけど、順番的には今野選手が交代する予定だったような気がする。その場合、誰を起用するつもりだったんだろう?

日本代表は大迫選手がトップにいる限りアジアでは安泰でしょう。先制点のサイドでのスペースの作り方は練習どおりって感じだし、2点目もゴール前でうまくスペースを作り出しているのでコンビネーションも悪くなさそう。両サイドバックが攻め上がるのでボランチには最終ラインのケアができる選手を。選手たちに戸惑いがなければ今流行りの3バックでもいいかもしれない。その場合香川選手のポジションがなくなってしまうという問題はあるのだけれど。

守備は特に中盤の守備のとき中盤のラインがバラバラなのでうまくスペースを埋められないことが目立つ。中盤での守備のときはアンカーポジションに拘らずしっかり中盤でラインを形成できるようにしたい。サイドバックが中盤のスペースを埋めたりサイドをケアしたり忙しい中でマークの受け渡しにもやや難があるので、そのあたりはキーパーやセンターバックの声かけも含め、中盤と連動して相手を逃さないようにしてほしい。押し込まれたときの守備が安定してきたのはチームにとってとても大きい。さらに磨きをかけてほしい。

今日の試合ではセットプレーがあまり試合に影響しなかったけど、やはりセットプレーは試合を大きく左右する。大迫選手にはセットプレー時の守備にも期待できるためその部分でも安定するわけだけど、チームとしてもう少しセットプレーの精度が上がるともっと結果を出しやすくなると思うので、守備を邪魔しない程度にセットプレーのことも考えながら選手起用できるといいなと思うけど、はたしてどうだろう。

 

 

川島 永嗣 6.5 見事なクリーンシート。足元がやや不安定だったが、大迫選手がいれば大丈夫。

長友 佑都 6.5 守備のポジションが中途半端なことがあって原口選手が苦労してたけど、最後のところでちゃんとやるのでやっぱり頼りになる。でも今野選手が下がれないときは少し自重してほしい。オマル選手に意地の股抜き合戦で一度通された以外は何もさせなかった。

森重 真人 6.0 ロングフィードでもチームに貢献。ちょっと1対1に不安定さがあった。

酒井 宏樹 7.0 抜群の運動量と判断力で右サイドを制圧。酒井選手がいるから久保選手が躍動できたとも言える。長友選手の背が低い分酒井選手の役割は大きい。

吉田 麻也 7.0 フィードも正確で1対1でも負けなかった。中盤の守備のときにインターセプトが狙えるとなお良い。

香川 真司 6.0 ディフェンスの間に走り込んで相手を混乱させる。守備でもしっかり貢献。最後はちょっとバテたか。香川選手にはどうしても決定機の演出に期待してしまうので物足りなさを感じなくもないのだが、あまりたくさんの役割を負わせることはチームのためにならないので、球離れが悪かったところなどはハリルホジッチ監督に整理してほしい。

山口 蛍 6.0 ややミスパスが多い。特に序盤の中盤の守備のときに下がりすぎてスペースを埋められないことが多かった。途中から少し前に出られるようになったが相手の楔を防げず。でもサイドバックが上がる日本代表のためには山口選手のような役割が不可欠。経験をつむことで状況に応じた柔軟な対応が可能になるだろう。

今野 泰幸 7.0 抜群の運動量で中盤を支配。もう少しパスを強く出してほしい。最終ラインから前線まで大変だったと思う。得点はご褒美です!

原口 元気 6.5 長友選手のフォローがあって大変そうだったけど運動量豊富でチームに貢献していた。2点目のように前に移動してスペースを作ってほしいがなぜか引いてスペースを作ろうとすることが目立つ。元気なのに元気がない。

久保 裕也 7.0 積極的な仕掛けで攻撃に大きく貢献。右サイドは酒井選手もいて香川選手もいたのでやりやすかっただろう。それにしても良い選手になったものだ。

大迫 勇也 7.5 困ったときの大迫選手。それだけでチームに大きな落ち着きを与えられるだろう。今日は点は取れなかったけど取れてもおかしくなかった。今の日本代表にとって攻守に欠かせない選手。

倉田 秋 5.5 交代直後にチャンスを演出したがそれ以降はやや空回り気味。テクニックがある選手なので経験とともに実力をさらに発揮できそう。

本田 圭佑 5.5 うまくボールをつなぐがあまり怖さがない。ボールと体が連動していないようなところもあり心配。

岡崎 慎司 5.5 裏を狙って積極的にプレーしていたが、岡崎選手が出たとたんロングフィードが減ってしまう。タイプの問題なのだが、今の日本代表に岡崎選手のワントップは少し無理があると思う。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督 7.0 コケてたけど急に守備が安定した。中盤の守備と押し込まれたときの守備をそれぞれ使い分けて約束事が徹底できていた。攻撃でも特に先制点の久保選手が中に入って空いたスペースに酒井選手が上がる形は練習どおりだっただろう。運動量の落ちた選手を適切に交代しており監督として完全にゲームを支配していた。